播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

「旧乾邸」特別観覧@神戸市

本日は、神戸市指定有形文化財・指定名勝「旧乾邸」特別観覧に参加してきました。

このイベントは毎年春と秋に実施され、事前に電話予約をしておかなければ参加できません。
定員が決まっており、先着順になっているので、予約をするタイミングによっては参加できない可能性もあります。

2016年秋の特別観覧の詳細は、以下の通りです。


▲旧乾邸(南面)

イベント名称: 「旧乾邸」特別観覧
会場: 神戸市東灘区住吉山手5丁目1-30(←住所をクリックすると、旧乾邸の位置がGoogleマップで表示されます)
開催日: 2016年11月1日(火)~11月6日(日)
開催時間: 10:00~、13:00~、15:00~(日によって1日2回、または3回開催)
予約方法: 2016年10月23日(日)~10月26日(水)の間に、専用の予約電話により受付
注意事項: 専用の予約電話による受付無しでは入館不可。団体での入館は不可(1組最大4名)。古い建物のため、バリアフリー対応は無し。駐車場無し。館内での飲食不可(館内の有料喫茶サービス除く)。喫煙禁止。

 旧乾家住宅は、乾汽船株式会社を設立した乾新治氏の自宅として、昭和10年頃に建築されました。様式建築の名手として名を馳せた渡邊節氏の設計です。
(中略)
 敷地は約1200坪、北、東、西側を素焼きのタイルを張った塀が囲み、南東隅に正門を開きます。敷地の中央部に赤い瓦の大きな寄棟屋根、竜山石のやわらかな風合いの主屋(洋館)があります。平面はおおよそL字形を呈し、鉄筋コンクリート造3階地下1階建て、一部が木造です。洋風を基調としながら巧みに和洋を折衷し、重厚さの中に繊細なデザインを取り込んでおり、渡邊節氏の住宅建築の代表作とも言われています。

(出典:「神戸市指定有形文化財・指定名勝 旧乾邸 住居・庭園」四つ折りパンフレット)

設計者 渡邊 節
 渡邊節氏は、明治17年東京麹町に生まれ、厳格な軍人の家庭で育ち、東京帝国大学工科大学建築学科を明治41年に卒業しました。韓国政府の元で庁舎設計に携わった後、日本に戻り鉄道院の技師として京都駅舎の建設に尽力し、その後自ら建築事務所を創立、建築科としての活動を本格化させます。その事務所で節氏の薫陶を受けた人物の中に、後に高名を馳せた建築科、村野藤吾氏がいました。
(中略)
 手がけた作品として、神戸海洋気象台(大正9年。現存せず)や今も神戸の海岸通りに美しい姿を留める大阪商船神戸支店(大正11年)のほか、綿業会館(昭和6年)、日本興業銀行本店(大正12年。現存せず)、日本勧業銀行本店(昭和4年。現存せず)などがあります。

(出典:「神戸市指定有形文化財・指定名勝 旧乾邸 住居・庭園」四つ折りパンフレット)

旧乾邸では合計12箇所で全天球パノラマを撮影(RicohのTHETA Sを使用)し、この記事の文末に掲載しています。
画質は良くありませんが、普通の写真だけでは分かりづらい邸宅内部の様子は、パノラマで御覧下さい。
旧乾邸の最寄り駅は、阪急「御影」駅。
そこから北東へ閑静な住宅街の中を10分ほど歩いたところ(白鶴美術館のすぐ南)にあります。

少し早めに現地に到着すると、すでに大勢の参加者が門の前で待機中でした。

待っている間に門の周辺の塀を眺めていたら、普通なら直角に曲がるはずの部分が優美な曲線を描いているのに気づきました。


▲塀の角は曲線を描いている

申し込んでいた開催時刻のちょうど15分前に開門。


▲門が開き、受付が始まった様子

受付を済ませ、まずは主屋の南側にある洋式庭園から主屋を眺めました。(冒頭の写真)

一見すると洋館なのですが、左下を見ると障子があって、まるで縁側のようなものも見えました。
受付で頂いた間取り図を見ると、そこは夫人室で、確かに縁側も描かれています。

今度は主屋東側の前庭を通って主屋の北東へ回り込み、車寄せを見てから玄関へ。

建物には、北面にある正面玄関から南向きに入る形になります。


▲洋館の東側(右へ張り出しているのが車寄せ)


▲洋館の北東側(この写真の上階にある大きな窓の下に正面玄関がある)


▲車寄せから見た正面玄関(天井の円い穴は車寄せの明かり取り)

玄関を入った正面は壁で、右に曲がったところにスリッパが並んでいました。

そこで靴を脱いでスリッパに履き替えるのですが、その玄関ホールは彫刻が施された階段の手すりや窓の飾り、高い天井のおかげで荘厳な雰囲気。


▲玄関ホール

玄関ホールのすぐ南東(1階南面の東端)には、間取り図でゲストルームと書かれた大きな部屋があります。
そのゲストルームは、下の写真のような場所。

南側に大きな窓があって明るく、東側には立派な暖炉もあります。天井は、1.5階分の高さがある吹き抜け。
それよりも、まず目に付くのは中央につり下げられたシャンデリアで、豪華なレストランと言った雰囲気。

冒頭の写真では、1階の右端に見えている部屋がここです。


▲1階のゲストルーム(魚眼レンズで撮影)

特別観覧の際は喫茶サービスが提供されていて、このゲストルームやすぐ外側のテラスで紅茶や珈琲、数量限定ですがケーキもいただけます(有料)。

その西隣には、真っ赤な絨毯が敷かれ、南側に窓が張り出した食堂(間取り図上の名称)があります。


▲1階の食堂(魚眼レンズで撮影)

さらにその西側には、外からも見えていた和風の空間、夫人室がありました。

夫人室(和室)の西側と南側には広縁があり、食堂と夫人室の間には「次の間」と名づけられた空間もあります。


▲次の間から南広縁と夫人室を見る

1階の北側には女中室や調理場がありますが(つまり、北側は使用人の居住区)、これらは立入禁止だったり、扉が閉まっていた(他の見学可能な部屋はドアが開け放たれていた)ので、中を見ていません。

興味深かったのは、1階北端の「事務室」と間取り図に書かれた部屋。
脇玄関を備えた質素な部屋で、入口には表示灯が付いていました。

乾家の人が使用人を呼ぶときにボタンを押すと、どの部屋でボタンが押されたのかをこれが示していたようです。


▲呼び出しボタンの表示等(ランプ一つ一つに部屋の名前が書かれている)

続いて2階を見学しましょう。
2階へ上がる階段は合計3箇所あります。

一つは玄関ホールにあった階段で、二つ目はゲストルームの北側にある急な階段。
最後の一つは、背面階段と呼ばれる使用人のための階段。

どこから上がっても、2階の建物中央付近に出てきます。

間取り図を見ると、2階は乾家の人たちと使用人の生活空間で、南側には乾家の主人と夫人の寝室があり、北側には夫人の衣装部屋と女中室があります。

玄関の真上にあたる部分は納戸。


▲2階の納戸

1階南東のゲストルームは天井が吹き抜けになっているため、2階の南東には部屋がありません。

ゲストルームから2階を見上げると、格子が付いた窓があったのですが、そのゲストルームを見下ろす窓があるのが主人の寝室。1階の食堂の真上にあたる場所です。

今は寝室と言うより応接室のような内装になっています。


▲主人の寝室(魚眼レンズで撮影。左側のソファーの後ろにあるのが、ゲストルームを見下ろす窓)

主人寝室の西側には浴室があり、さらにその西には夫人の寝室があります。

この2つの寝室は、2階を東西に走る廊下とは別に中廊下でつながっていて、使用人の目を気にせずに行き来できる構造。


▲夫人の寝室


▲2つの寝室の間、中廊下に面した浴室(トイレもある)

夫人の寝室から廊下を挟んだ北向かいには衣装部屋がありますが、衣装部屋にするにはもったいないほどの広い和室(8畳)です。


▲衣装部屋

衣装部屋の北隣は女中部屋。
衣装部屋と同じく、広さは8畳あります。


▲女中部屋

この女中部屋の出入り口前には背面階段があり、その脇には広い空間がありますが、特別観覧のスタッフの方に伺うと、もともとは使用人用の洗面台か何かがあったとのこと。


▲使用人が使う階段(魚眼レンズで撮影)

これで一通り2階も見終わったので、最後は3階の見学です。
玄関ホールの2階部分、東側の階段を上がったところが3階。

3階とは言っても、2階からは0.5階分の高さしか上がりません。


▲玄関ホールの2階部分(魚眼レンズで撮影。右の階段を上がったところが3階)


▲3階へ続く階段を下から見る

3階にあるのは、ゲストルームの真上に当たる部分の一部屋だけ。
しかし、その一部屋が素晴らしいのです。

部屋の名前はサンルーム。
西側以外の3方に大きな窓が付いていて、神戸らしい風景を思う存分味わえるようになっています。


▲サンルームの様子

ちょうど私がサンルームを見学しているときに、神戸市街上空を飛行船が飛んでいました。


▲サンルームから見えた飛行船

ちなみに、この飛行船はスヌーピーJ号とよばれるもので、生命保険会社の広告が大きく描かれています。

先日、たまたま我が家の上空を飛んでいるところを撮影した写真があるので、掲載しておきます。


▲飛行船「スヌーピーJ号」(2016年11月4日 姫路市街で撮影)

次回の特別観覧は、2017年の春。
興味のある方は、神戸市の広報誌やWebサイトをチェックしておくことをお勧めします。

最後に、旧乾邸で撮影したパノラマを掲載します。

RicohのTHETA Sで撮影したワンショットパノラマなので、一眼レフで撮影したパノラマに比べると画質は大きく劣りますが、雰囲気はよく分かっていただけると思います。
旧乾邸で撮影した全天球パノラマ
画面左上のリストで、各パノラマを切り替えられます。