播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

三木城攻めで秀吉が戦況を眺めたとされる太閤岩(兵庫県加古川市)

Googleマップを眺めていたら、高御位山塊の南東に「太閤岩」というのを見つけました。

羽柴秀吉が播磨平定の一環である三木城攻めの際にここから戦況を眺めたとのこと*1

戦場の様子を見て指揮を執れるということは、展望が良い場所に決まっています。
展望を目当てに山歩きをしている私にとって、「太閤岩」は魅力的。

というわけで、太閤岩を目当てに高御位山塊の東側を北から南へ歩くことにしました。

賑やかな山は苦手なので、人が多すぎる高御位山頂には寄りません。

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▲南麓から見た太閤岩(矢印が指している岩)撮影日:2020年11月8日

ルートは、まず辻登山口に車を置いて成井の小高御位山(こたかみくらやま)登山口へ徒歩で移動。そこから小高御位山に登り、稜線を南へ。
北山奥山から東へ進み、太閤岩を経由して辻登山口へ下りるというもの。

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▲対応する地形図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「加古川」

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▲カシミール3Dで作成したルートの断面図

09:15

姫路市街の自宅を車で出発。

国道2号線(姫路バイパスではない方)を東進します。
鹿嶋神社への入口となる「阿弥陀」交差点を過ぎてしばらくすると、姫路バイパスの高架をくぐるところがありますが、その直後の「高砂北ランプ東」交差点を左折。

200mほど進むと信号のない交差点に出会いますが、正面の道は進入禁止なので実質は丁字路。そこを左折して姫路バイパスをくぐった後の丁字路を右折。

姫路バイパス沿いに東へ進み、「岸西」交差点を左折して県道388号線に入ります。
県道388号線は初めのうちは広いのですが、川を渡ってから細くなり、「本当にこの道が県道?」と思うような雰囲気になってきます。

「岸西」交差点からおよそ1km、ちょっとした峠の頂部に辻登山口があります。

09:40

辻登山口に到着(地図中「辻登山口」)。

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▲辻登山口の様子(止まっているのは私の車)

https://goo.gl/maps/QWqNhF8AvMZWYNiG6

▲辻登山口の位置

未舗装の空き地がありますが、そこは私有地です。登山者が車を置いてはいけません。
車を置けるのは、登山口の目の前の場所(私が車を置いている周辺)だけ。

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▲この空き地に登山者が車を置いてはダメ

09:48

準備が整ったので出発。

県道388号線の峠を北へ下ります。
すると小さな池のある交差点があって、県道388号線は左であることを示す標識が立っています(直進も388号線なので、間違えないよう要注意)。

その標識に従って左折してください。

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▲この交差点を左へ曲がる

池のある交差点からおよそ350m進んだ所で、田中鉄工所を挟む形のY字路(地図中「田中鉄工所」)に出会いますが、そこは左へ(県道388号線から離れる)。

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▲このY字路を左へ

田んぼの中の道をのんびり歩いていると、Y字路からおよそ1kmで丁字路に突き当たります。ここには「←高御位神社参道」と書かれた看板が立っているので、それに従って左折。

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▲突き当たりの看板

突き当たりから350mほどで成井の登山者用駐車場に出会います(地図中「成井駐車場」)。

駐車場内は満車で、そこを囲む道路も路上駐車の車であふれかえっていました。

その駐車場直前のY字路を左へ入るとすぐ左側に丸太階段の道がありますが、それが小高御位山の登山口。

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▲駐車場方面ではなく左へ

成井の登山者用駐車場にあるお手洗いで用を足してから、小高御位山の登山口に向かいました。

小高御位山の登山口は、このお手洗いの南向かいです。

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▲登山者用駐車場のお手洗い

10:13

小高御位山の登山口に到着(地図中「小高御位山登山口」)。

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▲小高御位山の登山口

登山口の丸太階段を登ると、神社の臨時駐車場があります。
それを横切った先に登山道の続きがあるので、そちらへ入ってください。

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▲臨時駐車場を横切った先に登山道の続きがある

小高御位山への道は、シダの多い山道。

斜度はそれほどきつくありませんし、振り返ると展望が楽しめるので気分良く歩けました。

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▲小高御位山への道の様子

路面がイワイワしてくると、間もなく小高御位山の山頂です。

10:34

小高御位山の山頂に到着(地図中「小高御位山」)。
巨岩が積み重なった展望の良い空間です。

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▲小高御位山山頂の巨岩

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▲巨岩の脇にある小さな祠

巨岩の東側へ回り込むと、そこからは東方面の大展望を楽しめました。

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▲小高御位山山頂東側の様子

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▲巨岩だらけの小高御位山。左奥は高御位山。(ドローンで撮影)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/taikoiwa20201115-1/virtualtour.html

▲小高御位山東側の岩場で撮影した全天球パノラマ。(撮影機材:Ricoh THETA Z1)。

小高御位山山頂で出会ったハイカーさん(上のドローンで撮影した画像にも写っています)から、高御位山の山頂直下に人面岩があることを伺いました。

小高御位山からだと、横顔のように見えます。

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▲高御位山山頂直下の人面岩

10:58

大展望とドローン操縦を楽しんだので、出発。
小高御位山から西へ進むと、南北方向の縦走路に突き当たります。

本日の目的地は南にある太閤岩なので、この突き当たりは左折。

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▲縦走路に突き当たる場所に立っている道標(「成井登山口」と書かれている方向が小高御位山。南へ行くには「北山登山口」方面へ進む。)

ここからは、すぐ下に見えている送電線鉄塔まで一枚岩の急斜面です。
岩のグリップが良いので、楽しい。

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▲送電線鉄塔に向けて岩の斜面を下る

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▲下ってきた岩の斜面を見上げて撮影(斜度を強調して撮影)

11:20

岩の斜面の下にあるのは姫路火力東線37番鉄塔(地図中「姫路火力東線37番鉄塔」)。

その姫路火力東線37番鉄塔から先は、しばらく平坦な道が続きます。

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▲姫路火力東線37番鉄塔から南へ平坦な道が続く

やがて鞍部に下り、北山鹿島神社への分岐がある小ピークに向けて登り返します。

行動食を準備していたのに持ってくるのを忘れるという痛恨のミスを犯し、お腹が空いていたのでこの登り返しはきつかった。

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▲鞍部に設置されている道標

鞍部から登り返したところで振り返ると、最奥には高御位山の山頂、そして今日歩いたルートを一望できました。

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▲鞍部から登り返した直後に振り返ると得られる展望

11:20

北山鹿島神社への道が西へ分岐する小ピークに到着(地図中「北山鹿島神社分岐」)。
ここには茶色く塗られた高砂火力線24番鉄塔が立っています。

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▲高砂火力線24番鉄塔の下にある分岐の様子

本日のルートは、鉄塔下をくぐって直進です。

11:26

北山奥山の山頂に到着(地図中「北山奥山」)。

ここもなかなか展望が良いし、お腹も空いているのですが、お昼ご飯を食べるにはちょっと早いような気がしたので、小休止を兼ねて全天球パノラマ写真を撮影するだけに留めました。

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▲北山奥山山頂の様子

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/taikoiwa20201115-2/virtualtour.html

▲北山奥山山頂で撮影した全天球パノラマ。(撮影機材:Ricoh THETA Z1)。

11:41

太閤岩に向けて北山奥山を出発。

北山奥山からは南西と東へ道が伸びています。

私が休憩している間、3人のハイカーさんが北山奥山を通過されましたが、皆さん南西へ。

しかし私の目的地は太閤岩なので、誰も行こうとしない東への道に入りました(蜘蛛の巣が顔に引っかかったので、私がこの日このルートを歩いた最初のハイカーだったのかも)。

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▲北山奥山から東へ伸びる道の入口(通報用プレートの「No. A-10」が目印)。

太閤岩へ行くには、いったん下った後に小ピークを2つ越えないといけません。

「太閤岩はたぶん絶景を楽しめるから、そこでお昼ご飯を食べるぞ。それまでは我慢!」と自分に言い聞かせて空腹に耐えながら、のんびりと歩みを進めました。

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▲北山奥山から東へ下りながら、これから越える2つの小ピークを見る。中央に写る小ピークの向こう側の斜面に太閤岩がある。

一つ目の小ピークを越えた後、通報用プレート「No. A-12」の先で道が二手に分かれました。

どちらが正解か分かりませんが、「稜線伝いに歩くべきだろう」と思ったので、ここは左に入りました*2

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▲「No. A-12」のプレートの先で出会った分岐(私は左へ進みましたが、太閤岩へ行くなら右の方が良い。)

11:51

先ほどの分岐を左に入ると、二つ目の小ピークです(地図中「米相場中継所跡」)。

ここは、米相場を旗振りで伝える中継所*3があった場所のようです。

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▲米相場中継所跡

米相場中継所跡
 ここは昔米相場中継所が建っていた場所である
明石の方を見ては外に出ては大きな旗を振り姫路の方を見ては旗を振り一日のうち幾度となく繰り返していたものだ
明石と姫路の中間にあって米相場の中継をしていたのである
天気の良い日は村からでも旗を振っているのがよく見えたものでそれは明治時代の頃の話である。
電信電話の発達が旗振りを不要にしたのである

志方町史より

(出典:現地の看板)

米相場中継所跡から東へ下る道は岩の斜面のため道が分かりづらく、途中で道が怪しくなったのでいったん引き返し、再度冷静になって下り直したところ、正しい道に入れました。

右後ろから道が合流したら(米相場中継所跡の手前にあった分岐を右に入った道)、間もなく太閤岩です。

12:01

太閤岩に到着(地図中「太閤岩」)。

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▲太閤岩

太閤岩
 今を去る四百有余年の昔天正年間に羽柴秀吉が志方城を攻めたときここに本陣をおいてこの岩に腰をおろして采配をとったといい伝えている
今この岩の上に立つと城山は指呼の間にあり横大路・永室・原・成井のとりでから遠くは中道子山城・東は神吉・加古川の諸城・西は姫路まで手にとるように見わたされて軍兵を指揮するにかっこうの場所であったことがうなずかれる
ここから眺められる尾上・高砂・曽根をはじめ淡路・四国の島々の景色はまことにうつくしい

志方町史より

(出典:現地の看板)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/taikoiwa20201115-3/virtualtour.html

▲太閤岩の上で撮影した全天球パノラマ。画面左上のリストで「地名あり」を選ぶと、志方城跡・神吉城跡・中道子山城跡・生石神社の位置が表示されます。(撮影機材:Ricoh THETA Z1)。

播磨平定のため平荘湖の西にかつて存在した神吉城を秀吉の軍勢が攻める際、秀吉は生石神社に陣を張ろうとしましたが、神吉城主の弟が宮司だったため拒否され、怒った秀吉は生石神社を焼き払ったそうです*4

ちょうどお昼なので、羽柴秀吉の軍勢の幹部達も見たであろう大展望を楽しみながら、ここでお昼ご飯を頂きました。

本日のメニューは、冷凍の炒飯。

いつも「なんだか物足りないなぁ。ラーメン屋さんで食べる炒飯は美味しいのに。何が違うんだろう?」と思いながら冷凍炒飯を食べていましたが、「違いは紅ショウガだ!」と気づき、冷凍炒飯にトッピングしてみました。

素晴らしい。ラーメン屋さんの炒飯の味に近づきました。

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▲本日の昼食(冷凍炒飯)

12:50

大展望と食事を楽しんだので、太閤岩を出発。
太閤岩は展望が良いのに、そこから少し下っただけで道の両側の視界は植物に遮られます。

辻登山口に戻るには太閤岩から鞍部に下って登り返しますが、その鞍部には南への分岐らしき道がありました。南側のお寺に通じているのかな。

茶色く塗られた送電線鉄塔が近づいてくると、道の薄暗さが増してきました。

13:02

高砂火力線27番鉄塔を通過(地図中「高砂火力線27番鉄塔」)。

鉄塔から先は送電線巡視路なので、歩きやすさのためか道は細かいつづら折れになっています。

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▲鉄塔から先の道は細かくつづら折れになっている

13:09

鎖やヒモがなく簡単に開閉できる防獣ゲートを抜け、駐車場所に戻ってきました。

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▲駐車場所に戻ってきた

最後は県道を挟んだ向かい側にあるお堂に手を合わせ、帰路に就きました。

北山奥山と太閤岩のドローン空撮画像がありませんが、それはすぐ南の国道2号線沿いにドローンの飛行計画が登録されていたからです。

距離は少し離れていますが、「ドローン情報基盤システム(飛行情報共有機能)」で警告が表示されたため、飛ばしませんでした。

14:00

自宅に到着。


交通アクセス

辻登山口はJRの駅から離れていますが、最寄り駅であるJR宝殿駅前でレンタサイクルを借りれば、車を使わなくても辻登山口への移動が便利。

1日あたりのレンタル料金は数百円です。本人確認書類(運転免許証など)が必要ですので、ご注意ください。基本的に、本人確認書類が無いと自転車を借りられません

レンタサイクル店から辻登山口までは、およそ2.4kmです。JRの線路を越える踏切周辺は道が細く、車の通行量が多いのでご注意ください。

*1:太閤岩から北東へ直線距離でおよそ2.7kmにあった志方城(しかたじょう)や、東へおよそ2.4kmの神吉城(かんきじょう)を攻めた時のことだそうです。いずれも三木城主の別所氏と組んでいました。

*2:帰宅後にGoogleマップの航空写真を見ると、分岐を右に行けば小ピークを一つ巻いて太閤岩に行けるようです。

*3:先物取引などで利益を上げるため、大阪の米相場をいち早く知る必要があった商人などが人を雇い、雇われた人たちが旗を振って遠くに金額を知らせるのが旗振りです。一定の距離をあけて展望の良い山の上などに旗振り場が設けられました。旗の振り方に数字を割り当てたルールを決め、遠くの旗振り場の旗振りを望遠鏡で観察。金額を確認したら次の中継所に向けて旗を振るという具合です。旗振りを見られて他人に米相場を知られるとマズイので、旗の振り方を暗号化したり、あらかじめ独自の計算方法を決めておき、伝えられた金額に対してその計算を行って正しい金額を知るなどの工夫をおこなっていたようです。

*4:この話は、Wikipediaをはじめ様々なWebサイトに掲載されています。