山歩きを始めて間もない頃からトランギアのアルコールストーブを使っていて、ストームクッカーにも興味がありました。
全体的な形が面白いし、鍋もフライパンも使えるし、耐風性能が高そうだし、アルコールストーブと同じトランギアが作っているし、「きっとアルコールストーブの性能を最大限に引き出してくれるんだろうな」と感じていたのです。
しかし、何件かのお店を回っても、私好みのストームクッカーに出会いませんでした。
「Lは大きすぎ。Sサイズじゃないと」とか「アルミ無垢のは使いづらそう」「ハードアノダイズドは灰色かぁ。黒いのがいいな」など、お店でストームクッカーを見る度に難癖をつけて買わずに過ごす日々が何年か続いていたのですが、ついに「黒色でSサイズ」のストームクッカーに遭遇。
買わない理由が無い状況になり、買ってしまいました。
我ながら、自分のアホさ加減にあきれるなぁ…
それはともかく、「今さら?」と言われそうですが、せっかくストームクッカーSを購入したので、紹介します。
▲ストームクッカーS・ブラックバージョンの利用イメージ(山でカップヌードル炒飯を作った時の様子*1)
この記事は、ストームクッカーS・ブラックバージョンの構成部品について紹介する「外観編」です。
使い方などは、「機能編」として別の記事で紹介しています。
概要
今回紹介するストームクッカーは、アルコールストーブで有名なトランギアが製造・販売している、クッカー一式です。
クッカーの他に風防やフライパン等も付属しており、この一式があれば、多少の風がある環境でも簡単な調理が可能になります。
1951年に誕生して以来、基本的な仕組みは変えずに販売され続けている製品です(表面処理やガスバーナー対応など、改修は続いています)。
メーカーであるトランギアが作成した4分程度の動画があるので、ご覧ください。
※動画に出てくるのは、この記事で紹介するSサイズより一回り大きいLサイズのストームクッカーです。
www.youtube.com
▲メーカー公式動画(動画に出てくる収納袋やケトル、フューエルボトル、マルチディスクは、ストームクッカーに付属しません)
仕様
▲ストームクッカーS・ブラックバージョンのパッケージ
製品名: ストームクッカーS・ブラックバージョン
型番: TR-37-5UL
メーカー: Trangia AB(スウェーデン)
輸入・発売元: イワタニ・プリムス株式会社(東京都)
サイズ: 直径18cm×高さ10cm(収納時のカタログ値)
重量: 869g(カタログ値)
材質: アルミニウム
生産国: スウェーデン
定価: ¥14,850(税込)
購入先: ハイキングサポート アドスポーツ(兵庫県姫路市)
備考: 収納袋は別売。フライパン、ソースパンの内側はノンスティック加工済。
パッケージ内容
箱を開けると、傷が付かないようにナイロン袋や樹脂製のシート、紙の詰め物等がセットされた状態のストームクッカー一式が入ってました。*2
▲箱から取り出したばかり(新品)のストームクッカーS・ブラックバージョン
ストームクッカーの構成部品を1つずつ紹介します。
※アルコールストーブは省略しています。
※構成部品の名称は、取扱説明書の記載に合わせています。
ベース(下段)
アルコールストーブを載せるための台で、通気用の穴が上面と側面に開いています。
ただし、注意書き*3が印刷されている側には、通気用の穴はありません。
▲ベース(下部)正面(側面に通気用の穴がない)
▲ベース(下部)背面(側面に通気用の穴がある)
ストームクッカーを使用する際は、側面の穴を風上側に向けて設置するよう取扱説明書には書かれています。
そうすることで積極的に空気を取り込めるようになり、取り込まれた空気は、アルコールストーブの燃焼とともに上方へ抜けていくわけです(煙突効果)。
もし風下側に側面の穴を向けると、ストームクッカーに当たった風が上部から中へ入り込み、下部へ吹き抜けていく事になります。
すると、ストームクッカーが過熱されて焼損したり、落ち葉がストームクッカーの下敷きになっている場合は、それに火が着くなどの危険性があるようです。
ベース(下部)の側面に開いている大きな穴は、日本では発売されていないトランギア純正ガスストーブをセットする際に使用するもので、この穴からホースを引き出すことになります。
トランギアのガスストーブ(製造はプリムス)は並行輸入品が入手可能ですが、日本の法律に基づいた基準に適合せず、検査に合格しないため正規ルートで販売されていません。
従って、万一事故や故障が発生した場合には、並行輸入品を販売した業者や個人に対して対応を依頼するか、諦める(泣き寝入りする)ことになりますから、不安な方は並行輸入品には手を出さないでください。
▲側面の大きな穴は、トランギア純正ガスストーブのホースを引き出すためのもの(純正ガスストーブは、日本国内では正規ルートで販売されていません)
ベース(上段)
ベース(上段)は、風防とゴトクの役割を果たす部品です。
▲ベース(上段)
▲中にある3本の“腕”がゴトク(ポットを使用する時の状態)
▲フライパンを使用する時は、ゴトクを外側へ広げる
ベース(上段)の下端の縁には、3箇所に“切り欠き”があります。
▲ベース(上段)下端の切り欠き(矢印が示している部分)
逆に、ベース(下段)の上端3箇所には、“ツメ”が付いています。
▲ベース(下段)上端のツメ(矢印が示している部分)
ツメと切り欠きの位置を合わせて2つのベースを重ねた後、ベース(上段)を数十度回転させれば、ベース同士が連結されるという仕組み。
回転を制限するためのストッパーはありません。
120度回すとツメと切り欠きの位置が再度合ってしまうため、必要以上に回さないでください。
ポット
ストームクッカーにはポットが2つ付属しており、ブラックバージョンに付属するポットは、内側がノンスティック加工になっています。
容量はどちらも1リットルで大きさは同じように見えますが、実際は一方が他方より若干小さくなっていて、ぴったり重ねて収納できます。
▲付属する2つのポットは、どちらも1リットルサイズ
2つのポットには、大きさ以外にも差があります。
それは、内側の目盛りの有無。
小さい方のポットだけは、内側に300mlと500mlの位置に丸い刻印があるのです。
▲小さい方のポット内側の丸い目印(上の円の中央が500ml、下の円の中央が300mlを示す)
▲外から見ると、上の丸には「0.5」、下の丸には「0.3」と打刻されている(正面から撮影すると見えなかったため、斜めから撮影)
水面がこの丸い目印の中央にくるように水を入れれば300ml、あるいは500mlの水をある程度正確に計れます。
フライパン
フライパンは、内側がノンスティック加工になっている以外、特にこれといった特徴がありません*4。
▲フライパン(内側)
▲フライパン(外側)
アルミハンドル
ストームクッカーに付属するポットやフライパンは、収納性が考慮されているため取っ手は付いていません。
そこで、付属するアルミハンドルでポットやフライパンの縁を挟んでそれらを持ち上げたり、動かしたりします。
▲アルミハンドル(閉じた状態)
▲アルミハンドル(開いた状態)
▲アルミハンドルでポットを掴んだ様子
アルミハンドルは、ベース(上段)のゴトクを起こしたり倒したりする際にも活躍。
アルコールストーブが燃焼しているときに、中に手を突っ込んでゴトクを操作するのは危険なので、アルミハンドルの先端をゴトクに引っ掛けて持ち上げたり、倒したりするわけです。
アルミハンドルは名前の通りアルミ製なので、熱伝導率が高いです。
そのため、アルミハンドルでフライパンを掴んで調理していると、フライパンの熱がアルミハンドルに伝わってきて、熱くて素手で持てなくなります。
軍手を用意するか、フライパンを掴む時間を最小限にしてください。
縁のバリもすごいので、購入後は耐水ペーパー(紙やすり)でバリを削ってから使うことをお勧めします。
ストラップ
重ねたストームクッカー一式がバラバラにならないよう、留めておくためのストラップです。
ストラップは硬めの生地出で来ているので、一見するとストラップを通しづらそうなベース(下段)のスリットに通す時にも苦労しません。
▲ストラップ
バックルを指で押さえるとギザギザのあるクリップ部分が開くようになっており、そこにストラップを通して指を離せば、しっかり固定される仕組み。
▲バックルを開いた様子
▲余ったストラップは、金属製のループに通す(矢印が指しているのがループ)
「機能編」へ続く。
▲「機能編」はこちら
*1:アルコールストーブの火が消えた後、テーブルの上にストームクッカーを置いて炒飯を食べているときの様子です。アルコールストーブの燃焼中は、テーブルが倒れると危ないため地面に直接置いて調理をします。
*2:フライパンの内側に張られているプラスチックのシートは、コーティングの保護に使えるため捨てないでください。
*3:「アルコールストーブに燃料を入れるときは、火が完全に消えてストーブが冷めてから」という文言が複数の言語で書かれています。
*4:ストームクッカーには、素材別にいくつかのシリーズがあります。大半のストームクッカーのフライパンは、内側がノンスティック加工になっていますが、内側がステンレスになった「デュオーサル」のみ、ノンスティック加工がありません。