播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。原則として更新は週に1回です。広告は表示しません!

兵庫県たつの市の重要文化財「永富家住宅」と「伝説のたこ焼き」

今日は兵庫県たつの市にある重要文化財 永富家住宅を見に行ってきました。
 
揖保川右岸を走る県道120号線沿いにある「伝説のたこ焼き」なるお店も気になっていたので、JRで竜野駅へ向かい、竜野駅から徒歩で県道120号線を北上。「伝説のたこ焼き」で美味しいたこ焼きを頂いてから永富家住宅を見学することにします。
 
12:04
JR姫路駅を播州赤穂行の普通電車で出発。
 
12:19
JR竜野駅に到着。運賃は¥320。
 
駅の出口は線路の南側にしかありません。
駅を出たら、左へ曲がります(東へ向かう)。

この道は県道441号線。
中央線のない道路を東へ進むと、信号のない交差点に出会います。これを左折(北進)。
すぐに踏切で線路を越え、その先にある「正条」交差点を渡って北へ。ここからは県道120号線です。
 
12:39
「伝説のたこ焼き」に到着。
お店のHP: http://www.dentako.com/

車が止まっていなかったのでお客さんはいないのかと思いましたが、中に入るとずいぶん賑わっていました。
 
 
▲伝説のたこ焼き(南からだとあまり目立たない)
 
 
▲北から見ると派手なのでよく目立つ
 
入ったところにカウンター(4~5人程度)があり、向かい側に2人がけのテーブルが1つ、店の奥には4人掛けのテーブルが3つ(うち2つは壁側が長いすなので、詰めれば3人座って5人掛けにできる)という大きさ。
 
車が無かった理由も分かりました。お客さんは全員生ビールを飲んでいたのです(私もたこ焼きとビールを頂こうとおもっていたので、車では無く電車を使いました)。
徒歩圏内の地元の常連さんが多いようです。
 
4人掛けのテーブルが1つ空いていたので、一人でしたがそこに着席。
「かす入たこ焼き6コ入」(¥510)と生中(¥480)を頼みましたが、メニューに「若鶏のから揚げ」(¥580)があったので、それも注文。
 
テーブルは鉄板になっていて、たこ焼き以外にも鉄板焼きやお好み焼きのメニューが揃っています。
生中はすぐに出てきましたが、残り2つはなかなか出てきません。

待つことしばし。まずは唐揚げが出てきました。大きな板状の唐揚げが5個入っていて、衣はかりかり、肉はジューシーなもも肉。何もつけなくても美味しい。ビールが進みます。
 
唐揚げを2つ食べた段階でビールが空になってしまったので、2杯目を注文。
まもなくたこ焼きも出てきました。
 
 
▲かす入たこ焼き
 
お皿には巨大なたこ焼きが6個(8個入りもある)。写真に写っている箸と大きさを比較してみて下さい。
 
テーブルにある鰹と青のりをかけて頂きます。マヨネーズも出してくれますが、私は使いませんでした。
たこだけで無く油かすの歯ごたえがあり、油かすの甘みというのかうま味というのか、もうとにかく美味しい。
 
13:25
大きなたこ焼きと大きな唐揚げ、さらに生中2杯で満腹になって店を出ました。お会計は¥2,050。
 
県道120号線の北上を再開。
 
13:34
道路が二股に分岐する地点に来ました。
何やら鳥居が見え、頭上には永富家の方向が書かれた案内標識も設置されています。
 
 
▲永富家方面への分岐
 
ここからは永富家住宅への案内表示に従えば迷うことはありません。
 
永富家住宅の位置は、この記事の最後に掲載しています。
 
13:41
永富家住宅に到着。
 
 
▲永富家住宅見学者用の駐車場
 
 
▲永富家住宅見学者用入口
 
入口は無人でしたが、記帳していると管理人の方が出てこられました。
管理人の方に¥300を手渡し、観覧記念券とパンフレットを受け取ります。
 
 
▲永富家住宅の外観
 
この永富家住宅は、今からおよそ190年前の文政5年(1822年)に完成した家屋で、昭和42年に国の重要文化財に指定された。
永富家は代々庄屋を務め、龍野藩(脇坂氏)から「在郷家臣」という資格で上級武士の待遇を受けていた。藩主は領事巡視の際たびたび立ち寄ることがあり、正面の玄関や座敷の奥の上段の間はそのために特に許されて設けられたものである。近世の庄屋は単に農民の代表というだけでなく、藩に資金を融通したり、一般農民の営農相談や物資の斡旋を行うなど、その働きは多方面に及び、現在の農協に近い役割を果たしていた。
瓦に見える「三ツ銀杏(いちょう)」は永富家の家紋である。
(出典:永富家住宅観覧記念券)

 
重要文化財「永富家」概要
所在地 兵庫県たつの市揖保川町新在家337
敷地面積 2,669.90平方メートル 807坪643 (昭和60年現在)
修復 昭和36年7月1日(1961年)~昭和37年10月末日(1962年)
文化財指定 昭和38年4月19日 兵庫県指定重要文化財
      昭和42年6月15日 国の重要文化財
建物の概要
 主屋
  建築年代 文政2年1月(1819年)~文政5年12月(1822年)
  建築面積 478平方メートル 144坪85 延506.12平方メートル 153坪37
  入母屋本瓦葺、庇本瓦葺、孫庇棧瓦葺
  玄関、中玄関、上段の間、座敷、鞘の間、仏間、中の間、台所等23室と土間からなる。
  なお西北隅のお部屋、控えの間の2階建部分は解体修理の際文化11年(1814年)の建築と判明した。
 長屋門
  建築年代 文化5年(1808年)
  建築面積 籾納屋とも134.62平方メートル 40坪79
  東端入母屋、西端籾納屋に接続 本瓦葺
  門の両脇に供侍部屋等が設けられている。
 籾納屋
  建築年代 不明
  西端入母屋、東端切妻、長屋門に接続 本瓦葺
 大蔵
  建築年代 文久元年(1861年)
  建築面積 55.68平方メートル 16坪87
  土蔵造り、二階建、切妻、本瓦葺
  侍蔵または西蔵ともいわれ、花嫁の嫁入道具を格納するために建てられた。
 乾蔵
  建築年代 不詳
  建築面積 28.7平方メートル 8坪7
  土蔵造り、二階建、切妻、本瓦葺
  道具蔵
 内蔵
  建築年代 文化3年(1806年)以前
  建築面積 24平方メートル 7坪27
  土蔵造り、二階建、切妻、本瓦葺
  味噌蔵とともにこの屋敷で最も古い建物
  日常使用する道具の収納蔵
 味噌蔵
  建築年代 文化3年(1806年)以前
  建築面積 20平方メートル 6坪06
  土蔵造り、二階建、切妻、本瓦葺
  味噌、醤油、漬物等の貯蔵蔵
 東蔵
  建築年代 不詳
  建築面積 20平方メートル 6坪06
  土蔵造り、二階建、切妻、本瓦葺
  穀物の貯蔵庫
(出典:重要文化財 永富家パンフレット)
 
まずは土間で靴を脱いで室内へ。
 
 
▲土間にはベンチが並んでいて休憩が出来る
 
残念ながら、建物の中心部の部屋(上段の間、仏間等)は立入禁止で、それらの部屋を囲む部屋を通りながら、庭や中心部の部屋を見学する形になっています。
 
 
▲土間から下座敷、中座敷、上座敷を見る
 
土間から上がったところが下の間で、そこから左手、庭に面した鞘の間を歩きながら下座敷や上座敷、上段の間などを見学します。
 
鞘の間は部屋と言うよりは畳敷きの廊下という雰囲気で、管理人の方の説明によると、VIPが滞在する建物の中心部付近を守るために設けられた空間とのことでした。
 
 
▲見学者通路となっている鞘の間
 
土間から下の間に上がってから玄関の間へ行き、鞘の間を通って時計回りに屋敷の外側の部屋を見て回るように順路は設定されています。
 
 
▲永富家住宅の間取り図(出典:重要文化財永富家パンフレット)
 
上段の間は、龍野藩の領主脇坂氏が永富家を訪問したときに使っていたそうです。
 
 
▲他の部屋より一段高くなった上段の間
 
ところで、この住宅内で使われている畳には特徴があります。それは、中央が盛り上がっているという点。
 
 
▲中央がうっすらと盛り上がった畳
 
管理人さんの説明によると、い草を畳の中心部分で編んで連結しているので、どうしても中央部分が膨らむとのことです。しかも、それは高級な畳の特徴だとか。
 
永富家住宅の北側は生活空間で、古い家具が置かれた部屋があったり、江戸時代の火鉢が置かれた部屋や台所、竈があります。
 
 
▲竈
 
これで再び下の間に戻ってくるので、靴を履いて今度は建物の外側を反時計回りに見て回ります。
 
土間から東へ出ると井戸があり、農機具が置かれて(展示されて)います。
 
 
▲農機具の展示
 
その先で左へ曲がると、明治時代の消防用手押しポンプがありました。色は当時のままなのか塗り直したのか分かりませんが、鮮やかな塗装がしっかり残っています。
 
 
▲消防用手押しポンプ
 
続いて出会うのは台所。
井戸と流し台があり、その横には味噌や漬物専用の蔵があります。
 
 
▲洗い場
 
台所を見たら家と蔵の間の細い通路をそのまま西へ進み、家の北西隅で左へ曲がると緑豊かな庭。
 
 
▲庭の様子
 
庭の先には大蔵(陳列館)があって、その中には永富家に関する貴重な資料が展示されています。
 
 
▲大蔵内部の様子
 
永富家が栄えていた当時の周辺地図や、脇坂氏が滞在した際に使った食器類、永富家が使用していた天秤ばかり、槍、火縄銃、鎧といった武具、江戸時代の百人一首、双六盤が展示されています。
 
中でも珍しいのは、永富家住宅を建てたときの記録一式です(閉じた状態で展示。中は見られません)。
大工さんへの支払金額や材料の買い付け記録(どこで何をいくらで買ったか)などが事細かに記された文書が残っているのは非常に珍しいとこのことです。
 
大蔵を見終わったら、順路に従ってその東隣にある籾納屋(道具館)へ向かいます。
 
道具館は、永富家で実際に使われていた農機具や機織り機、照明器具、駕籠が展示されています。
 
 
▲道具館の様子
 
駕籠は男性用と女性用の2台が展示されていて、どちらも同じように見えるのですが、管理人さんによるとこれも購入費用が記録に残っていて、男性用は2両ほどで購入していますが、女性用のはその半額程度のものだそうです。
 
 
▲男乗物(男性用の駕籠)
 
14:55
一通り永富家住宅の見学が終わりました。
 
永富家の5ヶ所で全天球パノラマを撮影しました。
パノラマ画面左上のリストで切り替えてご覧ください。
 
▲永富家住宅で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2013年9月8日)
 
駐車場の裏にある永富家住宅の庭園「秋恵園」を一通り眺めてから竜野駅へ。
 
 
▲秋恵園
 
15:40
往路をたどってJR竜野駅に到着。
 
竜野駅の列車は30分に1本なので、待ち時間を減らすために途中で飲み物の自動販売機でジュースを買い、のんびり時間つぶしをしたりしながら歩きました。そのため、永富家から竜野駅まで2km強程度の距離なのに少し時間がかかっています。
 
15:54
姫路行の普通電車で竜野駅を出発。
 
16:08
JR姫路駅に到着。
 
たこ焼きは美味しかったし、永富家は管理人さんの知識が豊富で建物もよく保存され、陳列館、道具館とも見応えがあり、暑い中を往復4km以上歩いたかいはありました。
 
古い建築に興味のある方には強くお勧めします。 
 
永富家住宅
公開時間:
 10:00~17:00(最終受付16:00)
休日: 年末年始、毎週月曜日、第4火曜日(祭日の場合は翌日)
観覧券: 大人¥300、中人¥250、小人¥200、20人以上の団体は50円引き