重要 2022/4/18追記
紫電改の実物大模型と実物大コクピット模型、そして新たに作られた九七式艦上攻撃機の実物大模型は、防災備蓄倉庫の北にオープンした「soraかさい」で常設展示されることになりました。
太平洋戦争中、兵庫県加西市(姫路市の北東)に存在した鶉野(うずらの)飛行場では、隣接する川西航空機姫路製作所鶉野工場で組み立てられた「紫電(しでん)」や「紫電改(しでんかい)」といった戦闘機のテスト飛行や、パイロットの養成が行われていました。
その鶉野飛行場の跡地では、毎月第1、第3日曜に非常にリアルな「紫電改」の実物大模型が展示されます。
ただ、その紫電改はコクピットに乗り込んで記念撮影をするといったことは不可能。
しかし、コクピットに座る体験を希望する方が多かったらしく、見学者が“安全に”記念撮影をしたりパイロット気分を味わえるようにするため、コクピット部分だけの模型が製作されました。
本日2020年9月6日(日)は、そのコクピット模型の公開初日。
というわけで、コクピットの実物大模型を見るため、鶉野飛行場跡地に出かけてきました。
紫電改公開イベントの様子
▲実物大の紫電改コクピット模型
重要
ここに記載した内容は、記事掲載時点の情報です。新型コロナの感染状況や、このイベントの見学者の増減により、運営方法が変わる可能性があります。
お出かけの際は、最新の情報をご確認ください。
イベント名称: 紫電改操縦席模型の公開・搭乗体験
日程: 毎月第1日曜日・第3日曜日(2021年1月3日(日)を除く)
場所: 鶉野飛行場跡の防災備蓄倉庫
時間: 午前の部は10:30~12:00、午後の部は13:00~14:30
整理券配布: 午前の部は10:00~、午後の部は12:30~*1
料金: 無料(100円以上の寄付をすることが望ましい)
備考: 事前に配布される整理券(先着順)が必要です。
※荒天・雨天の場合は公開が中止される場合があります。
※新型コロナ感染対策のため、人数が午前、午後それぞれの部で30名ずつに制限されています。
※搭乗体験は1人あたり3分以内という制限時間が設定されています。
※搭乗体験をする際は、使い捨て手袋が配布されます。感染対策のため、素手で操縦席模型に触れることは禁止されています。
https://goo.gl/maps/m8cJB7sDe1Vsdxvt7
▲紫電改実物大レプリカ・コクピット模型の公開場所
私が現地に到着したのは09:40頃でしたが、コクピット模型体験の整理券(先着30名)を求める行列ができあがっており、「すでに30名に達しました」とスタッフの方が拡声器でアナウンスをされていました。
▲紫電改公開開始がまだ始まる前の防災備蓄倉庫の様子(右へ延びているのがコクピット体験の整理券を求める行列)
10:20頃、午前の部のコクピット体験の直前には、当時のパイロットに扮した男性が高高度を飛行する際の日本軍パイロットの装備を披露してくれました。
腕についた大きな日の丸は、撃墜されて脱出する際、味方に撃たれないようにするための目印だそうです。
▲高高度を飛行するための旧日本軍パイロットの装備を披露する展示(関係者以外はコクピット模型の奥に回れません。)
コクピットの模型は、簡単に出入りできるように右側面が大きく開いています。
リアルさは損なわれてしまいますが、“安全に”体験してもらうためのやむを得ない措置だと思います。
▲コクピット体験の様子(コクピット模型は、誰でも容易に出入りできるよう配慮されている。)
面白いのは、コクピットに座ると照準器越しに米軍機の模型を見られるようになっていること。
機銃を発射する操作を行うと、機銃の発射音が鳴るという仕掛けもあります。
▲コクピット模型の前に設置された青空の幕と米軍機の模型
コクピット模型の計器盤も撮影したかったのですが、人が多すぎて他の参加者の肩越しにちらっと見るのが限界でした。
代わりに、計器盤の図面を載せておきます。
▲搭乗体験用のコクピット内は、操縦のためのレバーや計器盤等が再現されている*2
私はコクピット体験を楽しんでいる方達を羨望のまなざしで眺めた後、精巧な紫電改実物大模型を堪能しました。
何度見てもリアルで素晴らしいです。
▲防災備蓄倉庫前に展示された紫電改
パイロットに扮した男性がコクピットに乗り込んでポーズを取ったり、機体の近くで観客と一緒に記念写真に収まったり、サービスもたっぷり。
▲パイロットに扮した男性がコクピットでポーズを取ってくれた
▲紫電改の隣でポーズを取るパイロット(救命胴衣には「坂本大尉」とある。左袖のマークは「大尉」の袖章。)
機体には実機と同様の手掛け、足掛けが備わっているので、パイロットがコクピットに乗り込む際の動作もしっかり観察できますよ。
レプリカだからと侮らず、興味のある方はぜひ一度現物をご覧ください。
実機と見紛う精巧さに、「模型なんだろ?」とか「しょせんニセモノだろ?」という考えが打ち砕かれると思います。
防災備蓄倉庫近くの他の展示
防災備蓄倉庫の西側には、旧日本海軍機のように塗装された練習機「テキサン」の実機展示と、対空機銃陣地跡があります。
これらも併せて見学することをお勧めします。
https://goo.gl/maps/pFNBr713pEWdhqMT8
▲防災備蓄倉庫からテキサンと対空機銃陣地跡へのルート
防災備蓄倉庫のすぐ南には鶉野飛行場資料館もあり、狭いですが当時の航空機の模型展示やパネル展示が充実しています(史料館内の写真撮影は禁止)。
交通アクセス
紫電改(実物大の精巧なレプリカ)が展示されている鶉野飛行場滑走路跡の防災備蓄倉庫へ行く手段は、自家用車と鉄道の2種類が考えられます。
自家用車の場合
高速道路を利用する場合は中国自動車道の加西インターで下り、「加西I.C前」交差点を左折。
フラワーロードと呼ばれる県道24号線を南下していくと、いつの間にか道路は県道716号線になります。
「加西I.C前」交差点からおよそ3km、「フラワーセンター前」交差点を左折して県道23号線に入ると、450mほどで「兵庫県立フラワーセンター 120m」の標識が立つ信号のない三叉路に出会うので、それを右折。
道なりに南東へ向かっていくと、掩体壕跡に展示された練習機(テキサン)が左に見えます。テキサンが見えたら、鶉野飛行場跡はもうすぐ。
滑走路跡を横切ってすぐ左折すると、防災備蓄倉庫が目の前に見えます。
https://goo.gl/maps/P7pEgndYhBrdfyon7
▲中国道の加西インターから防災備蓄倉庫へのルート
紫電改が展示される防災備蓄倉庫の南側に、舗装された駐車場があります。
ただし、その駐車場が満車になると、さらにその南にある未舗装の空き地(ここも滑走路跡)に車を置くことになります。
▲車は防災備蓄倉庫の目の前に止められる
鉄道の場合
北条鉄道の法華口(ほっけぐち)駅が最寄り駅です。
法華口駅から防災備蓄倉庫までの距離は、およそ2.9kmです。
JR沿線の方の場合は、JR加古川駅から加古川線で粟生(あお)駅へ行き、そこで北条鉄道に乗り換えることになります。
加古川駅から粟生駅までの所要時間は25分ほど。粟生駅から法華口までは10分ほどです。実際は、これに乗り換えの待ち時間が加わります。
法華口駅からは、当時の日本兵が歩いたのと同じルートを通って鶉野飛行場へ向かうと良いでしょう。
道沿いには、防空壕跡や復元された鶉野基地の門などがあります。
https://goo.gl/maps/BWsij3uU6y3SVY6e8
▲法華口駅から防災備蓄倉庫までのルート
法華口駅から鶉野飛行場跡まで自転車で移動した時の記事がありますので、参考のためにリンクを載せます。
鶉野飛行場について
鶉野飛行場の施設概要姫路海軍航空隊基地施設概要
・基地名 姫路海軍航空隊其他(陸上)
・所在地 兵庫県加西郡九会村・下里村
・創設年月 昭和17年12月
・航空隊開設 昭和18年10月1日
・完成年月 昭和19年5月
・面積 2.531.040平方m
飛行場滑走路1.200M×60M1本
(転圧1.500M × 60M2本 土質粘土)
運搬路(誘導路)8.000M × 30M 終戦時 15.000M
掩体壕 中型10箇所 小型45箇所
・主要機種 中・小型練習機(97式艦攻、93式中練)
・格納庫 (木造)9.157平方m 40M × 120M 2棟(4×4)
・兵舎 約8.919平方m
・収容施設 庁舎2.092平方m 送信所179平方m
講堂 1.756平方m 移住施設60200平方m
工業場 1.580平方m 倉庫1.454平方m
・防空施設 対空機銃25mm連装4ケ所・単装2ケ所
・電波探信儀 桑原田
(出典:「平和祈念の碑」近くの看板。原文まま。「基地名」の「其他」は「基地」の誤植か。4桁以上の数字にある「.(ピリオド)」は「,(コンマ)」の誤植か。)
戦後に米軍が撮影した鶉野飛行場の写真を紹介します。
60m×1,200mの滑走路がはっきりと見えています。
▲1948年2月20日に米軍が撮影した鶉野飛行場跡。(出典:国土地理院の空中写真「USA M796-A 32」)