播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

携帯型気象計 Kestrel 4500 NV (Part 1 of 3)

山歩き中に気温や湿度、風の強さを知りたくなることがあります。
分かったからといってどうこうなるわけでも無いのですが、やはり興味がわいてしまう。
 
ということで、気温などの測定だけで無く記録も出来る小型の気象計を購入しました。
(以前はBrunton社製のADC Proを使っていましたが、パソコンにデータを転送するためのソフトがWindows XPまでしか対応していないため、ここ数年は使用していませんでした。)
 
購入したのは、アメリカ製のKestrel 4500 NV。
NVはNight Visionの略で、夜間、闇に慣れた目を刺激しないように調整されたバックライトが液晶画面に搭載されています。
 
 
▲パッケージ
 
 
▲パッケージ内容(左から取説、本体、右上はネックストラップ、右下は収納ポーチ)
 
メーカー: Nielsen-Kellerman(アメリカ)
製品名: Kestrel 4500 NV
サイズ: 高さ12.7cm x 幅4.5cm x 厚さ2.8cm(カタログ値)
重量: 103g(実測値。単4アルカリ電池x2本含む)
電源: 単4電池 x 2
動作時間: 400時間(カタログ値)(バックライトの点灯やPCとの通信で動作時間は短くなります)
PC接続インターフェイス: 赤外線(パソコンに別売の専用クレードルを接続して送受信)
表示言語: 英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語から選択
計測項目: このブログ記事 Part 2 の本文中に記載
本体色: OD(森林地帯用の濃緑色)とタン(砂漠用のカーキ色)の2モデルが用意されています。さらに、本体色はそのままで、ラベルの光沢を消したステルスバージョンもあります。
耐久性: MIL-STD-810GのTransit Shock, Method 516.5 Procedure IVに合格(インペラ部分は除く)*1
耐候性: IP67(完全防塵・1mより浅い水中への水没可)、NEMA-6
動作環境: -10度C ~ 55度C
製造: アメリカ合衆国
定価: $419 USD(メーカー直販サイトの価格)
購入価格: $309 USD
購入先: KestrelMeters.com(アメリカ)

Kestrelシリーズは、末尾に付く数字が大きい物ほど高機能で、2012年11月現在、4500シリーズが最高峰モデルとなっています。

シリーズの番号は4桁で、通常モデルは右側3桁が「000」または「500」、特殊な機能を持ったものはそれ以外の数字になっていたり、通常モデルの番号の後ろにアルファベットが付いています。
 
4500シリーズが発売されたのは2007年なので、5年間も売られているロングセラー。
 
本体の外観は写真の通りです。
 
 
▲本体表面(電池蓋の手前に見える銀色のピンにストラップを取り付ける)
 
 
▲本体裏面(ボタンの役割を説明するラベルが貼られている。下端付近の2つの丸い穴は赤外線発光・受光部。ステッカーの下にある穴は気圧センサ。)
 
見ての通りカーソルキーと決定ボタン、バックライトボタン、電源ボタン、データ保存ボタン(カメラの図柄)があり、操作はわかりやすい。
 
ただし、ボタンは反応しないことがよくあり、3回目でやっと反応することもしばしば。
完全防塵・防水にするために、ボタン周辺は特殊な構造になっているのかも知れません。
 
電源ボタンは特殊で、液晶が消えている時に押すと電源ON、液晶が表示されている状態では、メニューボタンになります(電源OFFは電源ボタンの長押し、またはメニュー内の「OFF」を選択)。
 
液晶画面内に操作方法が表示されるので、しばらく使わなくて細かい操作を忘れても心配ありません。
電源は単4電池x2本なので、安価で簡単に手に入ります。
 
NVバージョンのバックライトは、軍用として使えるように調整されています。
光は赤みがかっていて薄暗いですが、暗い場所では十分な光量で、暗いところでバックライトを点灯させてもまぶしさは一切感じません。
 
無駄に明るいバックライトでは、せっかく闇に慣れた目がリセットされてしまい、また目が慣れるまで数十分かかってしまいます。それに、明るすぎると遠くからでも目立ってしまう。
暗闇の中で行動する必要がある兵士(Kestrelを使うのは狙撃手くらいだと思いますが)の安全や快適さを考慮した設計というわけです。
ただ、点灯中に「キーーーン」という小さな音が鳴り続けるのは気になります。
 
Kestrel 4500には電子コンパスが搭載されています。

この電子コンパスはわずかな磁気にも反応するので、乾電池が近くにあるだけで影響を受けてしまいます。しかも、乾電池は金属板を周りに巻いていますから、そのつなぎ目とそれ以外の場所で、電子コンパスに与える磁気の影響が異なるのです。
 
そこで、一度セットした乾電池が動かないよう固定するために、プラスチック製のスペーサー(下の写真で電池の下にあるピンク色のプラスチック片)が付属しており、2本の電池の間にそれを差し込んで、乾電池が本体内で回転したり動いたりしないようにする必要があります。(このスペーサーのせいで電池が動かしにくくなっているため、電池交換は不便です。)
 
 
▲電池ボックスに入れるのは単4電池とスペーサー
 
電池をセットして初めて起動したら、まずは時刻合わせ画面が表示されます。
 
 
▲時刻設定画面
 
設定するのは、以下の項目です。

・12時間表記か24時間表記
・現在時刻(時分秒)
・日付の表示形式(月/日/年か日/月/年)
・現在の年月日
 
上の画面を見ての通り、画面下部に操作方法が表示されるので、カーソルキーの左右で数値を変更でき、電源ボタンを押すと設定画面が閉じることが分かります。
 
すべての画面でこのような「ヘルプ表示」があるため、操作方法を忘れて困ることはありません。
 
時刻の設定が済んだら、Systemメニュー内にある「Compass Cal.」、つまり電子コンパスの調整を行います。
 
 
▲電子コンパスの調整画面
 
「本体をまっすぐに立て、1回転あたり10秒程度の速度で3回転させる」と表示されています。
左下に「- start」と出ているとおり、決定ボタン(表面に「-」と表記されている)を押すとコンパスの調整を開始できます。
 
 
▲電子コンパスの調整が完了したときの画面
 
調整が正常に完了すると、上の画像のような表示が出ます。
3/3となっているのは、3回転させないといけないところ、3回転させ終わったことを意味します。
 
失敗した場合はエラーメッセージが出るので、やり直します。
乾電池の入れ方によっては、電池の向きを変えないと成功しない場合もあるようです。
 
この電子コンパスの調整を行わないと、方位関連の測定データは記録されません。
 
取説によると、電池の交換をしたときだけでなく、単に電池蓋の開け閉めをしただけでも、電子コンパスの調整をやり直す必要があります。
 
日付を設定し、電子コンパスの調整も完了したら、メニュー内の「Units(単位)」で各種測定項目の表示単位を選んで下さい。

以上でKestrelを使う準備が整いました。
 
Part 2へ続く

*1:MIL-STD-810のTransit Shock, Method 516.5 Procedure IVが定める耐久性テストの方法は、高さ122cmから26回テスト対象アイテムを落下させるというもの。
軽量なアイテムは個人で携帯・使用されるので、最大で胸の高さから落下する危険があるということで、高さが122cmとなっています。この規格では、対象のアイテムが製品寿命中に4~6回はユーザの不注意や事故で胸の高さから落下させられることがあると想定していますが、アイテムがあらゆる面から着地するように、26回も落として試験することになっています。ただし、同一アイテムを26回落とすのではなく、最大で同種の5つのアイテムを使って試験することが認められています。
落下させる場所の材質についての規定は、見当たりませんでした。頑丈さを売りにしている民生用の製品の場合は、このテスト手法で合板の上に落下させているようです。
(参考:DEPARTMENT OF DEFENSE TEST METHOD STANDARD FOR ENVIRONMENTAL ENGINEERING CONSIDERATIONS AND LABORATORY TESTS ページ516.5-27~516.5-29)
MIL-STD-810Gの文書を見つけられなかったので、810Fを参考にしています。