播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

測量士補試験を受けてきました


 
山歩きをしていて出会う三角点標石や、幹線道路から少し引っ込んだ細い道路沿いでたまに見つける水準点。
これらが地図の製作に必要なものだということは分かっていましたが、具体的にどのように位置や標高を求め、どのように使われているのかは全く分かりませんでした。
また、三脚に据えられた機械をのぞき込んでいる風景を工事現場で見掛けることがありますが、あの機械の正体や使い方にも興味があったため、「測量について、体系的にきちんと勉強してやろう」と思い立ったのが2010年の12月。
 
書店で測量関係の良書を自分で探すのは手間だし、良い本かどうかの判断も出来ません。どうせ勉強するなら、ついでに資格も取りたい。
というわけで、生涯学習のユーキャンの測量士補講座に申込み、2011年1月から勉強を始めました。
 
平日はろくに勉強をする時間がないので、週末にまとめて勉強。
最近山へ行っていなかったのは、この勉強のためでした。
 
測量の計算には図形や三角関数の知識が必要ですが、数学が得意な人から見れば、中学校レベルの数学でも、中学校で数学に挫折した私にとっては、三角関数なんて意味不明。
そんな状態でしたが、テキストを読んで過去問を解いていく内に、何となく三角関数を理解できたようです。
 
公式を覚えると早く答えが出せる問題もありますが、公式は少しでも覚え間違いがあるとアウトです。
そのため、公式ではなく、解き方を覚えることにしました。この方が、多少問題をひねられても確実に解けます。
 
そんなこんなで本日5月22日、関西大学千里山キャンパスの第2学舎で平成23年度測量士補試験を受けてきました。

試験は13:30~16:30。
 
私は食事の後すぐにトイレに行きたくなるので、食事は11:30に駅で済ませました。
また、小用に行きたくなっても困るので、利尿作用のある飲み物は避けて水を飲み、試験会場へ。
 
最寄り駅は阪急の関大前駅ですが、車内は測量士補の受験生らしき高校生も大勢乗っていました。
電車内で「写真測量は超簡単」と豪語する高校生に、友達が「画素って何やったっけ?」と尋ねると「・・・カンでなんとかなる!」と訳の分からない返答。
写真測量関連の計算問題は2問出たけど、彼らはちゃんと解けたのかな。
 
 
試験会場に着いたのは、試験開始1時間前の12:30。
たくさんの受験生が阪急の関大前駅から行列をなして関西大学へ向かっていたので、道に迷うことはありませんでした。

部屋と座席を確認したら建物の外へ出て、普段は入る機会のない有名私大のキャンパスの雰囲気を味わい、トイレに行って再び試験会場へ。
 
自分の席に着いたのは、13時直前(13時過ぎから試験の説明があるため)。

受験生は老若男女幅広い構成でしたが、特に目立っていたのは高校生。学校から強制的に受験させられているらしく、試験開始後90分経つと退室出来るので、「すぐに出よう」「受けてるんじゃなくて、受けさせられてるだけやから」等と話し合っています。
 
こういう受験生が多いので、測量士補試験の合格率は20%台半ばくらいになっているのでしょう。
まじめに受験している人だけの合格率を調べると、格段に高くなると思います。
 
13:10頃、「国土地理院 試験管理員」の名札を付けたスタッフ(国土地理院の職員ではなく、委託業者のスタッフ)数名が部屋に入ってきて、問題用紙と解答用紙を配布。試験の注意事項が簡単に説明されました。
 
携帯電話は、電源を切った上で、机に置かれていた封筒に入れて各自の鞄へ。私は普通の携帯電話とiPhoneを持っていますが、2台を入れるのは無理。とりあえず2台とも鞄の中へ入れました。
あの封筒には何の意味があったんだろう。

机の上に置けるのは、受験票と最低限の筆記用具のみ。筆箱や飲み物を置くことは許されません。
受験会場となった教室には時計がなかったので、腕時計が役に立ちました。日頃から携帯電話で時刻を確認する習慣をもっている人は、試験中にまったく時間が分からなくなるので、要注意。
 
試験時間は3時間ですが、開始後90分経過後は退室可能になります(終了15分前を過ぎると、再び退室不可になる)。
試験中にトイレに行くことは可能なようです(誰も行ってませんでしたが)。
 
試験問題は、16:30まで残っていた場合のみ持ち帰りが出来ます。
早めに退室する場合は、問題用紙は解答用紙と共に回収されてしまいます。
 
13:30、試験開始。
 
15:00、退室可能のアナウンス。高校生を主体に、ぞろぞろと受験生が部屋を出て行きます。試験開始前に部屋を見渡し、「こいつは通る気がないだろうな」と思っていた受験生は、予想通り皆退室しました。
 
15:15、一通り問題を解き終えました。
難しい応用問題も出るかと思っていましたが、簡単なものばかりでちょっと驚きました。
 
自己採点用に問題用紙が欲しかったので、後1時間15分待たないといけません。ボーッとしていても無駄なので、見直しをします。
 
16:00、問題文と選択肢を熟読して見直しを2回行いましたが、まだあと30分も残っています。ということで、3回目の見直し。
 
16:15、3回目の見直しを終えたところで、退室不可のアナウンス。
 
16:30、試験終了。問題用紙を持ち帰りたい旨を試験管理員に伝え、解答用紙だけを手渡しました。
 
問題数は、毎年28問。
100点満点換算で65点以上取れば合格です。
 
帰宅後、Webの解答速報を元に自己採点をすると、28問中25問正解でした。マークシートの塗り方が悪かったり、塗る場所を間違えていない限り、合格していそうです。
 
2011/5/23追記
インターネットで今回の測量士補試験のことを調べると、やはり簡単だったという意見が多いようです。
今年度は合格率が平年より上がるのかな。問題が簡単な年に受験できて、幸運でした。
 
私の感覚では、計算問題が非常に簡単で、知識問題の方が難しかったと感じました。毎年恒例と思われていた杭打ち調整法の問題は無し。
トランシットで計測した角度を書いた野帳を元にした較差、観測差を求める出題も無し。
それぞれ、機械の発達(オートレベルや電子レベル、トータルステーションの普及)で手計算をする機会が減っている現状を考慮しているんでしょうか。
 
2011/7/23追記
国土地理院のサイトで合格発表がありましたが、私の受験番号も入ってました。
追記ここまで
 
2011/5/24追記 
問題は、以下の通りです。
 
1. 測量法についての知識問題
2. 公共測量の作業についての知識問題
3. 地球の形状と位置についての知識問題
4. 水平角観測5回の結果を見て、標準偏差を求める計算問題
5. GPS測量についての知識問題
6. 水平角観測における偏心補正の計算問題
7. TSを用いた1級および2級基準点測量の作業内容についての知識問題
8. GPSを用いた1級および2級基準点測量の作業内容についての知識問題
9. 水準測量で最確値を求める計算問題
10. 電子レベルの扱いについての知識問題
11. 公共測量における水準測量作業の留意点についての知識問題
12. 1級水準測量の観測結果の表を元に、再測すべき区間を選ぶ計算問題
13. 傾斜が一定な斜面で、特定の標高の地点を求める計算問題
14. 地形測量についての知識問題(オンライン方式、オフライン方式について)
15. DTM(数値地形モデル)についての知識問題
16. 写真測量による数値地形図データ作成の作業工程についての知識問題
17. 写真測量における撮影基準面での地上画素寸法を求める計算問題
18. 写真測量で、指定された縮尺・速度・オーバーラップで撮影する場合のシャッター間隔を求める計算問題
19. 公共測量における空中写真測量による図化についての知識問題
20. 公共測量における写真地図作成の作業工程についての知識問題
21. 地図編集の原則(転位や総描等)についての知識問題
22. 地図投影についての知識問題
23. 地形図上の指定された地点の緯度経度を求める計算問題
24. GISについての知識問題
25. 路線設計についての計算問題(IP点とBC点を変更せず、交角だけを変更した場合のCLを求める問題)
26. 4つの座標が与えられ、それらに囲まれた土地の面積を求める計算問題
27. 用地測量についての知識問題
28. 河川測量についての知識問題
 
実際の問題(知識問題):
GPSについては、L1帯とL2帯に含まれる情報の違いやC/Aコード、Pコードの意味等を覚えましたが、それらが出る問題はありませんでした。
(問題5)
次の文は、GPS測量機を用いた測量の誤差について述べたものである。「ア」~「エ」に入る語句の組み合わせとして最も適当なものはどれか。次の中から選べ。
 GPS測量機を用いた測量における主要な誤差要因には、GPS衛星位置や時計などの誤差に加え、GPS衛星から観測点までに電波が伝搬する過程で生ずる誤差がある。そのうち、「ア」は周波数に依存するため、2周波の観測により軽減することが出来るが、「イ」は周波数に依存せず、2周波の観測により軽減することができないため、基線解析ソフトウェア採用している標準値を用いて近似的に補正が行われる。「ウ」法では、このような誤差に対し、基準局の観測データから作られる補正量などを取得し、解析処理を行うことで、その軽減が図られている。
 ただし、GPS衛星から直接到達する電波以外に電波が構造物などに当たって反射したものが受信される現象である「エ」による誤差は、「ウ」法によっても補正できないので、選点に当たっては、周辺に構造物が無い場所を選ぶなどの注意が必要である。
ちなみに、「ア」には電離層遅延誤差、「イ」は対流圏遅延誤差、「ウ」はネットワーク型RTK-GPS、「エ」はマルチパスが入ります。
 
実際の問題(計算問題):
写真測量関係の問題が4問も出題され、そのうちの2問は計算問題でした。
(問題18)
 画面の大きさ23cm x 23cmのフィルム航空カメラを用いて、撮影縮尺1/8000、航空機の対地速度200km/h、隣接空中写真の重複度60%で平たんな土地の鉛直空中写真を撮影した。このときのシャッター間隔はいくらか。最も近いものを次の中から選べ。
 ただし、航空機は風などの影響を受けず、一定の対地速度で飛行するものとする。
 
私の計算結果は13.1秒。
選択肢の中で一番近いのは「13秒」。