私が山歩きで使用しているGPS受信機は、スマホではなく単3形電池で動作するアウトドア向けの専用機です。
電池式であれば、もし電池が切れても電池を入れ換えるだけで即座に利用を継続できて便利*1。
ただし、そう思えるのは予備電池を必要に応じてサッと取り出せてこそ。
以前は、予備の電池をジッパー付の小さなナイロン袋に入れてバックパックの中に放り込んでいました。
しかし、その方法だといざ予備電池が必要な時に山の中で荷物を漁っても見つからず、帰宅後に片付けをしていたらポロッと出てくるのです。
そんなことが何度かあって腹が立ったので(その前に荷物をきちんと整理しろよと言われそうですが)「目立つ場所に予備の電池を装備したい」という考えで、今回紹介するCellVault(セル・ヴォールト)を購入しました。
Cellは電池、Vaultは銀行などの金庫室という意味です。
概要
乾電池などの小物類を携帯するために作られた、ポリマー製の防水ケースです。
MOLLE*2に対応しているため、ミリタリー向けバックパックの外側に簡単に取り付けられます。
収納できるのは、CR123電池なら3本、単4形電池なら4本、単3形電池なら2本。
www.youtube.com
▲メーカー公式の製品紹介動画
仕様
▲CellVault Battery Storageのパッケージ
製品名: CellVault Battery Storage
メーカー: THYRM LLC*3(アメリカ)
サイズ(カタログ値): 5.1インチ×1.1インチ×1.3インチ
サイズ(実測値): 約13.3cm×約2.8cm×約3.3cm
重量(カタログ値): 1.6オンス≒45g
重量(実測値): 約28g
耐候性: 水深が浅ければ水没可(ダイビングでの利用は不可)
生産国: アメリカ
カラーバリエーション: Black、Clear、Flat Dark Earth、Olive Drab、Rescue、Urban Greyの6色展開。
アメリカでの定価: $19.99 USD
購入価格: ¥3,500(税込)
購入先: amazon.co.jp
備考: この記事で使用しているCellVault Battery Storageは、色がBlackの製品です。
外観
断面が楕円形をした樹脂製の容器で、背面には大きなクリップが付いています。
個人的には、ミリタリー感のあるイカツイ形状が格好いい。
▲表側から見たCellVault
▲裏側から見たCellVault
私はGPS受信機用の予備として、単3形の乾電池2本をCellVaultに入れています。
CellVaultと単3形乾電池の大きさを比べてみました。
▲CellVaultの大きさ
フタの開け方は特殊で、クリップの下端を本体下端の爪から外し、開口部付近のヒンジを支点に本体を180度回転させて中身を出し入れする構造になっています。
CellVaultはバックパックの外側に取り付けて使うことが想定されていますから、山の中を歩いている時、何かの拍子にクリップの先端が本体から外れてフタが開く状態になる可能性があります。
そんな時でも簡単に中身が外へ飛び出さないようにするため、このような仕組みが使われているのです。
▲CellVaultの開き方
フタになる部分にはパッキンが付いており、これが防水性を高めています。
(写真を撮ったのは購入直後だっためパッキンがきれいですが、購入してから4年ほど経った現在、私のCellVaultのパッキンはヒビが入ってます。)
▲開口部
CellVaultの携行方法
CellVaultは、もともと軍用や警察用の強力な懐中電灯*4で使用するCR123電池の予備を携行するために作られたため、軍用のバックパックや防弾ベストに取り付けやすい形状をしています。
軍用バックパックに取り付ける場合は、PALSウェビングと呼ばれる横向きに縫い付けられた帯にクリップを通して留めます。
取り付けに必要な面積は縫い目1列分の幅で、横帯3本分の高さ。
クリップの固定に使う横帯は、2本です。
▲私が使っている軍用タイプのバックパックにCellVaultを取り付けた様子
PALSウェビングを持たない民生品のバックパックに取り付ける場合は、側面のコンプレッションストラップに取り付けると良いでしょう。
▲軍用のPALSウェビングが無い民間向けバックパックでは、コンプレッションストラップを使用する(歩行の振動でCellVaultがゆらゆら揺れることと脱落を防ぐため、下端をサイドポケットに入れている)
スノーシューやスキー、スノボを背負うために作られた冬季用のバックパックなら、あちこちにストラップがあるためCellVaultの取り付けには困らないと思います。
▲冬季用バックパックに取り付けたCellVault
最後に
私がCellVaultを使い始めたのは2017年ですが、それ以来、「予備電池が行方不明」というストレスを山で感じることがなくなり快適。
バックパックの外側に取り付けて使うため、「予備電池は間違いなくここにある」ということが一目で分かり、安心できるのもありがたいです。
予備の電池が要らないという方でも、薬やマッチ、非常用の紙幣を入れておくという使い方なら役に立つかも知れません。
この場合、CellVaultの奥の方に薬や紙幣が詰まった場合はピンセットや棒がないと取り出せなくなるので、紙幣なら細く丸めて広がらないようにしっかり留めたり、薬の錠剤なら「プチッと押し出すパッケージ」の周囲の余分な部分を切り落としておくなど、収納方法に工夫が必要です。
長所
- (個人的な感覚ですが)ミリタリー感溢れるデザインが格好いい。
- 軽い。
- 防水性がある。
短所
- 小物が奥に詰まると取り出しづらい。
- もともとCR123乾電池用に作られているため、中に入れられる物の大きさと形状が限定される。
- クリップが長すぎて、MOLLE互換ではない民生品への取り付けは難しい。
- MOLLE互換の割にクリップの寸法がウェビング(帯)のサイズにぴったりではなく、しっかりと固定されず上下左右に多少動く。
*1:スマホにもGPS受信機能がありますが、バッテリーが切れるとモバイルバッテリーを接続しないといけません。モバイルバッテリーは単3形電池に比べて重く嵩張りますし、ケーブルの取り回しにも困ります。そもそもスマホは受信感度や精度が専用機に劣るので信用できず、なるべくなら使いたくありません。ハイカー向けSNSにアップロードされているスマホで記録したと思われるGPS軌跡の一部では、歩いたルートの一部が一直線になっていたり、酷いものだと麓から山頂まで一直線になっていたりします。
*2:英語読みだと「モーリー」ですが、日本語読みではなぜか「モール」。各国の軍隊が使用している装備品の連結方式のことです。余談ですが、 英語版WikipediaではMOLLEの項目で発音について「pronounced /ˈmɒl.liː/, similar in pronunciation to the name Molly」と書かれていますが、それに対応する日本語版Wikipediaの項目では「MOLLE(モール)とは」と明らかに誤った記載がされています(当ブログ記事掲載時点)。
*3:THYRMの読み方は、国内のお店だと「サイリム」とか「サイレム」としているところが多いですが、正しい読み方を強引にカタカナで書くと「シーラム」です。発音記号で書くと「θíːrəm」。会社名の読み方を間違えるのはかなり失礼だと思うので、日本語の発音では限界がありますが、正しい(正しく表記しようという努力が見られる)読み方にすべきだと思います。
*4:周囲を照らすというより、強烈な光で相手の目を眩ませて行動不能にすることが目的の照明機材。