概要
ネジザウルスは、ネジ穴がつぶれて回せなくなったネジを回すことに特化したペンチです。
▲ネジザウルスGT(PZ-58)の利用イメージ
▲Youtubeにあるメーカー公式動画「潰れたネジ、錆びたネジが外せる便利工具『ネジザウルスGT/PZ-58』 」
購入の経緯
組み立て式の家具を組み立てたり大型の家具などを廃棄するために分解する時は、作業を楽にするためにインパクトドライバに頼ることにしています。
しかし、ネジの頭は予想以上に弱く、インパクトドライバをネジに押しつける力が不十分だと、いとも簡単にネジ穴がつぶれてしまいます。
そういった状況が時々あったので、雑誌か何かで存在を知ったこの「ネジザウルスGT」をホームセンターで購入してみたところ、絶大な威力に感動。
それ以来、家でも職場でも愛用しています。
▲ネジザウルスGT(バネの力で常に開いた状態に維持される)
仕様
製品名: ネジザウルスGT
型番: PZ-58
メーカー: 株式会社 エンジニア(大阪府)
生産国: 日本
サイズ: 160mm(カタログ値)
重量: 130g(カタログ値)
材質: 高炭素鋼
先端硬度: HRC58±2
切断能力: 銅線φ1.2㎜
対応ネジ: φ3~9.5(先端くわえ部)、φ5.5~10(本体くわえ部)
定価: ¥2,860(税抜)
購入価格: 失念しました
購入先: ホームセンタームサシ姫路店
外観
一見すると、グリップが派手なだけのペンチに見えます。
しかし、ネジザウルスが普通のペンチと異なるのは、ものを咥える部分の形状。
▲ネジザウルスGT(PZ-58)の先端部
普通のペンチと異なり、先端部分に(画像内の方向で言うと)水平に溝が切られています。
この溝がネジの頭にがっちりと食い込み、穴が潰れてドライバーがまったく使えなくなったネジを回せるという仕組み。
▲ネジザウルスGT(PZ-58)の先端くわえ部でネジを挟んでいる様子
ネジの周りに十分な空きスペースがある場合だけに限定されますが、大きなネジは先端ではなく本体くわえ部で回すことも出来ます。
こちらの方法だと、支点から力点までの距離が長くなり、先端くわえ部でネジを掴んだ時よりも大きな力でネジを回せます。
▲ネジザウルスGT(PZ-58)の本体くわえ部でネジを挟んでいる様子
「本体くわえ部」なら普通のペンチにも備わっていそうに思えますが、ネジザウルスは違います。
通常のペンチであれば、ギザギザのある本体くわえ部が一直線にかみ合うようになっていますが、ネジザウルスの「くわえ部」は曲線を描くようになっているのです。
そのため、丸いネジの周囲にギザギザががっちりと食いつきます。
▲ネジザウルスGT(PZ-58)の本体くわえ部を閉じた時の様子(直線ではなくカーブしていることが分かる)
この記事では、先端くわえ部でネジを挟むことを「縦挟み」、本体くわえ部で挟むことを「横挟み」と便宜的に呼ぶことにします。
使い勝手
ネジザウルスはネジの頭を咥えて回すためのペンチですから、皿ネジのように頭が周囲と同じ高さになっているネジに対しては使えません。
「皿ネジ以外に、頭がドーム状になっているトラスネジにも使えないのでは?」と思われるかも知れませんが、トラスネジは大丈夫です。
トラスネジの頭の縁なんて僅かな高さしかありませんが、ネジザウルスの先端くわえ部はガッチリと食いついてくれます。
▲皿ネジ(左:ネジザウルスで掴めない)とトラスネジ(右:ネジザウルスで回せる)
ネジザウルスGT(PZ-58)はバネで先端が常に開いた状態に維持されます。そのため、手の力を緩めるだけでネジザウルスをネジの頭から離すことができます。
ネジザウルスでネジを回すときは何度もネジの頭を掴み直さないといけませんから、このようになっている(バネがついている)のはありがたい。
逆に、常に広がっているため収納には不便です。
ネジザウルスに助けられた実例
このネジザウルスGT(PZ-58)には仕事でも家でも大いに助けられていますが、私が経験した実例を2つ紹介します。
まずは仕事での例。
19インチラックに取り付けられた機械を撤去するためにネジを外そうとしたのですが、インパクトドライバを使っても、ネジを緩めるだけなのにずっとインパクト機構が作動し続けることがありました。
とてもドライバーを手で回して外せるようなシロモノではありません。
つまり、この機械を取り付けた業者は、(プロのくせに)ラックのネジ溝に合っていないネジを無理矢理インパクトドライバでぶち込んだというわけです。
職場のインパクトドライバはパワーが充分にあったため、1本を除いて他のネジを外すことに成功。
しかし、残ったネジはというと、ネジ穴が擂り鉢状の凹みに成り果てました。
そこで登場したのが私のネジザウルスGT(PZ-58)。
(その時は家用に1本もっていただけだったので、この出来事の翌日に職場へ持っていきました。今は職場用に追加購入しています。)
幸いなことに、ネジが駄目になった機械はラックのフレームから飛び出している部品がなく、ネジの周囲にある程度のスペースがあったため、「横挟み」でネジの頭を掴み、少しずつ回して外すことに成功。
「横挟み」だとテコの原理で「縦挟み」よりも大きな力でネジを回すことができるので、インパクトドライバでないと回せないようなネジでも、辛うじて人力で回せたのです。
家でネジザウルスに救われたこともあります。
大型の家電を購入し、業者さんに2階へ運んでもらう時のこと。
階段の手すりをはずさないと運べないことが分かり、手すりを固定しているネジをインパクトドライバで順に外していったのですが、最上部のネジだけは「ドガガガ」とインパクト機構の音が鳴り響いているのに僅かしか回らず、やがて「おっ!回った!」と思ったらビットだけが回転しており、ネジ穴は完全に破壊されました。
家電を運んできた業者さんがなんとかしようと色んな工具を出してくれましたが、どれもダメ。
そもそも手すりを固定するネジは皿ネジで、ネジの頭が手すりのベースにしっかり収まっているため、ネジザウルスでネジの頭をつかめません。
やけくそになって手すりをグイグイ引っ張ったり揺らしたりしていると、わずかにネジの頭が手すりのベースから浮いてきました。
そこで、その浮いた皿ネジの頭を縦挟みしたところネジザウルスでがっちりくわえることができ、かなりの力を要しましたが、何とかネジを外して手すりを取り外すことに成功。
無事に家電を運び込めました。
注意点
ネジ穴が潰れていてどうせ再利用はできませんから実害は無いと思いますが、ネジザウルスで外したネジは、頭の周囲がギザギザになります。
また、ネジザウルスを使ってネジを外すと、ネジザウルスの先端がこすれるため、ネジがはまっている場所の周りが傷だらけになります。
これら2つの問題があるため、ネジザウルスをドライバー代わりに常用することは出来ません。
あくまでも、ネジザウルスは緊急用の道具です。
最後に
ネジ穴が潰れた時には大いに役立ってくれるネジザウルスですが、耐久性には不安があります。
私が最初に買ったネジザウルスGT(PZ-58)は愛用しすぎたのか(自分がヘマをしてネジを潰した時だけでなく、他の人が潰したネジも外しているため)、ネジをくわえるギザギザ部分が傷んできています。
このギザギザ部分にはかなりの負荷がかかるのでしょう。
ネジザウルスは消耗品と考えた方が良いのかな。
そうそう、ネジザウルスGT(PZ-58)はバネの力で常に開いた状態になるため、使うときは便利なのですが、収納時にかさばって不便です。
その対策として「ウルスマスク(PZM-58)¥225(税抜)」が売られていますので、通販でネジザウルスを買おうと思っている方は、ついでに買っておいた方が良いかも。