2022年11月5日追記
メスティンに穴を開けなくても湯切りができる、純正のアクセサリーが発売されました。次のリンクからご覧ください。
追記ここまで
パックご飯を温めたり、パスタを茹でるのに便利そうなクッカーはないかなと探していたとき、アウトドアショップでラージメスティンを見かけて、「ラージメスティンってパックご飯が入りそう。丸いクッカーより長さもあるし、パスタを茹でるにも便利かも。」と思いつきました。
その時に衝動買いをしたラージメスティンを山歩きで時々使用しているので、今回はそれを紹介します。
▲ラージメスティン
概要
2019年~2020年頃に大流行したメスティンの大型版です。
www.youtube.com
▲メーカー公式の紹介動画
仕様
▲ラージメスティンのパッケージ
製品名: トランギア ラージメスティン(TR-209)
メーカー: Trangia AB(スウェーデン)
寸法: 20.7cm×13.5cm×7cm(カタログ値)
総重量: 約270g(カタログ値)
容量: 1,350ml
材質: アルミニウム(無垢)
板厚: 0.8mm
生産国: スウェーデン
定価: 2,750円(税込)
購入価格: 2,750円(税込)
購入先: sproutzero(姫路市)
輸入販売元: イワタニ・プリムス株式会社
外観
メスティンをそのまま大きくしただけで、特にこれといった特徴はありません。
▲収納状態のラージメスティン
▲取っ手を展開し、フタを外したラージメスティン
ラージメスティンの大きさは、パックご飯をそのまま入れられるサイズです。
ご飯を炊く代わりに湯煎でパックご飯を温めれば、そこそこ美味しいご飯を確実に食べられます(炊飯に失敗すれば、焦がしすぎたり芯が残ったりして、食べるのがツライご飯を食べる羽目になります)。
▲ラージメスティンとパックご飯のサイズ比較
もちろん、袋麺も割らずに調理できますし、一般的なレトルト食品も湯煎できます。
▲ラージメスティンと袋麺の大きさ比較
袋麺を調理するとき、一般的にはお湯は500ml必要になると思います。
ラージメスティンの場合、リベットの少し下くらいまで水を入れればおよそ500mlになるので、覚えておくと良いかも(個体差があるかも知れないので、お手持ちのラージメスティンで調べることをお勧めします)。
▲ラージメスティンに500mlの水を入れたときの水面の高さ(おおよその目安程度にしてください)
ただ、ラージメスティンでラーメンを調理して食べる場合、ラーメンが入ったラージメスティンの取っ手を持つと、重くて持ちづらいことに注意が必要です。
また、素材がアルミで熱伝導率が高いため、縁が熱くなってスープを飲むのが至難の業になります(唇を火傷する)。
パスタに関しては、長さが一般的なスパゲティの2/3になった「小鍋でつくれる早ゆでスパゲティ FineFast」であれば、折らずにラージメスティンで茹でられます。
一般的にアウトドアでは、通常の長さのスパゲティを折って調理する方が多いようですが、個人的には折って短くなったスパゲティはスパゲティらしさが感じられにくいので苦手。同じ理由で、袋麺を割って茹でるのもイヤです。
「小鍋でつくれる早ゆでスパゲティ」は、通常の製品よりは短いですが、折って短くなったスパゲティよりよっぽどスパゲティらしさがあって、満足感が味わえます。
▲2/3サイズのスパゲティとラージメスティンの大きさ比較
ラージメスティンは、トランギアと同じスウェーデンのメーカー「WILDO」が出しているキャンプボックス(輸入販売元は株式会社アンプラージュインターナショナル)がすっぽり入るので、クッカーと食器をラージメスティンだけの体積で持ち運べます。
キャンプボックスには2/3サイズのスパゲティが収まりますから、スパゲティを安全に運ぶための容器としても使えます*1。
▲ラージメスティンにキャンプボックス ライトを入れた様子
ラージメスティン用のアクセサリ
ラージメスティンを快適に使うために、私が購入した純正アクセサリ類を紹介します。
ラージメスティン用EVAケース
型番: TR-619201
重量: 200g
定価: ¥3,080(税込)
ラージメスティン専用に作られたセミハードケースです。
見た目の良さがたまりません。
実用性も充分。
▲ラージメスティン用EVAケース
▲ラージメスティン用EVAケースにラージメスティンを入れた様子
ラージメスティン用SSメッシュトレイ
型番: TR-SS209
重量: 約55g
定価: ¥935(税込)
ラージメスティンを蒸し器として使うための網です。
▲ラージメスティン用SSメッシュトレイのパッケージ
ラージメスティンの中にセットすると、底から網の上までの高さはおよそ1.5cmになります。
▲メッシュトレイをラージメスティンの中にセットした様子
メッシュトレイの上からラージメスティンの縁までの高さは、約4cm。
フタを閉じた時、フタの天面は本体の縁から1cmほどの高さになるので、メッシュトレイから蓋の内側までの高さは5cmほどになります。
コンビニで一般的に売られている中華まんの高さは4.5cmほどですから、ギリギリ収まる高さ。
▲メッシュトレイ上面からラージメスティンの縁までの高さは約4cm
「メッシュトレイを入れると、ラージメスティンの収納力が下がるのでは?」と思われるかも知れませんが、収納時はメッシュトレイを裏返して中に入れることで、ほとんど邪魔にならなくなります。
▲メッシュトレイをラージメスティンに収納するときは裏返す
メッシュトレイを裏返して収納すれば、メッシュトレイの上に前述のキャンプボックス ライトが問題なく収納できます。
ラージメスティンの穴あけ加工
ラージメスティンはスパゲティを茹でるのに使えると既に書きましたが、茹でた後の湯切りが面倒です。
家庭なら流し台にザルを置いてザバーっとゆで汁を捨てられますが、山の上でそんなことはできません。
山の上ではゆで汁を捨てられないため、適当な容器に回収しなくてはいけないのです。
ザルを山に持って行くなんてことをせず、ゆで汁だけを回収するための手軽な方法を調べていたら、メスティンの角に穴を開ける方法がYouTubeに紹介されているのを見つけました。
www.youtube.com
▲【DIY】メスティンに湯切り穴を開けてみたら超便利になった。
この動画を見て、私も25年ほど前に購入したAC100V駆動の電動ドリル*2と、20年ほど前に購入した金工用ドリルビットを引っ張り出して穴開けに挑戦。
重要
電動ドリルを使う時はドリルの刃に手袋が巻き込まれてケガをするおそれがあるため、軍手などは着用禁止です。
ドリルの刃が滑って手に当たると痛そうですし、上で紹介した動画でも手袋をはめていますが、厚生労働省が定める「労働安全衛生規則」の「第二編 安全基準 第一章 機械による危険の防止」の中で「(手袋の使用禁止)第百十一条 事業者は、ボール盤、面取り盤等の回転する刃物に作業中の労働者の手が巻き込まれるおそれのあるときは、当該労働者に手袋を使用させてはならない。」とあるので、素手で作業をおこなう方がむしろ安全なのです。
恐る恐るラージメスティンの角にドリルの先端を当ててみましたが、メスティンの角は丸いのでドリルを安定して当てづらい。そこで、まずはセンタポンチで凹みを付けることにしました。
最初から3mmのドリルで穴を開けようとしたところなかなかドリルの刃が進まず、ドリルを2mmのものに変更すると、スポッと簡単にドリルの刃が貫通。
その後2.5mm、3mmと順に穴を大きくしていくと、簡単に3mmの穴を開けられました。
▲角に穴を開けた私のラージメスティン(穴の周囲の傷は、バリをサンドペーパーで削り取る際についたもの)
穴あけのポイントは、フタと本体が重なる部分に穴を開けるということ。
▲フタと本体が重なっている部分だけに穴を開ける
こうすると、例えば炊飯時など、メスティン内の蒸気を外に逃がしたくないときには、フタを180度逆向きに被せれば穴が塞がるのです。
▲フタを逆向きに被せると穴がふさがる
このアイディアは素晴らしいですね。
何事もそうですが、最初に思いついた人は天才です。
湯切り用の穴は、工場出荷時点で開いていても良いくらいだと個人的には思います。
穴を開けたラージメスティンの使い方
レトルトパックのボロネーゼソースと2/3の長さのスパゲティを使い、ボロネーゼスパゲティを作ってみました。
ボロネーゼソースは湯煎の時間が3~5分、スパゲティはゆで時間が4分(1.8mmの製品は4分、1.6mmの製品なら3分。)で、ソースの方がゆで時間が長めだったので、まずボロネーゼソースのパックを500ml強の熱湯に投入。
▲パスタソースのレトルトパックをラージメスティンで湯煎する様子
しばらくしてから、スパゲティをパスタソースの上に投入。
こうすると、ラージメスティンの底にスパゲティがこびりつくのを防げます。
▲スパゲティをレトルトパックの上に投入した様子
重要
レトルトパックを湯煎した熱湯を食品の調理に使用することは、安全性についてメーカーが保証していません。
ハウス食品のWebサイトでは「万が一インクの成分が口に入ったとしても、人体に影響はありません。」「パウチの成分が溶け出るようなことはありませんが、残り湯を再利用することは想定していません。」とされています(出典:レトルト商品を温めるときの注意点 | HOUSEヒント https://house-hint.jp/content19.html )。
衛生面が気になる方は、レトルトパックは別の容器で加熱してください。
4分後、フタと本体の穴が揃うようにしてラージメスティンにフタを被せ、角の穴から湯切りを行います。
ゆで汁は山の中にそのまま捨てられないので、漏斗とペットボトル、あるいは広口の容器で回収します。
穴以外の隙間からもゆで汁は漏れるため、たとえ漏斗を使っても完全に回収するのは難しいです。
そこで、前述のキャンプボックスのような大きめの容器にいったんゆで汁を入れ、そこから漏斗を使ってペットボトルなどに移す方が良いと思います。
▲角に開けた穴から湯切りをする様子(…を撮影しようとして写真を撮るのに手間取り、湯切りがほぼ終わって雫が落ちている様子)
▲回収したゆで汁(多少こぼしたので、本来の量より少なくなっている。)
この後は、レトルトパックをスパゲティの下から引っ張り出し、パスタと混ぜればボロネーゼスパゲティの完成です。
▲湯切り後のラージメスティン内部の様子
▲完成したボロネーゼスパゲティ
最後に
ラージメスティンは汎用性が高い大きさでそもそも使いやすいですが、穴あけ加工をしたことで更に便利になりました。
ラージメスティンをもっと活用したいと思われている方は、穴あけ加工に挑戦してみてはいかがでしょう。
その際はケガをしたり、床などを傷つけたりしないよう充分に準備を整えて、2枚重ねになった0.8mm厚のアルミ板(厚みは合計1.6mm)を貫通できる充分な性能をもった電動工具とドリルの刃を使用し、慎重に作業をおこなってください。
長所
- パックご飯の加熱や小鍋用のパスタを茹でるのにぴったりのサイズ。
- WILDOの「キャンプボックス」がピッタリ収まる。
短所
- 買った直後の状態はバリが多いので、使う前に縁を耐水ペーパーで磨かないといけない。
- 滑り止め付の軍手がないと、熱い状態のメスティンのフタを開閉できない。
- (私が買ったもの固有の問題かも知れませんが)フタがきつすぎて開け閉めが大変だったので、本体の縁を削ってフタとのかみ合わせを調整してからでないと使えなかった。
- アルミ製のため熱伝導性が高く、ラーメンを調理してそのまま食べようとしても、縁が熱くて口を付けられず、冷めるまでスープが飲めない(アルミ製クッカーに共通の欠点です)。