播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

兵庫県赤穂郡上郡町の生駒山(260m)

天気予報の最高気温がようやく25℃を下回ったので、久しぶりに山を歩こうと思って出かけてきました。

行き先は、兵庫県赤穂郡上郡町(あこうぐんかみごおりちょう)にある生駒山(いこまやま。260m)。
中世には駒山城という山城があった山です。

木陰が多いため涼しそうなのと、夏場に山歩きをサボって体がなまっており、標高差の大きい山にはとても登れないという理由で、ここを選びました。

f:id:dfm92431:20191013174130j:plain

▲生駒山の登山口に立つ看板

f:id:dfm92431:20191013174140p:plain

▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「上郡」

上郡町指定文化財
駒山城跡

上郡町山野里・井上

 標高263mの駒山山頂にあり、上郡の市街地を一望の下に見渡すことができます。南の尾根づたいと東の麓からの登山道が設けられています。
 南北朝時代(14世紀)の築城とも伝えられていますが、現在残る縄張りは、戦国時代(16世紀)の後半頃のものとおもわれます。二つの尾根を中心に、曲輪跡や石積・土塁・堀切・井戸跡などが残っており、瓦や備前焼等の戦国時代の遺物も採集されています。
 瓦や石積など、後の近世城郭につながる特徴を持つ中世の山城として、町内でも数少ない貴重な城跡です。

上郡町
上郡町教育委員会

(出典:登山口の看板)

「播磨鑑」という明治時代の本には、次のように書かれています。
なお、この文中に出てくる「竹萬(ちくま)」という地名は、今回の登山口の南東1.7kmほどの場所に「竹万」と漢字を変えて今でも残っています。

駒山城 安室郷山里村ニアリ上郡村ノ西也 城主ハ長船越中守(律師則祐ノ居城滑石ノ上ニ馬蹄ノ跡アリ)其間六七丁隔テ竹萬村ニ小田吉田内海片島ナト云者有越中守ト不和也度々羽山ノ邊ニ挑戦シ駒山ヲ攻ム竹萬利アラス苔縄村ニ高見治部ト云浪人有軍学ニ長ス小田等是ヲ頼テ山ツタヒニ駒山ニ入リ白晝ニ火ヲ放タシム 或説ニ圓心ノ家臣内海十郎守ルト
(出典:「播磨鑑」 赤穂郡之部 P32 明治42年11月25日発行 発行者 播磨史談会)

10:00
姫路市街の自宅を車で出発。

姫路バイパス(国道2号線)を西進し、JR有年(うね)駅前を通過して間もなく出会う「有年原(うねはら)」交差点を右折します。
ここからは、千種川(ちくさがわ)左岸沿いを走る国道373号線。

千種川沿いに北上することおよそ6km、「隈見橋東(くまみばしひがし)」交差点を左折して千種川を渡ります。

橋の西側には「隈見橋西」交差点がありますが、それを直進して出会う次の信号(保育園がある)を左折します。

400mほど道なりに進むと「メガネの三城」のある交差点(信号あり)に出会うので、そこを右折。

100mほど進んだ所に、今回の登山口があります。

▲登山口(駐車場)の位置

https://goo.gl/maps/azWrV2TaTHSoZS4Y7

10:50
生駒山の登山口に到着(地図中「P」)。
小さなお堂の横にある空き地に車を置きました。

一部、道路と空き地の間に溝がある場所があるため、脱輪しないよう注意してください。

f:id:dfm92431:20191013174554j:plain

▲登山口の様子

11:07
出発。
「駒山登山路案内板」と「駒山城跡」に関して書かれた看板の間から始まる擬木の階段道を登ります。

f:id:dfm92431:20191013174608j:plain

▲擬木階段が設置された区間の様子

擬木の階段は、登山口から数分ほどの距離で出会うコンクリート製の小さな小屋の付近で終わり、そこからは岩がちな道に変わります。

さらに数分登った辺りでは、今まで両側が自然林だったのに、左(西)側だけ植林に変わります。

f:id:dfm92431:20191013174621j:plain

▲道の片側だけ植林に変わる

11:17
シルバーコースとヤングコースの分岐に出会いました(地図中「シルバー/ヤングコース分岐」)。

左はなだらかなシルバーコースで、右は岩の斜面を登るヤングコース。
道標によると、どちらに進んでも先で合流するようです。

f:id:dfm92431:20191013174659j:plain

▲分岐の様子

私はイワイワした道が好きなので、ヤングコースを選択。
シルバーコースは、下山時に歩きました。

ヤングコースの岩の斜面を登り切ったところには「山頂、本丸跡まで700m」の道標がありました(シルバーコースを歩いた場合、この道標には出会いません)。

f:id:dfm92431:20191013174715j:plain

▲山頂、本丸跡まで700m地点の様子

「山頂、本丸跡まで700m」の道標を過ぎて間もなく、左からシルバーコースが合流する地点を通過。

f:id:dfm92431:20191013174727j:plain

▲ヤングコースとシルバーコースが合流する地点を振り返って撮影

11:20
「馬の蹄跡」を通過(地図中「馬の蹄跡」)。
馬の蹄跡と言い伝えられている穴(実際は礫岩から礫が抜けた穴)がある岩の斜面です。

馬の蹄跡(ひずめあと)
この岩場には礫岩(れきがん)の礫(れき)が抜けた丸い穴があり、「馬の蹄跡」と呼ばれている。
(出典:現地の看板。原文まま。)

f:id:dfm92431:20191013174741j:plain

▲馬の蹄跡がある岩の斜面

f:id:dfm92431:20191013174755j:plain

▲馬の蹄跡とされる穴(大きさの比較のため手を写しています)

11:25
「山頂、本丸跡まで400m」の道標前を通過(地図中「山頂、本丸跡まで400m地点」)。

f:id:dfm92431:20191013174809j:plain

▲山頂、本丸跡まで400m地点の様子

f:id:dfm92431:20191013174823j:plain

▲山頂、本丸跡まで400m地点を過ぎて間もなく見える二の丸跡と本丸跡

11:31
東麓にある「井上」からの登山道が合流する地点を通過。
ここには、送電線鉄塔跡があります(地図中「鉄塔跡」)。

f:id:dfm92431:20191013174837j:plain

▲送電線鉄塔跡(かつては「姫路岡山線77」が立っていた)

11:37
天面が平らな「荷置岩」がある岩の斜面に出会いました(地図中「荷置岩」)。
一見すると登るのが大変そうな岩の壁。
右側から簡単に登れるのですが、気づかなければ戸惑うはずです。

山頂に駒山城があった当時、この岩の斜面は防禦に大きく貢献したことでしょう。

f:id:dfm92431:20191013174900j:plain

▲荷置岩がある岩の斜面

f:id:dfm92431:20191013174912j:plain

▲荷置岩

荷置岩を過ぎれば、生駒山の山頂(駒山城の本丸跡)はまもなくです。

f:id:dfm92431:20191013174928j:plain

▲本丸跡へ続く擬木階段の脇には「南無妙法蓮華経」の石碑がある

11:42
擬木階段の斜面を2つ登り、生駒山の山頂(駒山城本丸跡)に到着(地図中「本丸跡」)。

広い削平地にベンチが置かれているのですが、木々に囲まれて展望がないため、景色を目当てに山歩きをしている私にとって長居は無用。

f:id:dfm92431:20191013174944j:plain

▲本丸跡の様子

今回、生駒山に登ったのには2つの目的がありました。

  • ドローンを使って駒山城跡を撮影すること。
  • 本丸の北側斜面に残る郭(くるわ。斜面を平らに削って作った空間。山城では陣地や倉庫、居館や兵舎を建てるのに使う。)を見ること。

というわけで、まずは後者の目的を果たすため本丸跡の最高所(山頂)から北の斜面を探索することにしました。
山頂から北を見下ろすと、何段かの郭跡が見えます。

本丸跡から北側斜面の郭群へは、郭どうしをつなぐ坂道を通って行けますし、本丸跡へ登るのに使った擬木階段(2つある内の上の方)のそばから北へ延びる犬走り(細い通路)を通って行くこともできます。

最高所から2段下にある郭には、丸い巨岩が鎮座していました。
本丸を守るバリケードとして機能していたのでしょうか。

この手の丸い巨岩は、兵庫県加西市の善防山城跡でも見られます。

f:id:dfm92431:20191013175021j:plain

▲本丸の北側斜面の郭にある巨岩

さらにその下にも郭跡があり、そこは苔に覆われた神秘的な空間になっていました。
往時は眼下を流れる千種川や、南北に走る街道をここから見張っていたのでしょう。

f:id:dfm92431:20191013175035j:plain

▲本丸の北側斜面最北端の郭跡

目的の1つを果たしたので、本丸跡の最高所へ戻り、そこから南(二の丸跡へ続く道)へ下りました。

本丸と二の丸をつなぐ道沿いには石積みや空堀が残っており、山城好きな方には一見の価値がありそうです。

f:id:dfm92431:20191013175149j:plain

▲本丸と二の丸の間にある空堀(左側のくぼみ)と石積み

空堀跡から擬木の階段道を上がったところが二の丸跡です。

11:55
二の丸跡に到着(地図中「二の丸跡」)。

二の丸は比較的大きめの郭跡が南北方向に階段状に並んでおり、その周囲を帯郭跡(犬走り?)が囲んでいます。

f:id:dfm92431:20191014212808j:plain

▲二の丸跡を南端から見る(階段状に削平地が並んでいるのが分かる)

二の丸跡の東側の帯郭(犬走り?)跡にベンチが置かれており、南方面の展望を楽しみながら休憩できるようになっているので、ここで昼食を摂ることにします。

f:id:dfm92431:20191013175217j:plain

▲二の丸跡の東側にあるベンチ(ドローンで撮影。ベンチの後ろには、階段状に並ぶ郭跡が見える。)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/ikomayama20191013/virtualtour.html

▲ドローンを使って駒山城二の丸跡上空で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2019年10月13日)

本日の昼食は、兵庫県では有名な三田屋総本家の黒鶏のチキンカレー(Amazonで¥741)。

値段を知っているのと、有名店の名前が冠されていることに加え、超低山とはいっても久しぶりに山に登って疲れていることもあり、とんでもない美味しさに感じました。

f:id:dfm92431:20191013175456j:plain

▲本日の昼食(高級なレトルトカレー)

13:03
展望を楽しみながらの美味しい昼食とドローン操縦を満喫したので、下山開始。

往路をほぼそのままたどり(下山時はシルバーコースを歩いた)、下山しました。

13:38
登山口に戻ってきました。

生駒山は全体的になだらかですが、ところどころに岩場があり、それが良いアクセントになっています。

山歩きに慣れている方にとっては距離も標高差も小さく、物足りないかもしれませんが、山歩きの初心者や、山城跡が好きな方にとっては楽しい山だと思います。

この距離が物足りないという山歩きの上級者なら、生駒山から西へ進み、その後 南へ進路を変えて馬蹄型に周回するというルートもありますよ。

dfm92431.hatenablog.jp