播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

サーモスの「ごはんが炊ける弁当箱」(JBS-360)

何年も前ですが、雑誌の記事か何かで見かけて「山歩きでも使えそう」と購入した“弁当箱”を紹介します。

この弁当箱は、弁当箱というより“電子レンジ専用飯盒(はんごう)”。
電子レンジを使って、中でご飯を炊けるのです。

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▲山の上で昼食休憩のため「ごはんが炊ける弁当箱」を取り出した様子

概要

魔法瓶で有名なサーモスが販売している弁当箱で、ご飯容器(フタ、本体)、炊飯パーツ(フタ、本体)、保温ケース、専用ポーチがセットになったものです。

ご飯容器と炊飯パーツを使用して電子レンジで水と米を加熱し、保温ケース内で余熱を使って炊飯を継続するという仕組み。

うまく使えば、会社のお昼休みなどにホカホカのご飯を美味しく食べられます。

ただし、炊けるご飯は1回あたり0.7合(お茶碗1.6杯分)と決まっており、白米しか炊けません。


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仕様

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▲「ごはんが炊ける弁当箱」の外装パッケージ

製品名: ごはんが炊ける弁当箱
品番: JBS-360
メーカー: サーモス株式会社(東京都)
色: ホワイト、ブラックの2色展開(この記事の製品はブラック)
実容量: ごはん容器 0.36リットル
保温効力: (専用ポーチに入れない場合)54度以上(6時間)
      (専用ポーチに入れた場合) 57度以上(6時間)
重量: 実際の利用時に持ち運ぶパーツ(炊飯パーツ本体とフタを除くパーツ一式)の合計が約330g*1
生産国: 中国
発売日: 2017年9月1日
メーカー希望小売価格: ¥6,600(税込)
メーカー直販サイトの価格: ¥3,850(税込)
購入価格: ¥2,745(税込)
購入先: amazon.co.jp

パッケージ内容

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▲パッケージ内容

左上から右へ

  • ボディリングを取り付けた保温ケース
  • 専用ポーチ

左下から右へ

  • フタを取り付けたごはん容器
  • 炊飯パーツのフタ
  • 炊飯パーツ本体

外観

この製品で重要なのは、電子レンジでごはんを炊く仕組みです。
これを可能にしているのは、電子レンジに対応出来る樹脂製のごはん容器と炊飯パーツ。

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▲ポリプレピレン(耐熱140度C)でできた「ごはん容器」

炊飯パーツ(ポリプロピレン)は、電子レンジの中で粘りけのあるお湯が噴きこぼれないようにする重要な役割を持っています(吹きこぼれると、電子レンジ内の掃除が大変です)。

炊飯パーツ本体の形状と穴の大きさや位置が吹きこぼれを防止し、あふれ出たお湯をごはん容器に戻してくれるとのこと。

炊飯パーツのフタは、炊飯パーツ内に吹き出てくる粘りけのある水分が、シャボン玉のように大きく膨らんで弾けるのを抑制する働きがあるようです。

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▲炊飯パーツ本体の天面(すり鉢状になっている)

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▲炊飯パーツ本体の底面(ごはん容器の縁から吹きこぼれないようシリコーン製パッキンがある)

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▲炊飯パーツのフタ

電子レンジでしっかり加熱しても、すぐに冷めてしまってはご飯が炊けません。

ごはん容器の中身を冷めないようにする保温ケースは、サーモスが得意とする真空断熱の容器です。

保温ケースの縁にはシリコーン製ボディリングがあり、保温ケースからごはん容器が容易に抜けてしまうことを防ぎつつ、保温性能を高めてくれます。

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▲シリコーン製ボディリングが取り付けられた保温ケース

ごはん容器のフタは、発泡ポリプロピレンが内蔵された断熱性の高いもの。
余熱による炊飯中は、ごはん容器にこのフタを取り付けます。

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▲ごはん容器のフタ(天面)

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▲ごはん容器のフタ(底面)

専用ポーチの内側は、保温ケースによくある「銀色の素材」ではありません。
しかし、発泡ポリエチレンが入った厚手の生地なので、しっかり保温してくれそうです。

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▲専用ポーチ

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▲専用ポーチの内側

専用ポーチの背面にポケットが付いていますが、取扱説明書では一切触れられておらず、何に使うのかは不明です。

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▲専用ポーチ背面のポケット

使い方

実際にご飯を炊く手順を見ていきましょう。

準備

まずはごはん容器の目盛り線(米0.7合と刻まれている)まで米を入れ、研いで下さい(無洗米を使えば、米を研ぐ手間を省けます)。

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▲ごはん容器の目盛り線まで米を入れる

続いて、「米+水」の線まで水を入れます。

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▲規定量の水を入れる(矢印の高さまで水が入っている)

最後に、炊飯パーツ本体をごはん容器にねじ込むようにセットし、炊飯パーツのフタを載せます。

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▲炊飯パーツ本体をねじ込む

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▲炊飯パーツのフタを載せる

そうしたら、30分ほど米を水につけたままにします。
(注:水に浸さず、この後すぐ電子レンジに入れてもご飯は炊けます。)

炊飯

炊飯パーツを取り付けたままのごはん容器を電子レンジに入れ、500Wで8分加熱。

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▲炊飯パーツを付けたごはん容器を電子レンジに入れる(この電子レンジ内の高さは約20cm)

数分経つと電子レンジ内部に水蒸気が充満し、電子レンジの扉のガラスも曇って中の様子は見えなくなりますが、ボコボコとお湯が沸騰する音は聞こえてきます。

また、炊飯パーツの上部からシャボン玉のように泡が現れたり割れたりする様子も、曇ったガラス越しに見られます。

電子レンジ庫内の高さが低いと、炊飯パーツの上から出てくる泡自体、あるいはそれが割れたときの「しぶき」が庫内の天井に接触し、電子レンジ内が汚れるかも知れません(メーカーは庫内高さが150mm以上の電子レンジを推奨しています)。

高さが充分にある電子レンジなら、内側が水蒸気で濡れるだけで済みます。

保温

電子レンジでの加熱が終わったら、炊飯パーツ本体側面に飛び出している“つまみ”を持ってごはん容器を電子レンジから取り出し、すぐにごはん容器を保温ケースに入れます(ごはん容器本体が高温になっているため、必ず“つまみ”を持つ)。

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▲加熱直後のごはん容器を保温ケースに入れる

そうしたら、炊飯パーツをねじってごはん容器から取り外し、すぐにごはん容器のフタを装着。

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▲炊飯パーツを取り外して、フタを取り付ける

この後は、ごはん容器を専用ポーチに入れて30分以上放置します。

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▲ごはん容器を専用ポーチに入れる

30分以上経過すれば、おいしいご飯のできあがり。

通勤や午前中の仕事の間などに放置しておけば、お昼にはほかほかご飯が出来上がっているというわけです。

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▲美味しく炊きあがった白米

炊飯器で炊いたご飯をごはん容器に入れ、それを保温ケースに入れて持ち運ぶこともできます。

この場合は、炊飯器で炊いたご飯を「ごはん容器」に入れ、フタをせずに電子レンジで加熱。
熱々の状態にしてからごはん容器のフタを閉め、保温ケースに入れます。

取扱説明書によると、保温ケースに熱湯を入れてあらかじめ保温ケースを温めておくと、より保温効果が高くなるそうです。

注意事項

  • この製品は、白飯専用です。
  • 一回に炊けるご飯の量は0.7合で、0.5合など他の分量での炊飯には対応していません
  • ご飯容器を横置きすることはできません(水分が漏れ出す可能性がある)。
  • 保温ケースが汚れた際は、塩素系漂白剤を使えません。内側のみ、酸素系漂白剤でお手入れ可能です。漂白剤を保温ケースの外側に使用すると、塗装の傷みやシールの剥がれにつながります(保温ケース以外のパーツは、塩素系・酸素系どちらの漂白剤も使えます)。

最後に

私の職場には、私とは別の部署ですがこの製品の愛用者がいて*2、かなり気に入っている様子。

私の場合は職場で使うというより、趣味の山歩きで使うことが多いです。

山の上でご飯を炊く代わりに、これにご飯を入れて持って行くわけです。
景色のよい場所に着いてからご飯を食べるまでの時間が節約できて、すごく便利。

山の上に着く頃には加熱してから時間が経っているので、ご飯は熱いというより「温かい」ですが、冷たいご飯よりはずっと美味しいです。

0.7合という量(お茶碗1.6杯分)は、日常生活では多いと感じますが、山歩きの時ならぺろっと平らげられます。

洗わないといけないものが多くて後片付けが面倒ですが、個人的には温かくて美味しいご飯をどこでも手軽に食べられる「幸せ」に比べると、大した問題にはならないと思います。

「ごはんが炊ける弁当箱」は、かなり人を選ぶ製品だと思います。
自分がこれを使う状況を想像し、満足して使っている未来が思い浮かぶ方にしかお勧めできません。

(電子レンジが使える環境なら)弁当やパックご飯を電子レンジで温めて食べる方が、食味はともかく圧倒的に手軽で簡単です。

面倒くさがりな方は買っても後悔するだけだと思いますので、ご注意ください。

長所

  • 無洗米を使えば、手間なくご飯を炊くことができる。
  • 炊きたてご飯に近い状態なので、パックご飯やレンジで温めた冷や飯より美味しい
  • (家や職場を出る前に電子レンジで加熱しておけば)アウトドアや車の中などの電子レンジがない環境でも、温かいご飯を楽しめる。
  • 家の電子レンジで加熱してから職場へ持っていけば、職場の電子レンジ待ち行列に並ばなくても良い(おかずの温めを諦めれば、昼休みになってすぐ食事ができる。ごはんが温かければ、おかずが冷めていても案外平気かも。あるいは、保温できる弁当箱におかずを入れておけば、さらに幸せ。)。
  • 普通のランチジャーと同じような大きさなので、薄いビジネス鞄でも使っていない限り、持ち運びにはそれほど困らない。

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▲ごはん容器を入れた保温ケース(左)と専用ポーチ

短所

  • 保温性能に期待しすぎると失望する
  • 使用後に洗う物が多い
  • 電子レンジの中がビショビショ(水滴だらけ)になる
  • ごはん容器を横置きできない(水分が漏れ出すおそれがある)。
  • 深い容器なので、この弁当箱から直接ごはんを食べる場合、箸で底の方からご飯を取るのに手こずる。
  • 炊きあがりは硬めなので、柔らかめのご飯が好きな方には不向き
  • 1回で炊きあがるご飯の量が0.7合(お茶碗1.6杯分)というのは、小食の方には多すぎる
  • 白米専用で、炊き込みご飯などには使えない。
  • 電子レンジにセットした後、8分後にまた電子レンジの前に来ないといけない(レンジでの加熱直後のアツアツの状態で保温ケースに移し換える必要がある)。

*1:これに米と水の重さが加わります。

*2:片手に鞄、もう一方の手に専用ポーチをぶらさげて出勤する様子を見かけ、声をかけて確認しました。