播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

兵庫県たつの市の片山(金輪山)

先日、生命保険の更新手続きをしたのですが、その際に来られた営業の方と話が盛り上がってしまい、簡単な手続きだったのに1時間半もおしゃべりをしてしまいました。

話のネタは「山」。
その営業さんが片山(金輪山:こんりんやま)の麓にお住まいだという話を伺い、「その山なら登ったことありますよ」というところから話が弾んでしまったのですが、その片山へ久しぶりに登ってみることにしました。


▲鶴嘴山から見た片山(金輪山)(撮影日:2018年4月8日)

ルートは、梛(なぎ)八幡神社から尾根伝いに山頂を目指し、下山はその時の気分次第というパターンです。


▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「龍野」


▲カシミール3Dで作成したルートの断面図

09:15
姫路市街の自宅を車で出発。

県道5号線を西へ進み、槻坂(けやきざか)トンネルを抜け、中井橋で林田川を越えてすぐの「中井橋西詰」交差点を右折します。

林田川沿いに県道435号線を北上し、「沢田」交差点を左折。

「沢田」交差点から850mほどで「梛八幡神社←400m」と書かれた標識のある電柱が立つ交差点に出会います。
標識に従ってこれを左折。

参拝者向けの案内看板に従って車を走らせ、梛八幡神社の前を通り過ぎると、神社のすぐ西にハイカー向けの駐車場があります。そこに車を駐めました。


https://goo.gl/maps/wsv5vEUDrExacRHG7
▲駐車場の位置

09:45
駐車場に到着(地図中「P」)。
登山靴に履き替え、GPS受信機の衛星捕捉を待ちます。


▲駐車場の様子

09:52
準備が整ったので、出発。
山に入る前に、まずは梛八幡神社(地図中「梛八幡神社」)にお参りしましょう。

参拝者用の駐車場には、昔ながらの公衆トイレがありました。


▲梛八幡神社のお手洗い

梛八幡神社には立派な拝殿があり、絵馬殿には古い絵馬が多く掲げてあります。


▲梛八幡神社

09:57
神社でお参りを済ませたので、今度こそ出発。
駐車場の西にある登山口から山へ入りました。


▲登山口(矢印が指している木の扉が登山口)


▲登山口の道標(のろし台跡・大住寺方面へ向かう)

登山口にある木の扉(防獣ゲート)は、かんぬきで扉を固定するようになっています。

かんぬきを抜いて扉を開閉し、再度かんぬきを差し込むという方式。おそらく、扉の内からでも外からでも固定しやすいため、この方式が使われているのだと思います。

掛けがねが付いていて、それが開いているのに扉が開かないので最初は慌てました。


▲かんぬきで扉が開かないように固定されている

登山口から稜線までの標高差はわずか20~30mなので、すぐに稜線に出ます。
稜線に出たところは分岐になっており、道標が立っていました。

道標によると、北へ下ると「大住寺方面」、稜線沿いに南西に進むと「のろし台跡」。
「のろし台跡」へ向かって南西に稜線を進みます。


▲稜線を南西に進む

10:05
送電塔に出会いました(地図中「西播線30番鉄塔」)。

送電塔のある場所は景色が良い場合がありますが、ここは木々に囲まれていて展望は楽しめません。


▲西播線30番鉄塔下を通った(振り返って撮影)

10:10
送電塔からしばらく歩くと、山城跡特有の郭跡(くるわあと)*1に出会い、そこからわずかに登って133m標高点に出ました(地図中「のろし台跡」)。

削平されていて、広い空間になっています。
それもそのはずで、このピークは兵庫県立考古博物館の兵庫県遺跡地図によると「衣笠城跡」なのです。

ここに立っている道標には「のろし台跡」という言葉が無いので、「のろし台跡」はこの先にも手前にもない、つまりこの城跡が「のろし台跡」なのでしょう。


▲133m標高点(のろし台跡)の様子(衣笠城跡)

西や北西に延びる尾根上に城跡の痕跡が無いか周辺をウロウロして斜面をのぞき込んでみましたが、植物が多くて地形はよく分かりませんでした。

ここからは、道標に書かれている「大池・小池・片山テレビ塔・島田方面」に向かって南へ進みます。

10:22
一部丸太階段もありましたが、比較的なだらかに南東へ下った鞍部で分岐に出会いました(地図中「分岐(1)」)。

私が歩いて来た方向は「のろし台跡・大住寺方面」、直進(稜線沿い)は「南展望ベンチ・片山テレビ塔・島田方面」、左(谷)は「梛八幡神社・沢田方面・大池・小池」となっています。

テレビ塔が立っている片山山頂へ行くには、直進です。


▲分岐(1)の様子(ここは直進)

分岐(1)から標高160m付近までは、丸太階段で急斜面を上ることになります。

前半は一直線の丸太階段、後半はつづら折れの丸太階段の道です。


▲つづら折れの丸太階段道で急斜面を登る

10:29
尾根が北西と北東に別れる場所(標高160m付近)で、また分岐に出会いました(地図中「分岐(2)」)。

道標によると、私が歩いて来た方向(北西)は「梛八幡神社・沢田・大住寺方面」、北東向きの尾根は「梛八幡神社(東回りコース)」、南は「南展望ベンチ・片山テレビ塔・島田方面」となっています。

山頂を目指すので、「片山テレビ塔」と書かれている方向へ進みました。


▲分岐(2)の様子

ここで斜度は一気に緩み、道はなだらかになります。
自然林に挟まれているため景色はあまり楽しめませんが、楽に歩けて快適。


▲わずかなアップダウンしか無い快適な道

10:40
ベンチがあり、片山山頂を眺められる小ピークを通過(地図中「210m+小ピーク」)。


▲ベンチが置かれた小ピークの様子

この辺りの木々の葉は紅葉が終わって茶色っぽい落ち着いた色合いで、優しい太陽の光に照らされて良い雰囲気になっていました。

鮮やかすぎる紅葉は好きではないので、こんな雰囲気の方が落ち着きます。

10:43
島田方面への分岐を通過(地図中「分岐(3)」)。
道標によると、直進は「片山テレビ塔」、右折して谷へ下りると「島田方面」です。

分岐を無視して直進すると、すぐ目の前にテレビ塔が見えてきました。


▲島田方面への分岐の様子(振り返って撮影)

間もなく、テレビ塔などの点検用道路のヘアピンカーブ先端に出ました。


▲点検用道路に出た

10:48
点検用道路から電波塔に向かって少し上ると、四等三角点(点名:片山)がある場所に到着。

しかし、三角点標石は見当たりません。
実は、三角点は民放のテレビ塔局舎の屋上に設置されているのです。


▲三角点はこの局舎の屋上にある

点検用道路に戻り、NHKのテレビ塔や防災行政無線のスピーカーを左に見ながら南へ進みます。


▲点検用の道路を南へ進む(左に写っているのは防災行政無線のスピーカー)

10:51
開けた場所に出ました。片山山頂の広場です(地図中「山頂」)。


▲片山山頂の広場

この広場は、2010年に私が歩いた時に撮影した画像によると「金輪山展望台」。


▲2010年5月に撮影した看板


▲2010年5月に撮影した広場の様子

周辺の木々が伐採され、木々が葉を落としていることもあって、2010年に来たときよりも圧倒的に展望が良くなっています。


▲ドローンで撮影した山頂広場の様子(左奥は的場山)

山頂広場からの眺めを、一眼レフカメラを使って全天球パノラマで撮影してみました。


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/katayama20221211/index.html
▲片山の山頂で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2022年12月11日)

昼ご飯を食べるのには少し早かったので、ドローンを使った空中全天球パノラマも撮影。


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/katayama20221211aerial/index.html
▲片山の山頂上空で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2022年12月11日)

広場の東端には土塁の痕跡のようなものがあったり、南側には何段か郭跡のような削平地があったり、山城っぽさが感じられる山頂ですが、兵庫県立考古博物館の資料では「片山東山遺跡」という弥生時代の散布地だそうです。

この景色を楽しみながら頂く本日の昼食は、アメリカ軍の戦闘糧食「MRE」のNo.21「Tuna, Chunk, Light, Water Packed, Lemon Pepper」。


▲本日食べた戦闘糧食のパッケージ(ツナのパッケージが迷彩柄になっているのが面白い)

トルティーヤにチーズスプレッドを塗り、ツナとマヨネーズを包んで食べます。
シンプルだけど美味しい。


▲トルティーヤにツナマヨを巻いて食べる

太陽が雲に隠れると体感温度が下がりますが、それでも気温は17度ほど。
弱い風が木々の枝を揺らす音が心地よく、私にとっては快適そのもの。

ドローン操縦や全天球パノラマ撮影、昼食、そして双眼鏡を使って周辺の様子を観察しながら過ごしていたら、12時をとっくに過ぎていました。

誰も来ない静かな山の上で、のんびりと好きなことをして過ごすのは、私にとって最高のストレス解消法です。

12:20
下山開始。
往路を引き返します。

分岐(3)から島田方面へ下山するという方法もありますが、下山後に駐車場に戻るのが面倒なので、分岐(3)は素通り。

12:35
分岐(2)に来ました。

ここを左(北西)に進んで往路を完全に逆にたどるか、分岐(1)から神社へ下るか、あるいは北東へ進んで東回りコースで梛八幡神社へ下りるかの3つの選択肢があります。

往路を逆にたどると、のろし台跡のある133m標高点への登り返しがあります。大したことは無いのですが、下山途中の登り返しは腹が立ちますし、分岐(1)から神社への道は北向きの薄暗い谷間だと思われます。

そこで、尾根伝いを歩けそうな東回りコースで下りることにしました。

12:37
分岐(2)から北東へ僅かに下った後、同じく僅かに登り返して160m+の小ピークに到着(地図中「160m+小ピーク」)。

分岐は無く、道標はこれから進むべき方向(北)を指して「梛八幡神社」となっていました。


▲160m+小ピークの様子

ここからは、北へ延びる尾根をつづら折れの道で下っていくことになります。


▲つづら折れの道を下った

標高100m付近で突然道は南へ向きを変え、等高線と平行に進んで広い谷間に出ました。結局谷を歩くのか…

下の写真で見ると雰囲気が良さそうな谷ですが、落ち葉の下に石や枝が落ちていて、非常に歩きにくかったです。


▲広い谷を北へ下る

谷を下り切った所は地形図に描かれている地図記号の通り竹林になっていますが、荒れています。


▲荒れた竹林を通り抜ける

竹林を抜けたら左(西)へ向きを変え、立派な遊歩道(?)を進みました。


▲広い遊歩道を進んだ

12:53
池の南側で小屋に出会いました(地図中「小屋」)。

不思議なことに、小屋の横に立っている道標には西と東のどちらに対しても「梛八幡神社」と表記されています。

東は今さっき歩いて来た方向なんだけどな。


▲池の畔に立つ小屋の様子(道標は東西両方を指して「梛八幡神社」となっている)道標が「のろし台跡・片山テレビ塔・島田方面」と指している方向は、分岐(1)につながっている道かな?

「池の周囲をぐるっと回れば駐車場に戻れるだろう」と考え、西へ。

池には鴨が沢山いたらしく、私の足音に驚いて一斉に飛び立ったのですが、鴨がいることに気づいていなかったため、その羽音と水音に心臓が止まるほどびっくりさせられました。

立派な遊歩道で池の北に着いたら、かんぬきがかかった木製の防獣ゲート(登山時に通ったのとは別のゲート)があります。

このゲートを抜けて左へ進むと、間もなく駐車場。


▲このゲートを出て左へ進むと駐車場

13:00
駐車場に到着。

13:35
自宅に到着。

帰宅後に調べたら、2010年にこの山を歩いたときも東回りコースで下山していました。

12年も間があけば、道の様子も変わるので初めての山と同じ感覚で楽しめますね…というか、自分の記憶力が弱すぎてショックです。

そもそも、登る前に前回の記録を見ておくべきでした。
次回は島田方面のルートを歩こうかな。その時まで覚えていられるかな。

追記

結局、2週間後の12月24日にもう一度片山に行きました。


交通アクセス

今回私が登山口として使った梛八幡神社の最寄り駅は、JRの「東觜崎(ひがしはしさき)」駅です。
駅から神社までは、およそ1.6km。

JRを利用する場合は、片山山頂からアンテナの点検道路を南へ下り、JRの「本竜野(ほんたつの)」駅を利用することでちょっとした縦走も楽しめます。

片山の南麓からJR本竜野駅までは、およそ1.3kmです。

*1:山の斜面を削って平らにした場所。