警告
この記事で紹介しているルートは、上級者向きです。
前半は道がなく、後半は廃道のような場所を歩いています。
単独や初心者の方、山歩きの経験者であっても、整備された山しか歩いた経験がなかったり、装備が不十分な方の挑戦は避けて下さい。
本日は、Webサイト「山であそぼっ(http://yamaaso.cranky.jp/)」の管理人「やまあそ」さんに誘われて、「TQFの山登りとスキーの記録(http://mtrykore.no-ip.biz/)の管理人でガジェット好きの「TQF」さんと一緒に兵庫県朝来市の青倉山(あおくらさん)を歩いてきました。
メンバー(敬称略)
・やまあそ
・TQF
・しみけん(当ブログ管理人)
▲川上地区から見た青倉山
青倉山は、山頂から見て南西の中腹にある青倉神社から登るのが一般的ですが、山マニアの「やまあそ」さんがそんな当たり前のルートで登るはずがありません。
今回の登山口は、青倉山の西麓にある花梨神社(はななしじんじゃ)。
そこから青倉山山頂を目指し、下山時はかつて川上地区から青倉神社へ延びていた参道跡をたどるというもの。
歴史を味わえる山歩きです。
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「但馬竹田」
▲カシミール3Dで作成したルートの断面図
07:55
姫路市街の自宅を車で出発。
播但連絡道路を北上し、朝来(あさご)インターチェンジで播但道を降りて一般道の国道312号線へ(播但道も国道312号線で、それと並行して一般道の国道312号線がある)。
一般道の国道312号線(一部の区間は県道526号線と重複)を北上し、「伊由市場(いゆいちば)」交差点を右折。
ここからは県道526号線です。
県道526号線を道なりに東へおよそ3km進んだところで、道の左手に石碑が立っているのに出会います。
この石碑前が本日の集合場所。
石碑前は若干のスペースがあるので、ここに車を駐めて歩くことになりました。
https://goo.gl/maps/7j2P1YAoSRaz8MqYA
▲本日の駐車場所
09:10頃
集合場所に到着(地図中「P」)。
▲本日の集合場所の様子
09:39
全員が揃い、準備が整ったので出発。
県道526号線を東へ500mほど進むと、道沿いにぽつんと建つお墓に出会います。
そのお墓の辺りで県道から未舗装の道が右へ分岐するので、その未舗装路へ。
この道が、登山口となる花梨神社への参道です。
▲花梨神社へ続く道の入口(矢印が示している方向)
09:50
県道から分かれた未舗装路はすぐ川に突き当たり、右へ向きを変えます。
すると、石灯籠と鳥居が見えてきました。
▲花梨神社の鳥居
鳥居をくぐって階段が付けられた道を上ると、すぐに花梨神社の社殿が姿を現します。
社殿と向かい合わせの位置には、お祭りや年越しで使うと思われる小屋もありました。
▲花梨神社の社殿
さて、この花梨神社ですが、「やまあそ」さんが興味深い考察をされているので紹介します。
今回の登るルートは登山道ではありませんので一般にはおすすめは出来ませんが、この登り口に使った『花梨(はななし)神社』はとても興味深い神社なのでちょっと説明させてもらいます。
創建は不明でその呼び名から鼻の病気に効くと言われて昔はけっこう賑わったそうです。
が、ここで花梨を『かなし』と読むとまた意味は違ってきます。ここから少し離れた所にある竹田城趾の道向かいにある山が『金梨山(かなしやま)』と言い、山頂直下にある洞窟には金梨山大権現が祀られています。
花と金との違いはあれ、読み名が同じという共通を発見。でもそれだけではなんの面白みもありませんが、この花梨の祭神はコノハナサクヤヒメ、そして金梨山大権現もじつはコノハナサクヤヒメです。
つまり読み名も同じで祀られている神様も同じ。
これって、なんらかのつながりがあったのでは?と想像できます。
このことはどの資料にも載っていませんし、近所にある善隆寺のご住職にこの話を少ししたことがありますが、金梨山のこと自体をご存じなかったのでした。(出典:「やまあそ」さんのFacebookページ)
この社殿の背後から尾根に取り付く予定なのですが、尾根には防獣フェンスが張りめぐらされており、山の中へ入れません。
「やまあそ」さんが新しいステンレスのワイヤーでフェンスが固定されている場所を見つけ、それを緩めてフェンスの向こう側へ(通過後は、ワイヤーを元通りにしてフェンスを閉じました)。
▲新しいステンレスワイヤーを緩めて防獣フェンスにすき間を作り、山に入った
ここからは道のない尾根歩きです。
道はなくても、どこでも歩けるような尾根なので問題ありません。
▲道はないが歩きやすい尾根を登る
尾根に取り付いてしばらくは植林でしたが、標高が300mを越えた辺りは松林。
しかし松林は長く続かず、また植林帯に戻ります。
▲松林の様子
標高400mを越えると尾根の斜度がきつくなり、息が上がります。
婚活にまつわる「やまあそ」さんのおかしな経験を聞きながら、のんびりと歩みを進めました。
▲急斜面はこのような角度
10:45
ようやく急斜面が終わり、528m標高点を通過。
10:55
575.1m三角点ピークを通過。
この三角点は四等で、点名は伊由峠山です。
▲四等三角点(点名:伊由峠山)
三角点ピークからいったん下り、鹿除けネット沿いの斜面を上り返すと620m標高点です。
11:09
620m標高点を通過。
この付近からは、与布土川(よふどがわ)沿いの町並みや、鉄塔が林立する粟鹿山(あわがやま)を見ることができました。
▲620m標高点からしばらく続くなだらかな尾根の様子
620m標高点から続く平坦な区間が終わると、自然林の上り斜面。
平坦な区間が良い休憩になったので、それほど苦労せずに登れました。
▲山頂への最後の登りは自然林の斜面
11:43
大きな反射板がある青倉山山頂に到着。
反射板の他にも複数のアンテナが設置されていますが、ここは無線通信の中継所として便利な場所なのかな。
▲青倉山山頂の様子(ドローンで撮影)
山頂の様子は、以下の全天球パノラマでご覧下さい。
パノラマ画面左上のリストで「山頂(空撮)」に切り換えると、ドローンで空撮した全天球パノラマをご覧いただけます。
https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/aokurasan20191215/virtualtour.html
▲青倉山山頂で撮影した全天球パノラマ
三角点標石は、山名プレートを囲むように生えているアセビの下に隠れています。
▲山頂の山名プレート
▲アセビの下に隠れていた三等三角点標石(点名:青倉山)
山名プレート前は南西方面が開けているので、ここで展望を楽しみながら昼食です。
本日のメニューは、「尾西のドライカレー」とコストコで買ったコーンポタージュ。
TQFさんの奥さんからの差し入れとして、黒豆餡のパイ包みもいただきました。
▲本日の昼食
食後は、ガジェット好きのTQFさんのリクエストにお応えして持ってきたRicohのパノラマカメラ「THETA Z1」やドローンをひとしきり楽しみました。
12:47
青倉神社に向かって下山開始。
12:51
下り始めて間もなく、「やまあそ」さんから「あった!奥の院!」の声。
「やまあそ」さんの視線の先には、斜面に貼り付くように立つ小さな祠がありました(地図中「奥の院」)。
登山道を離れて斜面を下り、その祠へ。
▲青倉神社の奥の院
▲祠の中が気になる「やまあそ」さんと「TQF」さん
奥の院の前に立つと、登山道に向けて水平な道が付けられているのが見え、それをたどると難なく登山道に復帰できました。そこには、「奥の院」と書かれた道標もあります。
青倉神社から登って来た方ならすぐ気づくでしょうが、私達のように青倉神社から登って来なかった場合は、青倉山から下る時には見落としそう。
▲登山道にある奥の院への道標
奥の院への分岐から急斜面を一気に下ると、今度は急斜面の登り返しです。
この付近は道がややこしく、本来の道ではない場所へ迷い込み、むりやり斜面を下って正規の道に復帰しました。
13:08
段差が大きく、丸太部分を踏むと恐ろしく滑る恐怖の丸太階段に出会いました(地図中「丸太階段」)。
本来、丸太階段は急な斜面を歩きやすくするために設置されますが、この丸太階段はもはや障害物。
▲歩きづらい丸太階段を振り返って撮影
13:11
「青倉神社」と書かれた道標が立つ鞍部を通過(地図中「鞍部」)。
道標に従ってトラバース道へ入ります。
▲「青倉神社」への道標にしたがってトラバース道へ入る
このトラバース道は細くて落ち葉が積もっているため歩きづらい。
しかも斜面の角度がきついので、うっかり足を滑らせると谷へ滑り落ちてしまいます。
▲足を踏み外すと危険な道を進む
13:29
お堂のような建物に出会いました。青倉神社の施設の一つです(地図中「お堂」)。
お堂からは、丸太の柵が設置された道を下ります。
▲ようやく青倉神社の境内に着いた
13:32
青倉神社の社殿へ続く石段の途中に出ました(地図中「青倉神社」)。
社殿は不思議な形をしています。
▲青倉神社
石段の下にある建物は、「やまあそ」さんによると籠り堂だそうです。
「祈禱受付所」とあるので、社務所も兼ねているようです。
▲奥行きがあって規模が大きな社務所(籠り堂)
山頂でのんびりしすぎて時間がないため、青倉神社にはお参りせず、青倉神社の駐車場に向けて参道を下ります。
▲青倉神社の駐車場に向けて下る
13:39
下山に使うのは、青倉神社の旧参道。
神社の駐車場から西へ下り、最初に出会う右への急カーブの頂点からそれは始まっています(地図中「旧参道入口1」)。
ここには「通行止」とありますが、旧参道の下側の入口は「通行止」になっていませんでした。
無用なトラブルを防ぐためにも、不安な方はこのルートを歩かないで下さい。
▲「通行止め」の看板が立っているのが旧参道の入口
▲旧参道の下り始めは丸太階段
最初の内こそ広くて快適な丸太階段の道でしたが、やがて道は狭くなり、一般の参拝客が歩けるような道ではなくなってきます。
▲旧参道で出会った橋
上の画像の橋を過ぎると、道は荒れ放題。
私は一度転倒してしまいました。
13:48
「青倉神社」の扁額が懸かった鳥居に出会いました(地図中「鳥居」)。
鳥居の前には東屋もあり、現在の車道ができるまではこの道がメインの参道であったことがよく分かります。
しかし、今では東屋は朽ち、倒木が参道を塞いでいる状態。
▲旧参道は一般の人が歩けない状態
13:52
簡易舗装の旧参道を下っていくと、多々良木ダム方面から上ってくる車道のヘアピンカーブの頂点に出ました(地図中「車道合流地点」)。
「やまあそ」さんによると、旧参道の続きに入るにはこの車道を上っていくとのこと。
▲旧参道の続きに入るには、車道を上る
車道を400mほど上がった所から旧参道の続きが始まりますが、知っていなければ絶対に入口は分かりません。
14:01
車道から旧参道の続きへ入りました(地図中「旧参道入口2」)。
▲旧参道の続きは、車道から見てもほとんど分からない
▲旧参道には電柱が立っている
14:07
朽ちた東屋に出会いました(地図中「朽ちた東屋」)。
今の車道ができるまでは、青倉神社の参拝者達が休める貴重な場所だったのでしょう。
▲旧参道沿いに残る朽ちた東屋
14:10頃
つづら折れの旧参道を下っていたら、群生するジャケツイバラに行く手を遮られました(地図中「イバラ」)。
仕方が無いので、旧参道をはずれて斜面を適当に下り(つづら折れの道の間をショートカットし)、少し下で旧参道に復帰。
旧参道には電柱が立っていると上で書きましたが、ジャケツイバラの下に電柱が見え、それを目印に下ったため楽に旧参道に復帰できたというわけです(「やまあそ」さんの機転に救われました)。
14:17
行場跡のような、石積みの前にトタンの屋根が懸けられた施設前を通過(地図中「行場?」)。
▲行場跡(?)
▲路面が荒れた旧参道を下っていく
路面に簡易舗装が現れてくれば、麓は近い。
▲簡易舗装された路面が見える場所の様子
14:30
旧参道の入口(林道終点)に下りてきました(地図中「旧参道入口」)。
▲旧参道を振り返って撮影
ここからは広い林道なので、楽に歩けます。
14:34
防獣ゲートに出会いました(地図中「防獣ゲート」)。
このゲートはヒモと針金で閉じられているだけなので、簡単に通過できます。
▲防獣ゲートを通過
防獣ゲートを抜けて林道を下っていくとまもなく、川上地区と青倉神社をつなぐ現在の参道(車道)に合流しました。
この場所には祠があり、中には丁石を兼ねた石仏が安置されています。
▲川上地区から青倉神社へ続く車道に合流した
集落の中を抜け、県道526号線へ。
後は、駐車地点まで県道を西へ進むだけです。
▲県道526号線に出た
14:49
駐車地点に到着。
帰りも時間の節約のため播但道を利用しました。
16:05
自宅に到着。
やまあそさん、TQFさん、今回も普通では味わえないルートを案内していただき、ありがとうございました。