播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

兵庫県姫路市の小赤壁

最近の週末は風邪で寝込んでいたり、用事があって出かけられなかったり、今日は曇り空で薄暗く、木々に覆われた山道は暗くて爽快感を味わえそうもないため、山歩きに行く気になりません。
というわけで、この週末は山歩きの記事を掲載しようと思っていたのに、ネタが無い状態。
 
週に1回は更新することを目標にしているので、とりあえず姫路市内の観光スポットを紹介する記事でお茶を濁すことにします。
 
この記事で紹介するのは、兵庫県姫路市木場にある小赤壁(しょうせきへき)。
瀬戸内海側では珍しい、長さ1kmほどの海に面した絶壁です。
 
 
▲ドローンで撮影した小赤壁
 
Wikipediaによると小赤壁という名前は、この地を1825年に訪れた頼山陽が「中国の赤壁に似ているから」名付けたものだそうです。

小赤壁公園の様子

断崖絶壁の小赤壁の西端上部には、小赤壁公園があります。
 
 
▲小赤壁公園(ドローンで撮影)
 
駐車場、公衆トイレ、展望台、あずまやがあり、過ごしやすい時期にはカップルが海を眺めていたり、家族連れがピクニックシートを広げてお弁当を食べていたり、時期によってはバーベキューを楽しんでいる人もいたり、運が良ければパラグライダーで空中散歩を楽しんでいる人を見られることもあります。
また、ラジコングライダーを飛ばしている人には高確率で出会えます。
 
上の画像で公園の左端に写っている神社は、木庭(きにわ)神社。
 
木庭神社
 当社は、白浜町の松原八幡神社の別宮で、当地の産土神である。 元和元年(1615年)に木庭の開発の長者三木久右衛門宋栄によって創建されたといわれている。 風雨によって大破したため寛保元年(1741年)に木場村の医師三木寸斗によって再建されたという。その後、幾度かの改修工事が行われ、現在に至っている。
 祭神は天照大神、豊受大神、表筒男命、中筒男命、底筒男命、仲哀天皇、神功皇后、応神天皇、大己貴命、少彦名命の十神。これだけ多くの霊神を祀る神社は、全国でもめずらしい。
 参道は桜の名所として知られ、毎年7月15日の夏祭には神鳥居が建てられ、鳥居の紙は無病息災、夏まけ防止のお守りとして親しまれている。
 平成5年2月
  姫路市教育委員会
(出典:現地の看板)
 
 
▲木庭神社(ドローンで撮影)

小赤壁の全景

先日、ドローンを使って小赤壁の全体が写る全天球パノラマを撮影しました。

小赤壁がどのような場所かは、以下のパノラマからご覧下さい。
▲小赤壁で撮影した全天球パノラマ(空撮)(撮影日:2018年1月4日)

交通アクセス

小赤壁公園の駐車場の位置は、以下の通りです。
 
 
小赤壁の東麓にも小赤壁公園と名付けられた公園がありますので、混同しないように注意が必要です。
Googleマップでは、この記事で小赤壁公園と呼んでいる場所が単に「小赤壁」となっています。
車の場合
姫路市の中心部付近に住んでいる私が車で小赤壁へ行く場合は、中心部から南下して国道250号線(通称「浜国(はまこく)」)を東へ進み、「中島2丁目」交差点(三叉路)を左へ入ります。

その後県道401号線の永世橋で市川を渡ると、自動的に県道517号線を走ることになり、「妻鹿(めが)」交差点(三叉路)を左に入ると、今度は県道402号線。
 
山陽電鉄の線路と平行に東へ延びるその県道402号線を東進し続けると、山陽電鉄の線路を越えるための陸橋の下をくぐった先で国道250号線に入り、右へ大きく曲がったかと思うとまたすぐ左へ曲がります。
その後、小さな川を渡ってすぐの「八家駅前」交差点を右折。

八家駅前交差点から川沿いに約1km南下したところにある三叉路(「小赤壁」の標識がある)を左に曲がって間もなく、集落内の細い道に入ります。
 
集落内の道を南東へ進んでいくと、公園のある三叉路(「小赤壁公園→」と書かれた道標がある)に出会うので、道標に従ってこれを右折。
 
その後は、1車線幅の坂道を登っていくと、絶壁上部にある小赤壁公園の駐車場にたどり着きます。
鉄道(山陽電鉄「八家駅」下車)の場合
山陽電鉄の八家(やか)駅が最寄りで、小赤壁公園の駐車場まで距離は約2kmです。
 
駅を出たら、南の「八家駅前」交差点を渡って道なりに南へ進んで下さい。
1kmほどで「小赤壁」の標識のある三叉路に出会うので、標識の矢印に従ってそれを左へ。
 
道なりに550mほど南東に進んだところにある木場東公園の手前(「小赤壁→」の標識がある)を右折し、車に注意しながらアスファルト舗装の1車線幅の道を上ると、小赤壁公園に到達します。
 
時間が合えば、バスを利用することも出来ます。

山陽電鉄八家駅を出て「八家駅前」交差点を渡らず左に曲がる(東へ行く)と、「山電八家駅」バス停があります。
平日、土日とも日中2時間に1本程度の本数しかありませんが、バスが走っていて、小赤壁の北麓にある木場東公園前にあるバス停「木庭山公園口」までおよそ10分で行けます。
運賃は¥210。

運行ダイヤや運賃は変更になる可能性があります(ここに記載したのは、記事公開時点の情報です)ので、事前に神姫バスのWebサイトで時刻を確認して下さい。
 
「木庭山公園口」バス停からは、南西向きのアスファルト舗装の坂道を登って下さい。およそ500mで頂上の小赤壁公園にたどり着きます。
鉄道(JR「姫路駅」・山陽電鉄「山陽姫路駅」下車)の場合
JR姫路駅の南にはバス停が1番から3番までありますが、小赤壁方面へのバスは南2番乗り場から発車します(姫路駅南側は再整備工事が行われるため、バス停が変更されるかも知れません。実際に利用される場合は、神姫バスのWebサイトで最新情報をご確認下さい)。
 
バスの系統番号は「93」。
乗車バス停は「姫路駅(南口)」、下車するのは「木庭公園口」バス停です。
 
所要時間はおよそ30分で、運賃は¥330。

本数が少ないので、事前に神姫バスのWebサイト等で時刻を確認して下さい。
 
「木庭公園口」バス停からは、南西向きのアスファルト舗装の坂道を登って下さい。およそ500mで頂上の小赤壁公園にたどりつきます。

最後に

地形的に珍しい場所ではあるのですが、小赤壁公園からではその荒々しい絶壁の様子を見ることが出来ません。
下の全天球パノラマをご覧いただければ分かるとおり、崖の上からは海が見えるだけです。
 
▲小赤壁公園で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2012年3月3日)
 
かつては絶壁直下の海沿いを歩くための遊歩道があったのですが、断崖から崩れ落ちた岩ですっかり破壊されていますし、なにより、そんな場所を歩くのは危険ということで、現在は断崖の真下は立入禁止。
 
 
▲かつての遊歩道の残骸(ドローンで真上から撮影)画面下端中央からコンクリートの道が上に伸び、画像中央付近で途切れている。
 
ドローンでカメラ越しに見るのではなく、肉眼で絶壁を見てみたいという場合は、以下の2つの方法があります。
 
・どうにかして船を手配し、海から見る
・小赤壁の東麓にある方の小赤壁公園からから南へ伸びる防波堤の先端付近や、八家地蔵付近から見る
 
▲防波堤から見た小赤壁(撮影日:2011年5月5日)
 
防波堤の位置は以下の通りです。
 
この防波堤の付け根にある小赤壁公園周辺は、車を置けません。
(何年も前ですが、パノラマを撮影するために路上駐車し、パノラマを撮り終えてすぐに車に戻ったのですが、駐禁の警告を貼られました。)
 
なお、上の「防波堤から見た小赤壁」の画像で右端に写っている盛り上がった部分は、福泊構跡。
絶壁の上部西端にある小赤壁公園からは、崖の上を通る山道(下の地形図の破線道)をたどって簡単に行くことができます。
 
円形の削平地と小さな郭跡があるだけで、展望は皆無です。
山城跡マニアの方以外は、行っても面白くも何ともありません。
 
 
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「姫路南部」。
 
福泊(ふくどまり)構(姫路市的形地区福泊)

【城史】『赤松家播備作城記』には、福泊城には文明元年(1469)から山下五郎左衛門尉重氏が居城、同じ五郎左衛門尉職重が相続居城していたが天文年中(1532~55)に落城したと書いてある。『播磨鑑』にでてくる長尾新藤次通朝主膳の名はでてこない。いずれが正しいかさらに調査が必要である。

【現状】的形集落の南西海に面した標高50mの山頂にある。東西32.4m、南北28mほぼ円形に整地された所が主郭である。この主郭をとりまいて3mの崖下に幅5m前後の平地がある。ここからさらに2mの段下に3m幅の平地があるが、畑地と遺構との区別が困難である。

出典:都道府県別 日本の中世城館調査報告書集成 第15巻 p179 
   兵庫県教育委員会・和歌山県教育委員会編 2003年4月30日発行 ISBN4-88721-446-4
ただ、以下のような記述もあるので、今も残っている削平地が福泊構があった当時のものかどうかは不確定のようです。
 
 木庭山・姫御前山・燈籠地山の南側は頼山陽が名付けた小赤壁という自然海岸であり、東端の標高53.9 メートルの燈籠地山の頂上が構居跡とみられる。50 メートル四方の平坦地とその周囲に幅3メートルほどの帯曲輪状の平坦地があるが、幕末に姫路藩福泊砲台の遠見番所が設置された可能性が高く構居の遺構確定は難しいという(『年報』V.23)。

出典:『姫路の中世城館跡』をたずねて その1」姫路市教育委員会文化財課 平成26年9月1日発行
せっかくの景勝地ですが、それを見る手段が限られているため、知る人ぞ知るマイナーな観光スポットになってしまっています。