フリーズドライ食品で有名なアマノフーズは、定期的に面白い製品を数量限定で販売しています。
直近で発売されたのは、フリーズドライの味噌カツ。
発売と同時に注文して手に入れたので、これを食べるために山へ登ってきました。
ただでさえ美味しいアマノフーズの食品を絶景が楽しめる山の上で食べると、更に美味しく感じるのです(私の個人的な考えです)。
今週末の土曜は午後から予定があり、日曜は天気が悪そう。
ということで本日、「アマノフーズのみそかつを食べる」ことを目的に、手軽に絶景を楽しめる姫路市の伊勢山西峰に登って来ました。
▲伊勢山西峰にある神座の窟(しんざのいわや)(ドローンで撮影)
午後からの予定に間に合うよう短時間で登り下りできるコースを設定しました。
具体的には、西麓の「伊勢岩屋の森」から空木城(うとろぎじょう)跡を経由して伊勢山西峰に至り、そこから「伊勢岩屋の森」へまっすぐ下るというもの。
伊勢山は緑台を起点に歩かれる方が圧倒的に多いですが、それは「岩屋の森」を起点としたルートが短すぎて面白くないからかな。
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「安志」
▲カシミール3Dで作成したルートの断面図
09:30
姫路市街の自宅を車で出発。
国道29号線を北上し、「下伊勢」交差点を右へ。
ここからは県道413号線です。
「下伊勢」交差点から道なりに北上すること約3.4km、温泉施設「ゆたりん」へ続く道路が西へ分岐する丁字路をすぎて間もなく、「伊勢岩屋の森→」と書かれた道標が立っている分岐に出会うので、そこを右へ入ります。
1車線幅の未舗装道路に入って200mほどで分岐に出会ったら右へ。
そのまま100mほど走ると広場に出ますが、これが「伊勢岩屋の森」です。
東屋の前に車を駐めました。
https://goo.gl/maps/Eqcg4S1HrxFVLSAL9
▲伊勢岩屋の森の位置
10:14
伊勢岩屋の森に到着(地図中「P」)。
お手洗いや自販機はありません。
「下伊勢」交差点のすぐ北、国道29号線と県道413号線に挟まれた場所にセブンイレブンがあるので、飲食物の調達やお手洗いはそこを利用すると良いでしょう。
セブンイレブンは、国道からも県道からも出入りできるようになっています。
▲車を駐めた場所(伊勢岩屋の森)の様子
準備を整えていたら、1台の乗用車が岩屋の森にやって来ました。
男性5人のグループで、その中のお一人に「しみけんさん?」と声をかけられて驚いていたら、「昔一緒に山を歩いたことがあるよ」とのこと。
詳しく話を聞くと、私が山歩きを始めて間もない頃に何度か山歩きをご一緒させて頂いたグループのメンバーさんと判明。自分の記憶力の悪さにも驚かされました。
10:21
準備が整ったので出発。
男性5人のグループは伊勢山の西峰をピストンで歩かれるとのことなので、空木城(うとろぎじょう)跡へ向かう私は駐車場所のすぐ東にある分岐で別れました(地図中「空木城跡/神座の窟分岐」)。
▲駐車場所のすぐ東にある分岐(空木城跡へ向かうため左へ進んだ)
空木城跡への道と神座の窟(伊勢山西峰)への道はお互いに近い距離で平行に進みますが、100mほど進んだところで空木城跡への道は左へ大きく曲がります。
この道は林道の様な幅で斜度はなだらか。
草に覆われているところも一部ありましたが、歩きやすい良い道です。
▲空木城跡への道は林道のような快適さ
▲ごく一部にこんな場所があった
10分ほど歩くと林道の終点のような場所に出ました。ここからは丸太階段の道です。
▲なだらかな道が終わると丸太階段に出会う
あっという間に登り終えた丸太階段の先は丁字路になっていて、道標によると左は健脚向けルートで右は標準ルート。
今回は健脚向けルートを選んでみました。
▲丸太階段の上にある道標
健脚向けのルートは、自然林の急斜面をつづら折れに登ったり、急な丸太階段で登る道です。
葉を落とした自然林は見通しが良く、気持ちいい。
急な丸太階段を登り切ると、標準ルートと合流しました。
▲健脚向けの道が付けられた尾根
標準ルートと健脚向けルートが合流してからは、つづら折れの道と急な丸太階段が続きます。
つづら折れの道は、一度折り返し地点を見逃して進んでしまい「道が消えた…」と慌ててしまいました。あまり歩く人は多くないのかな。
空木城跡へ続く終盤の斜面は、段差が大きな丸太階段の急坂です。
これはなかなかキツイ。
▲空木城跡直前の丸太階段(段差が大きいため疲れる)
10:50
小さな曲輪*1にいくつか出会った後、空木城跡の主郭(本丸)跡に到着しました(地図中「空木城跡」)。
▲空木城の主郭跡
▲木内内則氏による図面では、主郭跡の南側にある衝立状の2枚の巨岩の間に通路が描かれている
空木城(姫路市林田町上伊勢)
【城史】『播磨鑑』には「城主八喜多野新左衛門忠助、赤松伊豫守義雅の臣代居」とある。『揖保郡史』には土人の言として、嘉吉元年(1441)赤松の別将小野七郎右衛門之に居るとあり。『日本城郭全集』には両説をあげて前者を応永年間(1394~1427)のこととしている。両者とも時代を違えて居住していたのであろう。
【現状】但馬街道を北上して伊勢の入口で分れて、大津茂川に沿うてのぼると上伊勢に出る。この道と林田への間道の分れ道をさらに北上すると右手に城山が見える。標高110m、山頂には広い削平地があり中央部北の縁に大きな岩があってこの削平地を2分している。東半分は24.6m×10.3m、西半分は7.3m×12mある。西の方へは2.9mの斜面の下に16.5m×11.5mの削平地がある。その下にも階段状に次第に低くなっていく3つの削平地がならんでいる。主郭から東の方へも33.5mという下り斜面の下に9.2m×4mの削平地がある。直線的階段式多郭型というべき縄張りである。
(出典:都道府県別 日本の中世城館調査報告書集成 第15巻、兵庫県教育委員会・和歌山県教育委員会編(2003)pp180-181)
空木(うとろぎ)城跡(標高273m)
空木城跡は、別名「赤松遠見の城」とも呼ばれています。つくられたのは1394~1428年頃だそうです。
城の最頂部やその周囲には削平地が、また東側の尾根を下ると大きな堀切や、土塁を築いた横堀が見られるようです。
この城跡からは、塚本向山構(夢前町塚本)、窪山城(姫路市林田町林田)、城山城(新宮町下野田・馬立)、梶山城(揖保川町市場)の4つの城跡が見えるそうです。
(出典:現地の看板)
木々が葉を落としているため、ドローンを飛ばせば山城の地形が分かるかなと思ってドローンを準備。
しかし、木々の枝は思いのほか邪魔になって地形は全く分かりません。
真横から撮ると、主郭(本丸)の平坦な地形がなんとか分かる程度でした。
▲ドローンで真横から撮影した空木城の主郭跡
11:07
空木城跡を出発。
主郭跡の南東から道が東へ延びています。
切岸*2らしい急斜面を慎重に下ると、堀切*3のような地形に出会いました(地図中「堀切跡」)。
堀切の西(城跡)側には、土塁の痕跡と思われる盛り上がりも残っています。
▲堀切跡
堀切跡から南へは、地形図の通りなだらかな道が延びています。
道の両側は自然林で、低山らしい良い雰囲気。
▲堀切跡から南へ延びる道の様子
ところが、260m等高線で囲まれたコブのあたりで突然シダが出てきます。
▲突然シダが多くなる
シダの区間を抜けると、地図で「縦走路/岩屋の森分岐」と表記した分岐に出会いました。ここから「入口広場」方面へ進む道が本日の下山ルートです。
今は西峰を目指しているので、神座の窟方面へ。
▲縦走路/岩屋の森分岐
この分岐から先は、トラロープが設置された強烈な登り斜面。
登りは良いけど、下りが怖いなぁ。
と思っていたら、登山口で一緒になった男性5人組が慎重に下ってくるところでした。
昔一緒に山を歩いていた方以外は山歩きをしない方々らしく、「太陽公園に行く予定がとんでもないところに連れてこられた」とか「おそろしい」と言いながら後ろ向きや横向きでソロリソロリと急斜面を下って行かれました。
5人全員が急斜面を下り切るのに時間がかかるので、待っている間にかつてお世話になった方と当時の思い出話に花を咲かせました。
▲トラロープが張られた急斜面を登る
急斜面を登り切ると、巨岩に開いた割れ目に出会います。
これは神座の窟の入口。
▲神座の窟の入口
神座の窟は、伊勢山西峰の山頂直下に開いた洞窟で、巨大な三角形の穴から西の景色を眺められる神秘的な空間です。
空木城跡から伊勢山西峰へ続く稜線と、巨大な岩峰である伊勢山西峰の全景、そしてその岩峰にぽっかり開いた神座の窟の姿は、下の全天球パノラマでご覧頂けます。
https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/iseyama_aerial20180520/virtualtour.html
▲伊勢山西峰の西方上空でドローンを利用して撮影した全天球パノラマ(撮影日:2018年5月20日)
内部の様子は、下に掲載している全天球パノラマでご覧ください。
▲神座の窟(ドローンで撮影)
神座の岩屋の内部でしばらく不思議な雰囲気を味わった後、この真上にある西峰の山頂へ向かいました。
11:30
伊勢山西峰の山頂に到着(地図中「西峰」)。
誰もおらず、ある程度空気が澄んでいて景色が素晴らしい。
▲伊勢山西峰の山頂
伊勢山西峰の山頂と神座の窟の内部で2011年に撮影した全天球パノラマがあるので、ご覧ください。
パノラマ画面左上のリストから、西峰の山頂と神座の窟内部のパノラマを切り替えられます。
https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/iseyama20111120/virtualtour.html
▲伊勢山西峰山頂と神座の窟内部で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2011年11月20日)
神座の窟を撮影するためにドローンを飛ばした瞬間、スマホがメールを受信。
いつもは無視するのですが、今日は何故か「読んだ方が良いかも」と感じてドローンをホバリングさせたままスマホのメールを確認すると、届いていたのは「【国土交通省航空局】飛行情報共有システム有人航空機接近注意喚起通知」*4。
すぐにドローンを着陸させて待機すると、ヘリコプターが近くを東から西へ通り過ぎていきました。
ヘリが遠ざかるのを確認してから再びドローンを飛ばし、神座の窟を撮影してから食事です。昼食こそ本日のメインイベント。
いよいよアマノフーズの「みそかつ」の登場です。
みそかつと言えば、やはり「みそかつ丼」でしょう。
というわけで、白飯の上に千切りキャベツを敷き詰め、その上にアマノフーズの「味噌カツ」を載せた「みそかつ丼」を作りました。
▲本日の昼食は「みそかつ丼」とインスタント味噌汁
アマノフーズの製品はとんでもなく美味しいですが、絶景を楽しめる山の上で、景色を独り占めしながら食べると、この世の物とは思えないほどの美味しさ。
美味しすぎて、一口目を食べて思わず笑ってしまいました。幸せだ…
食後は周囲の景色を堪能。
12:39
幸せすぎるひとときを過ごして満足し、下山開始。
「縦走路/岩屋の森分岐」まで急斜面を慎重に下り、道標で「入口広場」と書かれている方へ進みます。
▲道は2本あるように見えるが左が正解
伊勢山西峰の岩峰直下を南に進んでから西へ下ります。
西へ下る道は細かくつづら折れになった道で、西峰の岩峰から崩落したと思われる石がたくさん転がっています。
▲つづら折れの道を西へ下る
やがて北西へ下る植林の谷間に入ると、石が減って歩きやすくなりました。
この谷間もつづら折れの道です。
▲北西へ下る谷は植林の中
12:54
「伊勢村在郷軍人会及青年会」と側面に刻まれた石柱に出会いました(地図中「石碑」)。
正面の文字は風化してほとんど読めませんが、下の方に「成婚紀念」と刻まれています。
▲伊勢村在郷軍人会と青年会が建てた石碑
石碑から先は、非常に歩きやすい道です。
▲石碑の先の道の様子
12:57
石碑から100mほど下った所で、不思議な空間に出会いました(地図中「お堂跡」)。
背後に巨岩がある削平地で、3体の石仏が祀られています。
周囲に石積みやトタンなどの残骸があるため、お堂か何かがあったのでしょう。
▲石仏のある削平地(ここに写っていない石仏が1体ある)
お堂の跡地から林道跡のような道を下ると、150mほどで駐車場所にたどり着きます。
▲神社跡から伊勢岩屋の森へ続く道の様子
13:04
駐車場所に到着。
13:45頃
自宅に到着。
午後からの予定にちょうど良い時間に帰宅できました。
交通アクセス
自家用車の利用が一般的です。
伊勢岩屋の森から1.4kmほど南に「上伊勢」バス停がありますが、山歩きに適した時間に利用できる路線バスの便はありません。