播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

ドローン操縦に使えるスマートグラス:EPSON BT-300

購入の経緯

Mavic Proというドローンを購入し、休日には山奥で飛ばして遊んでいます。
ご存じの通りドローンにはカメラが搭載されていて、送信機に取り付けたスマホやタブレットにその映像が表示されます。
 
つまり、手元に写る映像を見ながらドローンを飛ばせば、自分が空を飛んでいるような気分でドローンを操縦できるわけです。
しかし、日本国内では法律により、原則としてドローンの機体を目視しながらの操縦しかできません。

カメラ映像だけを頼りにドローンを飛ばすのは、(地方航空局長の承認を受けている場合を除き)違法なのです。
 
そういうものだと諦めていたのですが、たまたま以前から興味を持っていたスマートグラス「MOVERIO」シリーズのWebサイトで、「ドローンの操縦に使える(目視外飛行にならない)」という宣伝文句を見つけてしまいました。
こうなると、私の物欲は抑えられません。

ドローンを買ってお金を使い果たしていたので、未来の自分からお金を借りて(クレジットカードを使って)、MOVERIOシリーズの(当ブログ記事掲載時点で)最新製品である「BT-300」を購入してしまいました。

概要

BT-300はスマートグラスと呼ばれるジャンルの製品で、Youtube動画や各種アプリの画面をメガネ型ディスプレイに表示して楽しむためのものです。
 
表示される映像の背後に景色が見えるため、ドローンを操縦するときはドローンから送られてくるカメラの映像越しに機体や周囲の様子を確認でき、目視外飛行にならないというわけです。
 
同様の製品にVRゴーグルがありますが、あれは周りを見えなくして360度動画の世界に没入するのが主な目的。
そのため、ドローンの操縦には使えませんし、大きくて持ち運びに不便です。
 
その点BT-300なら、ちょっと恥ずかしさを我慢すれば、旅行などで長時間列車やバスに乗っている間の時間つぶしもできます。
 
どのような製品なのかは、以下の動画を見れば一目瞭然。
 
 
概要は上の動画で説明されているので、この記事では動画で触れられていない細かい部分を主に書くことにします。
 
製品名: BT-300
メーカー: セイコーエプソン株式会社
ディスプレイ機能: 1280×720ドット(シリコンOLED)
3D対応: サイドバイサイド方式
OS: Android 5.1
インターフェイス: micro USB、4極ミニジャック、microSDカードスロット、Bluetooth 4.1(HSP/A2DP/HID/OPP/SPP/AVRCP/PAN)、Miracast
無線LAN: IEEE802.11a/b/g/n/ac
センサー: GPS、地磁気センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、照度センサー
サイズ(ヘッドセット): 191mm×178mm×25mm(カタログ値)
サイズ(コントローラー): 56mm×116mm×23mm(カタログ値)
重量(ヘッドセット): 69g(カタログ値)
重量(コントローラー): 129g(カタログ値)
駆動時間: 約6時間(カタログ値)
価格: \89,942(2017年8月現在の税込価格)
購入先: メーカー直販(エプソンダイレクトショップ)

外観・機能

見た目は、恐ろしくレンズが分厚くて幅の広いメガネです。
 
 
▲BT-300(ヘッドセット部)
 
このヘッドセットとコントローラをケーブルで接続して使用するわけですが、その一式は専用セミハードケースに収納できます。
 
 
▲専用セミハードケース
 
 
▲専用セミハードケース内の様子
 
ヘッドセットとコントローラーを接続するケーブルは、ヘッドセットの左側から伸びていて、ヘッドセットから取り外すことは出来ません。

そのケーブルの反対側の先端は、ガラケーの充電ケーブルのコネクタのような形状をした専用端子。
 
 
▲コントローラーに接続するコネクタ
 
このケーブルの途中には、イヤホンを差し込むための端子のある小さな箱状部品が付いています。
 
 
▲イヤホン接続部
 
コントローラーは厚みがありますが、持ちやすいデザインになっています。
裏面は滑り止めのためか複雑な模様が立体的に入れられています。
 
 
▲専用コントローラー(表面)
 
 
▲専用コントローラー(裏面)
 
このコントローラーは、電源ボタンとボリュームの上げ下げボタン、決定ボタン以外に物理ボタンはありません。
 
決定ボタン周囲のカーソルキーの役割を果たす円形部分や、その下のトラックパッドは静電容量方式のタッチセンサーで動作します。
 
そのタッチセンサーの反応にクセがあり、慣れるまではなかなか自由に操作できないと思います。
特に、ソフトウェアキーボードで文字を入力する時は、コントローラーを床に投げつけたくなるくらいに(高いので投げませんが…)イライラしますよ。カーソルを動かしたいだけなのに、タップしたと認識されて文字が入力されてしまうのです。
 
使い始めは、無線LAN経由でインターネットに接続するために自宅の無線LANルーターのパスワードを入力しないといけないのですが、我が家のパスワードはそれほど長くないのに、その入力だけで5分以上はかかりました。
 
さらにその後、MOVERIOシリーズ専用のアプリダウンロードサイトを利用するためにアカウントを作成してログインするのですが、アカウント作成はMOVERIOシリーズを使わないと出来ないようになっていて、これまた登録が大変。
 
今ではだいぶ慣れて文字入力が難なく出来るようになりましたが、そうなるまでのストレスは相当なものです。
 
BluetoothがHIDプロファイルに対応しているので、Bluetoothキーボードを持っている人はそれを使うことをお勧めします。
 
充電には、付属のAC→USBアダプタとmicro USBケーブルを使用します。

手元にあった安物のアダプタを使っても充電出来なかったので、タブレットに充電出来るレベルのアダプタを使う必要がありそうです。
 
 
▲付属の充電用アダプタとケーブル
 
イヤホンマイクも付属しています。
ただ、専用セミハードケースはBT-300のヘッドセットとコントローラーで容積をほとんど使い切るので、イヤホンは別に収納した方が良さそう。
 
私はイヤホンを家の中でしか使っていない(無線LANでYoutube動画を見るときだけ使う)ので、特に不便は感じていません。
 
 
▲付属のイヤホンマイク
 
実際に使ってみると、室内でYoutube動画を見るくらいなら問題ないのですが、晴天の環境でドローンを操縦しようと思ったら、景色が明るすぎて、写っているはずのドローンのカメラ映像がほぼ見えません。
 
サングラスのように減光するためのフィルターが付属しているのですが、当初の付属品では遮光性能が低すぎていまいち。

やはりこのフィルターについての要望が多かったらしく、2017年3月末から遮光率の高いフィルターが製品に同梱されるようになり、既存ユーザー向けには郵送で無償提供されました。
 
レンズを入れるためのフレーム(レンズホルダー)も付属していますが、わざわざこのホルダー用にレンズを作らず、鼻パッドをメガネ用の物(付属しています)に差し替えて、メガネの上からBT-300をかけてもある程度は使えます。
 
 
▲明るい環境でBT-300を使うためのシェードとレンズホルダー(当初の付属品。2017年3月から提供が始まったシェードはもっと真っ黒)
 
新しいシェードが届いてからは、晴天の屋外環境でもはっきりとドローンのカメラ映像が見えるようになって、家でも外でもBT-300が大活躍してくれるようになりました。
 

Moverio BT-300 "behind the glasses" of the DJI GO app
▲BT-300を使ってドローンを操縦したときのイメージムービー(本当にこんな風に見えます。まさにSFの世界。)
 
 
▲BT-300でDJIのPhantomシリーズのドローンを飛ばすための簡単な手順紹介
 
▲BT-300を使いこなすためのヒント集

最後に

BT-300があると、ドローンの操縦がとんでもなく楽しくなります。
 
当初はドローン専用として使っていたのですが、値段が高いものだし、もっと活用できないかなと思ってYoutubeで3Dや360度動画を見るのにも使っています。
 
BT-300には加速度センサー(傾きを検知)とジャイロセンサー(回転を検知)が搭載されているので、360度動画の表示範囲が首の動きに合わせて変化します。
つまり、顔を左に向ければ360度動画の左側が、右を向けば右が見えるのです(もちろん上下も)。
 
動画鑑賞にはVRゴーグルの方が適しているのでしょうが、BT-300でも十分楽しいですよ。

最初の内は、戦闘機のコクピットやジェットコースターで撮影された360度動画をひたすら見続けてしまい、BT-300のコントローラーが使い捨てカイロ並みに熱くなってしまうということもしばしば(バッテリーの消耗も激しい)。
 
でも、BT-300はAndroid端末なので、Youtubeの検索で「3D」や「360度」のフィルタが使えず(パソコンなら使えますが、携帯端末向けのYoutubeにはその機能がありません)、パソコンで動画を検索してからMoverioで検索し直して見るという面倒なことをやってます。
 
まだまだスマートグラスの「完成形」にはなっていないように感じるので、新しい物好き(成熟していない製品だから、多少の不便は気にしない)という方以外にはお勧めしづらいですが、ドローン操縦を趣味にしている方には良いかも。