播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

アウトドアでカップ麺の残り汁を固めて持ち帰れる:高吸水性樹脂

2022年1月29日追記

この記事で紹介しているラーメンの残り汁を固める粉末が2021年12月15日、紀陽除虫菊株式会社(和歌山県)から「残った麺スープ固めてポン」という商品名で発売されました。3回分、12回分、30回分の3種類のパッケージで販売されており、参考価格はそれぞれ税込みで¥214、¥693、¥1650です。


▲「残った麺スープ固めてポン(3包入)」のパッケージ

追記ここまで

2021年3月29日、日清食品が「カップヌードルの残り汁を固める粉末」を発表しました。

アウトドア環境などで残り汁を捨てられないときに、残り汁を固めてゴミとして持ち帰れるようにするというシロモノ。


www.youtube.com

日清の通販サイトでカップヌードルを1つ購入する毎に1袋もらえる「非売品」です。

その正体は、従来から紙おむつや携帯トイレ、変わったところでは水を扱う手品にも使われている「高吸水性樹脂」の粉末。

私は残り汁の処理に困り、山歩きでラーメンをほとんど食べなくなったのですが、この粉末を使えば山での食事のレパートリーが増やせそう。

しかし、そのために日清のサイトからカップヌードルを買うのも面倒なので、「高吸水性樹脂」を購入することにしました。

概要

日清が発表して話題になった、「カップヌードルの残り汁を固める粉末」の素材として使われている高吸水性樹脂の粉末です。

仕様

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▲高吸水性樹脂 CP-1(500g)のパッケージ

製品名: 高吸水性樹脂 CP-1
メーカー: ケミカルテクノス(京都府)
内容量: 500g
外観: 粉体(白色)
比重: 約0.8(かさ比重)
pH: 中性
臭気: なし
吸水倍率(重量比 水/CP-1): 500倍(純水)、300倍(水道水)
購入価格: ¥1,235(税込)
購入先: amazon.co.jp

1食分の残り汁を固めるのに必要な分量

高吸水性樹脂は、その重さの500倍の純水を吸収でき、水道水なら300倍を吸収できます。
つまり、不純物が入ると吸収できる水の量は少なくなるということ。

ラーメンの残り汁は不純物だらけの液体なので、高吸水性樹脂といえども多くを吸収できないことが容易に想像できます。

では、1食分のラーメンの残り汁を吸収させるのに、どれくらいの重さの高吸水性樹脂が必要なのでしょうか。

実験してもよいのですが、高吸水性樹脂がもったいないので「カップヌードルの残り汁を固める粉末」1袋あたりの内容量をインターネットで検索してみました。
検索結果によると、1袋に11.5gが入っているとのこと。

そこで、11gほどの高吸水性樹脂を台所のハカリで計量してみました。

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▲約11gの高吸水性樹脂の量(500円硬貨は大きさの比較用)

この粉末を山に持って行くのに適した容器はないかと探したところ、私の山道具部屋でナルゲンの30mlサイズのボトルを見つけました。

そこへ11gほどの高吸水性樹脂を入れると容器の半分程度の高さになったので、この容器を使えば2回分の高吸水性樹脂を持ち運べることになります。

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▲30mlサイズの容器に高吸水性樹脂の粉末を入れた様子(単3形電池は大きさの比較用)

使い方

カップラーメンの場合

実際に山の上で使ってみました。
山の上で残り汁を固めるのは、日清のどん兵衛。

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▲山の上で食べたどん兵衛

山の上で絶景を楽しみながらどん兵衛を食べたら、残り汁に高吸水性樹脂を投入。

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▲どん兵衛の残り汁と高吸水性樹脂(右の白い容器)

箸で混ぜてみると、ほぐした数の子(あるいは「とびこ」)のような状態になっていました。

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▲固まったどん兵衛の残り汁

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▲固まった残り汁を箸でほぐした様子

これをカップごと大きめのジッパー付ナイロン袋に入れ、自宅へ持ち帰って燃えるゴミとして廃棄すれば良いわけです。

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▲持ち帰るために、固まった残り汁が入ったままのカップを大きめのナイロン袋に入れた様子(スープの小袋など、他のゴミも一緒に入れてある)

カップ焼きそばの場合

カップラーメンの残り汁ではなく、カップ焼きそばの戻し汁の処理にも使えます。

実験に使ったのは、日清焼そばU.F.O.。

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▲山に持って行った日清焼そばU.F.O.

カップ焼きそばの場合は、カップ麺の時と使い方が変わります。

カップラーメンは食べ終わってから容器に高吸水性樹脂を投入すれば良かったのですが、カップ焼きそばは、食べる前に戻し汁を処理する必要があります。

私が試したやり方を紹介します。

まずはクッカーでカップ焼きそばの調理に必要な分量(カップ焼きそばのパッケージに記載されています)のお湯を沸かし、カップ焼きそばの容器に注ぎます。

カップ焼きそばができあがるまでの3分間の間に、お湯を注いで空になったクッカーにジッパー付ナイロン袋をセットし、11gの高吸水性樹脂を投入します。

ナイロン袋の口は、大きく開けておかないといけません。

3分後、カップ焼きそばの湯切り口から、クッカー内のジッパー付ナイロン袋の中に戻し汁を流し込みます。

クッカーが支えになってナイロン袋の形状が保たれるので、戻し汁を楽に回収できます。

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▲カップから戻し汁をナイロン袋の中に入れる

すると、みるみるうちに高吸水性樹脂が戻し汁を吸い込んで、真っ白なゼリー状の物体に変化しました。

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▲戻し汁がナイロン袋の中でゼリー状に固まっている様子

冷ますためにナイロン袋の口を開けたまま、カップ焼きそばを調理して美味しく食べましょう。

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▲できあがった日清焼そばU.F.O.

食後にナイロン袋をクッカーから出して見てみると、炊きたての白米でも入っているような外観になっていました。

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▲蒸気と色から、炊きたての白米に見える

どのくらいの体積になるか、110gサイズのガス缶と並べて撮影してみました。

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▲日清焼そばU.F.O.の戻し汁を固めたものの大きさ(110gサイズのガス缶との比較)

食後、割って小さくしたカップやソースの小袋などもナイロン袋に入れて封をすれば、そのまま持って帰って丸ごとゴミ箱に捨てられます。

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▲カップなどもナイロン袋に詰め込んだ様子

ただし、カップの破片や割り箸はナイロン袋を突き破る可能性があるので、戻し汁とそれ以外のゴミは別の袋に分けた方が安全かも知れません。

カップラーメンの残り汁は冷めた状態で固めるため、できあがるゼリー状の物体は生ぬるい程度の温度です。バックパックに入れても問題ありません。

しかし、カップ焼きそばの戻し汁は熱々なので、「熱々のゼリー状物体」ができあがります。

このジッパー付ナイロン袋をそのままバックパックに入れると、周囲の荷物が温まってしまうのです。

温度が上がっても問題ない荷物ばかりなら良いですが、問題がある場合は、固めた戻し汁の持ち帰り方を工夫しないといけません*1

私はクッカーを汚さないことと、安全に戻し汁を回収することを目的に、ここで書いた手順で戻し汁を固めています。

ナイロン袋に傷や穴がないことが確認できている(戻し汁が漏れる危険性が無い)場合は、戻し汁を回収した後、冷めるのを待ってから高吸水性樹脂を投入した方が良いかも知れません(料理の「あんかけ」が冷めにくいのと同じように、固めたお湯は冷めにくいように思います。)。

高吸水性樹脂の携帯方法

当初は小型のプラボトルに入れて持ち歩いていましたが、ボトルは口が小さくて高吸水性樹脂を入れづらい。

そこで、小さなナイロン袋(いわゆるOPP袋)に11~12gの高吸水性樹脂を入れて、卓上シーラーで口を溶着する方法に変更しました*2

ナイロン袋は口が大きいので、高吸水性樹脂を入れる作業がしやすいです。

f:id:dfm92431:20210429200718j:plain▲小さめのナイロン袋に高吸水性樹脂を密封して持ち歩くようにした(左側の単3形電池は、大きさの比較用。表面の文字は透明なテプラ。)

注意事項

  • 高吸水性樹脂を取り扱う際は、窓やエアコンからの風が当たらない場所で、マスクとメガネを着用し、誤って吸い込んだり、目に入ったり、周囲にまき散らしたりしないように作業してください。
  • 高吸水性樹脂を誤って吸い込んだり目に入れたりすると危険なので、小さい子供さんやペットのいる家庭では、計量や小分け容器への移し換え作業を行う際の安全確保が必要です。
  • 誤って高吸水性樹脂を台所やトイレなどの排水口に流すと、詰まりの原因になります。

最後に

ラーメンの残り汁は、昔はナルゲンボトルに入れて持ち帰っていましたが、帰宅後にボトルを洗うのが大変。
油分でギトギトになるからです。

ラーメンスープの臭いがボトルに染みつくのもイヤで、山にラーメンを持って行かなくなってしまいました(スープを飲み干せるラーメンは別)。

高吸水性樹脂を使えば、ジッパー付ナイロン袋で残り汁を持って帰れるため、自宅に帰ったらナイロン袋ごと廃棄でき、余計な洗い物が発生しません。

今回私が購入した高吸水性樹脂は500g入なので、1回で11g使えばおよそ45回残り汁を固められます。

高吸水性樹脂の価格は¥1,235(2021年4月時点)でしたから、1回あたりおよそ¥27と経済的。

今までは、あっさりしているためスープを飲み干せるイトメンの「チャンポンめん」ばかりを山の上で食べていましたが、今後は色々なカップラーメンやカップ焼きそばを楽しめそうです。

*1:固めた戻し汁が入ったナイロン袋を適当な大きさのポーチなどに入れ、バックパックに外付けしたり、断熱性の高い素材のポーチに入れる等。

*2:OPP袋は熱溶着に適さない素材です。100円ショップにあるようなハンディーシーラーでは溶着できない可能性があります。