播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

兵庫県高砂市の竜山(92.4m)

先日、たつの市の鶴嘴山で出会ったハイカーさんにお勧めされた竜山(たつやま。兵庫県高砂市)に行ってきました。
 
竜山は日本三奇の一つ「石の宝殿」がある生石(おうしこ)神社の南の山です。
というわけで、石の宝殿を見物してから竜山に上ることにしました。
 
行程は、生石神社の駐車場に車を置いて石の宝殿を見物し、その後、生石神社の鳥居近くの登山口から竜山へ往復するというもの。
 
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「加古川」。
 
10:30
姫路市街の自宅を車で出発。
 
国道2号線を東進し、高御位山(たかみくらやま)の南西にある「豆崎東」交差点を右折。
 
陸橋でJRの線路を越えると、目の前に姫路バイパスの高架が見えます。
その高架の真下(高砂西ランプ交差点)を左折し、高架下の道路(国道250号線)を東へ進んでいくと、やがて国道250号線は高架から右へ離れます。
 
姫路バイパスの高架から離れて1.5kmほど走ると「竜山」交差点(地図中「『竜山』交差点」)に出会うので、そこを左折。
 
ここから先は、すれ違いが難しい幅の車道(県道392号線)になります。
今日は何台もの車とすれ違うことになりましたが、ところどころに待避所があるので何とかなりました。
 
「竜山」交差点から北へ延びる道は峠道なので、交差点からは登り坂。
目的地である生石神社の駐車場は、峠にあります。
 
以下のURLをクリックすると、Googleマップで駐車場の位置が表示されます。
 
11:03
生石神社の駐車場に到着(地図中「P」)。
 
▲生石神社の駐車場の様子
 
まずは生石神社(地図中「生石神社」)で石の宝殿を見物し、山上公園でしばらく景色を楽しんでから車に戻りました。
 
石の宝殿の拝観料は、大人ひとり¥100、小人ひとり¥50です。
 
▲生石神社の鳥居
 
▲生石神社の拝殿
 
▲生石神社の本殿をくぐった先に石の宝殿
 
石の宝殿は、通常の撮影方法では全体を撮影できない(被写体と自分との距離を取れない)ため、2013年に全天球パノラマで撮影をしました。
石の宝殿と山上公園の全天球パノラマ(撮影日:2013年1月12日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/ishino_hoden/virtualtour.html

パノラマ画面左上のリストから、2つの方向から石の宝殿を撮影したパノラマと、山上公園からの風景のパノラマを切り換えてご覧いただけます。
 
日本三奇石乃寶殿 鎮の石室(いわや)とは
神代の昔大穴牟遅(おおあなむち)、少毘古那(すくなひこな)の二神が天津神の命を受け国土経営のため出雲の国より此の地に座し給ひし時 二神相謀り国土を鎮めるに相應しい石の宮殿を造営せんとして一夜の内に工事を進めらるるも、工事半ばなる時阿賀の神一行の反乱を受け、そのため二神は山を下り数多神々を集め(当寺の神詰 現在の高砂市神爪)この賊神を鎮圧して平常に還ったのであるが、夜明けと成り此の宮殿を正面に起こすことが出来なかったのである、時に二神のたまはく、たとえ此の社が未完成なりとも二神の霊はこの石に籠もり永劫に国土を鎮めんと言明せられたのである。以来此の宮殿を石乃寶殿、鎮の石室と言はれて居る所以である。

鎮の石室(通称、浮石)の容姿と工程
鎮の石室は三方岩壁に囲まれた巨岩の宮殿で池中に浮く東西に横たはりたる姿である。その容積は三間半(約7メートル)四方で棟丈は二丈六尺(約6メートル)、重量は500~700トンと云はれて居る。この工事に依って生じた屑石の量たるや又莫大であるが、これを人や動物に踏ませじと一里北に在る霊峰高御位山(通称、播磨富士)の山頂に猿が先導し牛馬で運び置かれ、その形状から鯛砂利と云はれている。高御位山と名付けられたのは此の故による。池中の水は霊水にして如何なる干魃に於いても渇することなく海水の満干を表はし又万病に卓効有るものと云ひ伝へられている。

(出典:現地で配付されているパンフレット)
本殿に向かって左に「山上公園登口」と刻まれた道標があり、上に向かって岩盤に階段が彫られています。
山上公園までは、2分もあれば登れます。
 
▲山上公園登口
 
▲山上公園へ続く階段
 
この階段の途中からは、石の宝殿を上から見下ろすことが出来ます。
 
▲山上公園への階段から見た石の宝殿
 
▲山上公園(石碑は「大正天皇行幸之跡」)
 
11:23
駐車場に戻ってきました。
 
11:29
靴を履き替え、駐車場にある自動販売機で飲み物を調達してから、竜山へ向けて出発。
 
竜山の登山口は生石神社の外から鳥居に向かって右側、民家の横にあります。
 
下のURLをクリックすると、Googleマップで登山口の位置が表示されます。
 
▲竜山の登山口の位置(右端に鳥居が写っている)
 
▲登山口(民家のすぐ脇)
 
道は明確で、斜度も緩くて歩きやすい。
登山口から間もなく、竜山の北にある採石場の姿が見える場所がありました。
 
▲登山道から見た北の採石場
 
11:34
登山口からここまでは、道の左または右だけが断崖(採石場)という道でしたが、両側が切れ落ちた馬の背尾根に出会いました(地図中「馬の背」)。
しかし、距離は10mほど。高所恐怖症の人には、これでも怖いかも知れません。
 
▲馬の背の様子
 
▲馬の背の先の道の様子
 
開放的だった道が突然鬱蒼とした雰囲気に変わり、開放的な空間に出たところでコンクリート階段に出会いました。
 
見ると手すりに「↑観涛処(かんとうしょ)」と書かれたプレートがあります。
事前に調べた結果では、特に展望が良い場所では無いとわかっていましたが、せっかくなので見に行くことにしました。
 
▲観涛処へ続くコンクリート階段
 
11:38~11:49
観涛処に到着(地図中「観涛処」)。
 
国指定史跡
観涛処(かんとうしょ)
平成26年指定
波のうねりを望む景勝地に、江戸時代後期、天保7(1836)年に、姫路藩永根文峰(ながねぶんぽう)の書を河合寸翁(かわいすんのう)が刻ませたもの。
「観涛処」の左側には、その由来文が刻まれている。 
平成23年12月設置
高砂市教育委員会
(出典:現地のプレート)
▲ドローンで撮影した観涛処の全景(中央に写っている私の大きさと文字の大きさを比べてみて下さい)
 
▲観涛処からの風景(木々が生長してあまり展望は良くない)
 
観涛処からコンクリート階段を登って登山道に復帰し、南へ向かいます。
 
▲観涛処へのコンクリート階段がある付近はこのような広い空間
 
コンクリート階段のある周辺だけ開けていますが、すぐにまた鬱蒼とした道になりました。
 
間もなく、道が二股に分かれる分岐に出会いましたが、道標はありません。
 
ここは、地形図でも破線道が分岐して描かれている場所なので、道標がなくてもすぐ先でまた合流することが分かります。
 
私は往路では東側、復路では西側の道を通りました。
 
11:54
竜山5号墳と書かれた看板の立つ場所に出会いました(地図中「竜山5号墳」)。
草が生い茂っていてどこが古墳なのかよく分かりません。
 
この付近は開放的な空間になっていて気持ちいい。
 
▲竜山5号墳周辺の様子
 
古墳近くの開放的な空間はすぐに終わり、再び鬱蒼とした道に入りますが、しばらくすると道の右側から「ブオー、ブオー」と大きな音が鳴り出しました。
 
予想外の出来事でえらく驚かされましたが、どうやらウシガエルの鳴き声のようです。
「なぜ山の上にウシガエル?」と思いましたが、鳴き声のする方を見ると池がありました。
 
竜山の山頂には戦国時代、魚崎構居があったので、その水の手だったのかも知れません。
 
▲山頂手前、道の右側にある池
 
11:57
電波塔がある竜山の山頂に到着。
 
二等三角点標石(点名:石宝殿)が最高所に埋まっており、その南側には削平地が広がっています。
この三角点のある高まりとその下の削平地は魚崎構居跡。
 
魚崎(いほざき)構居(高砂市伊保町伊保崎)
【城史】嘉吉元年(1441)には和木田兵庫介綱忠が城主であったという(『日本城郭全集』)。その後天正6年(1578)志方城主櫛橋氏の幕下として落城するまでは、位(依)田長兵衛以下、6代が居住し、のち浮田氏家臣となったという(『播磨古城記』『赤松家播備作城記』)。
【現状】古代からの採石場として、また巨石「石の宝殿」で著名な「竜山石」を産出する山塊の最南峰に遺構はある。眼下東方には山麓沿いに法華川が北から南行し、伊保港へ注ぎ込んでいる。また、さらに東前方には加古川本流が、高砂浦へと南流している。本城志方城はともに気脈を通じる神吉城のさらに北方の位置にある。
 主郭は標高92mの地点にあって、ここを地元では「本丸」と称し、2段の削平部らしき構造を有している。

(出典:都道府県別 日本の中世城館調査報告書集成 第15巻 P126 
   兵庫県教育委員会・和歌山県教育委員会編 2003年4月30日発行 ISBN4-88721-446-4)
 
▲竜山山頂の二等三角点標石(点名:石宝殿)
 
▲竜山山頂の様子(ドローンで撮影)
竜山山頂で撮影した全天球パノラマ(撮影日2018年4月22日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/tatsuyama20180422/virtualtour.html

※2種類のパノラマ画像を切り換えて表示出来ます。
画面左上のリストの初期設定は「竜山山頂」で、三角点近くで撮影した全天球パノラマが表示されます。
「空撮」を選択すると、ドローンで少し高い位置から撮影した全天球パノラマが表示されます。
▲竜山山頂から見た高御位山
 
上のリンクからご覧いただける全天球パノラマでおわかりいただける様に、展望は抜群で、360度の大展望と言っても差し支えなさそう。
 
「ここでお昼ご飯を…」と思ったのですが、昨晩遅くまで飲み過ぎたせいかお腹の調子が悪いし、食欲もわきません。
 
無理に食べて気分が悪くなっても困るので、今回は展望を楽しむだけにして、食事は抜きにしました。
 
12:43
パノラマ撮影とドローン操縦、大展望を思う存分満喫したので、下山開始。
 
下山は、途中の分岐を除いて同じ道を歩きました。
 
この山は昔から採石場だったようで、矢穴の残った岩があったり、不自然に岩が切れているところをよく見ると、くさびの跡が残っていたりします。
 
竜山の登山ルートは距離が短いので、さっさと歩いてしまうともったいない。
こういった昔の人々の痕跡を探しながら歩いてみてはいかがでしょうか。
 
▲矢穴の残る岩
 
12:56
駐車場に到着。
 
13:35
自宅着。
 
昨日夜更かしをして体調が万全ではなかった私にはちょうどよい超お手軽な山でしたが、その割には展望が良く、断崖沿いの道では高度感も楽しめる面白い山でした。