大名行列の所作を展示する「ミニ大名行列」なるイベントがあると知り、その会場となる姫路城へ出かけてきました。
我が家は姫路城の間近にあるため、こういったイベントを直前に知ってもすぐ見に行けるのがありがたい。
▲備前丸でのミニ大名行列
概要: 総勢12名の姫路大名行列の中間(ちゅうげん)が、各種調度品を使用し、荘厳な行列所作を披露します。
日時: 2024年2月17日(土)
時間: 11:00~16:00頃
場所: 有料区域(備前丸、三国堀、西の丸)・無料区域(三の丸広場、家老屋敷跡公園)
観覧料: 無料(有料区域で見学する場合は入城料¥1,000が別途必要)
行列スケジュール:
姫路城有料区域内 | 11:00 | 備前丸 |
11:15頃 | 三国堀 | |
11:30頃 | 西の丸 | |
無料区域 | 11:45 | 三の丸広場 |
12:00頃 | 家老屋敷跡公園 | |
13:30 | 三の丸広場 | |
14:30 | 家老屋敷跡公園 | |
14:45頃 | 三の丸広場 | |
姫路城有料区域内 | 15:00頃 | 西の丸 |
15:15頃 | 三国堀 | |
15:30頃 | 備前丸 |
備前丸に到着。
▲カンテレのカメラ
どこからどんな風に見学しようか迷っていましたが、「プロのカメラマンさんの近くにいたら安心」と考え、カンテレのカメラマンさんの近くで私も11:00まで待つことにしました。
10:48
ミニ大名行列を行う12名の中間(ちゅうげん:足軽より位が低い武家の奉公人。)役の男性が備前門から備前丸に入って来ました。
▲準備のため備前丸に入ってきたミニ大名行列メンバー(先頭は姫路ケーブルテレビ「WINK」のカメラマン)
ミニ大名行列のメンバー12名は、東向きになるよう備前丸の中央付近で東西に一列に並びました。
カンテレのカメラマンさんがミニ大名行列の参加者にどのような動きをするのか尋ねていたので聞き耳を立て、私も撮影場所を決定。
笛の合図とともに、ミニ大名行列が開始。
実際に歩くわけではなく、その場にとどまったままで大名行列の所作と掛け声を展示します。
▲ミニ大名行列の様子
▲右後方から見たミニ大名行列
掛け声も動作も独特で、掛け声に関しては何を言っているのかさっぱり分かりません。
そこで今回の大名行列を再現した本町三丁目大名行列保存会(長野県飯田市)のWebサイトで調べたところ、掛け声が分かりましたので紹介します。
威 張 業 途 也
(エー ハリー ワサー トー ナー)威 是 業 途 也
(エー コレー ワサー トー ナー)威 良 業 途 也
(エー ヨー ヤサー トー ナー)
2022年5月に開催された第72回で披露された大名行列と掛け声や動作は同じですので、参考のためにYouTubeで公開されている姫路市の公式動画を紹介します。
11:05頃
5分程度でミニ大名行列の展示は終了し、行列のメンバーは備前門から「りの門」、「ぬの門」を通って次の展示場所である三国堀へ移動。
私も後を追って坂を下りましたが、途中の「チの櫓」「リの一渡櫓」(お菊井戸のすぐ先にある建物)にある大名行列衣装・道具常設展示会場が気になり、そちらへ入ることにしました。
▲展示会場入口の看板
展示会場内には、大名行列に関する情報が書かれた大きなパネルがあったり、当時の道具を再現したレプリカが置かれています。
一部の展示品は無かったのですが、それは今回のミニ大名行列で使用するため。
▲展示場の様子
展示されているパネルによると、姫路藩の場合は1回の大名行列にかかる費用はおよそ1億7千万円とのこと。
姫路から江戸までの移動にかかる日数に関しては、1778年(安永7年)の事例が紹介されています。 それによると、5月16日に姫路城を出発し、19日に大阪、23日に桑名、26日に浜松、6月2日に箱根を通り、6月4日に江戸に到着。
▲パネルの一例(1778年における大名行列の姫路から江戸までの行程)
展示場の出口付近にあった地図には、大名行列が出発前に整列したのが大手門前広場で、出発時と到着時に通ったのは内京口門といった細かいことも書かれています。
ちなみに、内京口門は現在の賢明女子学院中学校・高等学校の南東にある門です。
▲現在の内京口門跡(2023年10月撮影)
11:15
大名行列関連の展示を見終えた後は、最短距離で帰ろうと「るの門」を通って三国堀へ向かったのですが、ちょうど三国堀前でミニ大名行列の展示が行われていました。
▲三国堀(菱の門を入ってすぐ)におけるミニ大名行列(左は菱の門)
▲三国堀前でのミニ大名行列を左後方から見た様子
ミニ大名行列の参加者が持っている道具類ですが、姫路市立城郭研究室が監修し、姫路市観光課が発行したパンフレット「現代によみがえる!姫路 大名行列衣装・行列道具コレクション」で調べてみました。
▲ミニ大名行列に使われた行列道具
ここにある小馬印(藩主の所在を示すための目印)は酒井家のもので、本能寺の変の際、徳川家康が国元へ帰るときに使った船の船印を家康から賜ったそうです(上部は実物を3Dスキャン、下部は当時の図面をもとに復元したもの*1)。
白毛槍や黒毛槍は、大名行列を目立たせるためのものとのこと。
酒井家の御持槍(おもたせやり)は朱塗りのものが2本(ここでは1本)で、それを持つことが許されていた家は少ないそうです。
対挟箱(ついはさみばこ)に金御紋が付いているのも、酒井家の家格が高い証(金御紋を使うには幕府の許可が必要)。
*1:「現在によみがえった!姫路藩大名行列(姫路のひろば令和3年10月放送分)」を参照。