播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

雅楽フェスinひめじ

本日は、姫路市の総社(射楯兵主神社:いたてひょうずじんじゃ)で行われた「雅楽フェスinひめじ」を見てきました。
総社は「そうしゃ」と読みます。よく「そうじゃ」と濁る方がいますが、間違い。 

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▲舞楽「蘭陵王」の一場面 

イベント名称: 兵庫発「雅楽」を世界に 第六回雅楽公演「雅楽フェスinひめじ」
日時: 2019年7月6日(土)17:30~
場所: 播磨国総社(射楯兵主神社)(姫路市総社本町190)
演目: 一 雅楽 管弦 平調 越天楽(えてんらく)
    二 神楽 豊栄舞(とよさかのまい)
    三 舞楽 蘭陵王(らんりょうおう)
観覧料: 無料
主催: 一般財団法人日本雅楽協会
共催: 播磨国総社(射楯兵主神社)
後援: 兵庫県・姫路市 

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▲「雅楽フェスinひめじ」のチラシ(左は表面、右は裏面) 

~雅楽について~
 日本固有の歌舞(現行では神楽、東遊、倭舞、久米舞等)、平安朝頃の歌謡(催馬楽、朗詠等)、外来音楽(現行では唐楽、高麗楽の二系統の楽舞)等を総称して雅楽という。
 六世紀前半より、主に中国大陸より日本に伝えられ受け継がれている。現存する日本の最古の音楽です。音楽として楽しむ演奏はもちろんですが、結婚式などのお祝いで演奏をされます。
(出典:「雅楽フェスinひめじ」のチラシ)

JR姫路駅の北口から総社の神門までは、およそ1.2km。
健脚の方なら問題なく歩いて行ける距離です。タクシーならワンメーター。

総社に駐車場はありますが、イベントに対応出来るほどの収容台数はありません。 

https://goo.gl/maps/fFGVaAPp5zaoM9yk9

▲総社の位置 

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▲総社の神門 

17:10頃

総社に到着。

南から神門をくぐってすぐ右側、長生殿(ちょうせいでん)が今回のイベントの舞台です。

長生殿の前には3つのテントが張られ、その中にはパイプ椅子がびっしりと並んでいました。

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▲長生殿前の様子 

左右のテントの中は満席なのに、中央のテントはほとんど人がいません。それもそのはずで、中央は来賓と招待者用の席。

どこで見物しようか悩んでいたところ、私は総社と少しばかり縁があるため、総社の関係者の案内で中央のテント内に座らせていただくことが出来ました。ありがとうございました。

17:30
定刻にイベントがスタート。

初めの15分は、日本雅楽協会の理事長であり生田神社の名誉宮司の加藤 隆久 氏と姫路市長の代理の方による挨拶、祝電披露などのオープニングセレモニー。

驚いたのは、日本語の挨拶の内容を英語でもアナウンスしていたこと。

挨拶をする方が適度な長さで挨拶を区切った後、通訳の方が英語で内容を説明し、その後また日本語で挨拶の続きが始まるという形です。

通訳はヤコブさんという中東系(?)の男性で、英語が母語ではない方のようでした。

そのためか、「英語を母語としていないけれども英語が分かる」人には非常に聞き取りやすく、分かりやすい英語でした。

日本の文化を知りたいという様々な国からの観光客にとって、ありがたいサービスだったのではないでしょうか。

17:45頃
最初の演目、「越天楽(えてんらく)」の演奏が始まりました。

イベント慣れした方々が運営されているのでしょう。挨拶等の間にステージ上で準備が進められていたため、オープニングセレモニーから演奏への移行はとてもスムーズ。

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▲越天楽の演奏の様子 

「越天楽」と聞いてもピンとこないかも知れませんが、「神社で聞く雅楽」と言えばこれしかないというほど有名なメロディーです。

楽器の琵琶を見るのが珍しく、またその奏者の手の動きも独特で、琵琶の奏者の方に見入ってしまいました。

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▲琵琶の奏者 

18:00頃
二番目の演目、「豊栄舞(とよさかのまい)」が始まりました。
雅楽の演奏に合わせて、総社の巫女さんお二人が舞うというもの。

これは本来、神様に向けて舞うものなので、正面から舞を見ることは通常ありません。
しかし、今回は観覧席に向かって舞ってもらえるという滅多にない機会です。

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▲豊栄舞を舞う巫女さん 

雅楽というと長い伝統があるイメージですが、豊栄舞は戦後につくられたものだそうです。

豊栄舞(とよさかのまい)
 戦後つくられた歌舞で、神社の祭祀に奏楽される祭祀舞となります。男子の舞である「朝日舞」(宮司舞)に対して「豊栄舞」は「乙女舞」とも言われています。
(出典:「雅楽フェスinひめじ」来場者に配付された小冊子)

18:15頃
最後の演目「蘭陵王(らんりょうおう)」が始まりました。

蘭陵王(らんりょうおう)
 実在した中国の王である蘭陵王長恭は、才知武勇にして容姿が美しく、見方の兵がその姿に見とれて戦の士気が上がらなかった。そこで龍を模した仮面を着けた王が黄金の桴を手に味方を鼓舞し、敵を撃ち取り合戦に勝利した。その様を舞にしたといわれ、舞楽の代表曲であり勝利の舞として大変縁起の良い舞です。
(出典:「雅楽フェスinひめじ」来場者に配付された小冊子)

男性が一人で舞台上を縦横に動きながら、時折激しい動きを交えて舞います。

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▲蘭陵王の演技の様子 

18:20過ぎ
蘭陵王が終了しました。

蘭陵王を舞っていたのは、神戸市にある生田神社の権禰宜である酒井 康博 氏。

仮面を外して挨拶をされましたが、その中で印象に残ったのは「蘭陵王の衣装が数千万円する」という情報。汗で衣装が傷むため、通常は夏にこの舞を演じないそうですが、今回は下着にも工夫し、スポットクーラーも舞台上に用意して対応されたそうです。

酒井氏によるインパクトのある挨拶の後、総社の宮司さんによる閉会の挨拶でイベントは終了しました。

その後、舞台上に雅楽の楽器や衣装が用意され、楽器や装束を間近に見たい方向けの体験会が始まりました。

私も雅楽に使われる楽器に興味があったのですが、体験会に参加する人が余りにも多かったため、諦めて家路に就きました。

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▲雅楽体験の様子 

3つの演目がありましたが、それぞれの切り替えの際は演目についての説明などを行い、準備にかかる時間が気にならないようにうまく構成されていました。

また、時間が経つにつれて増えてきた観覧客に対応するため、招待者席を急遽一般客に開放したり、石畳の上に床机を並べたり、観覧客への配慮も充分に行われていたようです。

雅楽という珍しいテーマに加えて、スムーズな進行と観覧客への配慮(無料なのに!)があったため、行って良かったと思えるイベントでした。