播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

姫路市御国野町深志野の浦山(119.3m)

本日は最高気温が25度という天気予報が出ていますが、この気温は暑さに弱い私にとっては山歩きができる上限です。
そこで、楽に歩ける超低山に出かけてきました。

行き先は、姫路市御国野町深志野にある浦山(うらやま)。


▲思出川にかかる深志野橋付近から見た浦山

2010年に2回登ったきりなので、久しぶりに歩いてみたくなりました。

浦山にはハイカー向けの駐車場がありませんから、公共交通機関を使うことにします。

浦山の麓には車を置ける空きスペースはありますが、私の場合は超低山と言えども昼食に時間をかけてのんびり過ごすため、駐車時間が長くなります。

そうすると地元の方とトラブルが起こる可能性が高くなるので、駐車場がない山は基本的に公共交通機関で出かけることにしています。


▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「姫路南部」と「姫路北部」


▲カシミール3Dで作成したルートの断面図

08:50
JR姫路駅の北側にある神姫バス16番のりば*1を22系統「夕陽ヶ丘」行の路線バスで出発。

09:21
ダイヤ通りの時刻に「深志野本町」バス停に到着し、下車しました(地図中「深志野本町バス停」)*2
運賃は¥250。

路線バスは会社によって乗り方や仕組みが異なりますから、念のため神姫バスの乗り方を簡単に紹介します。

神姫バスの路線バスは後ろのドアから乗車し、前のドアから降車します。乗車したバス停によって番号が変化する整理券を乗車時に取り(始発の場合は整理券が出ないことがある。整理券がないのは始発から乗ったという扱い。)、その整理券の番号に応じた運賃(整理券がない場合は「なし」の運賃)を前方の運賃表示で確認した上で、降車時に運賃箱にお金を投入するという乗り方。交通系ICカード利用の場合は整理券が不要で、乗車時と降車時の両方のタイミングでタッチします。乗車時にもタッチするのは、乗車場所によって運賃が変化するため。
運賃箱は釣り銭を出せないので、小銭が少なく運賃をぴったり払えない場合は、運賃箱に併設された両替機を使用します。近年は、現金を使わず交通系ICカードで支払う方が多いです。


https://goo.gl/maps/3J2spCFxkjhBBtWC7
▲「深志野本町」バス停の位置

「深志野本町」バス停がある変形四差路から西へ進みます。
この道沿いでは途中で火の見櫓に出会いますが、その下に飲料の自動販売機があるため、飲料が足りない場合はそこで補充が可能です。


▲「深志野本町」バス停がある四差路

350mほど歩いたところで思出川を渡ったら、すぐに右に曲がって川沿いを北上


▲思出川を渡ってすぐ右に曲がる

思出川の右岸*3を道なりに200mほど進むと、浦山への登山口がある妙見神社にたどり着きます。


https://goo.gl/maps/nwUZQCPLMJT3GjK29
▲妙見神社の位置

09:31
妙見神社に到着(地図中「妙見神社」)。

山に入らせて頂くため拝殿で挨拶(お参り)し、マスクを外したり飲み物を用意するなど山歩きの準備を整えました。


▲妙見神社の入口(鳥居は文化11年=西暦1814年のもの)右の車道への車両の進入は禁止(鎖が張られている)


▲妙見神社の社殿

深志野構居跡
 地元では「官兵衛の家老屋敷跡」と伝わる。『飾磨郡誌』には「播陽里翁説」として「深志野の構居は御着の枝城にして、領主は小寺孫四郎又小寺官兵衛といふ、三木の城主別所小三郎が官兵衛の館に逆に押寄せけるといふは即ち此構居也、官兵衛は御着小寺の家臣にして一時は深志野の構居に居住すといへり、今この構居址の南に馬場の跡あり」とある。門前池の南は「門前」、その手前の思出川の南は「構居所」、さらにその南は「宿所」と呼ばれており一帯が武家屋敷に関わる特別の地域であったことが分かる。特に諏訪大明神の祠が残るところは、その裏の竹林に深濠や石垣が数カ所残っている。ここ浦山麓は御着城の北方にあたり、かつて敵対していた別所軍をここで撃退したという言い伝えも残っている。

妙見神社
 深志野北西部の妙見神社遺跡内に鎮座している妙見神社は、「西の宮」とも呼ばれている。
 創建時期等については不明だが、『播陽里翁説』によると、牛堂山先住のヨウクハンという僧が、但馬の妙見山(養父市八鹿町)の名草神社に祀られている妙見明神(北辰北斗を神とする)を勧請したとある。

平成二十五年十二月 姫路市教育委員会

(出典:現地の看板)

09:37
出発。
社殿の右後ろから始まる「浦山登山道」に入ります。


▲社殿の右後ろに登山口がある

道は雑木林の中を通るなだらかな道で、木陰の中を歩くことになるため暑さに弱い私にとっては快適。
景色は楽しめませんし蜘蛛の巣がたくさんありますが、暑いよりマシです。


▲登山道の様子

数分ほど歩いたところで、岩の斜面に出会いました。
距離は僅かですが景色が楽しめますし、道の様子に変化が出るおかげで楽しく歩けます。


▲ちょっとした岩の斜面

09:49
四等三角点(点名:浦山)が埋設されたピークに到着しました(地図中「ピーク(1)」)。

「浦山展望台」と書かれたプレートがありますが、木々が生長していて展望は楽しめません。ベンチの横にある岩の上に立てば、桶居山方面を眺められる程度です。


▲三角点ピークの様子

参考のため、2010年に撮影した同じ場所の写真を紹介します。当時は展望が楽しめたのですが…


▲同じ場所の2010年当時の様子


▲四等三角点標石(点名:浦山)

地形図を見ると分かるとおり浦山は3つの小ピークが並んでおり、三角点標石があるのが西端で、その東にもう2つの小ピークがあります。

三角点ピークは展望が楽しめないので、東隣のピークへ向かうことにしました。

標高差20m程度を東へ下り、急な坂で30m弱の標高差を登ると2番目の小ピークです。

09:56
2番目の小ピークに到着(地図中「ピーク(2)」)。
展望はありませんでした。


▲2番目の小ピークの様子

しかし小ピークから東へ少し下った登山道には、南東方面の景色を楽しめる場所がありました。

道に座り込んで食事をするのはイヤですから、展望を期待して東端にある3番目の(道標では「山頂」とされている)ピークを目指します。


▲2番目と3番目の小ピークの間にある道標

20m弱の標高差を下ってから20m弱を登り返すと、3番目の小ピーク。

10:00
3番目の小ピークに到着(地図中「ピーク(3)」)。
展望どころかピーク感すらありません。


▲3番目の小ピークの様子

どのピークも展望が楽しめませんでしたが、こんなこともあろうかと確実に展望が楽しめそうな場所を事前にGoogleマップの航空写真で確かめていたので、そこを目指してさらに東へ進むことにします。

3番目の小ピークから少し東へ下った所では、2番目のピークの時と同様に展望を楽しめました。

浦山はピークで展望が得られない代わりに、登山道の所々から景色を楽しむ山のようです。

10:04
「下山道へ」と書かれた道標を過ぎると、その直ぐ先で二股の分岐に出会いました(地図中「分岐(1)」)。


▲「下山道へ」の道標

下の写真では分岐に見えないかも知れませんが、矢印が示している場所に「登山道Aコース」(右)「登山道Bコース」(左)と書かれた道標が設置されています。


▲二股の分岐

私が選んだのは左の「登山道Bコース」
「登山道Bコース」は北にある姫路南支線7番鉄塔へ通じる道です。


▲奥に見える姫路南支線7番鉄塔を目指す

10:08
姫路南支線7番鉄塔の下に来ました(地図中「姫路南支線7番鉄塔」)。
期待していたとおり、展望が開けています。


▲姫路南支線7番鉄塔下の様子

ここでゆっくり休憩しようと思ったら、2羽のカラスが大きな声を上げて鉄塔の周囲を飛び回り始めました。

「ひょっとすると、鉄塔に巣を作っているのかな」と思って鉄塔を見上げると、予想通り巣のような物が見えます*4

私が突然鉄塔の下に現れ、カラスが慌てたようです。


▲姫路南支線7番鉄塔の「C脚」に作られていた鳥の巣

ところで、「なぜ鉄塔の名前を知っているの?」と疑問に思われている方もおられるでしょう。

実は、送電用の鉄塔には名前が書かれているのです。鉄塔の名前や鉄塔の脚の名前については、過去にこのブログで紹介したことがありますので、興味のある方はご覧ください。

襲ってくる様子はなさそうなので、カラスは気にせず鉄塔下の岩場に荷物を広げて休憩開始。


https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/urayama20220522/index.html
▲姫路南支線7番鉄塔下で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2022年5月22日、撮影機材:Ricoh THETA Z1)

昼ご飯を食べるには時間が早すぎますから、しばらくは木陰にイスを置いて双眼鏡で景色を楽しみながらぼーっと過ごし、それから固形燃料とエスビットポケットストーブでゆっくりお湯を沸かして食事を準備しました。

本日の昼食は、陸上自衛隊の戦闘糧食の市販品(日本ハムが販売)「ポークソーセージステーキ」です*5


▲ポークソーセージステーキのパッケージ


▲本日の昼食

塩味が控えめのランチョンミートといったところかな。
歯ごたえも味も良く、薄味なのにご飯が進みます。

デザートはワッフルとコーヒー。
このコーヒーは、アメリカ軍の戦闘糧食に付属していたものです。

本日の昼食はおかずが自衛隊、コーヒーがアメリカ軍というミリタリー色たっぷりの食事でした。


▲本日のデザート

鉄塔下からの眺めを写真で紹介します。


▲鉄塔下から見た姫路城


▲鉄塔下から見た花田インターチェンジと花田の大型電気店


▲鉄塔下から見た桶居山(中央奥)


▲鉄塔下から見た庄山

11:52
昼食と展望を満喫し、妙見神社へ向けて下山開始。

歩き始めてすぐ、二股の分岐に出会いました(地図中「分岐(2)」)。
往路では右の道から鉄塔へ行ったので、(どこへ続いているかよく分かりませんが)帰りはもう一方の道を歩くことに。


▲往路は右から来たので、歩いていない左の道へ入った

左に入ると、等高線と平行な道になっていました。
これは送電線の巡視路かな?

不思議なことに、今回のルート上では巡視路標識(赤い「火の用心」プレート)をまったく見ませんでした。


▲等高線と平行なトラバース道

11:55
間もなく登山道A・Bの分岐に出てきました(地図中「分岐(3)」)。
妙見神社へ引き返すので、ここは登山道Aの方へ進みます。


▲この分岐に出てきたので登山道Aの方へ進んだ

後は往路をそのまま引き返すだけです。

12:20
妙見神社に下りてきました。

ここでバックパックや服についた蜘蛛の巣やゴミ、汚れを落としてからJR御着駅へ向かいましょう。

途中で「真福寺の石棺仏」なる石仏を見つけたので、ちょっと寄り道(地図中「石棺仏」)。

兵庫県立考古博物館の兵庫県遺跡地図によると、ここは「真福寺西方遺跡」とのことです。


▲真福寺の石棺仏(右が一の石棺仏、左が二の石棺仏))

真福寺の石棺仏
一.現高一一六cm幅七七cmの凝灰岩製の家形石棺蓋の内側に像高四六cmの地蔵立像が彫られている。
無銘であるが、様式から室町時代の作と推定されている。

二.向かって左側の石棺仏も現高一四三cm幅九六cmの凝灰岩製の蓋に、四角の輪郭を彫り、更に光背形に彫りくぼめて、定印の阿弥陀像を薄肉彫りにしたもので、銘文より大永七年(一五二七)両親の供養のために造立したことがわかる。

平成二十五年三月 姫路市教育委員会

(出典:現地の看板)

思出川の右岸沿いの道を南へ下り、播但道の高架のすぐ下の橋(名前は無い)で思出川を渡ったら、今度は川の左岸沿いの道を南下します。

国道2号線を渡っておよそ90m南にある天川橋で天川を渡り、そのまま西へ進んで「御国野南」交差点を渡ります。

そして、最初の角を左に曲がって150m進めばJR御着駅です。

妙見神社からの距離は、およそ1.6km。

12:47
JR御着駅に到着。


▲JR御着駅

13:07
網干行の普通電車で御着駅を出発。

13:13
姫路駅に到着。運賃は¥190。


交通アクセス

自家用車の場合は、妙見神社のすぐ下や、150mほど東にある五社宮神社に駐車する方が多いようです。
ただし、無断で駐車するとトラブルになりかねませんからご注意ください。

公共交通機関の場合は、電車ならJR御着駅、路線バスでは神姫バスの「深志野本町」バス停が最寄りです。

*1:JR姫路駅と山陽電鉄の姫路駅の間には、神姫バスの1番から18番までの乗り場(11番と12番は高速バス用)があります。1番から5番まではJR姫路駅の北口を出てすぐ左前、6番から10番までは陸橋で道の反対側へ渡った先にあり、13番から18番まではその間にある島状のスペースの周囲に作られています。島状のスペースに行くには陸橋からエレベーターまたは階段で下りるか、JR姫路駅北口を出て地下通路に下りてから島状の乗り場へ上がる必要があります。

*2:深志野本町バス停は、北行き(夕陽ヶ丘方面)のバス停には標柱がありません。姫路駅方面のバス停の標柱の向かい側で乗り降りすることになります。

*3:川は曲がりくねっているため、川の片側を示す時には東西南北ではなく左岸・右岸という表現を使います。川下を向いて川の中に立ったとき、左になるのが左岸で、右が右岸です。今回歩いた思出川沿いの道は、この区間に限って言えば川の西が右岸になります。

*4:帰宅後、「姫路南支線7」鉄塔にカラスの巣のようなものがあることを関西電力に連絡しました。電柱や送電塔に鳥が巣を作ると停電の原因になるため、そのような巣を発見したら電力会社に連絡することになっています(電力会社各社がWebサイトで鳥の巣を見つけたら通報するよう案内しています)。後日、電気的に問題がないため巣はそのまま残すことになった旨、関西電力さんから連絡がありました。

*5:ポークソーセージステーキは市販品と官給品で重さに違いがあり、前者は110g、後者は150gです。自衛隊では、ポークソーセージステーキとパックの白飯(200g)とパックの山菜飯(200g)が1食分として一緒に配給されます。