暑がりの私にとって山を歩くのに最適な季節になりつつありますが、姫路の北部では熊の目撃情報が出ており、北部の人気(ひとけ)のない山へ行くのはちょっと怖い。
絶対に熊がいない南部の山でのんびりひなたぼっこを楽しもうと思い、相生市にある「万葉の岬」に出かけてきました。
本日のルートは、ホテル万葉岬から南へ伸びる遊歩道を下って岬の先端へ下り、岬の西側の海岸沿いに付けられた遊歩道で鰯浜へ。
鰯浜から山に付けられた遊歩道を登り、ホテル万葉岬近くに戻るというもの。
昼食は、鰯浜から遊歩道を上る途中の適当な場所で食べることにします。
▲海岸沿いの遊歩道(干潮のおよそ1時間半前)
瀬戸内海国立公園 万葉の岬 相生市金ヶ崎
相生湾口の突端 ここ金ヶ崎は、百八十度の視界に瀬戸内海がひらけ、兵庫万葉の海の歌を味わうには絶好の場所です。
東は明石海峡、西は牛窓、さえぎるものなく、雲煙の彼方へ連なる万葉故地。
沖あいはるかに霞む淡路島、家島、四国。
正面すぐ眼前には、赤人望郷の歌の舞台辛荷島「室の浦の湍戸の崎」と詠まれたこの岬の眼下に鳴島(君島)。右手に鬘島(おわん島)。背後の湾入縄の浦(相生湾)などの島々崎々浦々が、千数百年前の風光をとどめて、万葉のこころを今に伝えています。相生市教育委員会(出典:ホテル万葉岬近くの遊歩道入口に立つ看板)
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「相生」
▲カシミール3Dで作成したルートの断面図
09:30
姫路市街の自宅を車で出発。
国道250号線を西へ進みます。
道の駅みつを過ぎると、道路は「七曲り(ななまがり)」と呼ばれる曲がりくねった海岸沿いの道になります。
「道の駅みつ」から国道250号線(七曲り)を進むこと約8km、たつの市から相生市に入ってすぐ「←万葉の岬 1km」の標識に出会うので、それに従って左折。
国道250号線から分かれた1.5~2車線幅の曲がりくねった道路を登って行くと、最高所にあるホテル万葉岬の200mほど手前、道が左へ大きくカーブする場所の外側に「万葉の岬」と刻まれた石碑が立つ空き地があるので、そこに車を止めました。
国道250号線からホテルまでの道路は、ロードバイク等が猛スピードで下ってくることがあるので、特に視界が悪いカーブの手前では注意してください(「警笛鳴らせ」の標識が何本も立っています)。
10:22
万葉の岬の石碑がある空き地に到着(地図中「P」)。
▲車を止めた空き地の様子(左端に写っているのが「万葉の岬」の碑)
https://goo.gl/maps/keQB8cKK33oT3JtE7
▲車を止めた空き地の位置
10:28
準備が整ったので、出発。
車道を上るとすぐにホテル万葉岬です。
▲ホテル万葉岬
ホテル万葉岬の南側はロータリーになっています。
このロータリーの南側には「つばき園」があって、そこにはハート型のオブジェが取り付けられたベンチや、天下台山の山頂にあるような展望台もあります(地図中「展望台」)。
▲つばき園にある展望台(天下台山山頂の展望台に似ている)
本日は、久しぶりに一眼レフカメラを使って全天球パノラマを撮影しました(10:37~10:50)。
やはりワンショットのパノラマカメラとは画質が全然違う。
https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/manyonomisaki20211114-1/index.html
▲つばき園の展望台で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2021年11月14日)
▲つばき園にあるベンチ
▲つばき園の様子
ロータリーの東側には、飲み物の自動販売機と(きれいとは言えませんが)お手洗いもありますよ。
私はここで用を足し、自販機で本日の山歩き(散歩)で飲む飲料を購入しました。
▲ロータリー近くの自販機とお手洗い
10:51
海岸へ下りる遊歩道の入口は、「つばき園」入口の南側にあります(地図中「遊歩道入口」)。
▲遊歩道入口*1
擬木の階段が設置された遊歩道ですが、あまり手入れはされていないようで、階段に土や砂が被さっていたり、石が多くてスニーカーでは歩きにくそうな所もありました。
▲擬木階段の道を下る
この遊歩道には、海岸までの残りの距離を100m刻みで教えてくれる道標が立っています。
山歩きに慣れていない一般の人でも不安にならずに歩けるようにという配慮かも知れませんが、路面の状態が悪いため、一般の方が街歩き用の靴でこの道を歩くのは止めた方が良いと思います。
▲「海岸まで500m」の道標とベンチ
▲「海岸まで300m」地点の様子(歩きにくい路面になっている)
11:01
遊歩道が右に分岐する地点に出会いました(地図中「海岸近道分岐」)。
地形図に書かれている破線道は実在するようです。
今回は岬の先端へ行きたかったのでこの分岐は直進。
▲分岐の様子(岬の先端へ行くには直進。右に入ると、海岸遊歩道の途中に出る。)
11:05
「海岸まで200m」の道標を過ぎてまもなく、あずまやに出会いました(地図中「あずまや(1)」)。
天下台山にあるのと同じ種類のようですが、相生市ではこの形状に統一されているのかな。
▲海岸へ下る遊歩道に設置されているあずまや(1)
のんびり歩いていたら、右の茂みの中、すぐ近くから「ブブブブブヒー!」と鳴き声がして、そちらを見ると茶色い物が猛スピードで茂みの奥へ消えていきました。
姿ははっきり見えませんでしたが、鳴き声から判断するとイノシシでしょう。
あー、びっくりした。
実は、下り初めてしばらくしたとき、「グ~」といううなり声のような声が茂みの中から聞こえてきたので、動物よけのためにスマホで音を鳴らしていたのですが、効果はなかったようです。
海岸が近づいてくると、道は急なコンクリート階段になります。
▲海岸に下りる直前は急なコンクリート階段
海岸遊歩道に下りてきました。
▲海岸遊歩道に到着
11:11
釣り人を横目に、遊歩道の東端へ行ってみました(地図中「海岸遊歩道東端」)。
ここでも全天球パノラマを撮影。
https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/manyonomisaki20211114-2/index.html
▲海岸遊歩道の東端で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2021年11月14日)
11:23
全天球パノラマの撮影を終え、鰯浜へ向けて出発。
海岸遊歩道は多少の落石があるものの、非常に歩きやすくて快適です。
▲海岸遊歩道で鰯浜へ向かった
11:28
11:01に出会った分岐からの道が海岸遊歩道と合流する地点を通過(地図中「海岸近道合流」)。
▲尾根上の分岐で西へ分かれた道はここに出る
海を眺め、漁船のエンジン音を聞き、かすかな磯の香りを感じながら歩く海岸遊歩道は最高です。
本日は干潮の時刻が13:00で私が歩いたときは潮位が低く、風もなかったため安全に歩けましたが、時刻や風の強さによっては海岸遊歩道を歩けない時もあるかも知れません。
荒天時に波が海岸遊歩道を直撃するのは確実らしく、本来は遊歩道沿いに並んでいるはずの柵はほとんど全て破壊されて残骸と化していました。
▲海岸遊歩道の柵の残骸と柵の跡
海岸遊歩道を歩いていて驚いたのは、ママチャリが止めてあったこと。
どうやら地元の釣り人は、鰯浜からママチャリで海岸遊歩道を移動しているようです。
11:43
楽しかった海岸遊歩道の散歩は終了。
ここからは、駐車地を目指して山を登ります(地図中「鰯浜登山口」)。
▲鰯浜にある登山口
等高線の間隔はそれほど狭くないですが、道はかなり急な斜面です。
しかも、段差が大きい擬木階段なので疲れます。
▲擬木階段の急斜面を登る
11:55
ベンチが置かれ、周囲が開けた場所に出会いました(地図中「展望所」)。
ここで昼食を食べるべきかと思いましたが、Googleの航空写真ではこの上にあずまやが写っていたので、快適に過ごせそうなあずまやで昼食を楽しむことにし、この展望所は素通り。
▲展望所の様子
11:58
あずまやに到着(地図中「あずまや(2)」。
期待に反して机も展望もありません。
ここは傘型じゃないので、相生市の山はみんな傘型のあずまやというわけではなさそう。
▲あずまやの様子
さっきの展望所へ戻るという選択肢もあったのですが、私の心の中で「展望」と「空腹感と面倒くささ」が勝負した結果「展望」が敗北し、ここで昼食を食べることにしました。
あずまやの中よりも外の方が展望が良いので、あずまやと「縄の浦山部赤人万葉歌碑」の間の空間で、海を見ながら昼食を摂りました。
▲縄の浦山部赤人万葉歌碑
縄の浦山部赤人万葉歌碑
縄の浦ゆ背向に見ゆる沖つ島漕ぎ廻る舟は釣しすらしも(巻三・三五七)
歌意「縄の浦にたどいついて振り返るとはるか沖合に見える島、あの島のあたりを漕いでいる舟は、まだ釣りのまっ最中らしい-。」
作者山部赤人は聖武朝の宮廷歌人。伊予の温泉(道後温泉)などに旅した折の詠か。
「縄の浦」は相生市那波の海、または相生湾全体の称。「沖つ島」は鬘島や君島(鳴島)、あるいは唐荷島などをさすものか。
書は京都大学名誉教授澤瀉久孝氏。(中央公論社『萬葉集注釈』の原稿から採字)
(出典:歌碑の脇にある説明板)
歌碑の解説に書かれた「沖つ島」の可能性がある「蔓島(かづらしま。解説の中では鬘島。)」が、あずまやから辛うじて見えました。
▲あずまや(2)から見た蔓島
本日の昼食は、アメリカ軍の戦闘糧食「MRE*2」(2019年製)のメニュー番号13「Cheese Tortellini in Tomato Sauce」。
ベジタリアン向けのメニューなので、肉が一切使われていません。
▲本日の昼食(アメリカ軍の戦闘糧食)
ベジタリアン向けのメニューはあまり美味しくないイメージがありましたが、これはなかなかいけます。
▲メインディッシュの「Cheese Tortellini in Tomato Sauce」
僅かに見える海の風景を楽しみながら食事をしているとスズメバチが近づいてきて、私の周りをブンブンとやかましく飛び始めました。
あずまやの中に巣が無いことは確認していましたから、食べ物の匂いに釣られて来たのかな。
12:58
スズメバチが2~3匹いて落ち着かないので、撤収。
地形図通りのなだらかな斜面を南へ進めば、すぐに駐車地です。
▲あずまや(2)から駐車地へ続く道の様子
13:01
駐車地に戻ってきました。
帰りも海の景色を楽しみながら、七曲りを通って帰宅。
14:00
自宅に到着。
本日はドローンを飛ばしませんでしたが、それはこの周辺が瀬戸内海国立公園だから。
国立公園でのドローンの飛行については、所管の事務所に事前に確認を取った方が良いですが、私は思いつきで出かけるため事前の確認ができず、ドローンを持ってきませんでした。
駐車場所については、当初鰯浜の駐車場に駐めようと思っていたのですが、先日下見に行ったときに釣り人の車で一杯だったため、確実に駐められそうな場所としてホテル万葉岬の手前にある空き地を選択しました。鰯浜の駐車場が空いていれば、鰯浜を起点に周回しても良いと思います。
※この記事に掲載している全天球パノラマの撮影に使用した機材は、次の通りです。
カメラ:Nikon D7100、レンズ:AF DX Fisheye Nikkor ED 10.5mm F2.8G、雲台:Bushman Gobi、三脚:Bushman Eben。
交通アクセス
公共交通機関は近くにありません。
自家用車等が必要です。
ホテルの宿泊者は、JR相生駅からホテルの送迎バスを利用可能*3。
*1:この記事の冒頭に記載した万葉の岬についての文章は、この遊歩道入口に立っている看板に記載されているものです。
*2:Meal, Ready-to-Eatの略称。1食分ずつ小分けされて密封された配給食。メインディッシュはレトルトパウチ入りで、他にクラッカーやそれに塗るためのスプレッド、お菓子、飲料の粉末などが入っています。MREについて興味のある方は、こちらの記事をご覧ください。https://dfm92431.hatenablog.jp/entry/2018/05/27/060450
*3:送迎が必要である旨をあらかじめホテルに伝えておく必要があります。