購入の経緯
山歩きの後にすることと言えば、まずは装備品の洗浄。
最も汚れているのは登山靴やストック、スノーシューです。
これらは駐車場の近くに川でもあれば簡単に洗えますが、そんな都合の良い環境はほとんどありません。
そのため、汚れたまま車に積んで帰り、家に帰ってから庭先の水道で洗っていました。
これが案外面倒で、水道の下に泥が溜まるし、跳ねた水で自分が着ている服が汚れるし、ろくな事がありません。
そういうものだと諦めていたら、2018年春、高圧洗浄器で有名なケルヒャーからバッテリー内蔵のマルチクリーナー(高圧洗浄器ではない)が発売されました。
バッテリーと水のタンクを搭載しているため、電源や水道がない環境でも水を噴き出して汚れを落とせるという製品です。
つまり、下山後に駐車場やその周辺で、汚れ物を洗浄してから車に積んで帰れます。
こんなのを見たら、私の頭の中にいる物欲大魔王が黙っているはずがありません。
気がつくと、我が家にそのマルチクリーナーが鎮座していました。
▲ケルヒャー「マルチクリーナー OC 3」自転車編(メーカー公式動画)
仕様
▲OC3のパッケージ
製品名: マルチクリーナー OC3
販売元: ケルヒャー ジャパン株式会社(神奈川県)
サイズ: 277mm × 234mm × 201mm(カタログ値)
重量: 2.2kg(本体のみのカタログ値)
電源: 内蔵リチウムイオンバッテリー(6V/2.15Ah、交換不可)
給水タンク容量: 4リットル
吐出水量: 最大2リットル/分
吐出圧力: 0.5MPa
使用環境温度: 0度~40度(セ氏)
防水性能: IPX4
騒音音圧: 69 db
ホース長: 2.8m
充電時間: 180分
動作時間: 15分
定価: 21,578 円(税込)
購入価格: ¥20,359(税込)
購入先: ケーズデンキ姫路東店(兵庫県姫路市)
外観
ケルヒャーの製品らしく本体は黄色で、上半分の給水タンクは半透明になっています。
▲パッケージ内容(本体、取説、充電アダプター)
本体の操作部は電源ボタンと充電用差込口があるだけ。
電源スイッチのすぐ下、ゴムのカバーを外すと、充電用差込口が出てきます。
▲充電用差込口(充電アダプターを接続している)
持ち運ぶためのハンドル(取っ手)は、1本に見えて実は2本あります。
一つは本体ハンドルで、もう一つは給水タンクハンドル。
▲ハンドル(取っ手)(2本のハンドルが重なって1本になっている)
▲2本のハンドルを分けた状態
本体一式を持ち運ぶときは2本を重ねた状態にし、給水タンクを取り外すときにはハンドルを分離させます。
ハンドルを分離した状態で、本体を押さえながら給水タンクのハンドルを引っ張り上げると、給水タンクが本体から外れて、本体内に収納されているホースとトリガーガンが姿を現します。
▲本体から給水タンクを外した様子
使い方
給水タンクを取り外したら、ホースを伸ばして本体の縁にある凹みにホースを通します。
▲凹みにホースを通す
この状態で水を入れた給水タンクを本体の上に重ねると、ホースはタンクに押さえられて凹みの中に収まってくれます。
▲給水タンクキャップを開けた様子
▲ホースは給水タンクと本体の凹みの間から外へ出る
給水タンクには2リットルと4リットルの位置に目盛りが付いています。
▲給水タンクの目盛り
ここまで準備が出来たら、本体正面にある大きな黒い電源スイッチ押して電源を入れます。
▲電源が入ると、電源スイッチ上のバッテリーランプが点灯する(バッテリー残量が減ってくると点滅する)。
そしてトリガーガンの黄色い引き金を引くと、ノズルから水が噴き出します。
噴き出した水は横から見ると細い水流ですが、上から見ると扇状に広がっています。
▲トリガーガンから水が噴き出す様子を横から見たところ
▲トリガーガンから噴き出す水を上から見たところ
高圧洗浄器を使ったことのある方ならご存じだと思いますが、この手のノズルから噴き出した水は、洗浄対象に当たると細かい霧状になって拡散します。
OC3は高圧洗浄器ではありませんが、噴き出して対象に当たった水はやはり霧状になり、水が跳ね返って自分が濡れることはあまりありません(洗浄対象の形状や水を当てる角度によっては、跳ね返った水を浴びてしまいます)。
片付け方
使い終わったら、本体内に残った水と、ホース内に残っている圧力を開放する必要があります。
そのためには、まず給水タンクを取り外した状態で水を噴射するのですが、これにより本体内に残っている水がなくなります。
▲本体内の給水口(中央付近の穴。使用直後は、この中に水が多少残っている。)
ノズルから水が出なくなったら電源を切り、電源を切った状態でトリガーを引いてホース内の圧力を抜いて下さい。
その後、トリガーガンを元の位置に収納し、水を捨てた給水タンクをセットすれば片付けは完了です。
別売アクセサリについて
OC3には、以下の3種類の別売アクセサリが用意されています(2018年9月現在)。
- ウォッシュブラシ(¥3,218)
- シャワーノズル(¥2,678)
- 給水ホース(¥3,758)
シャワーノズルはペットの手足を洗うもので、犬などを飼っていない私には必要性が感じられなかったため購入せず。
給水ホースは、4リットルしか水が入らない本体のタンクでは不十分な時に使うもののようですが、山歩き後の登山靴やストックを洗う程度の使い方しか想定していなかったので、これも購入せず。
ウォッシュブラシは、登山靴を洗うのに最適だろうと考えて購入しました。
▲ウォッシュブラシ(パッケージ)
▲ウォッシュブラシ本体
ウォッシュブラシを取り付けるには、まずトリガーガンから黄色いフラットジェットノズルを取り外し、代わりにウォッシュブラシをはめ込みます。
▲ウォッシュブラシをトリガーガンにはめ込んだ様子
その後、ウォッシュブラシの根本にあるスカートをねじ込むことで、トリガーガンにしっかりと固定されます。
▲ウォッシュブラシのスカートをねじ込んだ様子(上の画像と比べると、矢印の部分のすき間がなくなっていることが分かる)
ウォッシュブラシは、水圧ではなくブラシの力で汚れを落とすものなので、噴き出す水はブラシからチョロチョロと流れ落ちるだけ。
それでもモーター音は鳴り響くので、違和感を感じます。
▲ウォッシュブラシから出る水はこのような感じ
山歩きの時だけ使うのは勿体ないので、私の場合は家の外壁(手の届く範囲で汚れの酷い部分のみ)を洗うのにも使っています。
お盆の墓参りの際、墓石も綺麗に出来ました。
ちなみに、ウォッシュブラシを使っている間は取り外されているフラットジェットノズルですが、紛失しないように本体内に収納できます(突起にはめ込んで簡易に固定できる)。
▲フラットジェットノズルは使用していない間、本体内に収納できる(矢印が示しているのがフラットジェットノズル)
便利なウォッシュブラシですが、ブラシの耐久性が低いのが難点です。
ガシガシ、ゲシゲシと強く対象を擦ると、すぐに毛が駄目になってしまいます。
ウォッシュブラシは3,000円以上するので、とても気軽に使い捨てできません。
頑固な汚れがあっても優しく擦ってください。
注意点
給水タンクキャップには、空気を吸い込むための穴が開いています。
この穴は、ゴム製のキャップに開けられた単なるスリットなので、タンクに水をたっぷり入れた状態で揺らすと、そこから水が漏れ出てきます。
▲給水タンクキャップ(矢印の位置にスリットがある)
自宅であらかじめ給水タンクに水を入れて持っていく事になるため、給水タンクには水を入れすぎないようにして下さい。
車が揺れる度に、車内で水がこぼれ出る可能性があります。
ちなみに、給水タンクキャップは工場出荷状態(写真の状態)とは前後逆にすることをお勧めします。
その方が大きく開くので、(私の個人的な感覚ですが)水を入れるときも捨てるときも使いやすい。
マニュアルには、冒頭の「使用時のご注意」として「夏場、車内に長時間放置しないこと。」、保管場所について「下記の場所に保管しないこと。」として挙げられている項目の中に「直射日光(炎天下の車内など) の当たる場所」とあり、末尾近くの「保管」について書かれたページには「極端な低温(0℃以下)や高温(40℃以上)になる場所を避け、安定した水平な場所に保管します。」とも書かれています。
高温環境にOC3を置いておくことに関して何度も注意書きがあるので、バッテリーの劣化を抑えて製品寿命を延ばすためにも、暑い時期にOC3を車に積んで出かける場合は、車を日陰に駐めるなどの工夫をする方が良さそうです。
4リットルという給水タンクの容量は、洗う対象が大きかったり数が多い場合には少ないと思います。
別途ポリタンクを用意して適宜給水するなど、工夫が必要です。
4リットルの水で足りないような使い方(長時間連続での使用)をすると、安全装置がはたらいてモーターが動かなくなることがあります。
その場合は、一度電源を切ってからもう一度電源を入れて下さい。
最後に
この製品は、高圧洗浄器ではありません。
ケルヒャーの高圧洗浄器であれば、エントリーレベルの製品でも最大8MPaほどの圧力で水を噴射しますが、OC3の圧力は0.5MPaに過ぎません。安い高圧洗浄器の16分の1の圧力しかないのです。
それでも、トリガーガンと洗浄対象との距離を近づけると、それなりのパワーがあることは感じられます。
登山靴やストック、スノーシュー、マウンテンバイクなど山で汚れたものを、下山後にさっと綺麗にできるのは便利ですよ。
「たったの0.5MPa?そんなんじゃ役に立たない!」と思われる方は、日立工機のコードレス高圧洗浄器(AW14DBLまたはAW18DBL。AW18DBLの方が、充電1回あたりの作業量が多い)を検討してください。
日立工機の製品は名前に「高圧洗浄器」と書かれているだけあって、コードレスながら最大2MPa(OC3の4倍の圧力)で水を噴き出します。
その代わりに値段が高くて、AW14DBLのバッテリーと急速充電器付きフルセットは定価¥78,300(税別)、AW18DBLのフルセットは定価¥87,100(税別)です。(2018年9月時点)