概要
以前からSOTOのスライドガストーチ「ST-480」を愛用し、現在は2023年4月に発売された「ST-487」を使用しています。
スライドガストーチは、長い燃焼部を利用してストーブ類に安全に点火できる便利な道具。
調理中は燃料の節約のために火を付けたり消したりすることから、スライドガストーチには何度も出番があります。
ところが、スライドガストーチは行方不明になりがち。
「あれ?どこへやったっけ?」と探すことがしょっちゅうあり、「定位置」を決めておく必要性を感じていました。
そこで、バックパックの外側に取り付けられる小型のケースにスライドガストーチを入れることに。
探したのは、小物類をまとめて入れられるケースではなく、スライドガストーチだけを収納するためのケースです。
「バックパックの外側に付ける必要なんてあるか?」と思われるかもしれませんが、出かける前にパッと見ればスライドガストーチを持っていることが分かりますし(忘れ物防止)、調理中はバックパックが自分の近くに置いてあるため、スライドガストーチの出し入れも面倒ではありません(定位置として使いやすい)。
私の個人的な感覚では、スライドガストーチ専用ケースをバックパックの外側に取り付けておくことは合理的なのです。
以上の理由から、スライドガストーチを入れられてバックパックに外付けできる小型のケースを探したところ、「スライドガストーチ専用に作られたのではないか」と思えるほどピッタリ合うものを見つけたので、紹介します。

▲バックパックに取り付けたスライドガストーチ収納用ケース(白いのはクマよけ鈴、奥の黒いものはThyrm(シーラム*1)の「CellVault*2」。敷かれている迷彩柄のシートは「Emdom/MM KitMat*3」で、バックパックの底部が土で汚れないようにするため使用しています。)
仕様

▲軍用ピストルのマガジン(9mmパラベラム弾*415発用弾倉)ポーチ
製品名: MP1-M9/FB1-MS-SCOY 9mm 15 RD Mag Pouch
NSN*5: 8465-01-558-5105
メーカー: Eagle Industries Unlimited, Inc.(アメリカ)
重量: 約62g(実測値)
色: コヨーテブラウン
購入価格: 不明
購入先: 不明
備考: 私の手元にあるマガジンポーチは、ラベルの表記によると2007年12月製造です。
スライドガストーチが入りそうなケース(ポーチ)を探すために家の中を漁っていたら、たまたま見つけました。
いつ、いくらで、どこから購入したのか記憶にありません。
本来は製品名の通り、アメリカ軍のM9ピストルのマガジン(弾倉)を収納するためのポーチです。

▲M9のエアガンとマガジン(ピストルのグリップ部分に15発用マガジンが入っている)

▲今回紹介するポーチの本来の使い方は、マガジンを1本収納すること
このマガジンポーチのNSNの「TECHNICAL CHARACTERISTICS(技術特性)」内、「SPECIAL FEATURES(特徴)」では、次のように記載されています。
FLAP IS SECURED IN THE COLSED POSITION WITH 1 INCH BY 1 AND 1/2 INCHES HOOK TO A 1 AND 1/4 INCHES BY 1 AND 1/4 INCHES LOOP BASE, WHICH CLOSES TOWARDS THE REAR OF THE POUCH, THE FLAP CAN BE FOLDED FORWARD AND SECURED WITH 1 INCH BY 1 AND 1/2 INCHES HOOK THAT ATTACHES TO A 1 AND 1/2 INCHES BY 1 AND 3/4 INCHES LOOP BASE,MAGAZINE IS HELD IN PLACE BY AN INSERT, LAYERED WITH ONE WRAP,MOLDED TO FIT AND SECURE A SINGLE MAGAZINE, INSERT DESIGN ALLOWS FOR MAGAZINE TO FACE EITHER A RIGHT OR LEFT, WHEN VIEWED FROM ABOVE, POUCH MEASURES 1 1/2 INCH ACROSS THE FACE, 5 INCH OVERALL HEIGHT, AND 1 1/2 INCH DEEP, FRONT TO BACK,9MM 15 ROUND MAGAZINE POUCH UTILIZES A SINGLE 1 1/2 INCH NYLON FOLDING FLAP SEWN TO THE FRONT EDGE OF THE POUCH,POUCH UTILIZES THE POUCH ATTACHMENT LATTER SYSTEM (PALS) WITH TWO 4 INCH REAR ATTACHMENT STRAPS, PALS INCORPORATES A NON CORROSIVE SNAP SOCKET WHICH FASTENS INTO CORRESPONDING SNAP STUDS LOCATED ON THE BACK OF THE POUCH
(出典:ISO Group, Inc.が公開しているNSN Part Database 原文まま*6)
この英文を和訳すると、次のようになります。
フラップは1インチ×1.5インチのオスのベルクロ、および1.25インチ×1.25インチのメスのベルクロによりポーチの背面側で閉じる構造とする。当該フラップは正面側に折り返し、1インチ×1.5インチのオスのベルクロ、およびポーチに取り付けられた1.5インチ×1.75インチのメスのベルクロによって固定できる。マガジンは、マガジンの形状に合わせて成形された樹脂製インサートによって保持され、左右の向きを問わずに挿入できる。上から見た際、ポーチは横1.5インチ、高さは5インチ、奥行きは1.5インチとする。ポーチの前面に縫い付けられた幅1.5インチのフラップを背面に回すことで9mm弾15発用マガジンを固定する。Pouch Attachment Ladder System(PALS)用として背面に長さ4インチのストラップ2本を取り付ける。ストラップには腐食しない素材でできたスナップボタンを使用し、ポーチ背面のスナップスタッドにはめ込む構造とする。
(出典:上記の英文を当ブログ管理人が大雑把に訳した。)
NSNに書かれた内容と現物の構造に矛盾がありますが、気にしないことにします。
「Ladder」を「Latter」と間違えているような文章ですから…
外観
マガジンポーチは1,000デニールのコーデュラで作られており、蓋はベルクロ留めのフラップ式。
底部には水抜き用の穴(ハトメで補強)もあります。

▲マガジンポーチの表面
アメリカ軍の装備品ですから、裏面はPALS(Pouch Attachment Ladder Systemの略称。ポーチなどを取り付けるための軍用規格。PALSを採用した米軍の装備品連結の仕組みがMOLLE(モーリー*7)。)に対応しており、軍用バックパックなどに取りつけられるようになっています。

▲裏面のPALSストラップ
フラップは表から裏面に回り込むような形で縫い付けられており、開くときはポーチの裏面上部のベルクロから剥がして表面へ回す必要があります。

▲フラップはポーチの裏面でベルクロ留めする構造

▲フラップは裏から表に向けて開く
フラップの先端には両面にオスのベルクロが付いており、ポーチ表面下部のメスのベルクロにくっつけることで、フラップが開いた状態を維持できます。

▲フラップは開けたままにしておける
ポーチの内部は、マガジンの抜き差しをスムーズに行えるように、滑りの良い起毛生地が使われています。

▲ポーチの内部は黒い起毛生地
スライドガストーチ「ST-487」との相性
マガジンポーチは、緊急時に素早いマガジン交換が可能になるよう、前述の通りフラップを開いたまま保持できる構造になっています。
しかしマガジンの保持力が弱いと、フラップを開けたまま走ったりした時にマガジンが脱落しますから、マガジンの抜き差しに多少の抵抗がかかるよう、硬い樹脂製*8の箱がポーチ内に入っており、マガジンを少し締め付ける程度のサイズになっています。
そのサイズがSOTOのスライドガストーチ「ST-487」の本体サイズとピッタリ合っているのです。

▲マガジンポーチとST-487のサイズ比較
「仕様」の項の画像でエアガンのマガジンを差し込んでいますが、かなりギチギチで多少の振動ではマガジンが抜けません。
反対にスライドガストーチはキツくも緩くもない、ちょうど良い納まり具合。
力を入れずに出し入れできますが、中でガタつきません。

▲マガジンポーチにST-487を入れた様子
マガジンポーチはST-487よりも若干長いため、フラップを閉じても少し余裕があります。
この隙間が気になる方は、ポーチの奥に適当なスペーサー(小さく切ったラバースポンジ等)を詰め込めばよいと思います。

▲ST-487を入れてフラップを閉じた状態
マガジンほどキツく保持されないため、フラップを開けたまま行動するとST-487を紛失するおそれがあります。行動時は、必ずフラップを閉じないといけません。
最後に
山の上で火を使うときは、私の場合スライドガストーチが行方不明になったり、取り出して別のところに置いたことを忘れ、バックパック内を漁り続けるということがありました。
一つの道具を一つのケースに入れるのは効率が悪いと思われるかも知れませんが、道具が多い状況では、道具を小分けに収納しておくと探す手間が省けて、結局は利便性が高くなります。
写真家や釣り人が着用するベスト(チョッキ)がポケットだらけなのと似たようなものかな。
山歩きで食事をする際にスライドガストーチを探し回ることがなくなったのは、私にとって大きな負担軽減です。
ところで、「スライドガストーチを入れるだけなのに、いかついポーチだな」と思われるかもしれませんが、本来の用途で収納する実銃用の弾倉は重いので、どうしてもこうなってしまうんです。
ちなみに、米軍M9ピストルの弾倉本体の重量が約108g*9、9mmパラベラム弾15発の重さが約190.5g*10ですから、15発の弾丸を入れた弾倉1本の重さはほぼ300gということになります。
それを安全に収納、携帯できるようにするため、これだけ頑丈な造りになっているわけです。
*1:「Thyrm」の読み方ですが、Thyrm社の公式YouTube動画内で「θíːrəm」とはっきり発音されており、日本国内で一般的な「サイリム」が間違いなのは明らかなため、「シーラム」と表記しています。
*2: https://dfm92431.hatenablog.jp/entry/2021/11/27/193636 を参照。GARMINのハンディGPS受信機用に予備の単3形電池を2本入れています。
*3: https://dfm92431.hatenablog.jp/entry/2021/12/05/084137 を参照。
*4:「パラベラム(Para Bellum)」はラテン語で「戦いに備える」の意味。
*5:National Stock Numberの略で、アメリカ軍をはじめとするNATO加盟国の軍隊が、装備品を管理するために使用する番号。民生品ではJANコード、出版物ではISBNに相当する数字で、防衛省が使用する訳語は「ナショナル物品番号」。
*6:「POUCH ATTACHMENT LATTER SYSTEM」の「LATTER」は「LADDER」の誤り。PALS取付用のストラップは4インチのものが2本(TWO 4 INCH REAR ATTACHMENT STRAPS)と書かれていますが、実際は1本しかありません。
*7:MOLLEを「モール」と読むのは誤読。MOLLEは固有名詞であり、「モーリー」と読むことが決められています。
*8:素材は、積水化学工業のカイデックス(Kydex)。
*9:アメリカの銃砲店「Check-Mate」のWebサイトに3.8オンス≒108gとの記載があります。
*10:合衆国海兵隊のマニュアル「FMSO 1204 M-9 Service Pistol Familiarization」によると、15発装填時のM9ピストルの総重量が2.54ポンド、弾倉が空の場合の重量が2.12ポンドとの記載があるため、9mmパラベラム弾×15発の重量は2.54-2.12=0.42ポンド≒190.5gとなります。