播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

遭難に備える道具(その1)


私は基本的に単独で山に登るので、とにかく事故を起こさないように努めています。悪天候や時間の不足、ハチの襲撃など、何かあればすぐに撤退するため、山頂に立てないこともしばしばです。

しかし、山の中では何が起こるか分かりません。どんなに慎重に行動していても、事故や急病で動けなくなる可能性があります。

万一捜索される立場になった時(意識をなくしていれば仕方ありませんが)、少しでも捜索隊の方々の労力を減らせるように、自分の位置を知らせる装備をいくつかバックパックに忍ばせています。それらの装備を、何回かに分けて紹介していくことにします。

今回は、私が山行に持って行く、パイロット用のストロボライトを紹介します。(写真参照)

これは米軍のパイロットが飛行時常に身につけているもので、毎秒1回の早さで、最大瞬間25万ルーメンのストロボ光を発する装置です。撃墜されてパラシュート降下した際、救助に来たヘリや地上部隊に自分の位置を知らせるために点滅させます。

似たようなストロボは、マリンスポーツ用(漂流時の救助要請用)として民間向けにも売られています。

メーカー:ACR社
製品名:MS2000
10m防水
単3電池2本で8時間作動(単3リチウム電池使用可能)
寸法:11.4x5.6x3.3cm
本体重量:115g(電池含まず)

軍の試験によると、霧や霞のない深夜で、このストロボ光を視認できる限界距離は約10kmだそうです。山の中であれば枝葉にじゃまをされるので光が届く距離はもっと短いでしょうが、一晩中点滅させておけば、麓の住民に気づいてもらえるかも知れません。(私が登るのは主に播磨地方の山なので、人里が近いことが多い)
暗くなってから自分の位置をアピールしておけば、(気づいたもらえたなら)翌朝以降にその地域を重点的に捜索してもらえるはず。

ただ、日中は気づいてもらえる可能性はないでしょう。そのため、明るい日中用の信号装備(これもパイロット用)も持っていますが、これは次回以降に紹介します。

スイッチは、手袋をはめたままでも操作しやすいよう大きく作られています。スイッチのストロークが長いので、スイッチに何かが当たって誤作動する可能性も低くなっています。

他にも軍用ならではの機能がついていますが、一般の登山では役に立たないため、ここでは説明を割愛します。

遭難したことがないので一度も使ったことはありませんが、訓練に膨大な費用と時間をかけた戦闘機パイロットを死なせたくないと考えている空軍が使っているものなので、おそらく性能に問題はないはず。

軍用の物は特殊な機能がついているため高価(2万円以上)ですが、マリンスポーツ用として売られている民間用のものは、軍用に比べて安価です(数千円で買える物もあります)。