購入の経緯
何年も使っていたMSRのスノーシュー「Denali Evo Ascent」がついに寿命を迎え、靴を固定するためのバインディング部分が経年劣化のために粉々に割れてしまいました。
▲天寿を全うした私のDenali Evo Ascentの現役時代の画像
こうなると、スノーシュー自体を買い換えるほかありません。
私はCascade Designs, Inc.社が販売しているMSRブランド製品の品質を盲信している「MSR信者」なので、次に使うスノーシューもやはりMSR製品から選ぶことになります。
候補は最上位ラインのLightning(ライトニング)シリーズと、その1ランク下のRevo(レボ)シリーズ。
どちらもAscent(アッセント)とExplorer(エクスプローラー)の2つのモデルがあります。
Lightningシリーズは金属製のフレームにゴム引きのような柔らかいシートが張られていて、そのシートの耐久性に難がありそう。
Revoシリーズは、本体がこの度寿命を迎えたDenaliと同じ厚めの樹脂板で、耐久性は高そう。
前述の通りRevoシリーズにはAscent(アッセント)とExplorer(エクスプローラ)の2種類があり、Ascentは4本のストラップで靴を固定するタイプで、Explorerは靴の脱着が容易なようにストラップが2本しかありません。
ストラップの数が多いとストラップが切れたりした場合の安心感が高い(2本しかないと、片方が駄目になれば使用不能になる)ので、Revo Ascentの男性用22インチモデルを購入することに決めました。
仕様
製品名: Revo Ascent(男性用 22インチモデル)
メーカー: Cascade Designs, Inc.(アメリカ)
サイズ: 20.5cm×56cm(カタログ値)
重量(ペア): 1.84kg(カタログ値)
カラー: レッド
生産国: アメリカ
アメリカでの定価: $239.95 USD
購入価格: ¥34,560
備考: 25インチのモデルもあります。
外観
▲MSR Revo Ascent(22インチ)
灰色の固い樹脂製の本体(デッキと呼びます)の周囲に、赤く塗装された金属製のフレームが取り付けられています。
バインディングにはストラップが4本あり、靴をしっかりと固定できる構造。
機能
周囲の赤いフレームに鋭い歯がついていて、この歯とデッキ裏面の突起、靴を固定するバインディング先端の2本爪が雪にしっかりと食いつく設計になっています。
デッキの裏面にはMSRロゴの鏡像のレリーフがあり、雪質によっては綺麗にMSRロゴが雪面にスタンプされます。
▲デッキ裏面にある滑り止めの突起(MSRロゴの鏡像もある)
バインディングの可動部分は、緩むおそれがあるボルトとナットや修理が面倒なリベットではなく、支点になるピンをヒンジに通し、それが抜けないように二重リングを付けるという設計。
緩んだり簡単にはずれるような部品がないため、信頼性が高い。
▲バインディング先端裏にある爪(ピンの抜け留め用二重リングも写っている)
スノーシューは左右を気にせず使うという人もいるようですが、一応左右は決まっています。
MSR製品の場合は、バインディングのストラップを固定するバックルが内側になる(折り返した余りのストラップ先端が外側を向く)のが正しい方向。
Revo Ascentの場合は、(ほとんど見えませんが)バインディングに「L」と「R」の表記があります。
▲靴を置く場所(画像では見えないが矢印の位置にLとRの文字がある)
スノーシューの左右はストラップを見ればすぐに見分けられるのですが、山歩き中は疲れて頭が回らないことがあるので、スノーシューの先端付近に「L」と「R」の文字をステンシルで入れました。
「17」という数字は2017年から使い始めたことを示すため(買い換え時期の目安にするため)にマーキングしました。
▲スノーシューの先端に左右の区別を自分でマーキングした
バインディングに靴を置くときは、「▲靴を置く場所(矢印の位置にLとRの文字がある)」の画像で矢印が示す白い部分に、足の裏の拇指球がくるようにします。
▲スノーシューを裏面から見たところ。足の裏の拇指球がバインディングの可動部の軸上(画像内で「拇指球」と書かれた位置)にくるようにする。
この位置が正しくないと、スノーシューが妙に重く感じられたり、歩きにくくなるので要注意。
実際に靴をスノーシューに装着した状態を見てみましょう。
バインディングは、足の甲を3本のストラップで、かかとを1本のストラップで固定するようになっています。
説明書によると、まずは足の甲側のストラップを締め、最後にかかとを絞めるのが正しい手順です。
▲靴にスノーシューを付けた状態(前側)
▲靴にスノーシューを付けた状態(後側)
ストラップを固定するバックルには可動部品がなく、ストラップの穴にバックルのピンを通すだけという単純な仕組み。
ややこしいバックルだと、凍りついて動かなくなったり壊れる心配がありますから、このような単純な構造の方が安心して使えます。
▲ストラップとバックルの形状
▲バックルはピンをストラップの穴に通すだけの単純な仕組み
Revo Ascentには、他のMSR製品と同様にヒールリフターが備わっています。
名前の通りかかとを持ち上げる部品で、下の画像のようなものです。
▲ヒールリフターでかかとを上げている状態
ヒールリフターを立ててかかとを浮かせると、登り坂でふくらはぎがずいぶん楽になるのです。
使用しないときのヒールリフターは後ろ側に倒れていますが、登り坂になる度にいちいちしゃがみ込んでこれを手で起こし、平坦、あるいは下り坂になる度に元の位置に戻すのは面倒。
その対策として、ヒールリフターの中央付近はデッキに密着せず、少し浮いた状態になるよう設計されています。
これによりストックのグリップ部分を使って容易に引き起こせるわけです。倒すときはストックで叩くだけ(昔のスノーシューより倒しやすくなっています)。
▲ヒールリフターを起こすときは、このようにストックのグリップ先端を使って持ち上げる
▲ヒールリフターを倒すときは、ストックのグリップ上端面をハンマーのように使って押し倒す
使用感
雪質にもよりますが、登りや平坦な雪面では非常に快適に歩けます。
私は(雪の有無に関係無く)下りが苦手なので、これを履いて急な雪の斜面を下ると、スノーシューを反対側の足で踏んでしまったり、せっかくのフレームの歯等の性能を生かせず、苦労します。
これはスノーシューの問題では無く、私の技術の問題。
構造上気になるのは、歩いている時にパタパタと大きな音が鳴る点です。
これは、バインディング裏面のリベットがデッキに当たるときに鳴る音で、リベットが当たる部分にはどうしても目立つ傷が入ります。
▲バインディング裏面のリベットがデッキを叩いて音が鳴り、傷も入る
最後に
Revoより上位のLightningの方がフレームの雪への食いつきがよく(歯がRevoより多い)、重量も軽い。
その代わり、デッキが柔らかい素材のため雪が積もったヤブの上を歩いていて雪を踏み抜いたとき、ヤブの枝がデッキを突き破るといったことが起こるようです。
Revoはデッキが固い樹脂製の板なので、そのような事は起こりえません。しかし、雪への食いつきはLightningに劣ります。
どういった場所で使うか、重量が気になるか等の要素を考慮し、自分に適したスノーシューを選んで下さい。