播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

第37回殿のグルメ対談(夢前夢工房×日本酒師範)

グルメ対談は、食べログ数多くの口コミを投稿し、地元の新聞でも取り上げられたことのある「ハイパー殿」が司会進行をつとめる対談イベントです。
 
第37回目となるグルメ対談が以下の日程で開催されたので、参加してきました。
 
日 時: 2014年2月21日(金) 19:30~
場 所: 納屋工房(姫路市本町68 大手前第一ビル4階)
参加費: ¥1,580
 
今回のゲストは、姫路市夢前町宮置に事務所をおく有限会社 夢前夢工房 でいちごの栽培を担当されている下村さんと、日本酒指導師範(以下「日本酒師範」)のかわべさん。
 
19:35
殿の挨拶と注意事項(ネットに載せる場合のプライバシー等について)でグルメ対談が始まりました。
 
19:37
夢前夢工房のイチゴ担当、下村さんが登場。
 

▲夢前夢工房の下村さん(右)
 
殿曰く「イチゴに対しては、高いイメージしか無く、良い印象がなかったのに、夢工房のイチゴを食べてから印象が変わった。」
 
夢工房のイチゴは、私もケーキやイチゴ大福、姫路のピオレの地下で販売されているのを買って食べたことはありますが、非常に大きい上に香りが良く、甘い。
 
子供の頃、家で出されるイチゴを食べるときは練乳をたっぷりかけて酸味を感じないようにしていましたが、夢工房さんのイチゴの場合、酸味なんてほとんどありません。そのまま食べても非常に美味しい。
むしろ、そのまま食べてイチゴ本来の味を楽しむのが、ここのイチゴの正しい食べ方だと思います。
 
下村さんによると、ビニールハウスの設備費や維持管理、暖房用の燃料などの費用がかさむので、どうしても商品の値段にそれらが反映されてしまうとのことでした。
 
下村さんはイチゴ作りのベテランかと思いきや、入社2年目で、イチゴの栽培も夢前夢工房さんに入ってから覚えたということで、イチゴ作りの経験も2年。

正確には、下村さんが入社した年の夏にイチゴ栽培の施設が出来たということで、実際は2年にも満たない期間しかイチゴを育ててはいません。
それでも美味しいイチゴを作れるのは、下村さんに良いアドバイスをしてくださる方がいらっしゃるからとのことです。
 
もともと農業系の高校で勉強をされた後は養鶏場で働かれていたそうですが、色々と波瀾万丈の期間を経て、夢前夢工房さんに入社されました。
 
夢工房さんで今年栽培されているイチゴは、9品種(あきひめ、やよいひめ、べにほっぺ、レッドパール、もういっこ等)2万本。
昨年は5品種だったそうですが、今年はかなり品種が増えています。

「姫路の気候にあったイチゴを栽培している?」との殿の質問には、特にそういったことにはこだわっていないとのこと。
 
夢工房さんのイチゴ農園「ゆめさき苺ハウス」ではイチゴ狩りが出来ます(要予約。場所、料金などは後述)が、そのお客さんによく聞かれるのが「今はどの品種が旬?」という質問だそうです。

ハウス内を常に良い状態に保っているので、どの品種も旬なんだとか。
 
殿によると「ビニールハウスは、入った瞬間に眼鏡が曇るような環境。」だそうですが、下村さんによると、気温が低すぎる(気温セ氏5度以下)とイチゴが休眠状態になってしまうため、暖かくしておかないといけないとのことでした。
 
露地栽培だと、秋に植えられて冬になるまでに根を張ってしっかりした身体(根・茎・葉)を作り、冬の間は休眠して暖かくなってからイチゴが出来るそうです。
 
しかし、ビニールハウスの場合は、温度管理を厳しく行い、イチゴが休眠しないようにしている、つまり、人間の都合でイチゴの収穫期間を延ばしているとのお話でした。
 
イチゴの大きさに関しては、桜の開花と同様、温度を足していって「一定の数値」に達したところでイチゴが出来上がるので、その「一定の数値」に達するまでの期間を長くすれば、イチゴが大きくなるそうです。
 
イチゴと言えば表面に付いた大量の種が印象的ですが、殿が「あの種を蒔いたらイチゴが出来る?」と尋ねると「ほとんどあり得ません。」との回答。
なんでも、イチゴは既に育っているものからランナーと呼ばれるツルが延びていき、その先端から新たにイチゴが出来るとのこと。
 
他にもイチゴに関するトリビアを色々と説明してくれました。
 
この夢工房さんのイチゴは、和菓子だと江戸屋なごみ(姫路市下手野)、洋菓子だとじろSUN工房(姫路市花田町)、パン屋では石窯パン工房マナレイア(姫路市飾磨区)で使われていますし、姫路駅前のpiole本館地下のオーガニックガーデンではパックで購入できます。
 


施設名: 夢前夢工房 ゆめさき苺ハウス
住所: 兵庫県姫路市夢前町宮置585-1
(この住所をクリックすると、Googleマップ上で位置が表示されます)
体験内容: 30分食べ放題
開始時間: 10:00~、11:00~、13:00~、14:00~
体験料金: 一般(10歳以上)¥1,700(12~3月)、¥1,600(4月)、¥1,500(5月)
電話: 080-8306-1762(担当:下村さん)
体験可能人数: 1回あたり先着50名
Web: http://www.y-yumekoubou.net/index.html

 
20:07
下村さんの対談が終了し、続いて日本酒師範かわべさんが登場。
 

▲日本酒師範のかわべさん(右)
 
会場に入るときにA4サイズ3枚の資料をいただきましたが、それに基づいてお話が進んでいきます。
 
新酒の季節ということで、まずは新酒の呼び方についてのお話から始まりました。
 
「しぼりたて」「ひやおろし」といった名前がありますが、しぼりたては1月~5月の期間に出来る搾ったばかりのお酒で、ひやおろしは一夏熟成させ、秋に出来たお酒のことだそうです。
 
日本酒の「生」という表現について話が進みます。
「生酒」「生貯蔵酒」「生詰め酒」といった表現は、字面は似ていますが意味は大きく異なっていて、火入れを行うかどうか、火入れをする場合はそのタイミングで厳密に呼び方が決められているそうです。
 
「どれが一番美味しい?」と殿が尋ねると「好みの問題です。」とのこと。
 
日本酒の賞味期限について話題が移りました。
そもそも日本酒は製造日を特定することが難しいので、瓶詰めされた日が表記されるとのこと。しかも、賞味期限は特になし。
古いお酒が出てきたとしたら、とりあえず飲んでみて不味ければやめ、飲めるようなら飲めば良いとのことでした。
 
日本酒師範のかわべさんは、購入した日本酒を室温が安定している床下収納に保管されているそうです。
 
製造年月日の話題に関連して、酒造年度についても説明がありました。
酒造年度は日本酒業界独特の年度区分で、略してBYと書かれ、7月1日~翌年6月30日を1年とする考え方とのこと。
 
他にもお酒の絞り方についてのお話があり、頂いた資料にはそれに関連して「あらばしり」「中取り」「責め」といった、搾る行程の中でのタイミング別のお酒の種類についても解説がありました。
 
お酒のラベルでいろんな表現を見ますが、今までは単なる固有名詞や購買意欲を誘うためのキャッチコピーのようなものだと思っていましたが、それぞれ厳密に意味が決められていることを初めて知りました。
勉強になりました。
 
お話の中では濁り酒とどぶろくの違いといった話題もありましたが、本日の試飲用のお酒は、それを体験するためのどぶろくと濁り酒とのこと。
 
20:40
日本酒師範の対談が終了し、試食と試飲が始まりました。
 
試食は夢工房さんのイチゴ各種。
下村さんは、わざわざそれぞれの品種名と味の特徴を書いたプレートを用意して下さいました。
 

▲試食用に用意されたイチゴ各種(手の大きさとイチゴの大きさを比べてみて下さい)
 
それにしても、品種による味の違いがこんなに大きいとは思いませんでした。
普段はイチゴの食べ比べなんてしませんからね。
 
品種によって味も違いますが、見た目も違うんですね。表面の色・ツヤ、大きさ、実の中が赤いのもあれば色が薄いのもあります。
用意して頂いたものは全種類頂きました。一つ一つが大きいので、これだけで結構な食べ応え。
 
試飲用に用意されたのは以下の4種類のお酒(どぶろくと濁り酒)。
左から「どぶろく食堂 梅乃里」(高知県のどぶろく特区で手作りされたもの)、「こうのとりの宴」(西海酒造)、「にごり酒」(富久錦)、「官兵衛にごり酒」(名城酒造)
 

▲どぶろくと濁り酒各種
 
どぶろくは米がそのまま入っているので、おかゆのような見た目ですが、飲んでみると確かにお酒。それも面白い味です。濾過しないといろいろな味がごちゃ混ぜになるんですね。
 
イチゴを食べ、どぶろくを飲んでいると、イチゴが乗ったケーキがテーブルの上に大量に並べられました。
 

▲夢工房さんのイチゴを使ったケーキ各種
 
写真で見ると、ケーキがちょっと小さいように見えますが、そんなことはありません。イチゴが大きいんです。
甘い物好きの私にはたまりません。

思わず4つほどケーキを食べてしまいました。
 
イチゴとケーキで満腹になるというのは、栄養面や糖分の摂取量から見るととんでもないことかも知れませんが、美味しいから仕方ありません。
 
21:21
甘い甘い試食と試飲が終了し、参加者が対談ゲストに質問をするQ&Aコーナーが始まりました。
 
夢前夢工房 下村さんへの質問
 
質問1 来シーズンもイチゴの品種を増やしますか?
回答1 実は、来年用の苗の準備は1年前に行いますから、もう終わっているのです。用意した品種は、今年と同じです。
 
質問2 イチゴ狩りに伺いました。一番東の列のイチゴが一番甘かったのですが、あの列だけをプレミアムイチゴとして売るといったことはしませんか?
回答2 おそらく、もっとも日当たりが良いから甘くなっているのでしょう。ただ、身が柔らかくなりすぎるため、製品として出荷するのは難しいです。
 
質問3 イチゴの色は何で決まるのですか?また、色と甘みに関連はありますか?
回答3 葉っぱの陰にあるイチゴは色が薄くなりますから、日当たりの影響です。色の違いは、品種の差による場合もあります。同じ品種だと、赤い色が濃い方が甘いですし、実際、直売所にイチゴを並べると、色が濃いものから売れていきます。
 
質問4 イチゴの旬は?
回答4 露地栽培、ハウス栽培、それぞれに良さがあります。栽培方法で旬の時期が違うので、長く旬を味わうことが出来ます。
 
質問5 そもそも夢工房さんはどんな会社ですか?
回答5 置塩城跡の近くに事務所があって、その周辺の畑や田んぼで農業を行っている会社です。指定管理者として、3セクの管理運営も行っています。
周辺の農家さんとのバランスを考えて一部の農作物(野菜)の出荷量は減らしていますが、基本的には農業全般を行っています。
 
質問6 将来の夢は?
回答6 どこへ売られるか分からないルートへ出荷して終わりというやり方では無く、自分で作れるものを作り続け、それを顔の見える相手に販売していきたい。
 
質問7 イチゴの受粉はどうやるのですか?
回答7 ミツバチを使います。(質問者:同じハウス内だと、違う品種が掛け合わされるのでは?)品種の境目付近ではそういうこともあるかも知れません。(殿:刺されない?)お客さんがさされる事故は起きたことがありません。私は2回刺されましたが。
 
質問8 スーパーで買った後のイチゴを、家で熟成させれば甘くなる?
回答8 もぎ取った時点でイチゴの熟成は止まります。家に置いていても、色が赤くなったり甘くなることはありません。
 
質問9 イチゴの品種の名前は誰が付けるんですか?
回答9 作った人が付けます。私が新しい品種を作れたとしたら、出来たイチゴを見て名前を考えたい。
 
質問10 イチゴの糖度と実際に食べたときに感じる甘さに関連はありますか?
回答10 数字の上で糖度が12のものと7のものを食べ比べましたが、それほど差を感じませんでした。
 
日本酒師範 かわべさんへの質問
 
質問1 どぶろくはどこで売られていますか?
回答1 管理が難しいため、普通の酒販店では売られていませんし、飲食店でも飲めるところはまずありません。確実なのは、製造している酒蔵へ直接買いに行くことです。
 
質問2 どぶろくの語源は?
回答2 わかりません。濁るの古語「濁らう(だくらう)」が鈍ってどぶろくになったという説もあります。
 
質問3 将来の夢は?
回答3 こういう場を活用し、多くの人に少しでも日本酒について知ってもらいたい。
 
質問4 日本酒のシェアがビールなどに比べて低い理由は何だと思われますか?
回答4 個人的には、管理が難しいことが原因だと思います。焼酎は管理が楽ですが、日本酒は温度や光で劣化してしまいます。一升瓶だと、中身が減った状態で瓶を保管すると、中の空気が原因で劣化します。減ってきたら4合瓶に移し替えるなどしないといけません。ワインだとソムリエがいて管理をしたり、料理に合うワインを勧めたりしますが、日本酒の場合はそういう役割の人もいません。
 
質問5 大吟醸の甘さとどぶろくの甘さは違うもの?
回答5 どぶろくは米粒全体をつかうので、雑味があります。米は削れば削るほど出来上がるお酒のフルーティーさが上がりますが、うま味は減ります。
 
質問6 削ったお米でどぶろくを作れば美味しい?
回答6 美味しくはなるかも知れませんが、値段が高くなってしまいます。高いどぶろくを飲んでみたいですか?作る意味が無いと思います。
 
22:02
最後に次回予告(3月17日)があり、グルメ対談は終了しました。