購入の経緯
私は色んなものを測るのが好きなので、レーザー距離計や放射温度計、サーモグラフィー(赤外線画像を見る装置)等を持っています。しかし、そのサーモグラフィー「FLIR(フリアー) i3」の性能に不満がありました。
発売された当初は、サーモグラフィーとしては格安で、使ってみると感動できる性能でした。
ところが、色々と使っている内に「i3」の不便な点が目に付いてきます。
例えば、赤外線画像しか保存されないため、後から見て「これは何の画像だっけ?」ということが多々発生するのです。
また、視野角の狭さも問題でした。
例えば、「壁に付いている照明のスイッチが妙に温かい。異常があるのでは?」と思って壁のスイッチを撮影するだけでも、壁から数メートル離れないといけません。広い会議室や体育館のような何もない場所なら、自分が前後に移動して適当なサイズで熱画像を撮影できますが、オフィスなど机や書棚が多い場所やビル内のPS、EPSのような狭い場所では、撮影に適した距離に立てない状況もあります。
例えば、「壁に付いている照明のスイッチが妙に温かい。異常があるのでは?」と思って壁のスイッチを撮影するだけでも、壁から数メートル離れないといけません。広い会議室や体育館のような何もない場所なら、自分が前後に移動して適当なサイズで熱画像を撮影できますが、オフィスなど机や書棚が多い場所やビル内のPS、EPSのような狭い場所では、撮影に適した距離に立てない状況もあります。
前者の問題は、画像をすぐにパソコンに取り込み、専用の解析ソフトで注釈を入力することで解決出来ますが、
後者の問題はどうにもなりません。
狭い場所では、せっかくのサーモグラフィーが極端に使いづらいのです。
狭い場所では、せっかくのサーモグラフィーが極端に使いづらいのです。
デジカメを赤外線センサーとほぼ同軸に取り付け、デジカメ画像と赤外線画像を合成して表示するモデルや、広範囲を撮影できるモデルもありましたが、当時は高価すぎて手が出せませんでした。
「安いものには安いなりの理由がある」と割り切って使っていたのですが、2015年、安いのに高性能なモデルが発売されてしまいました。
それが今回紹介するFLIRの「C2」です。
注意今回紹介するC2はコンパクトデジカメ型のサーモグラフィーですが、iPhoneやiPadに対応したFLIR ONE for iOS、Androidスマホ/タブレットに対応するFLIR ONE for Androidという製品(それぞれLightning端子、MicroUSB端子を装備)もあります。赤外線センサーの解像度はFLIR ONEの方が高く(FLIR C2が80×60なのに対してFLIR ONEは160×120)、価格が安い(2016年1月現在で3万円台)ので、スマホやタブレットとセットでないと使えない(使用環境がスマホやタブレットの耐久性に制限され、無理な力がかかるとコネクタ部分が簡単に破損しそう)というデメリットはありますが、C2単体では出来ない熱映像の録画機能が使えます。FLIR ONEを紹介するメディアの記事では「解像度640 x 480の熱画像が撮影可能」といった表記が見られますが、それは赤外線センサーとほぼ同軸に付けられたデジタルカメラの解像度であり、赤外線センサーの解像度は前述の通り160×120です。また、FLIR ONEは初代と2代目があり、初代はiPone5をすっぽり覆う形状で、2代目はスマホやタブレットのLightning端子やMicroUSB端子に接続する形状です。全く別製品ですが名前はどちらもFLIR ONEなので、ご注意を。他に、低価格帯サーモグラフィーにはFLIRのEシリーズもあります。こちらは私が以前購入したiシリーズの後継機種で、測定可能な温度範囲が広く、ボタン操作式のため手袋をはめていても操作が可能。それぞれに特徴があるので、低価格帯のサーモグラフィーの購入を考えている方は、コストと機能を考慮し、適したものを選んで下さい。私の場合は、単体で使用できる手軽さと携帯性の高さ、ある程度過酷な環境でも利用できる耐久性の高さを優先し、C2にしました。
▲C2の外像パッケージ
外装パッケージは厚紙のスリーブに入っていて、スリーブからパッケージ本体を引き抜き、磁石で固定されたフラップを開くと、C2とご対面です。
▲メーカー公式の商品紹介動画
製品名: FLIR(フリアー) C2
メーカー: FLIR Systems, Inc.(アメリカ)
サイズ: 125 × 80 × 24 mm(カタログ値)
重量: 0.13kg(カタログ値)
材質: アルミ、ポリカーボネート、ABS。外装の大半はTPE。
赤外線センサー: 80 × 60 (4,800ピクセル)
スペクトル領域: 7.5~14マイクロメートル
温度分解能: セ氏0.1度
視野角(FOV): 41度×31度
最短合焦距離: 0.15m(赤外線センサーのみ)、1.0m(MSX使用)
ディスプレイ: 3インチカラーディスプレイ(320×240ピクセル)、静電容量方式のタッチパネル
フレームレート: 9Hz
測定範囲: セ氏氷点下10℃~150℃
測定精度: プラスマイナス セ氏2度、またはプラスマイナス2%の内いずれか大きい方
放射率の設定: つや消し、半つや消し、光沢、ユーザー設定
測定補正: 反射温度、放射率
記憶装置: 内蔵メモリ(500枚の画像を保存可能)
ファイル形式: JPEG(14bit測定データを含む)
デジタルカメラ: 640 × 480ピクセル(MSX用)
インターフェイス: USB マイクロB
電源: 内蔵リチウムポリマーバッテリー(3.7V)
動作時間: 約2時間
充電時間: 約1.5時間
使用環境: セ氏氷点下10度~50度
保管環境: セ氏氷点下40度~70度
耐候性: IEC 60068-2-30/24時間相対湿度95%、セ氏25度~40度/2 サイクル(動作、保管)、IP40 (IEC 60529)
耐衝撃性能: 25G(IEC 60068-2-27)
耐振動性能: 2G(IEC 60068-2-6)
三脚穴: なし
原産国: エストニア
アメリカでの定価: $699.00 USD
国内定価: ¥99,800(税別)
購入価格: ¥84,498(税込)
購入先: Amazon.co.jp
メーカー: FLIR Systems, Inc.(アメリカ)
サイズ: 125 × 80 × 24 mm(カタログ値)
重量: 0.13kg(カタログ値)
材質: アルミ、ポリカーボネート、ABS。外装の大半はTPE。
赤外線センサー: 80 × 60 (4,800ピクセル)
スペクトル領域: 7.5~14マイクロメートル
温度分解能: セ氏0.1度
視野角(FOV): 41度×31度
最短合焦距離: 0.15m(赤外線センサーのみ)、1.0m(MSX使用)
ディスプレイ: 3インチカラーディスプレイ(320×240ピクセル)、静電容量方式のタッチパネル
フレームレート: 9Hz
測定範囲: セ氏氷点下10℃~150℃
測定精度: プラスマイナス セ氏2度、またはプラスマイナス2%の内いずれか大きい方
放射率の設定: つや消し、半つや消し、光沢、ユーザー設定
測定補正: 反射温度、放射率
記憶装置: 内蔵メモリ(500枚の画像を保存可能)
ファイル形式: JPEG(14bit測定データを含む)
デジタルカメラ: 640 × 480ピクセル(MSX用)
インターフェイス: USB マイクロB
電源: 内蔵リチウムポリマーバッテリー(3.7V)
動作時間: 約2時間
充電時間: 約1.5時間
使用環境: セ氏氷点下10度~50度
保管環境: セ氏氷点下40度~70度
耐候性: IEC 60068-2-30/24時間相対湿度95%、セ氏25度~40度/2 サイクル(動作、保管)、IP40 (IEC 60529)
耐衝撃性能: 25G(IEC 60068-2-27)
耐振動性能: 2G(IEC 60068-2-6)
三脚穴: なし
原産国: エストニア
アメリカでの定価: $699.00 USD
国内定価: ¥99,800(税別)
購入価格: ¥84,498(税込)
購入先: Amazon.co.jp
外観
大きめのコンパクトデジカメのような外観をしています。レンズ周辺とストラップホール部分のみアルミで、それ以外は樹脂(TPE:熱可塑性エラストマー)。
そのため滑りにくく、扱いやすい。
私のiPhone5Sと比べると、長さは同じくらいですが、幅と厚みはC2の方が大きい。
それでも、サーモグラフィーとして考えると超小型です。
それでも、サーモグラフィーとして考えると超小型です。
それにしても、このデザインが私の感覚ではメチャメチャかっこいい。
では、カメラを色んな方向から見ていきましょう。
まずはレンズのある面(表面と呼ぶことにします)。
レンズのようなものが2つありますが、上の画像で左にある小さな穴がデジタルカメラのレンズ。右が赤外線センサーです。
「デジタルカメラ?何のため?」と思われるかも知れませんが、これはデジタルカメラで撮影された映像から輪郭を抽出し、赤外線センサーから得られた熱画像に合成して表示する機能のためです(MSXと呼ばれている機能で、レンズの横にも「FLIR MSX TECHONOLOGYと書かれています)。
レンズの左下にある小さな白い円形の部分は、LEDライト。
iPhoneとのサイズ比較画像で右上に見えている穴はストラップホールです。この部分はアルミなので、非常に頑丈。
続いて、本体の縁に注目してみます。
「C2」のロゴが正しく見える方向で保持した場合、上端にあたる部分の画像です。
ここには電源ボタンと保存ボタン(シャッターボタン)があります。
画像で左側にある小さいボタンが電源で、中央付近にある大きなボタンが保存(シャッター)ボタンです。
保存(シャッター)ボタンは大きいため、横向きでも縦向きでも、どちらの状態でも押しやすい。
次は、「C2」のロゴが正しく見えるように保持した場合に左端になる部分の画像です。
この面には、マイクロUSBポートがあります(カバーで覆われている)。
この面には、マイクロUSBポートがあります(カバーで覆われている)。
上端と左端以外の側面にはボタンやインターフェイスがないので、写真は省略します。
最後に、裏面を見てみましょう。
裏面は、大きな液晶パネルがあるだけで、ボタン類は一切ありません。
裏面は、大きな液晶パネルがあるだけで、ボタン類は一切ありません。
実は、液晶画面がタッチパネル(静電容量方式)になっているのです。
レンズにはカバーがありませんし、液晶パネル用の保護フィルムといったアクセサリはありません。
しかし、見ての通りレンズ部分は左右が膨らんでいますし、液晶パネルも奥まった場所にあるため、普通に取り扱う分には、レンズや液晶パネルが傷つくことはないでしょう。
サーモグラフィーとしては非常に小型で薄く、実際に手に持つとずいぶん軽い(スマホは150g~200g弱あるのに対し、C2は130g。)。
そのため携帯性は極めて高く、手に持ったまま測定を続けても全然疲れません。
C2は赤外線センサーから得た信号や、C2に表示されている映像そのものをUSBケーブルでパソコンへリアルタイム送信(ストリーミング)する機能を備えているのですが、この機能を有効に使うには、C2を固定して撮影する必要があります。
ところが、C2には三脚用の穴がありません。
薄型化、軽量化のためには三脚穴が邪魔なのかも知れませんが、せめて三脚用アダプタのようなものを発売してほしい。
私の場合C2を固定して撮影/測定する際は、ビデオカメラ用三脚のパン棒にC2を針金等でくくりつけています。
付属品
FLIR C2には、以下の付属品があります。USBメモリはおまけというわけではなく、この中にマニュアルの他、活用事例等が豊富に収録されています(ただし、大半は英文)。
今回の記事は「外観編」ということで、これにて終了。
機能については、「FLIR C2(機能編)」に掲載します。