播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

特別展「兵庫山城探訪」@兵庫県立考古博物館

私の山歩きの目的は展望を楽しむことですが、展望の良い場所には戦国時代の山城跡が残っていることが時々あります。

山城は街道や河川、海を見張り、人や物の動きを常に監視し、敵の接近を早く知るために山の上に築かれたわけですから、展望の良い場所にあって当然なのです。

山城跡での「展望の良さ」は、周囲が良く見えるだけでなく、麓の町並みや幹線道路、川や海がよく見えるということです。

山奥の山に登ると、「どこを見ても山、山、山」という景色で簡単に見飽きてしまうのですが、人々の生活空間を見下ろせる場所だと、低い山からの展望でも楽しいものです。

植物が生い茂ることで展望がなくなってしまっている山城跡も多いですが、そんな場合でも、見張り場だったんじゃないかと思うような岩場から前述のような興味深い展望を楽しめるため、山に出かける時は山城跡があるかどうかを気にするようになりました。

それがさらに進み、「そもそも山城とはなんぞや?」という疑問に始まり、私は軍事的な事にも興味があることから「攻撃や防御の工夫にどんなものがあるんだ?」といった具合に興味が膨らんでいきました。

そんな風に山城への興味、関心が膨らんだ中で兵庫の山城を特集した特別展が開かれるという情報を2018年度末に得て、本日出かけてきました(当初は初日に行くつもりでしたが、すっかり忘れていたところ、「ハナの城探訪日記」を拝見して思い出したという体たらく)。


▲兵庫県立考古博物館前にある「特別展 兵庫山城探訪」の横断幕

イベント名称: 特別展 兵庫山城探訪
開催場所: 兵庫県立考古博物館
所在地: 兵庫県加古郡播磨町大中1丁目1(クリックするとGoogleマップが開きます)
開催期間: 2018年4月21日(土)~6月24日(日)
時間: 9:30~18:00(入場は17:30まで)
休館日: 月曜日(祝休日の場合は翌平日)5月1日(火)は開館
観覧料金: 大人 500円、大学生 400円、高校生以下無料

 近年、城郭へのブームがますます高まりをみせています。とくに昨今のブームはこれまでと違って姫路城や赤穂城と言った平地の近世城郭ばかりでなく、土で作られた中世城郭や山城にも関心が寄せられています。これには天空の城として全国に知られるようになった竹田城の存在も大きいでしょう。そこで当館では、城郭ブームによって関心を呼んでいる城郭の中から、山城について紹介することとしました。
(出典:兵庫県立考古博物館特別展示図録No.22 兵庫山城探訪)

兵庫県立考古博物館にはもちろん駐車場があるのですが、ゴールデンウィーク期間なので、用心のため(道路が混んでいたり、駐車場が一杯だったら困るため)電車で行くことにしました。

最寄りの鉄道駅は、JR土山駅です。

私は姫路に住んでいるため、JR姫路駅から新快速で加古川へ行き、そこから上り普通電車に乗り換えて土山駅で下車しました。運賃は¥410。


▲南側に古代の物見櫓が再現されたJR土山駅

土山駅は北と南に出入口がありますが、兵庫県立考古博物館に行くためには、南に出て下さい。

改札を出て左に進み、突き当たりを右に下れば、考古博物館に続く「であいのみち」へ行けます。

駅の南に出たら、駐輪場沿いに北西へ。
そして県道553号線を渡ったところから「であいのみち」が始まります。


▲県道553号線を渡ったところにある「であいのみち」のゲート

この「であいのみち」を歩いて行くと、およそ1kmで考古博物館に到達します。

さて、元々この「であいのみち」には何かがあったのですが、下の画像を見たらピンと来る人がいると思います。


▲「であいのみち」の様子

鉄道好きの人ならすぐに分かると思いますが、ここにはむかし線路が通っていました。
つまり廃線跡ということです。

ここを走っていたのは、別府(べふ)鉄道。
かつては国鉄の線路から分岐して西へ延び、山陽電鉄別府駅付近から南下して、多木化学の工場まで線路が続いていました。

「であいのみち」には日本史上の重要な出来事(ローカルな話題も一部含まれている)のプレートが所々に設置されているのですが、その支柱は鉄道のレール。

上の「であいのみち」の画像に写っているアーチも、実はレールを曲げて作られたものです。


▲鉄道のレールを支柱にしたプレート

最初の内は集合住宅沿いだった「であいのみち」は、やがて右側に公園や五重塔が見えてくるようになり、その後吊り橋(ふるさと橋)で喜瀬川を渡ります。


▲喜瀬川にかかる吊り橋

橋を渡って大中遺跡公園に入ると、左前方に兵庫県立考古博物館が見えるので、そちらへ向かって下さい。


▲であいのみちを離れて考古博物館へ向かう


▲兵庫県立考古博物館の入口(右奥は展望台)

館内は写真撮影禁止なので、画像はありません。

紹介されている山城は、以下の通りです。
 1.利神城(佐用郡佐用町平福)
 2.竹田城(朝来市和田山町竹田山)
 3.洲本城(洲本市小路谷)
 4.八木城(養父市八鹿町八木)
 5.置塩城(姫路市夢前町宮置)
 6.此隅山城(豊岡市出石町)
 7.白旗城(赤穂郡上郡町赤松)
 8.感状山城(相生市矢野)
 9.有子山城(豊岡市出石町出石)
10.八上城(篠山市八上内・八上上・殿町など)
11.黒井城(丹波市春日町黒井)
12.岩尾城(丹波市山南町和田)
山城や石垣の各部名称や機能についての解説パネルが最初にあって、その後上の順に城が縄張り図や出土品と共に紹介されています。

出土した屋根瓦の大きさには感心するばかり。
どれほど荘厳な建物があったのかを想像すると、それを山の上に作った労働力と技術に驚かされます。

特別展だけでなく他の展示室も見学し、展望台に登って周囲の景色を楽しんでから考古博物館を後にしました。

兵庫山城探訪の特別展で紹介されていた内容は、館内で販売されている図録に載っていますので、図録を購入することをお勧めします。


▲兵庫県立考古博物館内のミュージアムショップで購入した「兵庫県立考古博物館特別展示図録No.22 兵庫山城探訪(¥1,080)」

続いて向かったのは、考古博物館の北西にある播磨町郷土資料館。
ここには、別府鉄道を走っていた機関車と客車が展示されているのです。


▲播磨町郷土資料館

施設名称: 播磨町郷土資料館
所在地: 兵庫県加古郡播磨町大中1丁目1番2号(クリックするとGoogleマップが開きます)
開館時間: 9:30~18:00(4月~9月)、9:30~17:00(10月~3月)
休館日: 月曜日(祝日の場合はその翌平日) 、年末年始(12月29日~1月3日) 
入館料: 無料

機関車も客車も中に入ることができますよ。(先客の親子連れがいたので私は車両に入りませんでした。)


▲郷土資料館の外に展示されている別府鉄道のディーゼル機関車(DC302)

六輪連結ディーゼル機関車 DC302
 川崎車輌 1953(昭和28)年製造
 1966(昭和41)年 倉敷市交通局(岡山県)から譲渡
 自重 30t 長 8330 × 幅 2740 × 高 3705mm
(出典:現地のプレート)


▲郷土資料館の外に展示されている別府鉄道の客車(ハフ5)

客車 ハフ5
 日本車輌製造 1930(昭和5)年頃製造
 1959(昭和34)年 三岐鉄道(三重県)から譲渡
 自重 8t 長 9347 × 幅 2620 × 高 2654mm
 定員 座席 24人 立席 26人 計 50人
(出典:現地のプレート)

ずいぶん前ですが、この機関車と客車の中で全天球パノラマを撮影したので、興味のある方はご覧下さい。
今は機関車も客車も整備されたため、下の全天球パノラマとは状態が異なっている可能性があります。
播磨町郷土資料館で撮影した全天球パノラマ(撮影日2011年5月7日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/befu_railway/virtualtour.html

 ※3種類のパノラマ画像を切り換えて表示出来ます。
 画面左上のリストの初期設定は「DC302運転室」で、機関車の運転室内のパノラマが表示されます。「ハフ5車内」を選ぶと客車の車内が、「ハフ5底部」を選ぶと客車の下の全天球パノラマが表示されます。
郷土資料館を一通り見物した後は、竪穴住居が建ち並ぶ大中遺跡公園を見てJR土山駅に戻りました。


▲大中遺跡公園