播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

兵庫県姫路市的形町の「青の山」~「大日山」~「坂の山」縦走

姫路市内の各世帯に配布される「広報ひめじ」の2017年1月号を何となく眺めていると、「元気な活動紹介します ぴぃぷるぴぃぷる」というコーナーで「的形ふるさと里山会」が紹介されているのを見つけました。
 
姫路市街から東向きに国道250号線を走っていると、八家峠を越えてすぐ左側に見える低い山並みが以前から気になっていましたが、「藪っぽいだろうなぁ。展望もないだろうなぁ」と勝手に思い込んでいて、一度も歩いたことはありませんでした。
 
今回見つけた「広報ひめじ」の記事によると、その山並みの登山道が整備されているとのこと。
しかも、記事内の写真を見ると、展望も楽しめそうです。
 
というわけで、低山歩きに最適な今の時期(気温が低く、虫がいなくて、空気も澄んでいる)こそ、ここを歩くのにふさわしいと急遽思い立ち、出かけてきました。
 
インターネットで調べてみると、登山者向けの駐車場はなさそう。

しかし、山陽電鉄の駅が山塊の西と南東にあるので、電車を使えば登山口と下山口が異なる縦走が容易にできます。
 
まずは山陽電鉄の八家駅から八家峠に向かい、峠にある「青の山南登山口」から入山。東へ縦走し、山陽電鉄的形駅へ向かうというルートで歩くことにしました。
 
 
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「姫路南部」
 
9:58
山陽電鉄の姫路駅を、神戸三宮行の普通車で出発。
 
10:11
八家駅に到着(地図中「八家駅」)。
 
八家駅は西側にしか出入り口がありません。
この出入り口を出て南へ向かい、最初の信号のある交差点を左折すると、国道250号線です。
 
国道250号線を東向きに歩き、八家峠に向けて緩やかに登って行きます。
国道の北側は、一部歩道のない区間もありましたが、峠に向けての上り坂が始まると歩道の幅がかなり広くなります。
 
車で来た場合は、この広い歩道に止めれば山歩きが楽しめるかも知れませんが、「どうせゴールド免許なんて取れないし、あと何点か点数が付いても免停や免取にもならないし、罰金なんかたかだか知れているし、レッカー移動されても、車を取りに行くタクシー代なんて屁でもない」と思える方以外はやめておいた方が良いでしょう。
 
八家峠には神姫バスのバス停(的形ネオポリス前バス停)があります。
 
姫路駅の南口を7:45に出発する93系統のバスに乗ると、8:09にこの的形ネオポリス前バス停に来れますが、それだと早すぎるという場合は、次のバスが姫路駅南口10:55発、11:19的形ネオポリス前バス停着の便になってしまいます。その次は、ちょうど2時間後(12:55)に姫路駅南口を出る便です。
 
午前中にさっさと山歩きを終わらせるか、昼食後に歩く場合は、姫路駅からバスで登山口へ向かうという手もあります。
(注:バスの時刻は、当記事執筆時点の情報です。バスを利用される場合は、最新の情報を神姫バスのWebサイトで調べて下さい。)
 
10:29
的形ネオポリス前バス停脇にある青の山南登山口に到着(地図中「青の山南登山口」)。
▲登山口の位置
 
 
▲青の山南登山口(登山口であることを示すプレートが矢印の位置にある)
 
ここから入山しますが、すぐに突き当たって道は左へ向きを変えました。
 
そこからの登り坂は、国道250号線が出来るまでは峠道として使われていたらしく(峠道は国道250号線によって寸断されました)、深くえぐれていて歴史が感じられます。
 
 
▲深くえぐれた峠道
 
八家駅から八家峠までの登りで既に汗をかいていたので、荷物を置いてソフトシェルを脱ぎ、フリースで歩くことにしました(さすがにTシャツ1枚では寒かった)。
 
10:36
かつての峠に出ました。
ここは三差路になっていて、直進すると八家峠西側にある携帯電話の基地局へ(地形図に実線道が描かれている)、右折すると今回の縦走路です。
 
 
▲三差路の峠(巡視路標識と「青の山」への道標がある)
 
10:38
峠から笹に挟まれた道を上っていくと、すぐに防護柵に囲まれた送電線鉄塔に出会います(地図中「姫二火力線16番鉄塔」)。
 
姫二火力線16番鉄塔から先も、古くからありそうなしっかりした道で、場所によっては硬い土の路面にステップが刻まれ、そのステップが苔むしているところもありました。
 
縦走路は81m標高点のある丸山の東側斜面をトラバースするように付けられているので、間違えて丸山へ登らないようにして下さい。
 
その東側斜面に付けられた道の途中には、椅子と机が置かれた場所があり(地図中「下坂、北小嶋分岐」の南)、東向きの展望を楽しめました。
 
 
▲登山道脇に置かれた椅子と机
 
 
▲椅子と机のある場所から東の展望
 
丸山の北東にある鞍部では、北西に藪っぽい道が分岐しているような場所がありました。
「さっきは素通りした丸山だけど、展望がよかったらもったいないな。ひょっとしたらここから丸山に登れるかも」と思い、薄い藪に入ってみましたが、どうやら峠道の跡らしく、そのまま北西へ下ってしまいそうで、丸山への道は見あたらなかったため、丸山は諦めて縦走を再開。
 
ちなみに、この鞍部には土橋のような道がありました。
今回の縦走では、他の鞍部でも同様の道を見かけましたが、昔の人たちが水争いを防ぐために築いた土塁なのかも知れません。
 
 
▲鞍部にある土橋状の道
 
鞍部からは、姫二火力線17番鉄塔へ向けて急な階段道を上ることになります。
この季節は落ち葉があって滑りやすいので、この道を下るときは慎重に歩かないといけません。

今回は登りですが、私は落ち葉のある急坂が苦手なので、一歩一歩ゆっくりと歩きました。
 
▲姫二火力線17番鉄塔へ登る道の様子
 
10:49
姫二火力線17番鉄塔を通過(地図中「姫二火力線17番鉄塔」)。
 
10:50
青の山の山頂に到着(地図中「青の山」)。

簡易なベンチがあり、葉を落とした木々の間から景色を少し楽しめます。
逆に言うと、葉っぱが生い茂る時期は展望が楽しめないかも。
 
 
▲青の山山頂の様子
 
青の山山頂からは、地形図通り平らな道がしばらく続きますが、北の鞍部への下りも緩やかで快適な道。
 
鞍部は三差路になっていて、縦走路は右へUターンするように続いています。(道標があるので間違える心配はありません。)
 
 
▲青の山の北にある鞍部の様子(右へ曲がるのが正解)
 
右へ曲がってすぐの場所は、大日山の西側斜面を眺めるのに良い場所になっていて、山桜が咲いたときの美しい様子を撮影した写真が掲示されていました。
 
道なりに進んで峠に出ると、そこには(わずかな距離ですが)木道が設置されています。
 
11:01
木道が終わったところは三差路になっていて(地図中「青の山、湊神社分岐」)、縦走路は左へ折れています。
 
 
▲木道のある峠を越えてすぐ左折する
 
峠から大日山への登りは、角材を使った階段が設置されたやや急な登り坂。
でも、標高差はたかだか知れているので、簡単に大日山まで登れます。
 
 
▲大日山へ続く道の様子
 
11:06
大日山の山頂に到着(地図中「大日山」)。
東屋があり、南側に大きく展望が開けた場所です。
 
 ▲大日山山頂の様子
 
▲大日山山頂の全天球パノラマ(撮影日2016年12月30日)
 
西を見るとパナソニックの巨大な工場が、南西には男鹿島と家島の奥に小豆島が、南東には赤茶けた屋根の建物が建ち並ぶ神戸製鋼の工場が、その向こうには淡路島が見え、淡路島から視線を左に移すと明石海峡大橋、その左には須磨アルプス、そしてさらに左を見ると雄大な六甲山塊の山影が見えました。
 
大日山の山頂には、的形ふるさと里山会が設置した看板があり、それには次のように書かれています。

里山登山道の整備と樹木の保全事業
 この事業は、多くの皆さんに里山を親しんでもらい、健康づくり、体力づくり・コミュニティづくりの一環として広く利用していただけるよう、社団法人兵庫緑化推進協会の「緑の募金」を活用し森林ボランティア活動支援公募事業として、坂のやま・大日山の登山道整備、東屋の建設、樹木の保全を行いました。
 この事業で活用した「緑の募金」はアサヒビール株式会社の「うまい!を明日へ!プロジェクト」によってお寄せいただいた寄付金から成り立っています。
平成23年5月1日
的形ふるさと里山会
(出典:大日山山頂の看板)

11:25
大日山の山頂を東に向けて出発。
大日山までの道は遊歩道でしたが、その先は山道の雰囲気です。
 
大日山のすぐ東に二股の分岐がありますが、縦走路は左。
直進すると、そのまま南東へ延びる尾根で下山してしまいます。
 
 
▲大日山の東にある三差路(縦走路は左折)
 
11:30
大日山の東側にある峠に出ました。歴史がありそうな古い峠です。
峠に出たら左へ進み、すぐに出会う右側の道へ入ります。
 
 
▲大日山の東にある峠
 
峠からは雰囲気の良い雑木林の中の道を緩やかに登り返します。
道の両側にシダが現れ、岩が目立ってくると、坂の山の山頂はすぐ。
 
11:37
坂の山の山頂に到着(地図中「坂の山」)。
椅子とテーブル、展望図があり、東から南を広く見渡せるだけでなく北方面の展望も多少楽しめます。
 
 
▲坂の山山頂の様子
 
 
▲坂の山山頂の展望図
 
 
▲坂の山山頂に置かれている椅子(右奥に周辺のハイキングルートを示した地図がある)
 
▲坂の山山頂の看板に描かれている地図(拡大表示できます)
 
▲坂の山山頂の全天球パノラマ(撮影日2016年12月30日)
 
ここで昼食。
本日のメニューは、自宅にあった残り物の肉じゃが。
 
 
▲本日の昼食
 
ご飯と肉じゃがは真空パックにして自宅から持ってきて、湯煎で温めました。
みそ汁はインスタントです。
 
展望は大日山とさほど変わりませんが、東側に高御位山が大きく見えるほか、北側の山並みも見ることが出来る点が異なっています。
 
気温はセ氏8度、相対湿度は約60%、風速1m前後の南寄りの微風が吹く程度で、暑がりの私には涼しくて気持ちよい天気です。
 
空気が澄み渡って展望も抜群。
写真には写りませんが、肉眼では四国の山並みまでうっすらと見えました。
双眼鏡で眺めると、淡路島の風力発電用風車の羽がゆっくり回っている様子も見えます。
 
景色を見ながらご飯を食べるのが山歩きの目的となっている私にとっては最高の環境で、ご飯が進みます。
 
 
▲坂の山山頂から高御位山を見る
 
 
▲坂の山山頂から小豆島を見る(最奥)
 
 
▲坂の山山頂から黒尾山を見る(中央最奥)
 
 
▲坂の山山頂から笠形山を見る(中央最奥)
 
13:00
昼食と展望を満喫し、下山開始。
 
坂の山から北東へなだらかに下っていくと、姫路城が見える場所に出会いました(看板がある)。
しかし、遠すぎて肉眼ではよく分かりません。
私も現地では分からなかったのですが、写真を自宅で拡大表示してやっと分かりました。
 
 
▲坂の山の北東から姫路城の大天守最上層を見る
 
お城の見えるポイントから南東への下りは、プラ階段混じりの角材階段道です。
 
地図内「坂の山、大鳥分岐」の手前は竹林の中を通るようになっていて、今までの道と全く雰囲気が違うので良い気分転換になります。
 
 
▲「坂の山、大鳥分岐」手前にある竹林
 
13:09
小さな畑のある「坂の山、大鳥分岐」で道は右へ折れ曲がり、緩やかに南西へ下っていきます。
 
坂の山の南斜面は四方竹(しほうちく)の自生地になっているそうです。
写真に撮ると全く分からないのですが、名前の通り断面が角丸正方形のようになった竹で、節にはトゲが付いています。
 
▲四方竹
 
四方竹
 普通の筍(孟宗竹、真竹、淡竹)は、4月~5月に生えるが、この四方竹の筍は、春でなく珍しく秋10月頃から冬にかけて生えてくる細い筍で、外部が四角形の桿で四方竹と呼ばれている。高さ2~7mほどで竹桿下部の節に触ると痛い いぼ状の突起があり伸びると根になる。中国原産の多年生常緑竹で、日本では枝を出さずに越年し、春暖かくなったとき枝を広げる。高知県が特産であるが的形町にも自生している。
(出典:現地の看板)
 
四方竹の自生地の先で孟宗竹の竹林の中を通り、右に墓地が見えれば間もなく麓に出ます。
 
 
▲南西へ緩やかに下る道の様子
 
13:19
住宅街の中に出てきました。
下山地点の位置は以下の通りです。
 
こちらから登る場合の参考にしてください。
▲下山地点

ここからは、スマホのGoogleマップを頼りに的形駅を目指しました。
 
 
▲ここへ下りてきた
 
 
▲的形駅へ向かう道中で大日山~坂の山を見る
 
13:30
山陽電鉄の的形駅に到着。
 
13:37
山陽姫路行の普通車で的形駅を出発。
 
13:53
山陽電鉄姫路駅に到着。