播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

ST-310専用のメーカー純正テーブル:ミニマルワークトップ

山の上で食事をするときは、Helinoxの「テーブルオーホーム」を使っています。

しかし、それは食事を食べる時だけ。調理には使いません。
背が高くてバランスが悪いので、あの上で火を扱うのは危険なのです。

安全のため、地面に置いたガスストーブなどで調理をするわけですが、調理中に食材や箸、スプーンなどを衛生的に置いておく場所が必要です。

テーブルオーホームの上は清潔ですが、地面に置いたストーブ類と距離が離れすぎていて使いづらい。

調理中の小物置き場は、ストーブの近くにあるのが便利です。

そんなわけで、山の上で食事などを楽しむときは、下の画像の様な道具を使っています。
地面から隔離された小物置き場があれば、小道具の紛失を防げますし、何より衛生的。

f:id:dfm92431:20210317215655j:plain▲山の中で食事の際、こまごましたものを置くのに使用しているカトラリートレイ

衛生的で使いやすい小物置き場の便利さは身にしみて分かっているので、レギュレーターストーブ ST-310専用ではありますが、ストーブのすぐ横に平らで衛生的な小物置き場を作るための製品を購入してしまいました。

発売からまだ間もないですが、これがどんな製品なのか興味のある方が多そうなので、ブログ記事にしてみました。

概要

今回紹介するミニマルワークトップは、レギュレーターストーブ ST-310専用に設計され、ST-310を作っているのと同じメーカーが製造、販売する小型テーブルです。

類似の製品はサードパーティーから色々と販売されていますが、ついに純正品が登場したわけです。

f:id:dfm92431:20210317215737j:plain▲ST-310とミニマルワークトップの組み合わせを山の上で使用している様子

仕様

f:id:dfm92431:20210317215753j:plain▲ミニマルワークトップのパッケージ

製品名: ミニマルワークトップ ST-3107
メーカー: 新富士バーナー株式会社(愛知県)
展開サイズ: 幅376mm×奥行153mm×高さ95mm(カタログ値)
収納サイズ: 幅300mm×奥行153mm×高さ33mm(カタログ値)
重量: 約600g(カタログ値)
材質: アルミニウム(スタンドボード、トップボード)、ステンレス(ジョイントワイヤー、スタンドワイヤー、トッププレート)
生産国: 日本
国内定価: ¥5,940(税込)
購入価格: ¥5,940(税込)
購入先: sproutzero(姫路市)
備考: 推奨鍋サイズは16cm以下

パッケージ内容

段ボールのパッケージの中には、以下のものが入っています。

f:id:dfm92431:20210317215925j:plain▲パッケージ内容(取扱説明書、収納状態のミニマルワークトップ、収納ポーチ)

外観

収納状態のミニマルワークトップは、上の画像の様に「片方の端に取っ手が付いた板」のような形状です。

これを裏返すと、複数のパーツが組み合わされていることが分かります。

f:id:dfm92431:20210317215953j:plain▲収納状態のミニマルワークトップ裏面

収納状態のミニマルワークトップを分解すると、以下の通り5つの部品に分かれます。

f:id:dfm92431:20210317220014j:plain▲ミニマルワークトップの構成部品

組み立て方

※部品の名前は、上の画像(ミニマルワークトップの構成部品)を参照してください。

  1. まずはスタンドボードジョイントワイヤーの短い方の端を差し込みます。f:id:dfm92431:20210317220038j:plain▲スタンドボードにジョイントワイヤーを差し込む

  2. 次に、ジョイントワイヤーにトッププレートを載せて押し込みます。このとき、トッププレートの「階段状に折り曲げられた部分」がスタンドボードの逆側になるようにしてください。

    f:id:dfm92431:20210317220132j:plain▲ジョイントワイヤーの間にトッププレートを押し込む(トッププレートの向きに注意)

  3. 今度はスタンドワイヤートップボードに差し込みます。

    f:id:dfm92431:20210317220158j:plain▲トップボードにスタンドワイヤーを差し込む

  4. 最後に、(2)と(3)で組み立てた部品同士を連結すれば完成です。

    f:id:dfm92431:20210317220217j:plain
    ▲完成したミニマルワークトップ

収納するには

購入時の状態が収納状態です。

どの部品がどこに収まっていたか覚えながら分解することをお勧めします。
収納作業は、「5つの部品を購入時の状態に組み立てる」といった方が正しいかも知れません。

これらの作業は、メーカーの公式動画(スライドショー)で確認できます。


SOTO ミニマルワークトップST 3107の組み手て方法、収納方法306

使い方

組み立てたレギュレーターストーブ ST-310を地面に置き、ゴトクとバーナーがトッププレートの穴を通るようにミニマルワークトップを上からかぶせるだけです。

ST-310とミニマルワークトップを連結する仕組みはありません。
したがって、移動させたい場合は下からST-310ごとミニマルワークトップを持ち上げる必要があります。

重要:クッカーを載せたまま移動させたり、火が着いた状態で移動させたり、使用直後に温度を確認せずミニマルワークトップやST-310に触れることは、火傷や火災の原因になりかねないので、絶対にしないでください。

f:id:dfm92431:20210317220422j:plain▲ST-310の上にミニマルワークトップをセットした様子

ミニマルワークトップとST-310を平行にセット(横置き)した場合は、スタンドボードの脚の間から器具栓つまみと点火スイッチを操作することになります。

スタンドボードが熱くなっている可能性があるため、使用直後に再点火する場合は、スタンドボードに触れないように器具栓つまみと点火スイッチを操作してください。

f:id:dfm92431:20210317220442j:plain▲ST-310を横置きした時の操作部

ミニマルワークトップとST-310が直角になるようにセット(縦置き)すると下の写真のようになり、操作性が高くなります。
こうなると、まるで“超小型の台所”。個人的にはこちらの方が好みです。

f:id:dfm92431:20210317220514j:plain▲ST-310を縦置きした様子

ミニマルワークトップをセットすると、ST-310はミニマルワークトップのトッププレートにより輻射熱から保護されるようになります。

トッププレートは薄いステンレス板になっているため蓄熱しづらいですし、ステンレスの熱伝導性の低さもあって、テーブル部分が熱くなる可能性は低いと思われます。

ただし、火力を上げすぎたり風で炎が揺らいだ場合などは、テーブル部分が熱くなる可能性があります。

トッププレートは、吹きこぼれなどでよく汚れるので、使う度に中性洗剤できれいに洗う必要があります。

f:id:dfm92431:20210317220534j:plain▲ミニマルワークトップのトッププレートは、ST-310を輻射熱から守る

取扱説明書には「おすすめのSOTO調理器具」の一覧が掲載されています。
その一覧にある「ナビゲータークックシステム SOD-501 クッカー小、大」を持っているので、ST-310にミニマルワークトップをセットしてクッカーを載せてみました。

クッカー小は小型なので、適切な火力で使用すればトップボードが過熱される心配はなさそう。

f:id:dfm92431:20210317220644j:plain▲「ナビゲータークックシステム SOD-501 クッカー小」を置いた様子

f:id:dfm92431:20210317220705j:plain▲クッカー小で湯を沸かす様子をサーモグラフィーで撮影した画像(テーブル部分が全く温まっていないことに注目)

クッカー大も下の画像の通り、適切な火力では輻射熱でトップボードが過熱されることはありませんでした。

f:id:dfm92431:20210317220725j:plain▲「ナビゲータークックシステム SOD-501 クッカー大」を置いた様子

f:id:dfm92431:20210317220738j:plain▲クッカー大で湯を沸かす様子をサーモグラフィーで撮影した画像(テーブル部分が全く温まっていないことに注目)

比較のため、トッププレートからはみ出すほどの大きさのクッカーを使用した場合にどうなるか、ラージメスティンを使って実験してみました。

サーモグラフィーの画像を見てお分かり頂けるとおり、大きなクッカーを使う場合には危険が伴います(直径16cmを越える大きなクッカーをミニマルワークトップで使用することは推奨されていません)。

ラージメスティンを使っている様子のサーモグラフィー画像では、地面が温まっています。これは、フタの隙間から下向きに噴き出した水蒸気の影響で、輻射熱はあまり関係なさそう。

注:ラージメスティンを使った画像は、熱の影響を見るための実験の様子です。このような使い方を推奨するものではありません。

f:id:dfm92431:20210320081439j:plain▲ラージメスティンを置いた様子

f:id:dfm92431:20210320081459j:plain▲ラージメスティンで湯を沸かす様子をサーモグラフィーで撮影した画像(ラージメスティンの底面から熱気が広がり、テーブル面の上にも出ている(赤矢印参照)ことや、テーブル部分にも多少の熱が広がっている点に注目)地面が温まっているのは、フタの隙間から下向きに噴き出した水蒸気の影響と考えられます。

ミニマルワークトップと風防の組み合わせ

重要
ST-310の取扱説明書には以下の記載がありますので、周囲全体を囲むような風防は使用しないでください。

「●風よけのためでも石やブロックおよび板等で全面を囲んでの使用は容器(ボンベ)が過熱し、非常に危険ですのでおやめください。」
(出典:ST-310の取扱説明書)

ミニマルワークトップには、風防としての機能はありません。

そこで、私の場合はEPIgas「ウインドシールド ショート(税込定価¥1,760)を使用しています。

f:id:dfm92431:20210317220847j:plain▲ミニマルワークトップを風防(EPIgasのウィンドシールド ショート)で囲った様子

風防を使っている方にとっては“あるある”かも知れませんが、本当に風が強いときは風防が風に煽られて動き、ガスストーブ上のクッカーに激突してクッカーが転倒することがあります。

ラーメンを茹でている時だと「ぎゃぁ!昼ご飯のラーメンがー!」という悲劇が山の上で展開されるのです。

ミニマルワークトップで風防を使う場合、風防が風に押されてもミニマルワークトップや縦置きしたST-310のガス缶がストッパーになり、風防がクッカーに当たる可能性は低くなります。

f:id:dfm92431:20210317220920j:plain▲ミニマルワークトップにウィンドシールド ショートをセットした状態を真上から見たところ(左から強風が吹いても、風防はあまり動かない)

ただ、風防の高さによってはクッカーの持ち手が干渉する可能性があるので、その点はご注意ください。

(私はクッカーを扱いやすくするために取っ手を左側に向けていますが、取っ手を手前に向ければ、風防との干渉は気にしなくても良いかも知れません。)

f:id:dfm92431:20210317220941j:plain▲横から見た様子(この画像はEPIgasの「ウィンドシールド ショート」とUNIFLAME 山クッカー角型の「鍋13」の組み合わせ。)

f:id:dfm92431:20210320082019j:plain▲風防を使用している様子をサーモグラフィーで撮影した画像(風防で覆われている場所に熱が籠もっていることが分かる。このときの風防内側の表面温度は、セ氏50度近くまで上がっている。)

f:id:dfm92431:20210317220954j:plain▲EPIgasの「ウィンドシールド ショート」は、ミニマルワークトップと重ねて収納袋に入れられる(オレンジ色の袋がウィンドシールド ショートの収納袋)

注意事項

  • ST-310以外のストーブと組み合わせて使うことは、説明書で禁止されています。
  • ミニマルワークトップの耐荷重は、どこにも記載されていません。極端に重い物を載せたり、ミニマルワークトップの上に乗ったり座ったりしないでください。
  • ST-310を最大火力にすると、鍋底に当たった炎が広がり、ミニマルワークトップのトップボード上にも炎が出てくる可能性があるので、火傷に注意が必要です。
  • セラミック付焼き網や大きな鉄板など、輻射熱が大きな器具と組み合わせて使わないでください。輻射熱によりミニマルワークトップが過熱され、火傷の原因になります。
  • 使用する調理器具は、直径16cm以下の物が推奨されています。それ以上の大きさの調理器具を使うと、トップボードやスタンドボードが高温になって危険です。

最後に

細かいところまでしっかり考えて作られた、メーカー純正のST-310用オプションということで、安心して使用できます。

しかし、利用者が誤った操作(火力の上げすぎや、ST-310を正しく装着しなかったり、ST-310以外の火器を使用するなど)をしたり、炎が揺らいでクッカー底面からはみ出すような強風下で使用するなど、メーカーが想定していない使い方をすると安全性が低下します。

ST-310を縦置きした場合は“超小型の台所”のような環境ができあがるので、山の上でも快適な調理が行えます(テーブル部分が狭いので、できることは限定的です)。

重いため山歩きをする方にはお勧めしづらいですが、私のように距離や標高差、コースタイムを気にしない山歩きを楽しまれている方なら、山の上で贅沢な時間を過ごすための装備としていかがでしょうか。

長所

  • メーカー純正品なので、安心して使える(過信は禁物)。
  • デザインも質感も優れており、所有欲が満たされる。

短所

  • 精密な加工がされた製品(しかも日本製)なので仕方ありませんが、高価
  • しっかりした作りなので仕方ありませんが、重い
  • トッププレートは吹きこぼれなどで使う度に汚れるので、帰宅後、中性洗剤で洗わないといけない(洗い物が増えて面倒)。
  • 風防としての機能がない。風が強い場合は、別途風防が必要。
  • 組み立て、分解が面倒で少し複雑なので、使用頻度が低ければ使い方を忘れる可能性がある。

参考

この記事でST-310に接続されているCB缶に巻いているのは、「マルチカバー」です。

「マルチカバー」に貼り付けているパッチ(ワッペン)は、飲食店で配布されていたステッカーにベルクロを貼り付けた物です。