注意!
今回紹介するルートは、登山道が不明瞭なところがあります。また、木々には測量や林業用のマーキングテープが無数に付けられています。
この山を歩かれる場合は、マーキングテープを頼りにせず、道の様子などから正しいルートを判断してください。
一時期干されていた女優の「のん」さんを最近テレビで見かけるようになりました。
そういえば、「のん」さんの出身地は兵庫県神崎郡神河町(かんざきぐんかみかわちょう)。
どこの山に登ろうかと悩んでいましたが、テレビで「のん」さんを見て、神河町の山に登ることに決めました。(よくわからない理由だな。)
神河町の山で興味があったのは、白岩山(しらいわさん)。
13年前に登って以来、まったく歩いていない山です。
白岩山山頂案内板
(山頂の概要と周辺の山々)
白岩山は標高973mふるさと兵庫の100山に選ばれ、山頂は背の低い笹に覆われいくつもの巨岩を配し、山上の庭園の風情をかもしだしている。
東には千ヶ峰(1005m)、南東には六甲山、南南東には笠形山(939m)、南西には雪彦山、書写山、北西には段ヶ峰(1088m)氷ノ山の山々が連なります。見通しの良い日には瀬戸内海や家島を望むことができます。
山頂からの展望をゆっくり楽しんで頂くとともに、互いに登山マナーを守りましょう!
ハートがふれあう地域づくり事業・神河町猪篠区2009、10
(出典:山頂の看板。原文まま)
ちなみに、白岩山は、遠くから見ると山頂の岩が白く見えることから名付けられたそうです。
▲猪篠集落越しに見る白岩山(矢印が示している場所が白岩山の山頂)
白岩山には東コースと西コースの2つの登山ルートが設定されており、私は東コースしか歩いたことがありません。
西コースはかなりの急斜面と聞いているので、登りに使うのはキツそう。
そこで東コースで登り、初めて歩く西コースで下ることにしました。
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「生野」
▲カシミール3Dで作成したルートの断面図
08:15
姫路市街の自宅を車で出発。
国道312号線を北上します。
播但道の神崎北インターチェンジに通じる「神崎北ランプ」交差点を通過してからおよそ900m、「猪篠(いざさ)」交差点を右折(地図中「猪篠交差点」)。
その後は、1kmほど道なりに進んでいくと八幡神社の駐車場に出会うので、そこに車を置きました。
https://goo.gl/maps/6azPKgMJRGHhie9g9
▲八幡神社の駐車場の位置
09:25
八幡神社の駐車場に到着(地図中「P」)。
駐車場にある公衆トイレで用を足し、八幡神社にお参りしてから山歩きの準備に取りかかりました。
▲八幡神社の駐車場の様子(車の奥の建物が公衆トイレ)
▲八幡神社の拝殿
一、由緒
創立年月不詳であるが、享保五年本殿を改築。非常に装飾的で、特に妻面が特殊である。
之より先、霊元天皇の延宝五年(1677)松平日向守が検地を行ったときは、本殿四坪、拝殿十坪、境内九反三畝十歩の記録あり。明治七年二月、村社に列する。猪篠区(出典:現地に立つ「銀の馬車道馬宿り」の看板から一部を抜粋)
▲八幡神社の本殿
神河町指定文化財 建造物 八幡神社 本殿 1棟
所在地:神河町猪篠1113番地 指定年月日:平成19年3月13日
構造形式:三間社流造 鉄板葺き 拝所 桁行一間 梁間一間向唐破風造 鉄板葺
建立年代:享保五年(1720「兵庫県神社誌所載」)八幡神社は猪篠地区の鎮守社です。
拝所を含めた本殿全体において、豊富な彫刻が施され、彫刻部分には彩色が入っていて装飾性が高い。
建立年代については「兵庫県神社誌」に享保五年の棟札が載せられていますが、後世の改変はなく保存も良好です。
この本殿は村の鎮守社として比較的規模が大きく、また細部においても密度の高い仕事がみられ、意匠が進歩的かつ華麗です。
同時期に建立された、追上地区の大歳神社とも比較できる点も重要で、双方ともに大切に保存する建造物です。神河町教育委員会 平成24年(2012)3月作成(出典:現地の看板。原文まま)
車の横でゴソゴソと準備をしていると、駐車場の北側の尾根で何かが派手に動いているのに気づきました。よく見ると、メスの鹿が大きな鷹のような猛禽に追いかけ回され、斜面を跳ね回っています。
野生動物が元気に活動している山域のようなので、用心のためバックパックに熊よけ鈴を取り付け、熊撃退スプレーも装着。
09:38
準備が整ったので出発。
09:42
八幡神社の駐車場から東へ進み、300mほど行ったところで小さな橋に出会いますが、その直前の分岐を右に入ります(地図中「林道分岐」)。
ここからは、簡易舗装の林道。
▲橋を渡る手前を右に入る
▲簡易舗装の林道の様子
09:50
棚田跡を見ながら一車線幅の林道を歩いていると、防獣ゲートに出会いました(地図中「東コース防獣ゲート」)。
これを通過し、さらに林道を進みます。
▲東コース林道の防獣ゲート
白岩山の東コース、西コースとも麓の獣害を防ぐために防獣ゲートがありますが、いずれも開閉がしやすいです。下の画像をご覧下さい。
▲防獣ゲートをロックする仕組み(東コース、西コース共通)
両側の扉に付いている筒が縦に一直線に並ぶように扉を閉じ、そこに金属製の棒を通してロックするというもので、ゲートの外からでも内からでも簡単に開閉できる、すぐれた仕組みだと思います。
防獣ゲートから西へ進むと、間もなく道は北へ向きを変えて東西に延びる林道に突き当たりました。
この突き当たりは右(東)へ。
暑くなってきたので、ここで上着を脱いで半袖Tシャツ一枚になりました。
▲東へ延びる林道の様子(電柱がある)
10:01
猪篠配水池前を通過(地図中「猪篠配水池」)。
▲猪篠配水池
配水池のすぐ先には地形図で四角い建物が描かれていますが、それは沈殿池。
林道にあった電柱と電線は、この配水池と沈殿池に電力を供給するためのもので、ここから先に電柱はありません。
沈殿池から先の林道は、地形図の通りまっすぐな登り坂。
「林道歩きで楽に標高を稼ごう」と思っていたのに、結構キツイ。
▲一直線の林道を上る
景色はまったく楽しめませんが、半袖Tシャツ一枚になったおかげで涼しく、林道脇を流れる沢の水音がさらに涼しさを感じさせてくれて、肉体的には疲れる林道歩きですが、精神的には気持ちいい。
花に興味が無い私なのに、林道沿いに生えているミツマタの花になぜか癒され、林道歩きがなんだか楽しくなってきました。
▲林道沿いのミツマタ
10:25
標高630mあたりで大きな堰堤を左側に見た後すぐ、林道のヘアピンカーブの頂点にある登山口に到着(地図中「登山口」)。
▲ヘアピンカーブの頂点手前にある堰堤
▲登山口の様子
13年前に白岩山に登った時は、上の画像に写っているように、私もここに車を止めました。ここから山頂を往復するだけなら、標高差も小さく、手軽に白岩山を楽しめます。*1
登山口には下の画像の通り、しっかりした橋が架けられています。
その橋で沢を渡ったら左に進み、その後右へ向きを変えて、橋で渡ったのとは別の沢の左岸*2沿いの山道を上っていきます。
▲登山口にかかっている橋(渡った後すぐ左へ曲がる)
▲橋を渡った後は、小さな沢を左に見ながら山道を登る
少し上った所で、徒渉地点に出会いました。
岩だらけなので、靴を濡らさずに右岸へ渡れます。
▲一回目の徒渉地点
数分後にまた徒渉地点に出会い、沢の左岸の道へ。
▲二回目の徒渉地点
二回目の徒渉の後、古い鹿除けネット沿いの道を上ると、地形図の破線道に出会いました。
その破線道を進むと間もなく、ネットの開口部を通って、丸太橋で沢を越えることになります。
▲三回目の徒渉地点(丸太橋がある)
丸太橋を渡ると、等高線と平行に南へ延びる水平な山道に入りますが、それも長くは続きません。
10:42
水平な道から、右上の植林の斜面へ入る分岐に出会いました(地図中「分岐1」)。
▲分岐を右に入る
分岐を右に入った先は、植林の急斜面に付けられたつづら折れの道です。
つづら折れの頂点には木に描かれた矢印があるので、ぼーっと歩いていても折り返す場所を見逃す心配はないでしょう。
遠くからチェーンソーの音が聞こえる中、植林の斜面を黙々と進みます。
▲植林の中のつづら折れの道を上る
植林の中のつづら折れの道は標高850m辺りまで続き、そこでいったん植林を抜けるとススキの中の道になりますが、それもすぐに終わり。ススキの道を抜けると、標高900m弱の等高線に平行な、植林の中の道に変わりました。
11:00
先ほどまで小さく聞こえていたチェーンソーの音が、かなり間近に聞こえてきたと思ったら、鹿除けネットの開口部をくぐった先で伐採作業の現場に遭遇(地図中「鹿除けネット開口部」)。
▲伐採作業の様子
倒れてきた木に当たるとシャレにならないので、作業中の方に挨拶し、私の存在をアピールしておきました。
11:04
等高線と平行な道と、主稜線へ上がるための道の分岐に出会いました(地図中「分岐2」)。
東コースで登ろうと思っている方は、この分岐を見落とさないようにしてください。
▲「分岐2」の様子(直進は間違いで、右の斜面を登る)
▲「分岐2」に落ちていた小さな道標
地形図では白岩山山頂から南に破線が描かれていますが、それは間違いで道はありません。
いったん山頂の南側を西へ通り過ぎてから、東へ戻る形で登るのが正しいルートです。
11:08
主稜線に乗りました(地図中「主稜線出合い」)。
しっかりした道標が立っており、私が歩いて来た方向を指して「東ルート」となっています。
▲主稜線出合いの様子
ここまで来たら、13年前に登った記憶が蘇ってきました。
右側に展望が開けた道を、山頂まで登った記憶です。
というわけで、道標の立つ場所から東へ、ススキの中に見える道を山頂へ進んだのですが、ススキやアセビが邪魔で歩きづらい。
しかし、道は付いています。
おかしいなと思いながらも東へ進んでいくと、見覚えのある巨岩が聳える、白岩山山頂に到着しました。
11:18
山頂に到着。誰もいません。
山頂の少し下にある巨岩の上に立つと展望が楽しめるので、そこで昼食を食べることにしました。
▲白岩山の山頂と巨岩(巨岩の上に私が立っています。ドローンで撮影。)
▲巨岩と眼下に広がる展望(巨岩の上に私が立っています。ドローンで撮影。)
白岩山山頂からの風景は、以下の全天球パノラマでご覧いただけます。
パノラマ画面左上のリストから、「山頂看板前」「山頂東の岩」「山頂西の岩」「山頂空撮」の4種類のパノラマを切り換えてご覧ください。
https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/shiraiwasan20200321/virtualtour.html
▲白岩山山頂で撮影した全天球パノラマ*3
一人や二人といった少人数であれば、上のパノラマにある「山頂東の岩」または「山頂西の岩」の上がお勧め。看板の前よりも景色を楽しめます。
この眺めを楽しみながらいただく本日の昼食は、白ご飯とレトルトの肉じゃが、インスタントのみそ汁。
▲本日の昼食
私が食事をしていると、ご夫婦のハイカーが登ってこられました。
不思議なところから出現されたので、道をはずれたまま無理矢理登ってこられたのかも。
そのご夫婦は、山頂の看板に向かって右側の岩場(上の全天球パノラマで「山頂東の岩」となっている場所)で昼食。
食後、私がフィナンシェとインスタントコーヒーでまったりしている間に、そのご夫婦は先に下山されました。
12:45
あまりにも気持ちよくて、岩の上でぼーっとしていたらずいぶん時間が経っていました。
名残惜しいですが、下山開始。
山頂から「主稜線出合い」へ向かって下っていると、登りより遥かに歩きやすいことに気づきました。
私が往路で昔の記憶を頼りに歩いた道は廃道になっており、少し北寄りの植林の中に新たな道ができていたのです。
つまり、登山時は主稜線出合いの道標に出会ったら、ススキの中の道の跡ではなく、道標の裏から植林の中を東へ歩いて山頂へ向かうのが正解だったようです。
さて、西コースは基本的に主稜線の真ん中に付けられた道ですが、急斜面を避けるために南寄りに迂回路が付けられている所もあります。
▲主稜線上の明確な道を西へ進んだ
13:05
トラロープが張られた場所に出会いました(地図中「西コース変針点」)。
登山道は、ここで南へ向きを変えます。
▲トラロープに出会ったら左(南)へ進路を変える
主稜線の南側斜面の角度は急ですが、道はつづら折れになっており、さほど苦労せずに下れました。
でも、登りでこの道を歩くのは嫌だな。下りに使って正解かも。
▲斜面は急角度だが、道はつづら折れなのでさほど急ではない
標高が下がってくると、路面が砂利に覆われて歩きにくくなってきます。
▲砂利で歩きにくい路面
さらに標高が下がって麓に近づいてくると、登山道というよりも杣道*4のようになり、やや不明瞭になりました。
しかし、道が不明瞭になっても、麓は近いのでさほど問題ありません。
13:36
西コースの入口にある防獣ゲートに到着(地図中「西コース防獣ゲート」)。
▲西コースの防獣ゲート(すぐ先に民家の屋根が見えている)
防獣ゲートを通過した後は、小さな橋で沢を渡って猪篠集落の北端に降り立ちました。
問題はここからです。
集落の中の道は複雑で、車を止めた八幡神社へ下る効率的なルートが分かりません。
道を尋ねようと思い、たまたま出会った年配の女性と少し話をしたところ、昔は学校行事で子供が白岩山に登っていたとのこと。その女性も子供の頃は登ったことがあり、当時は道が綺麗に整備されていたそうです。
お礼を言って女性と別れ、棚田の美しい石積みや、ひなたぼっこ用に庭先に置かれたと思われる椅子、網を持った親子連れなど、昔ながらの生活が続いている集落の様子を眺めながら、八幡神社に戻りました。
▲棚田の石積み
13:56
八幡神社の駐車場に到着。
15:15
自宅に到着。
白岩山を歩かれる際は、車を八幡神社に止めて、猪篠集落の風景をのんびり味わいながら歩いて登ることをお勧めします。もちろん、八幡神社の清廉な雰囲気もお勧めです。
交通アクセス
基本的には、自家用車で行くことをお勧めします。
公共交通機関を使われる場合は、JRの「新野(にいの)」駅から出ている神姫グリーンバスの路線バスで「猪篠」交差点近くの「猪篠」バス停まで行けます。
平日であれば、「奥猪篠」バス停まで行けそうです。
詳細は神姫グリーンバスへお問い合わせください。