概要
当ブログ管理人は、2026年4月から防衛モニターを委嘱されています。
本日は、防衛モニターになってから初めての訓練見学。
防衛モニターになった経緯などについては、以下のリンク先からご覧いただけます。
本日見学させていただいのは「特殊武器防護訓練」。
「特殊武器」は、自衛隊の用語で「毒ガス」を意味します。
特殊武器防護訓練とは?
特殊武器防護訓練は、新隊員の前期教育(3か月)の一環として行われる訓練の一つで、ガスマスクの取り扱いやガスマスクの性能を実際に体験するものです。
訓練の流れは、
- ガスマスクの装着方法を学ぶ
- ガスマスクを正しく装着した状態で、催涙ガスで満たされたテント内に入る(正常に呼吸できることを体験)
- テント内でガスマスクを外し、悲鳴を上げるガスマスクがどれほどの性能をもっているのか身をもって体験する
というもの。
訓練の様子
注:写真・動画撮影が禁止されていたため、訓練や機材の画像はありません。
10:00
見学に参加する駐屯地モニターと防衛モニターが、広報館の応接室に集合。

▲青野原駐屯地の広報館(展示されているミサイルは改良ホーク)
訓練で使用されるガスマスク自体や、ガスマスクと付属品を収納するための専用の鞄、ガスマスクの各種付属品や除染剤などの実物を見せていただき(実際に手に取ることが可能)、訓練の流れなどの説明を受けました。
ガスマスクは、正面に吸収缶を装着するタイプ(00式個人用防護装備に含まれる防護マスク)。
付属品は、吸収缶が顔の正面にあると支障がある場合に缶を腰に取り付けるための延長ホース、水筒から水を飲めるようにするための専用キャップとホース、そして吸収缶の開口部を塞ぐためのゴムキャップがありました。
ガスマスクはS・M・Lの3つのサイズがあり、眼鏡をかけたまま装着できないことから、ガスマスク自体に専用レンズを取り付けるそうです。レンズはその隊員専用なので、退官するまでそのガスマスクを使い続けるとのこと。
除染剤はホッカイロくらいの大きさの濃緑色の薄い袋で、中には除染剤の粉末が付着した手袋が入っているとのこと。手にそれを装着し、汚染されたところを叩くことで除染するそうです。
10:30頃
広報館を出て、教育隊の官舎前へ移動。
そこには、上から見ると5m四方ほどの正方形で、横から見ると壁の高さが2mほど、上に四角錐の屋根が乗った濃緑色のテントが設営されていました。
周囲四面の中央、ちょうど顔の高さに直径30cmほどの円形の窓がついていますが、出入り口のようなものはなく、四隅のいずれかから出入りする構造です。
ゴム引き素材でできており、特殊武器防護訓練でしか使用しない気密性の高いテントとのこと。
催涙ガスをどうやってテント内に充満させるのかと思ったら、催涙線香をテント内で燃やすそうです。
ちなみに、催涙線香の実物も見せていただきましたが、アウトドア好きの方が焚き火をする際に使用する「マッチ型の着火剤」と同じような形をしたもので、これの本数で催涙ガスの濃度を調整します。
催涙線香には弱めのと強めのがあって、今回の訓練で使われたのは弱い方。

▲催涙線香はこんな感じのもの(訓練場所での撮影は禁止だったので、アウトドア用の着火剤の写真をイメージ画像として載せます。)
火をつける前の匂いを嗅がせてもらいましたが、ワサビで鼻の奥に受ける刺激が「ツーン」だとすると、鼻の奥に「ズーン」とくる匂い。興味本位で思いっきり吸い込んで後悔しました。
10:40頃
新隊員がテントの横に整列して点呼を受け、各自のガスマスクを準備します。
同時に、新隊員のいる場所からテントを挟んだ反対側では、洗面器に水を張る作業が始まりました。水に顔をつけて催涙剤を洗い流すためです。
新隊員はいくつかの班に分かれ、教育係の隊員と共にガスマスクを装着してテントの中へ。
テント内に入った後、最初はテント内で教育係の隊員さんと新隊員さんが普通に会話をされていましたが、マスクを外す指示が出た直後、新隊員さん達の絶叫が響き渡りました。
その状態で腕立て伏せを数十回やった後、某有名アニメのテーマ曲をテント内の隊員全員で合唱。
悲鳴混じりの歌が終わった後は、入った側と反対の角から新隊員さんたちが飛び出し、洗面器で顔を洗って一つ目の班の訓練は終了。
2番目の班は、今月誕生日の新隊員さんがおられるとのことで、ガスマスクを外した状態でスクワットをした後にハッピーバースデーの歌を全員で合唱。
教育係の隊員さんや、様子を見ていたベテラン隊員さん達によると「今年の催涙ガスは薄い」とのこと。
教育係の方はガスマスク無しですべての班の訓練に対応されるそうで、催涙ガスが濃い時は涙が枯れ、最後の方は涙も出なくなるとおっしゃっていました。
気密性が高いといえども、テントは人の出入りがありますから催涙ガスは外へ漏れ出しますし、それが風に乗って私たちの方にも流れてきます。
風で流れて来る催涙ガスはかなり薄まっているため、見学している私たちモニターは、興味本位でクンクン嗅いでも平気でした。
11:00頃
特殊武器防護訓練の見学は終了。
YouTubeに練馬駐屯地での訓練の様子の動画がありますので、それを転載します。
青野原駐屯地もこれと同じような感じでした。
74式戦車見学
青野原駐屯地の広報館前には、74式戦車と61式戦車が展示されているのですが、広報担当の隊員さんによると、2026年5月31日(日)に開催される記念行事に備えて色を塗りなおしたとのこと。

▲展示されている74式戦車と61式戦車(右奥)
ということで、お色直しされてきれいになった戦車の見学です。
74式戦車は基本的に車内が現役当時のまま残されているらしく、特別に中を見学させていただくことができました。
戦車の上に上がるのは慣れていないと危険ですから、戦車の右後部に可搬式作業台が設置され、砲塔上部にある車長用と砲手用のハッチを2つとも開放。

▲車体右後部に可搬式作業台が置かれ、砲塔上部のハッチが開かれた
砲塔内部の写真撮影は禁止でしたから、砲塔に上がり、思う存分中を覗き込んでしっかりと目に焼き付けさせていただきました。

▲車体後部に乗って撮影した砲塔後部
11:30頃
74式戦車の見学が終了し、解散となりました。
本日の感想をオンラインアンケート画面に入力すると、本日のモニターの役割は完了。

▲記念品として頂いた青野原駐屯地開設50周年記念のクリアファイル(左は表面、右は裏面)
最後に
特殊武器防護訓練で見た新隊員さんたちからは、一人前の自衛官という雰囲気が漂い始めていました。入隊してから1か月しか経っていないことを思うと、毎日厳しい訓練に励んでおられる成果なのでしょう。
新隊員さん同士が仲良くなっているのは自然なことですが、教育担当の隊員さん達との関係性が絶妙だとも感じました。
「自衛隊の方々の結束力はこうやって育まれていくのか」と実感できる貴重な体験をさせて頂きました。
いつも丁寧にご対応いただく青野原駐屯地の隊員の皆様へ、この場をお借りしてお礼を申し上げます。