播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

カップヌードル型チタンクッカー

購入の経緯

今回紹介する山道具は、山道具屋さんの店内をブラブラしていたとき、何を血迷ったか衝動買いしてしまった製品です。
それは、日清のカップヌードルに特化したクッカー。
 
しかし、大きな問題があります。
正直なところ、私は山でカップ麺を食べないのです。
 
山歩きを始めて間もない頃、とある山の上で異臭とハエに悩まされたことがありました。
原因は、周囲に捨てられていたハイカーの食べ残し。
 
落として食べられなくなったためそのまま残されたおにぎりや、果物の皮などが散乱していて、いくら分解されて土に還るからといっても、土になるまでの途中経過がたまったものではありません。
 
それを経験してからは、それまで周囲にぶちまけていたラーメンの残り汁を持ち帰るようになったのですが、油でギトギトのラーメンスープを入れたボトルは、後で洗うのが大変。匂いが消えるのにも時間が掛かります。
 
持ち帰るのに使う容器の洗浄が面倒になり、そもそもカップ麺や袋入りのインスタントラーメンを山で食べなくなりました(ただし、袋入り「イトメンのチャンポンめん」は、最後にご飯を入れて雑炊にし、スープを残さず完食できるため、山でよく食べています。私の場合、他のラーメンではそれが出来ません)。
 
つまり、「カップヌードル」や「カップヌードルリフィル」(以下「リフィル」)の運搬・調理に特化したこのクッカーは、私にとっては使い道のない道具だったのです。
 
それなのに、見た目の面白さと「限定品」であることに刺激された物欲大魔王(私の頭の中にいます)に操られて、このクッカーを手にとってフラフラーッとレジへ向かってしまいました。
 
▲カップヌードル型チタンクッカーの外装パッケージ
 
製品名: カップヌードル型チタンクッカー
販売元: 日清食品
容量: 800ml(カタログ値)
購入価格: ¥4,968(税込)
購入場所: 好日山荘 姫路駅前店
購入時期: 2015年夏頃
備考: この記事で紹介している製品は過去の数量限定商品のため、現在は手に入りません。代わりに、クッカーにスタッキング出来るカップとセットになった製品が「カップヌードルクッカー」の名前で(取っ手や蓋の形状がここで紹介しているものと異なりますが)スノーピークから売られています(2018年3月現在)。

外観

カップヌードルの容器を思わせる形状で、大きさはカップヌードルを一回り大きくした感じ。
表面には、あのカップヌードルのロゴがプリントされています。
 
▲内容物(クッカー本体、蓋、メッシュ生地の専用袋)
 
黒いメッシュ生地で出来た専用のスタッフサックが付属しており、それにクッカーと蓋を収納できるのですが、このスタッフサックにまでカップヌードルのロゴが付いているのがいい!
スタッフサック単体で置いていても、「これは何の袋だ?」となることはありません。
 
▲携帯するときはこのようになる
 
折りたたみ式の取っ手を広げたクッカーの姿は、下の写真の通り。
クッカーが底に向かって細くなっているので、取っ手は少し下向きになります。
 
▲取っ手を展開したクッカー
 
▲取っ手の取り付け部(水漏れのおそれが皆無のスポット溶接)
 
クッカーの底面は、ただの平面ではなく段差が付けられています。
 
▲クッカーの底面
 
このクッカーはカップヌードルとリフィル専用なので、中に刻まれている目盛りは「300ml」、「リフィル」、「600ml」となっています。
 
通常のカップヌードルを調理するのに必要なお湯は300mlなので、300mlと600ml(カップヌードル2個分)の位置に目盛りがあるのです。
リフィルとカップ入りのカップヌードルだと、必要なお湯の量が違うんですね。
 
▲クッカー内の目盛り
 
カップヌードル専用のクッカーですから、内部にカップヌードルが少し余裕を持って収まります。
つまり、このクッカーはカップヌードル運搬用の専用ケースとしても使えるというわけ。
 
何故カップヌードルにケースが必要なのか、山歩きをしない人には分かってもらえないと思いますので、念のため説明します。
 
山歩きの時、荷物が多く入っているバックパックの中にカップヌードルをそのまま放り込むと、他の荷物に押されてカップが押しつぶされかねません。
 
荷物に余裕がある場合でも、滑りやすい岩場等で尻餅をつくように背中から転倒すると、バックパック内の荷物には大きな力が掛かってしまいます。そんな力には、カップヌードルの容器も中身も耐えられません。
 
山歩きを始めて間もない頃は、いざカップラーメンを山頂で食べようとバックパックから取り出したら、カップがしわくちゃになっていたことがあって困りました(亀裂が無ければ何とか食べられますが、いつ破れるか気が気ではありません)。
 
カップ麺と魔法瓶、あるいはカップ麺とそれに必要なお湯を沸かせるだけの最小限のサイズのクッカーという組み合わせの場合は、カップ麺の容器が破れると食事が出来なくなってしまいます。
 
しかし、このクッカーがあれば、すっころんでもカップヌードルの容器は守られますし、ど派手に転んでクッカーがグニャリと曲がるほどの状況になり、カップヌードルの容器が破れたとしても、クッカーの形を手で修正してから中身を移し替えれば、食事はできます。
 
▲クッカーにカップヌードルを入れた様子
 
リフィルも2つ収納できます。
 
▲リフィルを2つ入れた様子
 
このクッカーには専用の蓋も付属しています。
シリコンゴムの断熱材が巻かれたつまみが付いているので、素手でも扱いやすい。
 
なお、この蓋はカップヌードルにお湯を注いだ後、蓋が開かないようにするための“おもり”としても使えます。
 
蓋が開かないようにするためのシールがカップヌードルには用意されていますが、あれだと一箇所を“点”として留めるだけで横にすき間ができてしまいますから、熱気を逃がさず、熱々のカップヌードルを食べたいという場合は、“面”で蓋を押さえられる、このクッカーの蓋を使う方が良いでしょう。
 
▲専用の蓋(断熱材が巻かれたつまみは倒せない)
 
さて、カップヌードルを山で食べない私がなぜこれをブログで紹介する気になったのかと言うと、カップヌードルに近い形状のカップで売られているご飯系のメニュー(日清食品のWebサイトでは「カップライス」と表記されている)を山で食べるのに便利だからです。
 
カレーメシに代表されるカップライスは、普通に食べきってしまえば残り汁が出ませんし、調理時にお湯を捨てる必要もありません。
 
しかも、手軽に作れる上に美味しい。
 
カップヌードル型チタンクッカーは、そんなカップライスと組み合わせて使えるのです。
 
カップライスはカップヌードルの容器よりも若干大きいですが、クッカーに辛うじて収まります。
ただ、無理に押し込むと中に詰まって取り出すのが大変になるので、軽く押し込む程度にして下さい。
 
▲クッカーにカレーメシを入れた様子
 
カップライスもカップヌードルと調理方法は同じで、熱湯を注いで待つだけ。
待っている間にカレーメシの蓋が開かないように、クッカーの蓋を容器に載せておきます。
 
▲クッカーの蓋でカレーメシの蓋を押さえている様子
 
これで、安全にカップライスを山の上まで運べて、待っている間に熱気を逃がさず、熱々の状態で美味しく頂くことが出来るわけです。

最後に

購入してから永らくお蔵入りしていた道具ですが、熱湯で調理できるカップライスが出来てから「山道具」として活躍するようになりました。
 
私と同じように、残り汁の処理が面倒だから山でラーメンを食べないのに、気の迷いでこのクッカーを買ってしまったという方は、カップライスの運搬、調理に活用してみて下さい。
 
細長いクッカーなので、アルコールストーブを使うといとも簡単に炎に包まれてしまい、カップヌードルのロゴや取っ手のシリコンチューブが焦げてしまうおそれがあるので、その点は要注意です。
 
直径が小さなクッカーでも安定して置けて、炎が一点に集中するような小型ガスストーブと組み合わせるのが安全で良いでしょう。
 
▲一体型ガスストーブに乗せた様子
 
「どん兵衛なら食べるけど、カップヌードルはあんまり…」という方は、縦型カップ入りのどん兵衛シリーズで使ってみても良いかも。
 
コストコで売られているキャンベルのカップ入りクラムチャウダーを収納することも出来ますよ。