播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

山へ持って行きやすいイス:Helinoxのタクティカル チェア ミニ

私は趣味で山歩きをしていますが、その目的は景色の良い場所でのんびり食事と展望を楽しむこと。
それを実現するために、山にイスとテーブルを持っていくことにしています。

以前はHelinoxのグラウンドチェアを山で使っていました。

グラウンドチェアは快適で便利なのですが、山へドローンを持っていくようになってからバックパックの中にグラウンドチェアを入れる余裕がなくなってしまいました。

その結果、もっぱらPATATTO mini(パタット ミニ)が活躍するようになったのですが、座り心地という点ではグラウンドチェアの方が優れています。

PATATTO miniも良いイスなのですが、「グラウンドチェアのように快適に座れて、グラウンドチェアよりもっとコンパクトに収納できるイスが欲しいなぁ」という気持ちが沸いてきてしまいました。

趣味の道具が次から次へと欲しくなる“病気”は、ハマると抜け出せなくなって危険な「沼」に例えられ、アウトドア好きなら「キャンプ道具沼」とか、カメラ好きの場合は「レンズ沼」にハマるなんて言い方をされることがあります。

私の場合は「山道具沼」に完全にはまり込み、脱出することを諦めました。
というわけで、物欲のままに新たなイスを購入。

仕様

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▲タクティカル チェア ミニ(身長165cm、体重約67kgの当ブログ管理人が座っている様子)

製品名: タクティカル チェア ミニ / マルチカモ(Tactical Chair mini)
メーカー: Helinox(韓国)
使用時のサイズ: W40cm×D34cm×H44cm(カタログ値)
収納時のサイズ: W26cm×D9cm×H11cm(カタログ値)
重量: 約475g(収納時は約560g)(カタログ値)
耐荷重: 90kg
材質: シートと収納袋はポリエステル100%、フレームはアルミニウム
生産国: シートと収納袋はベトナム、フレームは韓国
購入価格: ¥12,000(税抜)
購入先: Alpen Outdoors明石大蔵海岸店(明石市)
備考: マルチカモ以外の柄の製品は、価格が¥11,000(税抜)です。

使い方

収納状態だと長さがおよそ26cm、直径およそ10cmの円筒形なので、荷物が多くてぎゅうぎゅう詰めの私のバックパックの中にも、無理矢理押し込めば何とか入ってくれます。

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▲専用の収納袋に入れた状態

収納袋はジッパーで開閉する構造。
YKK製のジッパーなので、スムーズに開閉できます。

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▲収納袋の開口部はジッパーで開閉する構造

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▲開口部の反対側にはPALSウェビング(軍用規格のデイジーチェーン)

収納袋に納められているのは、シート(座面)、フレーム、ボトルポケット。

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▲収納袋に入っている一式(右端は収納袋)

フレームは中空のアルミパイプで、中にショックコード(ゴム紐)が通っています。
全てのアルミパイプと結合用の樹脂パーツはショックコードでつながっているため、バラバラになりません。

しかも、ショックコードに引っ張られた部品はほぼ正しい位置に自動的に移動するので、手で少し位置を調整してやれば、カチャカチャと勝手に組み上がっていきます。

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▲フレームの端部を見ると、ショックコードが通っているのが分かる(矢印が示している部分)

私がこのイスを使うのは山歩きの際の食事前、つまりヘロヘロに疲れてお腹も空き、頭が普段通りに働かないような状態なので、頭を使わず簡単に組み立てができるのは助かります。

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▲組み上がったフレーム

フレームは長いものが2本と短いものが2本伸びていますが、長い方が背もたれ側、短い方が座面側。

フレームが出来上がったら、収納袋のループを以下のように座面側の2本のフレームに通します。

こうしておくと収納袋自体をなくす心配がありません(迷彩柄なので、山の中でその辺に放っておくと見つかりづらい)し、座っている間の小物入れとして使ったり、中にナイロン袋を入れてゴミ箱として使うという活用方法もあります。

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▲収納袋をフレームにセットする

続いて、座面になるシートをフレームに取り付けます。
これも簡単で、シートの四隅にあるポケットに、フレームの先端を差し込むだけ。

ポケットは白く縁取りされているものが2つと、黒く縁取りされているものが2つあります。

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▲シートの隅にあるポケット(白く縁取りされているポケット)(ポケットの間にある茶色い部分は、裏面がオスのベルクロになっているワッペンを貼り付けるための、メスのベルクロ)

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▲シートの隅にあるポケット(縁取りが黒いポケット)

白く縁取りされているものは背もたれ側、黒く縁取りされているのは、座面前方のフレームに被せるポケットであることを表しています。
これも分かりやすくて便利。

シートを広げて向きを確認してからセットする手間が要りません。

説明書では、背もたれ側のポケット(白い縁取りのある方)を先にフレームにセットし、続いて座面側のフレームに黒い縁取りのポケットを被せるという順序が指示されています。

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▲フレームの先端がポケットに入っている様子(矢印が示している部分)

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▲イスの形ができ上がった

これでタクティカル チェア ミニはほぼ完成。
最後に、ボトルポケットを取り付けます。

イスに座った人から見て右側、座面の外側にループが縫い付けられています。
そこにボトルポケット背面のストラップを通し、スナップボタンを留めればボトルポケットの取り付けは完了。

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▲座面の右側にあるボトルポケット取り付け用のループ(矢印が指している部分)

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▲ボトルポケット背面のストラップ

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▲ボトルポケットを取り付けた様子

これでタクティカル チェア ミニの組立は完了
収納袋から取り出して組立が終わるまで、慣れれば数分しかかかりません。

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▲完成したタクティカル チェア ミニ(正面)

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▲完成したタクティカル チェア ミニ(左側面)

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▲完成したタクティカル チェア ミニ(右側面)

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▲完成したタクティカル チェア ミニ(背面)

収納するときは、分解してまとめたフレームの束の一方の端に、ボトルポケットを被せておくと良いでしょう。

ボトルポケット自体の体積が収納スペースに影響しなくなるし、フレームが勝手に広がろうとしなくなるので、一石二鳥。

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▲フレームはショックコードの力で勝手に広がろうとするので、ボトルポケットを片方の端に被せておくとよい

使い心地

小さすぎるように見えますが、案外普通に座れます。
むしろ、山の上では冒頭で紹介したグラウンドチェアよりも快適。

というのも、グラウンドチェアは深く座れるためリラックスできるのですが、いったん座ってしまうと体が動かしづらく、立ち上がるのも大変。

そのため、山の上でご飯を作るときにグラウンドチェアに深く腰掛けてしまうと、作業がやりづらいのです。

その点、タクティカル チェア ミニだと、座った状態でも体を動かしやすくて作業をしやすい。
逆に、長時間リラックスして座れるイスとは言えません。

タクティカル チェア ミニは、Helinoxのテーブルオーとの相性が抜群です。
テーブルオーをタクティカル チェア ミニに座った自分の正面に置き、その上で食事をするのが最高。

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▲「タクティカル チェア ミニ」と「テーブルオー ホーム」

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▲テーブルオー ホームを前に置き、タクティカル チェア ミニに座った様子

長所

  • (Helinoxの通常サイズの椅子に比べると)携帯性に優れている。
  • 座ったままで体を動かしやすい。
  • 普通なら座れないような場所で快適に過ごせる。

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▲ゴツゴツした岩場でも快適に過ごせる

短所

  • Helinoxブランドの他の大きめのイスに比べると、耐久性が低い(フレームが明らかに細い)
  • 長時間座るのには適していない。
  • いくら簡単とは言え、組立と収納は少し面倒。
  • 人が多い山でこれを使うと、変に注目されてしまう。

最後に

本当に耐荷重が90kgもあるのかと不安になりますが、体重70kg近い私が座ってくつろいでも平気なので、実用上は問題なさそう。

ただし、ミニではない普通サイズのタクティカルチェア等と比べるとフレームが明らかに細いため、乱暴に座らない方が良いとは思います。

山の上で食事の準備をするときに座ったままでも快適に作業ができますし、バックパック内に収まらない時は外付けできたり(歩く度にユッサユッサと揺れるのが気になる人には、お勧めできません。)、使いやすさと携帯性は抜群。値段が高いだけのことはあります。

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▲タクティカル チェア ミニに付属する収納袋は、バックパックに入らない時にカラビナなど(別売)を使って外付けできる*1(ただし、歩いている時は揺れる)

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▲収納袋に入れたタクティカル チェア ミニを、同じ柄のバックパック*2に吊り下げた様子。*3(こちらも歩いている時は揺れる)軍用のバックパックは機能的だし、頑丈(藪でひっかけたり岩に擦っても破れるようなことはまずない)なので気に入って使っているんですが、こんなのを背負って歩いているから、山で他のハイカーさんと出会って挨拶をしても目を合わせてもらえなかったりするのかな。

ただし、携帯性の高さと引き換えに、座り心地は大きなサイズの同社製品より劣ります。

私のように山へ持っていくという使い方をしない限りは、普通サイズのを買った方が良いでしょう。

私は見た目の格好良さに惹かれてマルチカモの製品を購入しましたが、これはちょっと失敗だったと感じています。

値段が他の柄より1,000円高いですし、ミリタリー好きの方なら分かると思いますが、カモフラージュ生地の裏面って、表面の迷彩柄が透けていて見た目が汚いですよね。

マルチカモ柄のタクティカル チェア ミニは、その汚い裏面がそのまま外側にさらけ出されているのです。

使っている本人からは表面しか見えていないので、問題ないといえばないのですが、気になる方は他の色の製品にした方が良いかも。

なお、Helinoxのチェア ミニシリーズには、「タクティカル」という文言が商品名に付いているものとそうでないものがあります。

この記事で紹介したような収納袋とボトルポケットは「タクティカル」の方にしか付属しませんので、ご注意ください。

*1:この画像でタクティカル チェア ミニを吊っているカラビナは、100円ショップのダイソーで売られていたもので、米軍向けの「Tac Link」というカラビナのパクリ製品。

*2:アークテリクスがアメリカ海兵隊向けに作っている製品の民間向け販売品。

*3:吊り下げるのに使っているカラビナは、米軍向けの「Grimloc」という製品(本物)。これのパクリ製品も100円ショップで売られていました。