播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。原則として更新は週に1回です。広告は表示しません!

兵庫県姫路市の「禿の行者山」

警告
今回のルートは、一般向けではありません。道が分かりづらい場所や、危険な場所もあります。
整備された山しか歩かない方にはお勧めできません。
本日は、姫路市夢前町にある変な名前の山に登ってきました。
その山の名前は「禿の行者山」。
(注:この名前は「山であそぼっ」のやまあそさんが地元の方から聞いてサイトで紹介し、広まった名前です。やまあそさんご本人から伺いました。)
 
山頂近くの稜線には、かつてお堂(行者堂?)が建っていたと思われる石垣があったり、三角点ピークの南西に屏風岩と呼ばれる断崖絶壁があったり、その屏風岩には行者の石像が置かれているという面白い山です。
 
禿の行者山に最後に登ったのは2008年。
この石像の前は展望がよくて気持ちよかった記憶があるので、全天球パノラマを撮影し、ついでに石像のある屏風岩をドローンで撮影してみるというのも今回の目的です。
 
 
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「寺前」
 
09:08
姫路市街の自宅を車で出発。
県道67号線で夢前川沿いに北上します。
 
中国自動車道の下をくぐってさらに8kmほど北上すると、交番のある三差路に出会います。
この三差路を左に曲がると橋で夢前川を渡って雪彦山の登山口へ行けるのですが、今回の目的地である「禿の行者山」はここを直進。
 
県道67号線をさらに北上すると、道は右へ大きくカーブして丁字路に突き当たります。
これを左へ曲がり、橋を渡ってすぐに右折。
すると、夢前川沿いに細い道を進むことになります。
所々に待避できる場所があるので、対向車が来ても問題はありません。
 
交番から3kmほどの地点で、右側に文化財の名前が書かれた標柱が2本(「名勝 僧屋敷の滝」と「文化財 妙見堂石段」)立った橋に出会います。
 
この橋を渡った先に登山口はあるのですが、橋から先は林道で、関係車両以外は通行禁止。
橋を渡らずに先へ進むと、すぐ左側に粗大ゴミ捨て場があり、その横に空きスペースがあるので、そこに車を置きました。(ゴミ捨て場の手前にある未舗装の空き地は私有地なので、ハイカーが車を止めてはいけません)
 
以下のURLをクリックすると、私が今回車を止めた場所の位置が表示されます。
 
 
09:52
粗大ゴミ捨て場の横に駐車(地図中「P」)。
 
 
▲車を置いた空きスペースの様子
 
10:00
準備が整ったので出発。
 
ゴミ捨て場に勝手に車を止めて黙って山に登るのもどうかと思ったので、畑仕事をしていた地元の方に一声かけると、「今日は何もないから大丈夫」とのこと。
これで安心して山に登れます。
 
駐車場所から少し南へ引き返し、関係車両以外通行禁止の橋を渡ります。
 
 
▲この橋を渡る
 
橋を渡って林道を進みますが、そのまま林道をたどってはいけません。
林道に入って間もなく、林道を離れて尾根の先端を左へ回り込むように進むと、橋の脇にある標柱に書かれていた「妙見堂石段」に出会います。
 
 
▲林道を離れて奥のお堂の向こう側へ回る
 
 
▲妙見堂へ続く石段
 
この石段は地形図に描かれているくらいですから、かなりの長さがあります。
数えるのも面倒なので数えませんでしたが、石段を登り切ってお堂の前に着いた時点でバテバテ。
 
長い石段の先にはお堂が二つ並んでいて、その間の短い石段を登ったところに妙見堂があります。
 
 
 
 
▲石段を登り切った先にある2つのお堂
 
10:11
妙見堂に到着(地図中「妙見堂」)。
息が上がっていたので、ここで小休止。
 
 
▲妙見堂
 
妙見堂の扁額は「妙見宮」となっていますが、公設の標柱が「妙見堂」となっているので、この記事では「妙見堂」で統一します。
 
とりあえず長袖のソフトシェルを脱いで半袖Tシャツ1枚になり、マダニ対策のために虫除けスプレーを全身に吹きかけて出発。
 
 
▲妙見堂の左奥から登山道が始まる
 
登山口の看板も何もない、普通の山道です。
しかも、歩く人が少なくて荒れています。
 
妙見堂からしばらくは枝葉が鬱陶しい雑木林ですが、歩きやすい所をたどっていくと、植林の中に出ました。
 
9年前は植林と伐採地の境目を登りましたが、その当時の伐採地には植物が生い茂り、境目はとても歩ける状態ではありません。
 
代わりに、今は植林の中に道が付けられているようです。
低山歩きに慣れていない人には、道があるように見えないかも。
 
 
 
 
▲分かりにくい道を登る
 
汗みどろになりながら植林の中の急斜面を30分ほど登ると、ようやく斜度が緩んできました。
尾根の肩に出たようです。
 
 
▲尾根の肩の様子
 
10:42
使われなくなって放棄されたテレビの共同受信アンテナに出会いました(地図中「廃アンテナ」)。
まるで鳥居のようになっているので、特に意味はありませんがその下を通過。
 
 
▲廃アンテナ
 
10:44
「大西」と刻まれた境界標石のある小ピークを通過(地図中「大西ピーク」)。
 
この先では所々に露岩があり、単調な山道のアクセントになっていました。
 
▲稜線上の道はだいたいこんな感じ
 
11:01
「川口」と刻まれた標石のある513m標高点を通過。
513m標高点の先には、高低差はわずかですが激下りがありました。
 
 
▲513m標高点の様子
 
その先は大きな岩を巻いたり、石垣のように自然に石が積み重なった斜面を登ったりと、変化に富んだ登り坂が続き、標高580m付近で尾根は大きく広がって植林帯になります。
 
 
▲植林帯の様子
 
11:25
何の跡かは分かりませんが、石垣の脇を通過(地図中「石垣」)。
 
 
▲正体不明の石垣
 
石垣の先は、岩がちな急斜面です。
途中に林業用のスチールワイヤーが残置されていますが、それに出会えば行者像のある山頂はもうすぐ。
 
▲スチールワイヤー(左上で木の枝から左下へ伸びており、右下ではワイヤーがとぐろを巻いている)
 
11:36
行者像のある屏風岩に到着(地図中「行者像」)。
この記事では、ここを禿の行者山の山頂ということにします。
 
 
▲行者像とその後ろに聳える屏風岩
 
 
▲行者像の前方わずかに下ったところに手水鉢もある
 
到着した瞬間、大きな鳥が私の頭上をかすめるように高速で通過したかと思うと、「ピギャー」とものすごい鳴き声を上げました。
 
鳥はその後も大きな鳴き声を上げながら私の上を飛び続けていましたが、間もなくいなくなりました。
なんだったんだ?
 
行者像に向かって右側は恐ろしい断崖絶壁ですが、展望は良好。
 
 
▲行者像のある屏風岩は好展望
 
南を見るとすぐ近くには七種山があり、少し右に目をやれば明神山が目立っています。
七種山と明神山の間、ずっと先に見えるのは書写山。
 
 
▲行者像前から南方面の展望(後で紹介する全天球パノラマから切り出した画像)
 
南東は加西や明石、遠くは神戸市街も見えていたはず(霞んでいたのでよく分かりませんが)。

三角点ピークを山頂とすれば私はまだ山頂に到達していませんが、三角点標石周辺は狭いし展望がないので、ここを山頂とした方が良いと思います。
 
というわけで、この展望を楽しみながら昼食を食べることにします。
 
買いだめしておいたフリーズドライの「とんかつの玉子とじ」の賞味期限が過ぎた状態でいくつもあるので、今日もそれを一つ消費してカツ丼を作りました。
 
 
▲本日の昼食(カツ丼とみそ汁)
 
この食事を食べながら楽しんだ風景は、以下の全天球パノラマでご覧下さい。
 
行者像前で撮影した全天球パノラマ(撮影日2017年4月23日)
 
現地で屏風岩から下をのぞき込めば迫力を楽しめるのですが、手持ちのカメラで撮影した写真ではそのすごさを伝えることが出来ません。

そこで、ドローンでこの屏風岩を撮影してみました。
 
 
▲ドローンで撮影した屏風岩(矢印の位置に行者像)
 
 
▲ドローンで撮影した屏風岩(矢印の位置に行者像)
 
12:46
断崖絶壁の高度感を思う存分堪能して満足したので、下山開始。
 
9年前は513m標高点から南東へ延びる尾根を下りましたが、今回は往路をそのままたどって下山しました。
登りは汗だくであえぎながらゆっくり登りましたが、下りは速い(登りは96分。下りは70分。)。
 
13:56
駐車地点に戻ってきました。
 
禿の行者山は駐車スペースが少ないですし、行者像前の空間も狭いため、グループでの登山にはまったく向いていません。
 
ごく少人数で静かな山歩きを楽しむための山と言えるでしょう。
 
 
▲今回のルートの高低差を表したグラフ(カシミール3D)