播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

ハチ・毒蛇に備えて:ポイズンリムーバー


※この記事は、ポイズンリムーバーの効果を保証するものではありません。
※ハチなどに刺された場合は、医療機関で適切な処置を受けて下さい。

私は一度だけ、山の中でスズメバチに刺されたことがあります。

スズメバチが威嚇する大きな羽音が聞こえたのですばやくその場から立ち去ったのですが、私の体臭(?)が気に入らないのか、ずっと私の後を追ってきます。無視して数十メートル早足で歩き続けた結果、羽音はぴたっと聞こえなくなりました。

ハチの警戒範囲外に出られた、とホッとしたのもつかの間、右腕にもぞもぞと奇妙な感触・・・。見ると、大きなスズメバチが私の右上腕部に止まっています!

本来ならじっとしてハチが飛び去るのを待つべきです。しかし、自分の腕の上をスズメバチが歩いているのを見て、(ハチを振り落とそうとして)反射的に腕を振ってしまいました。ハチが腕に止まるのに気づいていれば、驚いて腕を振ることはなかったと思います。

当然のことながら、スズメバチは私の右腕にプスリと毒針を突き立て、数秒後、私の腕から離れて周回飛行をし始めました。

スズメバチは敵を刺した後、毒液を撒き散らしてそのニオイで仲間を呼ぶ」というのは知っていたので、私はすぐにその場を離れる必要がありました。じっとしていると、毒液のニオイで興奮した複数のスズメバチの猛攻撃を受けることになります。

身軽になるために私はバックパックをその場で下ろし、フロントポケットに入れておいたファーストエイドキットを取り出して、山道を駆け下りました。

駆け下りると言っても、激しい動きをすると毒が体内に回りやすくなってしまいます。そのため、数十メートルほどだけ移動したところでポイズンリムーバーを出し、傷口から血を吸い出しました。

90秒ほど血を吸い出し、ポイズンリムーバーを傷口から離します。すると、傷口の周囲にぽっこりと盛り上がったような形で血の「山」が出来ます。これをティッシュでふき取り、また血を吸い出すという動作を数回繰り返しました。

その間、ハチの様子を見てみると、私のバックパック(黒色)を中心にして数匹が飛び回っています。時々バックパックに止まっては飛び立つという動きを繰り返していました。危なくてバックパックの回収が出来ません。

私はポイズンリムーバーを使う前に白いタオルを頭からかぶったため、白いTシャツとベージュのズボンの色にも助けられ、血を吸い出している間、ハチに襲われることはありませんでした。明るい色のものはハチにとって見えにくいというのは本当なのかな?

実際は数分しか経っていなかったのですが、ずいぶん長い時間、登山道にしゃがみ込んでいたように感じられました。

その日は天気が不安定だったので、私がハチにおびえながら血を吸い出しているうちに小雨が降り始めました。すると、今まで元気よく飛び回っていたスズメバチたちは、あっという間に姿を消しました。

これで一安心。傷口付近には鈍痛がありましたが、問題なく我慢できる程度の痛みです。腫れもほとんどありません。バックパックを回収し、無事に下山することが出来ました。

ところが、下山後 家に向かって車を走らせていると、右腕の痛みが激しくなり、悪寒まで感じるようになってきました。家に帰ってからも痛みと悪寒は続きましたが、数時間で治まりました。

悪寒を感じたということは、毒のせいで少し熱が出ていたのかも知れません。

しかし、傷口はほとんど腫れず、嘔吐感や倦怠感も感じられず、自力で下山し、車を運転して家に帰ることが出来たのですから、体内に入った毒の量が少なかった(うまく吸い出せた)ということでしょうか。

私のような単独山行愛好者にとっては、持っているだけで心強い道具だと思います。小さくて軽いので、持っていても邪魔になりません。

使う機会に遭遇しないのがベストですが、遭遇してしまった場合に備え、説明書を読んで扱いに慣れておきましょう。
取り出しやすい位置に入れておくことも大切です。
刺されたとき、すぐに使えないと意味のない道具ですから。

重要!
刺されたときは、たとえポイズンリムーバーを使ったとしても、下山後早めに病院に行きましょう。