播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

補給艦ましゅう(AOE425)一般公開@姫路港

本日は、久しぶりに自衛隊関連イベントに出かけてきました。

行き先は姫路港。
目的は、補給艦ましゅう(AOE425)の一般公開です。

補給艦の艦名には湖の名前が使われることになっており、補給艦ましゅうの「ましゅう」は、北海道にある摩周湖から取られた名前です。


▲補給艦ましゅう(AOE425)

主要性能要目
基準排水量:13,500トン
全長:221m
最大幅:27m
深さ:18.0m
喫水:8.0m
定員:145名
軸数:2軸
軸馬力:40,000PS
主兵装:洋上補給装置一式
主機械:ガスタービン(20,000馬力×2)
速力:24kt
(出典:補給艦ましゅうのパンフレット)

イベント名称: 姫路港 飾磨ふ頭「補給艦」見学
公開される艦艇: 補給艦ましゅう(AOE425)
日時: 2022年7月16日(土)10:00~16:00
    2022年7月18日(月)10:00~16:00
場所: 姫路港 飾磨ふ頭
備考: 

  • 駐車場はありますが、公共交通機関の利用が推奨されています。
  • 見学者が多数の場合、見学できない場合があります。
  • 荒天時など、中止される場合があります。
  • 売店はありません。飲み物などは事前に準備が必要です。
  • お手洗いは艦内にありません。
  • 艦内で飲食、喫煙はできません。
  • 艦内では梯子のような階段の上り下りがあるため、スカートやハイヒールなどは不可。
  • 日本国籍を持っていない方や、段差、梯子の上り下りができない方は見学不可。

補給艦がどういった船かご存じない方も多いと思いますので、簡単に説明します。

補給艦とは、名前の通り味方の艦艇に燃料や真水、食糧、武器弾薬を海上で補給するための船です。

具体的には、補給対象の船と併走しながら船と船の間にロープを張って、そのロープを使って燃料や水を送るホースを相手の船に接続したり、荷物を積んだカゴをロープウェイのように動かして相手の船に物資を補給したり、飛行甲板に置いた荷物をヘリコプターで相手の船に積み替えるといった作業を行います。

アメリカ海軍の強襲揚陸艦バターン(USS Bataan,LHD-5)が補給艦から燃料や物資の補給を受けている動画がYouTubeにありますので、転載します。

最初に補給を受ける側の乗員がライフルを使ってゴム弾を発射していますが、このゴム弾には細いワイヤーが付けられていて、補給艦にゴム弾が落ちたら、補給艦側でそのワイヤーにロープを結びつけます。

補給を受ける側の乗員が最初に発射したワイヤーを人力でたぐり寄せると船と船の間にロープが張られることになり、そのロープをもとに補給作業を行うわけです。


www.youtube.com

今回の一般公開には当初車で行こうかと思ったのですが、もし駐車場に空きが無いと困りますから、公共交通機関を使うことにしました。

山陽電車の飾磨駅から無料のシャトルバスが運行されるということで、9時頃に山陽飾磨駅に到着するように自宅を出発。

山陽飾磨駅北側にあるバス停の北がシャトルバス乗り場になっていました(山陽飾磨駅構内に案内図が掲示されていました)。

シャトルバスは、陸上自衛隊のマイクロバス。
私が山陽飾磨駅に到着した時点で30人近くの待機列ができていましたが、乗車できる人数が二十数人のため、9時に発車するシャトルバスの第1便には乗車できませんでした。

シャトルバスは1台でピストン運行しているため、バスが戻ってくるまで20分ほど待つことに。

第2便のシャトルバスは補給艦ましゅうの受付から延びる見学者の行列最後尾まで進み、乗客はそこで降車。

間近でみる補給艦ましゅうは大きい!


▲乗艦待ちの行列

行列はゆっくりと進んでいき、列に並んでから15分ほど経過した10時頃に乗艦できました。

なお、乗艦用の舷梯手前のテントで手荷物検査があります。
ペットボトル飲料や水筒を持っている場合は、危険な液体ではないことを証明するために、検査担当の自衛官の前で実際に中身を一口飲んでみせないといけません。


▲乗艦用の舷梯(手前)奥は退艦用

乗艦したところは、左舷中央付近。
入っていきなり視界に飛び込んでくるのは、巨大な補給用冷蔵庫(冷凍庫)です。

貼られていた説明によると「この巨大冷蔵庫で、中核都市の人口1食分の食事を担う事ができます!」とのことです。


▲補給用冷蔵庫(冷凍庫)

補給用冷蔵庫(冷凍庫)
 ましゅうは、巨大な冷蔵庫×2・冷凍庫×1装備しています。
 補給艦は、燃料補給のイメージが強い印象ですが食料補給も大事な任務の一つです!
(出典:現地の掲示物 原文まま)

巨大な冷蔵庫前から艦首の方へ向かいますが、その通路は幅が広い!
それもそのはずで、ここはフォークリフトの通り道になっているのです。


▲冷蔵庫前から艦首へ続く通路の様子(通路の中央にフタがされた溝がある)

通路の真ん中にはフタが被さった溝がありますが、それはフォークリフトから伸ばした棒を差し込むためのもので、フォークリフトが溝に沿って真っ直ぐ走れるようにする目的があるそうです。

順路に従って通路から右へ曲がると、広い空間に出ました。
艦内荷扱所です。


▲艦内荷扱所

艦内荷扱所
 物資置場、災害派遣の避難場所等で活用される「艦内荷扱所」ですが、乗員の体育できる場所としても、有効活用されています!
 サッカー・キャッチボール・筋トレ場として乗員の憩いの場として使用されています!
(出典:現地の掲示物 原文まま)

艦内荷扱所を通り抜けて右舷側の通路に入り、フォークリフト用の溝がある広い通路を艦首の方へ進んでいくと、また広い空間に出会いました。

そこは第1弾薬格納所


▲第1弾薬格納所

第1弾薬格納所
 ミサイル・魚雷・砲弾等を保管できる内径100メートル超える巨大な区画です。
 弾薬以外でも、物資の集積、災害派遣での一時的な退避場所として活用されます!
(出典:現地の掲示物 原文まま)

第1弾薬格納所には、3種類のバッテリー式フォークリフトが展示されていました。


▲フォークヘッドトロリ1型


▲フォークヘッドトロリ2型


▲サイドフォークトロリー

第1弾薬格納所の様子は、下の全天球パノラマでご覧ください。


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/mashu20220716-1/index.html
▲第1弾薬格納所で撮影した全天球パノラマ

第1弾薬格納所を通り抜けて左舷側の通路に入ったら、艦首の方へ進みます。


▲第1弾薬格納所から艦首へ向かう通路は狭い

通路の奥で急角度の階段を登ると、前部甲板に出ます。

第1弾薬格納所の全天球パノラマでは行列が写っていましたが、それは前部甲板へ上がるための階段を登るのに時間がかかるから。

下の画像をご覧ください。
急角度で狭い階段のため、特に子供連れの方は登るのに時間がかかるのです。


▲前部甲板へ上がるための階段

狭くて急な、まるで梯子のような階段を登ってハッチから外へ出ると、そこは前部甲板

補給艦ならではの、先端が外側に向けて曲がった柱が視界に入ります。


▲階段を登ったところにあるハッチから出てすぐ見える景色

ここからは、燃料を補給するための第2補給ステーション、食糧、弾薬、ミサイルを補給するための第4補給ステーション、燃料と真水を補給するための第6補給ステーションを見ながら、甲板の左舷側を艦尾に向かって進みます*1


▲第2補給ステーション(燃料)


▲第4補給ステーション(食糧、弾薬、ミサイル)中央にはクレーンが写っている

第4補給ステーションは、左下に写っているカゴ(トロリー)に物資を入れ、補給艦と補給相手の船の間に張ったロープ上を走行させて物資を運びます。


▲物資を運ぶためのカゴ(トロリー)。トロリーの右にある小さな箱状のものは、人を運ぶためのボースンチェア(吊腰掛)。

第4補給ステーションの近くには、もやい索発射器があります。
これでロープを相手の船に向けて発射し、船と船の間にロープを張るそうです。


▲もやい索発射器

もやい索発射器
 もやい索発射器は、遠く離れた場所にロープを送る作業で使用します。
 火薬を使用する発射器も、ありますが、このタイプは、圧縮空気を使用するため、大変コスト面で、優れています!
 水平発射距離は、最大で約140m!
(出典:現地の掲示物 原文まま)


▲第6補給ステーションのホース先端


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/mashu20220716-2/index.html
▲第2補給ステーション近くで撮影した全天球パノラマ

第6補給ステーション前を通過した先にあるのは、補給艦ましゅうの艦橋

この見た目から、通称「ぬりかべ」と呼ばれているそうです。


▲補給艦ましゅうの艦橋(通称ぬりかべ)


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/mashu20220716-3/index.html
▲艦橋前で撮影した全天球パノラマ

艦橋前からは、左舷の通路を通って艦尾へ向かうのが順路。


▲艦橋から艦尾へ続く左舷の通路

艦尾はヘリコプター用の飛行甲板になっており、格納庫もあります。


▲飛行甲板から見た格納庫


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/mashu20220716-4/index.html
▲飛行甲板で撮影した全天球パノラマ

飛行甲板に護衛艦旗と記念撮影をする場所があったり、格納庫の中では、潜水用具や消防用具、戦闘糧食の展示、子供向けに制服を着て記念撮影をするコーナーも用意されていました。


▲戦闘糧食の展示


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/mashu20220716-5/index.html
▲格納庫内で撮影した全天球パノラマ

飛行甲板と格納庫を見学したら、飛行甲板、または格納庫内の階段で1フロア分の高さを下り、医務室を見学してから退艦しました。


▲医務室(レントゲンや集中治療室まで備えられている)


▲退艦後に艦尾から撮影した補給艦ましゅう

帰りのシャトルバス乗り場の位置が分からなかったのと、姫路駅行きの路線バスの発車時間が近かったこともあり、帰りは姫路港バス停から11:35発の路線バスで姫路駅へ戻りました。

今回は、乗艦時に補給艦ましゅうの「護守印(ごしゅいん)」(御朱印の護衛艦版)が配付されていました。こういうのを見ると、集めたくなってしまう...


▲補給艦ましゅうの護守印


交通アクセス

今回、補給艦ましゅうが公開された姫路港 飾磨ふ頭は、下の地図で赤いピンが立っている場所です。


https://goo.gl/maps/UBUkH7EmtZ67gpNJ6
▲補給艦ましゅう見学会場の位置

*1:奇数番号の補給ステーションは右舷、偶数番号の補給ステーションが左舷にあります。