播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。原則として更新は週に1回です。

兵庫県赤穂市のビシャゴ岩(3回目)

概要

国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)の研究によると、兵庫県赤穂市は約8,300~8,200万年前にできた直径およそ21kmの巨大なカルデラ(火山の噴火で陥没してできた窪地)の跡(コールドロン)だそうです。

そのカルデラの西の縁は現在の兵庫・岡山県境付近であることが確定しており、今も一部は固い岩肌として残っています*1

ちなみに、このカルデラや赤穂市周辺の地形の成り立ち(カルデラが出来てから浸食を受け、現在のような地形になる経緯)については、平成28年8月13日付「赤穂民報」の1面にイラスト入りで紹介されています。

そんなカルデラの痕跡を見られる赤穂の低山に出かけてきました。
行き先は、国道250号線の兵庫・岡山県境(福浦峠)近くにある「ビシャゴ岩」

ここは2020年6月3日に初めて歩いて景色の良さと雰囲気にハマり、2022年2月26日にも再訪。

今回は3回目で、行きつけのアウトドアショップ常連のOさん(苗字をローマ字表記した頭文字が「O」)が同行されました。


▲ドローンで撮影したビシャゴ岩(矢印の位置に私が立っています)

過去2回は福浦峠の東およそ500mの登山口から登り、ビシャゴ岩から見て東へ700mの愛宕神社方面へ下りました。

今回は、愛宕神社から往復することにします。


▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「備前三石」


▲カシミール3Dで作成したルートの断面図

姫路市街から駐車場へ

08:30
姫路市街の自宅を車で出発。

山陽自動車道を西へ進み、「赤穂」出口で一般道へ下りたら、料金所の先にある丁字路を左折。

丁字路から300m南にある「新田(しんでん)」交差点を右折して国道250号線へ。

「新田」交差点から国道250号線を西へ約5km進むと福浦駐在所に出会いますが、そのすぐ手前(東隣)に駐車場があります。

ここに車を止めました。


▲駐車場の入口(流下式塩田枝条架が目印)


https://maps.app.goo.gl/JCN5MTb9WPxqYbVX6
▲駐車場所(福浦駐在所の隣)の位置

駐車場から登山口へ

09:30頃
駐在所の隣にある駐車場に到着(地図中「P」)。


▲車を止めた場所の様子(ビシャゴ岩が見えている。茶色い壁の建物が駐在所。)

Oさんとは、ここで10時に待ち合わせです。

時間が早いので、駐車場に設置されている案内図や流下式塩田枝条架を眺めて時間つぶし。

10:18
二人とも準備が整ったので出発。

国道250号線を西へ進みます。
駐車場も登山口も国道の北側にあるのですが、歩道は国道の南側にしか無いため、道路を渡って歩道を歩くことに。


▲国道250号線を西へ進む

10:23
駐車場からおよそ450m西へ進んだところにある登山口に到着(地図中「登山口」)。
車に注意して国道を横断し、登山口へ入りました。


▲ビシャゴ岩登山口

登山口からビシャゴ岩へ

登山口から少し登ると、棚田の跡地に出ました*2

道標に従って歩くと、太陽光発電所のパネルを右に、棚田跡の石垣を左に見ながら地形図の破線道を東へ進むことになります。


▲道標が整備されているので道に迷う心配はない

法光寺の北で道は左へ直角に折れ曲がりました。

10:28
愛宕神社に到着(地図中「愛宕神社」)。


▲愛宕神社

愛宕神社の縁起

愛宕神社は何時頃創建されたかは定かではありませんが恐らく福浦正八幡宮の創建の後であると思います
一六七三年頃(寛文年間)以後の創建でしょう!!
元々火の神の守護神として祀られました
天照大神が九州高千穂の地に初めて火を使うことを教えられたとされています
その子孫の火彦霊命(ヒブスナノミコト)が祭神とされています

福浦本町自治会

(出典:拝殿に掲げられている「愛宕神社の縁起」)

ここで山へ入らせて頂く挨拶をし、裏手にある防獣ゲートを開いて奥へ進みました。


▲赤穂コールドロンについての説明パネルが取り付けられた防獣ゲートを通る

防獣ゲートは、2本のピンで扉を固定する仕組みです。


▲ゲートの扉は上下に1本ずつ刺さっている2本のピンで固定されている

防獣ゲートから先も棚田跡を左に見ながら進みますが、やがて竹林に入りました。

この周辺は、瓦の破片や石仏、石碑、石とコンクリートでできた構造物*3等があるので、探検気分で歩けます。


▲ピンクテープが付けられた竹林を進む

道迷いを防ぐためか、2本の竹が両側に設置された道に入って進路が西向きになると、西の谷池に出ました。

10:43
西の谷池は、ゴムシートで底面が覆われたため池です(地図中「西の谷池」)。


▲西の谷池

この池の東端には「弘法大師の霊水」と書かれた道標が設置されています。

前回この山を歩いた時、地元の方に「山仕事で目を怪我した時、弘法大師の水で目を洗えば良くなるという言い伝えがある」と伺ったので、今回はそれを見に行くことにしました。その際に聞いた霊水までの距離は、およそ200mとのこと。

200mなら大したことないかなと思い、地形図の破線道(実際は荒れた山道)を北へ登ります。


▲弘法大師の霊水への道標(先に道があるように見えない)

弘法大師の霊水へ続く道は、谷を上り詰めた先にある古いため池(地図中「古いため池」)へ行くために付けられた道の跡。

池の管理が大変だったから低い場所に新しいため池(西の谷池)を作ったと地元の方に伺いましたから、今は基本的に歩く人がおらず、道はそれなりに荒れています

10:51
だいたい200mほど歩いたかなというところで、湧き水の跡のようなものに出会いました(地図中「弘法大師の霊水(?)」。


▲湧き水の跡のような場所

帰宅後に検索したところ、神戸新聞のWebサイトで2021年5月26日 17時15分に公開された「わが町リポート」、「【赤穂市】霊験あらたか弘法大師の水? 見つけた!」に取材記事と写真が掲載されていました。

それを見ると、私たちが今回見たのとは異なる場所のようです。
記事の中には「もう1カ所同じような場所もあった。」とありますから、それが私たちの見た湧き水跡かも知れません。

西の谷池に戻り、ビシャゴ岩を目指しましょう。

池の北側を西に進みます。


▲西の谷池の北側を西へ進んだ

ため池を過ぎて谷間に出たら、小さな堰堤の上を歩いて沢を越え、すぐ右に折れて山道へ入ります。


▲小さな堰堤で沢を越えた

ここからは地形図の破線道。
広くて斜度が緩いのは、この谷の上にある砂防堰堤(破線道の終点)を建設する際に使われた作業道跡だからかな。


▲昔は車が走れたであろう広い道を登る


▲シシ岩と名付けられた巨岩が道の脇にあった(大きさ比較のために写っているのは私)


▲両側に背の高いシダが生えた区間もある(写っているのはOさん)

それほど斜度がきつくない道を15分ほど歩いたところで、登山道は直角に左へ曲がり、地形図の破線道から離れました。

ここからは、斜度は緩いものの岩がちだったり、ちょっとした流れがあって歩きづらい区間になります。


▲荒れ地のような湿地のような不思議な場所を歩いた(右上にビシャゴ岩)

11:15
「ミミカキ草群生地」と書かれた看板の立つ場所に出会いました(地図中「ミミカキ草群生地」)。

Oさんは植物に詳しいようなので「ミミカキ草ってどんな植物なんですか?」と聞いてみたら、「ここにはなさそう」とのこと。


▲ミミカキ草群生地の看板

この付近が登山道のちょうど真ん中らしく、「五合目」と書かれたプレートが木にかかっていました。

5合目からは、斜度がきつくなって丸太階段が出てきます。

6合目を過ぎると、丸太階段に加えてロープまで出てきました。


▲ロープまで設置された丸太階段の斜面

11:37
9合目を過ぎたところで、「←ビシャゴ岩下廻り」「ビシャゴ岩→」の二方向へ道が分かれる分岐に出会いました(地図中「下廻りコース分岐」)。


▲下廻りコース分岐の様子

今回は三角点ピークを見てからビシャゴ岩に上から行こうと思っていたので、ここは「ビシャゴ岩→」方面へ。

11:39
今度は丁字路に出会いました(地図中「三角点分岐」)。
左はビシャゴ岩、右に行くと四等三角点ピークです。


▲丁字路の様子

まずは三角点ピークへ。
丁字路の道標に書かれている「四等三角点(東奥)」の文言ですが、「東奥」は三角点の点名であって、「三角点がここから見て東にある」という意味ではありません。

11:45
薮を切り開いて作られた細い道を進むと、312.8m三角点ピークに到着(地図中「毘沙門山」)。

東方面が伐採されており、なかなかの展望が楽しめます。

三角点の点名は「東奥」ですが、ピークとしては「毘沙門山」という名前のようです*4


▲毘沙門山の様子

丁字路から三角点までの道中、そして三角点標石の隣には円柱形の杭が埋まっていますが、それらは兵庫県と岡山県の県境を示す杭です。

杭の位置から考えると、三角点標石は岡山県側に埋まっていることになります。


▲三角点標石の右手前に写っている杭は、兵庫・岡山県境を示すもの

お腹もすいてきたので、ビシャゴ岩へ向かいます。
丁字路へ戻り、そのまま直進。

ビシャゴ岩

11:56
展望のない自然林の中を進んでいると、突然目の前に展望が広がりました。
ビシャゴ岩に到着です(地図中「ビシャゴ岩」)。


▲ビシャゴ岩に到着


▲ビシャゴ岩は見事な崖(ドローンで撮影)

ビシャゴ岩からの眺めは、初めてここを訪れた時に撮影した全天球パノラマでご覧ください。

画面左上のリストから、地上で撮影したパノラマと空撮パノラマを切り替えられます。


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/bishagoiwa20200603/virtualtour.html
▲ビシャゴ岩で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2020年6月3日)

このスリル満点の崖の上で頂く本日の昼食は、冷凍ピザ缶詰のおつまみ、そしてノンアルコール白ワインです。

デザートは、広島の洋菓子店「ボストン」のスティックケーキ。たまたま近所のドラッグストアに置いてありました。


▲本日の昼食のために用意した食材

冷凍ピザはストームクッカーのフライパンで焼き、調理用ガスバーナーで表面を炙ってチーズを溶かしました。

缶詰はストームクッカーで湯煎。ノンアル白ワインは樹脂製ワイングラスに注ぎ、ミニボトル入りタバスコを用意すれば準備完了です。


▲完成した昼食

ミニボトル入りタバスコについては、次の記事をご参照ください。

Oさんも私と同じようにストームクッカーで食事を作られていましたが、メニューがドライカレーや野菜スープといった手の込んだもの。いい香りが漂ってきます。

二人で食事を楽しんだ後は、景色や山道具談義で楽しいひと時を過ごしました。

下山

14:38
気が付いたら、山頂に2時間半も滞在していました。
というわけで下山開始。

ビシャゴ岩から南へ延びる小径に入り、ビシャゴ岩の下を反時計周りに延びる道(ビシャゴ岩下廻りコース)を下って11:37に出会った「下廻りコース分岐」に出たら、後は西の谷池を目指して下り、西の谷池から愛宕神社へ向かうだけです。

15:32
駐車場に到着。

やはり二人だと一人では不気味に感じるような場所でも平気ですし、動物に出会う可能性も減る(話声で逃げてくれる)し、いつもの単独山歩きでは経験できない楽しさを味わうことができました。

Oさんにはこの場をお借りしてお礼を申し上げます。

交通アクセス

高速道路を利用する場合は、山陽自動車道の赤穂出口が最寄りです。

公共交通機関を利用する場合はJRの備前福河駅が最寄り駅で、備前福河駅から今回の登山口までの距離はおよそ700mです。

参考情報

  • ビシャゴ岩の登山口や登山道にお手洗いはありません。
  • 「新田」交差点から西へ800mの「七軒家」交差点にセブンイレブンが、JR天和駅前とJR備前福河駅前にお手洗いと飲料の自動販売機があります。
  • ビシャゴ岩への登山口は、私の知る限り2つあります。それらについては、私の過去の山行記録を参照してください。

*1:カルデラ地形は浸食により崩壊して全体像が分かりづらくなっていますが、カルデラの北の端は国道2号線付近、東の縁はたつの市と相生市の境界付近と推定されているようです。

*2:スタンフォード大学が公開している明治時代の5万分の1地形図を見ると、この付近には水田の地図記号が描かれています。

*3:奥さんを亡くした男性が、奥さんの遺影を飾るために作った台座の跡だと地元の方に伺いました。

*4:地元の方に伺うと、毘沙門がなまってビシャゴになったわけではないそうです。そもそも、毘沙門天は別の尾根に祀られているとのこと。