播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

練習艦しまゆき(TV-3513)一般公開@姫路港ふれあいフェスティバル

本日は、「姫路港開港60周年記念イベント 姫路港ふれあいフェスティバル」に出かけてきました。

2019年7月14日(日)と15日(月・祝)の2日間にわたって姫路港で色々なイベントが行われるのですが、気になるのは「姫路港ふれあいフェスティバル」の一環として行われる「マリンフェスタ」。

7月14日(日)のマリンフェスタでは、海上自衛隊の練習艦「しまゆき(TV-3513)」の一般公開が行われ、15日(月・祝)は「しまゆき」に加えて海上保安庁の巡視艇「ぬのびき(PC-54)」の一般公開、海上パレード、放水展示などが行われます。

7月15日(月・祝)の方がイベント盛りだくさんですが、その日は仕事なので本日7月14日(日)に出かけたというわけ。

ところで、海上自衛隊や海上保安庁の船の番号にはアルファベット(艦種記号)がついていて、例えば「しまゆき」の艦種記号は「TV」ですが、これはTraining Vessel(練習艦の意)の頭文字をとったものです。

通常の護衛艦は、駆逐艦を意味するDestroyerの頭文字をとって「DD」(艦種記号は2文字以上にする決まりなので、Dを2回繰り返す)ですし、ヘリコプター搭載護衛艦は「DDH」(Hはヘリコプター)、ミサイル護衛艦は「DDG」(Gは誘導ミサイルを意味するGuided missileの頭文字)、潜水艦(Submarine)は「SS」(2文字以上にするため頭文字のSを繰り返す)といった具合に、艦種記号で船の種類が分かるようになっています。

ちなみに、海上保安庁の巡視艇「ぬのびき」の艦種記号である「PC」は、Patrol Craftの頭文字からきています。

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▲練習艦しまゆき(TV-3513)

全長: 130m
最大幅: 13.6m
喫水: 4.4m
排水量: 3050ton
速力: 30kt
機関: ガスタービン 4機、2軸
軸馬力: 45000馬力
乗員数: 180名

建造所: 三菱重工業株式会社 長崎造船所
起工: 1984年5月8日
進水: 1986年1月29日
就役: 1987年2月17日

(出典:見学者に配付された「しまゆき」のパンフレット)

イベント名称: 姫路港開港60周年記念イベント 姫路港ふれあいフェスティバル
日時: 2019年7月14日(日曜日)17時00分~2019年7月14日(日曜日)20時00分
2019年7月15日(月曜日)10時00分~2019年7月15日(月曜日)15時00分
(14日の「マリンフェスタ」は13時00分~17時00分)
場所: 姫路港飾万津臨港公園とその周辺
主催: 姫路港ふれあいフェスティバル実行委員会

11:00
姫路駅北側にある神姫バス「1番のりば」から、姫路港行きの路線バス(94系統)が発車。

11:25
定刻から5分遅れて終点の「姫路港」バス停に到着。通常の運賃は¥270です。

私は神姫バスの通勤定期を持っているため、休日は1回の乗降が¥100になるエコ定期券制度が利用でき、支払いは¥100で済みました。

2020年4月追記
 エコ定期券制度は、2020年3月末をもって終了しました。
追記ここまで

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▲姫路港バス停のある姫路ポートセンター

姫路ポートセンターでお手洗いを借りてから、「しまゆき」の見学に必要な整理券の配布場所であり、しまゆきが停泊している飾磨4号岸壁を目指します(事前に公式Webサイトを見ていたので「乗艦には整理券が必要であること」「整理券の配布場所」「整理券の配付開始時刻」は分かっていました)。

今回、練習艦「しまゆき」が停泊していた飾磨4号岸壁は以下の場所で、整理券の配布もここで行われていました。 

https://goo.gl/maps/YUkJf5DzXmbKvDC77

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▲飾磨4号岸壁に停泊中の「しまゆき」

11:50
姫路駅をバスが出発して間もなく降り始めた小雨が止まない中、「配布開始までまだ時間があるからのんびり歩こう」と思って傘を差してゆっくり歩き、整理券の配布場所である飾磨4号岸壁に着きましたが、既に配付は始まっている様子。

駐車場には多くの車があり、出て行く車もあって「おかしいな」と思っていたのですが、どうやら来場者が多くて配付時刻を早めたようです。
こういった臨機応変な対応は良いと思います。こうなることを予想できず、事前の予告を信じてこの時刻に来た自分を責めるしかありません。

しかも整理券には乗艦時刻が指定されていて、私が受け取った整理券に記載されていた乗艦時刻は「14:00~14:30」(乗艦受付が可能な時刻が指定されているだけで、見学可能な時間を表しているわけではない)。
乗艦できるまでに2時間以上もあります。

駐車場から出て行った車は、「とりあえず昼ご飯でも食べにいって、指定された時間になったらまた戻ってこよう」という人たちでしょう。

この周辺で2時間も暇つぶしをするのは難しいので、飾磨4号岸壁から北へ約2.7kmにある関西では有名なラーメン店「塩元帥(しおげんすい)」の姫路店まで雨の中を徒歩で移動し、ラーメンを食べてからまた徒歩で戻ってくることにしました。

塩元帥 姫路店 - 西飾磨/ラーメン [食べログ]

12:40
「塩元帥」に到着しましたが、入店待ちの行列が出来ていて大混雑。

聞こえてくる会話から、私と同様に乗艦できる時刻までの時間つぶしに来ていると思われる人もいました。

店の入口にあるリストに記帳してから待つこと40分。ようやくカウンターに着席。店名の通り、塩ラーメンは絶品でした。

13:50
塩元帥を出ると、ありがたいことに雨は止んでいて空は少し明るい。

14:20
再び飾磨4号岸壁に徒歩で戻り、乗艦するための検査用テントで整理券を渡した後、手荷物検査を受けてから乗艦。

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▲しまゆきに乗艦する見学者

見学コースは、次のようになっていました。

左舷の中央付近から乗艦→前部甲板→右舷の通路で後部甲板へ→後部甲板の見学→左舷の通路で艦の中央付近へ→左舷中央付近の舷梯から退艦*1

舷梯を渡って乗艦すると、しまゆきの乗組員の方に敬礼で出迎えていただけるのですが、恥ずかしがりな私は恐縮しながら「よろしくお願いします」とぼそっと挨拶するだけで艦首の方へ。
敬礼で返す見学者もいましたが、どう対応するのがいいのかな。

前部甲板に出て目に入る光景はこちら。

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▲前部甲板に出た時の景色(手前の箱はアスロックランチャー)

アスロックランチャー

概要
・遠距離の潜水艦を攻撃するために、対潜水艦用短魚雷にロケットモーターを取付けたアスロックミサイルと呼ばれるミサイルを発射する装置である。
・アスロック=ASROC=Anti Submarine ROCket

性能要目
・発射筒(セル)数…8セル
・発射仰角…約45度
・旋回可能範囲…179度
・駆動方式…油圧、高圧空気
(出典:現地のパネル)

巨大なアスロックランチャー(対潜水艦用のロケット発射装置)と、その向こうにある62口径76mm速射砲に出迎えられます。

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▲62口径76mm速射砲

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▲62口径76mm速射砲の排莢部(ここから空薬莢が出てくる)

62口径76mm速射砲
性能・要目
 装甲素材:積層ガラスファイバー製、8~15mm
 重量:約8t
 砲身長:約4.7m(62口径×76mm=4.7)
 最大射程:約16km
 発射速度:80発/分
 用途:対空・対水上
(出典:現地のパネル)

76mm速射砲の射撃シーンは、「しまゆき」ではありませんがYoutubeでご覧いただけます。
砲弾がどれほど大きいか、その大きな砲弾をどれだけ速く撃てるのかがよく分かります。


DD-101むらさめ(76mm砲射撃)にジパングのアレをつけてみた

ところで「62口径」の意味ですが、これは「砲身の長さが砲弾の直径の62倍ありますよ」という意味です。
「62口径76mm」ということは、砲弾の直径が76mmで、砲身の長さがおよそ4.7m(76mm×62=4,712mm)あることになります。

ただし、これは大砲の場合にのみ当てはまり、個人が携帯する銃器の口径の場合は銃弾の直径を表します。「22口径」というと弾丸の直径が「0.22インチ」、つまり5.56mmですし、「30口径」といえば「0.30インチ」、つまり7.62mmという意味。 

▲練習艦しまゆきの前部甲板で撮影した全天球パノラマ

続いて、前部甲板の右舷側から後部甲板へ向かいますが、その途中には艦対艦ミサイル発射装置と、324mm3連装短魚雷発射管があります。

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▲右舷側の艦対艦ミサイル発射装置(矢印が示している筒)。その下の通路わきには魚雷発射管が見えている。

艦対艦ミサイル「ハープーン ミサイル」
 ハープーン(英:harpoon)は、アメリカ合衆国のマクドネル・ダグラス社が開発した対艦ミサイル。なお、ハープーンは、捕鯨用のモリを意味する英語の語である。
 発車前、搭載航空機や艦艇から目標データ、飛行経路、捜索パターンの指示を受ける。所定の高度に達するとターボジェットエンジンを始動。慣性航法装置と電波高度計により海面近くまで降下して飛行するためレーダーにも捕捉されにくい。目標に近づくとアクティブ・レーダー・シーカーを作動させ、目標を捜索、捕捉後、目標へ突入する。
(出典:現地のパネル)

米軍の映像ですが、ハープーンの発射シーンもYoutubeでご覧いただけます。


ハープーン対艦ミサイルの発射 - 米海軍インディペンデンス級

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▲324mm3連装短魚雷発射管

3連装短魚雷発射管(HOS-301C)
 この武器は水上艦艇から高圧空気の力で魚雷を発射し、近~中距離の潜水艦を攻撃する武器です。
 「しまゆき」ではMK46魚雷と呼ばれる米国で開発された魚雷を使っています。
 発射時には手動で45度に旋回させ、90kg/f~105kg/fの空気圧で発射します。
 左右舷に各1基づつ装備されており、計6本の魚雷の搭載、発射が可能です。
(出典:現地のパネル。原文まま)

艦対艦ミサイル発射装置の下で説明をされておられた自衛官も、短魚雷発射管の説明担当の自衛官も若い女性でした。
退艦用の舷梯の近くにいた若い女性自衛官はミサイル管制(FC:Fire Control)担当とおっしゃっていましたし、練習艦といえども、海上自衛隊の船に女性隊員が乗り組んでいるのを目の当たりにすると、不思議な感じ。でも、そういう時代なんですね。 

▲練習艦しまゆき右舷の艦対艦ミサイル発射装置の下で撮影した全天球パノラマ

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▲右舷の通路を後部甲板へ向けて進む

後部甲板に出てきました。
ここには短SAM(シースパロー)ランチャーが設置されています。

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▲後部甲板の様子(奥の1段高いところがヘリコプター甲板)

短SAMランチャー
 1973年頃に実用化された個艦防御用の艦対空ミサイル発射装置である。
 レーダーなどで目標を確認し、射撃指揮装置が目標を捕捉追尾した後、ミサイルがランチャーから発射される。
 誘導方式はセミ・アクティブ・レーダーホーミングで、艦船の射撃指揮装置によりビームを照射する。
 ミサイルは目標からのビームの反射を感知し、コースを選んで目標に命中する。
 なお、シースパローミサイルは個艦防衛用の艦対空ミサイルで、空対空ミサイル「スパロー」をもとに艦船で発射できるよう開発された。
(出典:現地のパネル)

シースパローの発射シーンもYoutubeで見られます。


Nato Sea Sparrow Missile Shoot (Awesome!)

後部甲板の1段上にヘリコプター甲板がありますが、今回、ヘリコプター甲板は見学対象ではありません。

ちなみに、ヘリコプター甲板に上がるラッタルの左にある扉は、「シースパロミサイル弾庫」。
ここに格納されているミサイルをランチャーに装填するわけです。

シースパローの再装填の様子もYoutubeで見られます。


How To Reload The Missile Pod Of The RIM-7 NATO Sea Sparrow Missile

 

▲練習艦しまゆきの後部甲板で撮影した全天球パノラマ

14:45
退艦しました。

陸上自衛隊の03式中距離地対空誘導弾(中SAM)発射装置の展示を見て帰ろうとしていたら、「76mm砲操砲展示」のアナウンスが聞こえてきました。

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▲03式中距離地対空誘導弾(中SAM)発射装置(午前中に撮影したもの)

見ると、隊員さんが艦首の76mm速射砲周辺の見学者を後ろに移動させています。

しばらくすると、76mm砲が突然動き出しました。
Youtube動画で76mm砲がどんな風に動くのかは知っていましたが、実物が目の前で、あの速さで動くとびっくりします。

周囲の見物客も声を上げて驚いていましたし、「怖い~」と言って逃げ出す子どもまでいました。

音は静かだし、動きは俊敏。
良いモノを見られました。

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▲操砲展示で横を向いた76mm速射砲

「しまゆき」ではありませんが、同型の砲塔を搭載した護衛艦の操砲展示の動画がYoutubeにありましたので、転載します。


2016年 12月11日 海上自衛隊阪神基地隊ウインターフェスタ 護衛艦あぶくま 76mm速射砲操砲展示

14:55
姫路駅へ帰るバスの発車時刻は15:05。

姫路港バス停のある姫路ポートセンターへ向けて、しまゆきの停泊場所(飾磨4号岸壁)を出発。ここから姫路港バス停までは800m弱あるので、キツイ。

15:03
早足で歩いて、なんとか目的のバスに間に合いました。

15:05
姫路駅行のバスが発車。

15:38
再び小雨が降り始めた中、姫路駅に到着。

それにしても、今回の「しまゆき」の公開は時刻を指定した整理券方式だったため、乗艦時に長い行列は出来ず、艦内も見学者がそれほど多くないため見学しやすく、非常に快適でした。

指定された時刻まで時間を潰すのは大変ですが、快適な見学のためなら苦になりません。
この快適さで艦橋も見学できたらなぁ*2

関連情報

一般公開される自衛隊の艦艇は、アンテナマストに信号旗を付けていますが、これの意味は「WELCOME」です。

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▲アンテナマストの信号旗

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▲信号旗に割り当てられているアルファベット

*1:艦橋やヘリコプター甲板は、一般には公開されていませんでした。

*2:一定の年齢(自衛隊への入隊資格のある年齢?)で、所定のアンケートに回答した方は特別なチケットをもらうことができ、それを見せれば艦橋にも入れたようです。