購入の経緯
山歩きでは、SOTOの小型折り畳みテーブル「フィールドホッパー ST-630」をほぼ毎回使用していました。
あっという間にA4サイズの平らな空間を作り出せる便利な道具ですが、2024年4月26日、同じようなサイズでより薄く、軽量な折り畳みテーブル「フィールドカイト」がSOTOから発売されました。
「フィールドホッパーで良いじゃないか」と珍しく私の頭の中で理性が働いたと思ったのですが、私の理性など物欲の前では何の役にも立ちませんでした。
概要
天板がほぼA4サイズの、折り畳み式テーブルです。
▲フィールドカイトを使えば、山の上でも平らで清潔な空間をあっという間に作り出せる
▲凸凹のある岩場でも平らな空間を作り出せるため、調理などが簡単になる*1
フィールドホッパーは天板を広げると自動的に脚が展開されましたが、今回紹介するフィールドカイトは、軽量化のため部品点数が極力減らされ、脚を手動で展開する構造になっています。
仕様
▲フィールドカイトのパッケージ
製品名: フィールドカイト(Field Kite)
型番: ST-632
メーカー: 新富士バーナー株式会社(SOTOブランド)(愛知県)
天板サイズ: 305mm × 190mm(展開時)
高さ: 75mm(展開時)
重量: 約280g(本体のみ)
耐荷重: 3kg
材質: 天板はアルミニウム、スタンドはステンレス、専用ケースはタイベック
生産国: 本体は日本製(ケースは中国製)
国内定価: ¥4,895(税込)
購入価格: ¥4,895(税込)
購入先: アドスポーツ(兵庫県姫路市)
外観と使い方
箱を開けると、しっとりした独特の質感を持つタイベック素材のケースに入ったフィールドカイトが出てきます。
▲フィールドカイトは白いタイベック生地でできたケースに入っている
▲折りたたまれたフィールドカイト(説明書はA4サイズなので大きさがある程度イメージできると思います)
展開するには、まず天板を広げます。
▲天板を開く
続いて、両方の脚を起こします。
▲脚を起こす
脚は起こした後は、下の画像の要領でロックします。
▲(1)脚を起こしたら(2)のように指で脚を引っ張って(3)脚をフックに引っ掛ける
これで組み立ては完了。慣れれば20秒もかかりません。
▲展開が完了したフィールドカイト
フィールドホッパーとの比較
旧モデルであるフィールドホッパーと携帯性にどれほど違いがあるか、比べてみます。
まずは厚みと大きさから。
フィールドカイトの方が薄いのが一目瞭然です。
▲フィールカイトとフィールドホッパーの厚み
2つを重ねると、フィールドカイトの天板が若干小さいことが分かります。
▲2種類の大きさ比較
次は重量を比べてみます。
▲2種類のテーブル本体とケースの重量
フィールドホッパーは本体が389g、ケースは23gです。
フィールドカイトは本体が277gで、ケースは16g。
それぞれを合計すると、次の通り。
・フィールドホッパー 389+23=412g
・フィールドカイト 277+16=293g
フィールドカイトの方が、フィールドホッパーより119gも軽いです。
トライトレイル(ST-350)との組み合わせ
フィールドカイトは、2024年4月19日に発売されたレギュレーターストーブ「トライトレイル(TriTrail)」用の遮熱テーブルになります。
※フィールドカイトの取扱説明書にそのような記載はありません。本来の使い方ではない可能性があるため、不安がある方は試さないでください。
※不整地や平坦でない場所で使用すると、ガス缶と天板が接触する場合があります。そのような状況では遮熱テーブルとして機能しません。ガス缶と天板の間に隙間があることを確認してください。
遮熱テーブルというのは、クッカーの底面から下向きに出る熱(輻射熱)からガス缶を守るためのテーブルで、火から下ろしたクッカーを置いたり、クッカーに入れる前の食材を準備する作業台としても便利です。
▲ST-350とフィールドカイトの組み合わせ
▲真横から見た様子
ただ、ガス缶とフィールドカイトとの間にほとんど隙間が無いため、ガス缶にカバーを巻くとこの使い方はできなくなります。
▲フィールドカイトとガス缶との間に隙間はほとんど無い
ST-310の遮熱テーブルとしても使えないことはありません。
▲フィールドカイトとST-310の組み合わせ(ガス缶側の脚が邪魔でフィールドカイトをST-310に近づけられない。ただ、露出しているガス缶の首はST-310の遮熱板で保護されるため問題ないと思われる。)
フィールドホッパーは脚の折り畳み機構が邪魔で下にガス缶が入りませんから、フィールドカイトならではの機能と言えます。
最後に
フィールドカイトはフィールドホッパーよりも随分と軽く、携帯性は大きく向上しました。
ところが、フィールドカイトには致命的な欠点があります。それは天板の縁に壁が無いこと。
フィールドホッパーは縁に低いながら壁があって、置いたものが転がり落ちたり、滑り落ちたりしづらい構造でした。
▲フィールドホッパーの天板の縁は出っ張っている
残念ながら、フィールドカイトにはそれがありません。
上に置いたものが転がったり滑ったら、そのまま天板の縁から下へ落ちてしまいます。
▲フィールドカイトの天板の縁に出っ張りは無い
山の上で「完璧に水平にフィールドカイトを置く」ことは不可能ですから、どんなに頑張っても使用時はフィールドカイトの天板がわずかながら傾きます。そうなると、卵や断面が丸い箸を置いた時はコロコロと転がってしまうのです。
フィールドカイトの場合は「転がったり滑ったらそのまま落ちる」ため、転がりそうなものの周囲に壁となる物を置くなどの工夫が必要です。
なぜ縁の壁にこだわるのかというと、フィールドカイトを初めて山で使ったときの苦い経験があるから。
その時は、お昼ご飯として「スパムむすび」を作りました。
お皿代わりのまな板を持ってくるのを忘れたため、ラップをフィールドカイトの天板に敷き、その上にスパムむすびを並べて景色を楽しみながら食事をしていました。
景色を見てはスパムむすびをフィールドカイトから持ち上げて食べるというのを繰り返していたところ、見るたびにスパムむすびの位置が変わっていることに気づきました。徐々に端へ近づいています。フィールドカイトが少し傾いていたので、スパムむすびが自重で滑っていたようです。
「滑って動く速度がめちゃくちゃ遅いから大丈夫だろう」と大して気にしなかったのですが、最後の一個を食べる直前に「ドサッ」という音と共にスパムむすびがフィールドカイトから落ち、斜面を転がって土とゴミでコーティングされたのを見て(腹が立って)フィールドカイトを蹴り飛ばしそうになりました。
フィールドカイトを山で使おうと考えておられる方はご注意を。
長所
- フィールドホッパーに比べて薄く、軽いため携帯性が高い。
- 天板の下に出っ張りが無いシンプルな形状のため、カセットガスを使うストーブ用の遮熱テーブルとして使える(本来の使い方ではありません)。
短所
- 天板の縁に壁が無く、上に置いたものが転がったり滑った場合、そのまま落ちてしまう。
- フィールドホッパーに比べると、展開・収納が面倒になった。
*1:「フィールドカイト」の取扱説明書の「使用上の注意」では、「・テーブルの上でバーナーなどの燃焼器具を使用すると、調理器具からの輻射熱で天板が高温になりますので注意してください。」とあり、テーブル上での火器の使用は禁止されていません。