播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

ラチェット式のビジネス向けベルト:SlideBelts(スライドベルト)

今回は、ちょっと珍しい構造のベルトを紹介します。
 
このベルトは、面白い商品やサービスを世に出したい人が出資者を募るためのサイト「KickStarter(キックスターター)」で資金を募集していた商品に出資したところ、完成した製品(https://dfm92431.hatenablog.jp/entry/2017/05/28/091503)にオマケとして付いてきたものです。
 
意図して手に入れたわけではないのですが、予想外に良い商品だったので紹介することにしました。
 
 
▲SlideBelts社のBlack Leather Belt
 
製品名: Black Leather Belt
メーカー: SlideBelts(アメリカ)
サイズ: ウェスト44インチ(約112cm)まで対応
定価: $45.00 USD
購入価格: 無料(KickStarterの出資対象の製品にオマケとして付属)
 
SlideBelts(スライドベルト)社は2007年に設立された会社で、特殊な仕組みでサイズを調整するベルトを製造、販売しています。
 
同社の製品と同様の仕組みを持つベルトとして、他にアメリカのMission Belt(ミッションベルト)社の製品もありますが、バックルの構造に違いがあります(ミッションベルトは日本国内の店舗から購入可能ですが、スライドベルトは当記事掲載時点において、日本国内での取り扱いは見あたりませんでした)。

仕組み

上の画像の通り、いたって普通の穴がない革ベルトです。
 
穴のない革ベルトは普通に売られていますが、それはバックルの部品の摩擦だけで留めるように造られています。しかし、その摩擦のせいでベルトの表面が傷みますし、力がかかるとズレる事もあります。
 
SlideBelts社のベルト(以下「スライドベルト」)はベルトに工夫が施されており、ベルトが傷むことも滑ることもないのです。
 
その工夫とは、ベルトの裏面に付けられたギザギザ。

このギザギザは普通のベルトでは穴が開いている辺りにあり、長さは約18.5cm(7.5インチ)ほど。
ギザギザの頂点の間隔は約6mm(1/4インチ)。
 
センチ表記だと中途半端な数字です(「それぞれ20cmと5mmにすれば良いのに」と感じます)が、メーカーがアメリカなので、アメリカで使われている単位「インチ」を基準に考えるとキリのよい数字です。
 
 
▲ベルト裏面のギザギザ
 
このギザギザにバックル内の爪が引っかかることでベルトを固定するという仕組みです。
そのため、およそ6mm間隔でベルトのサイズが調整出来ます。
 
ベルトの厚みは、約4mmです。
 
続いてバックルの方を見てみましょう。
一見しただけでは、特に何の変哲もありません。
 
 
▲スライドベルトのバックル
 
バックルの裏面は下のようなもの。
造りが丁寧で高級感があります。
 
 
▲スライドベルトのバックル裏面
 
ベルトの端を咥える「歯」もしっかりしています。
「歯」というよりもスパイクです。
 
 
▲ベルトの端を咥える「歯」
 
ベルトのギザギザとかみ合う部分(爪)は以下のようになっています。
 
 
▲通常時の爪
 
バックルの外枠がレバーになっており、それを持ち上げると爪が下がるという構造。
外枠と爪は一体にはなっておらず、ベルトを締める時は爪だけが動きます。
 
 
▲ベルトを緩めたり外すときの爪の状態(バックルの外枠を持ち上げると、爪が下がる)
 
ベルトのギザギザは片面が斜面でもう一方が垂直になっており、ベルトを締める方向に引っ張るとバックルの爪が斜面を滑ってギザギザの山を越え、逆向きでは爪が垂直な面に引っかかって緩まないという仕組み、つまりラチェット機構になっているのです。
 
 
▲ベルトのギザギザの拡大画像
 
耐久性を確認するため、一度無理をしてきつめにスライドベルトを締めて一日過ごしましたが、無理な体勢になってもまったく緩む気配がなく、むしろ私のお腹が締め付けられて痛い思いをしました。
 
今まで使っていたベルトは、無理な力がかかると(穴のないタイプのベルトの場合は)ベルトが滑って緩んだり、ピンを穴に通すタイプのベルトは、端がバックルからすっぽ抜けたりしましたから、スライドベルトの耐久性は充分です。

ベルトのサイズ調整

ベルト自体は約112cm(44インチ)までのウェストに対応出来ますが、そんなに長い状態では使いづらいだけなので、購入後はまずベルトを切り詰める必要があります。
 
自分のウェストに合わせてベルトを切るのは、なかなか勇気が要ります。
というのも、長い分にはやり直しがききますが、切りすぎると元に戻せないからです。
 
スライドベルトはその点もよく考えてあり、ベルトの裏面に数字と線がプリントされています(私のは30~44インチまで目印がある)。

自分のウェストサイズをインチに換算(ウェストのサイズを2.54で割るとインチになる)した数字の位置でベルトを切れば、ちょうど良い長さ(というか、ちょっと長め)に仕上がるようになっているのです。
 
 
▲ウェストサイズに合わせてベルトを切るための目印(私はウェストが83cmなので、33インチの線で切った)
 
ベルトは、ハサミで切るとなかなかまっすぐ綺麗に切れないので、私は本をPDF化(いわゆる「自炊」)するため(本の背を切り落とし、ScanSnapで読み取る)に持っている裁断機を使いました。
そのため、切り口が綺麗に仕上がっています。

使い心地

私は普通の人よりもトイレに行く回数が多い(ベルトの脱着回数が多い)ので、普通のベルトだと早く傷みます。
しかし、スライドベルトならベルトが大きく曲がるような操作が全く必要ないので、ベルトの表面がひび割れる可能性はほとんどありません。
 
サイズの微調整が簡単で、多少の力が掛かってもベルトが緩んだりバックルから外れることがなく、脱着も容易。
 
値段についても、この質感と性能であれば、45ドルという価格は安いくらいだと感じます。
良いことづくめのようですが、ベルトを締める時にラチェット機構が立てるカチカチッという大きな音は気になります。

最後に

ベルトを締める時にラチェット機構の作動音が気になりますが、人前でベルトを締める機会はそうそうありませんし、右手でバックルの外枠を起こしながら、左手でベルトを締めれば音は鳴らないので、欠点にはならないでしょう。
 
同様の仕組みを持つ他社の製品と比較すると、スライドベルトの方がバックルの構造がシンプルなので、信頼性が高そうです。
 
とにかく丈夫で使いやすく、質感が良好。
一度このベルトを使ってしまうと、普通のベルトは使いたくなくなります。