播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

未来ICT研究所施設一般公開@神戸市西区

本日は気になるイベントが2つあり、どちらに行こうか迷っていました。

一つは大阪の天保山での輸送艦くにさきの一般公開。もう一つは「NICTオープンハウス2016 in 神戸 未来ICT研究所施設一般公開」。

輸送艦は以前に見たことがあるような気がして検索すると、2013年に岩国基地で見学していたことが分かったので、今日は今までに行ったことのない国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の施設一般公開を行き先として選択。

未来ICT研究所の最寄り駅はJR大久保駅。
私の通勤定期の範囲内なので、大久保駅までは1円も使わずに移動出来ます。

休日の交通費まで会社に面倒を見てもらえるなんて、電車・バス通勤をしていて良かったと思える数少ない機会。

11:27
近江塩津行の新快速でJR姫路駅を出発。

11:37
加古川駅に到着。
向かいのホームに停車中の普通電車(米原行)に乗り換えます。

11:39
普通電車が加古川駅を出発。

11:52
大久保駅(兵庫県明石市)に到着。

未来ICT研究所の最寄りバス停を通るバス(12系統)は、駅のすぐ北東のローソン前にある3番のりばから出発します。

ただし、12系統のバス路線は途中で二股に分かれ、後でまた合流するというルートが設定されています。
どちらのルートを通るバスも12系統なのですが、未来ICT研究所の最寄りバス停である「上新地(かみしんち)」バス停はちょうどその二股に分かれている区間の一方にあるため、乗るバスを間違えると「上新地」バス停を通ること無く終点に達してしまいます。

「秋田」経由の12系統のバスは「上新地」バス停を通らないので、未来ICT研究所へ行かれる際は、乗るバスに気をつけて下さい。

「岩岡連絡所」経由の12系統のバスに乗れば、「上新地」バス停を通ります。

12:00
12系統の神姫バスで大久保駅バス停を出発。

12:15頃
上新地バス停で下車。運賃は240円。

上新地バス停からは、未来ICT研究所のWebサイトの「未来ICT研究所 アクセス」のページに写真付きで詳しいルート図が掲載されているので、それをご覧下さい。

上新地バス停から未来ICT研究所までの歩行者向け最短ルートは、最先端技術を研究する国の機関があるとは思えないような、のどかな風景の中を通る車1台分の幅しかない狭い道路です。

12:24
未来ICT研究所の門を通過。


▲未来ICT研究所の第1研究棟

イベント名称: NICTオープンハウス2016 in 神戸 未来ICT研究所施設一般公開
イベント会場: 未来ICT研究所(神戸)
所在地: 兵庫県神戸市西区岩岡町岩岡588-2 (住所をクリックすると、Googleマップで位置が表示されます)
日時: 2016年7月23日(土) 10:00~16:00 (最終受付は15:30)
参加費等: 無料
駐車場: あり

第1研究棟の入口を入った所が受付になっていて、そこでナイロン袋に入ったパンフレットなど一式を受け取り、階段を上がって2階へ。

この2階から展示を順番に見る形になってました。

階段を上がったところは「超伝導の不思議な世界」と題された展示で、私はミニチュアのリニアモーターカーに夢中になって見入ってしまいました。


▲手作りの超伝導デモ用リニアモーターカー(?)

このリニアモーターカーの中は、超伝導物質と液体窒素。

レールとの摩擦抵抗がないため、空気抵抗以外にリニアモーターカーの動きを阻害するものがありません。
研究員さんが指で軽く押すだけで、スムーズに磁石のレールの上をぐるぐると回っていました。


▲リニアモーターカー内部

次は「テラヘルツ波の正しい知識と活用法」の展示。
こちらは超伝導コーナーが廊下での展示だったのに対して部屋の中。

ただ、テレビのリモコンを使って手の血管を透視する展示は、超伝導コーナーと同様、廊下に出ていました。

これは、上向きに設置してボタンを押したまま固定されたリモコンの上に、赤外線だけを通すフィルタをかけたカメラを取り付け、その映像をディスプレイに表示したもの。

リモコンの発光部に指を当てると、ディスプレイに自分の指の中を通っている血管がはっきり写ります。


▲血管透視用の装置

部屋の中には、赤外線カメラ(サーモグラフィー)を使って赤外線の特性を説明する展示と、電球とLEDで、発する光がどのように異なっているかの展示がありました。

赤外線カメラの展示では、鏡に映っている物の温度が表示されていることに皆さん驚いている様子でした。
普通なら鏡の表面温度が表示されると思いますからね。

その隣は日本標準時に関する展示で、原子時計の実物とその内部にあるセシウムビーム管のカットモデルが置かれていました。

原子時計の実物も、その心臓部であるセシウムビーム管のカットモデルも見るのは初めて。
毎日通勤時に明石の天文台(日本標準時を示す大時計がある)を見ているのもあって、興味深く拝見しました。

どうやらコンデジの撮影モードのダイヤルが知らない間に回っていたらしく、ここから先の写真はHDR合成されたアーティスティックな見た目になってしまっています。予めご了承下さい。


▲セシウム原子時計(右上がセシウムビーム管のカットモデル)

他にも脳波を測定する展示や、アマチュア無線の特別局(8N120ICT)、電波適正利用推進員による展示があり、電波関係のクイズに正解すると粗品がもらえるということで、一応アマチュア無線の免許を持っているので挑戦(知識が無くても、展示パネルを見たり、スタッフさんに尋ねると答えが分かるようになっています)。

粗品としてクリアファイルを頂きました。

これで第1研究棟2階の展示は全て見終わったので、1階の展示室をざっと眺めてから第4研究棟へ。

第1研究棟と第4研究棟の間からは、次世代ドップラーレーダーの姿を見ることが出来ました。
これについては、第4研究棟内の展示で詳細を知ることになります。


▲次世代ドップラーレーダー(コンデジのモードダイヤルが知らない間に回っていて、へんてこな色合いになっています)

第4研究棟1階ではレーザーなど光学関連と量子力学関連の展示がありましたが、あまり興味がなかったので3階の展示室へ。

第4研究棟3階の展示は、深紫外光ICTデバイス先端開発センター、電磁波研究所リモートセンシング研究室、ワイヤレスネットワーク総合研究センター宇宙通信研究室の3つの展示がありました。

特に興味深かったのはリモートセンシング研究室の雨雲レーダーについての展示です。


▲次世代ドップラーレーダーを使った雨雲レーダー画像の説明の様子(コンデジのモードダイヤルが知らない間に回っていて、へんてこな色合いになっています)

上の写真にある次世代ドップラーレーダーを使うと、雨雲を3次元で捉えられるという内容の展示で、通常の雨雲レーダーの画像では5mm程度の雨という場所が、この次世代ドップラーレーダーを使った防災予測では「危険地域」と判断された時の実際のレーダー画像を見せて頂きました。

次世代ドップラーレーダーでその場所の雨雲を表示したのが上の画像です。

斜め上から雲の断面を見たような映像になっていて、地表近くでは雨が強くありませんが、上空5km~6kmにかけて強烈な雨粒(紫色の点)が存在している事が分かります。

この高さにある雨粒が、数分後には地表に降り注ぐわけです。

普通の雨雲レーダーは5分間隔で測定しているため、その5分の間に突然強烈な雨が降ってくることになりますが、次世代ドップラーレーダーではもっと短い間隔で雨雲を調べているため、素早く危険を察知できるそうです。

こんな便利なシステムですが、今のところは自治体の防災担当者など、ごく一部の人しか利用できない実証実験段階とのこと。

ちなみに、この次世代ドップラーレーダーは大阪の吹田と未来ICT研究所にあって、それぞれが半径60kmの範囲を受け持つことで京阪神地域をカバーしているそうです。

今度は第2研究棟3階へ。

道に迷うかなと思っていましたが、案内表示が適切なので何の苦も無く複数の建物間の移動ができました。

例えば、第2研究棟は順路でいえば第4研究棟の次に見る場所なのですが、その第2研究棟への案内表示は、第4研究棟に入るときには目に入らず、出るときに目に入る位置に置かれていたりするのです。
頭の良い人たちが準備をされたということがよく分かります。

あちこちのイベントに行っていますが、案内が分かりづらいことはよくありますからね。
例えば「この看板は誰に見て欲しいんだ?」と思うような置き方をされた看板や、会場で配られているパンフレットと異なる文言で説明が書かれた看板があって、「パンフレットに書かれているこのイベントはどこでやっているんだろう?」と悩むこともしばしば。

さて、第2研究棟の3階は生物関連の展示で私はあまり興味がなかったのですが(じゃあ何のために来た?と思われそうですが、理由は後述)、DNAの展示コーナーでは思わず担当者の方の説明に聞き入ってしまいました。

色々と面白い質問をしてくれる方が隣にいたので、その人の質問を聞く度に「それそれ、私も疑問に思ってた」と心の中で叫んでました。

普段は疑問に思っていることでも、こういう状況になるとなかなか思いつかないものです。

13:50
14時に始まると受付でもらったビラに書かれていた研究講演会の会場(第2研究棟3階テレビ会議室)に入りました。

実は、この講演会に興味があったので、それを目当てに講演会場のある第2研究棟の3階に来て、始まるまでボーッと待っているのももったいないため展示を眺めていたら、面白いおじさんがいて時間を忘れてDNAの説明に聞き入っていたというわけです。

良い席を確保しようと思い、DNAについてもっと色々と聞きたかったのですが、切り上げて会場に入りました。

14:00
研究講演会が始まりました。

講演者は3名で、それぞれ「光通信とテラヘルツ技術の新展開」「新世代の高分解能顕微鏡」「載せるだけ!電力と通信ができるシート」という内容です(一人20分)。

「載せるだけ!電力と通信ができるシート」は私にとって特に興味深く、ワイヤレス給電とワイヤレス通信(100Mbps程度)の技術として標準化に近づいている技術とのことでした。

ワイヤレス通信用の似たような製品は既に市販されていますが、給電まで出来て、なおかつ人体に無害で安全というのが画期的。

受電用の装置が接続された機器のみが給電を受けられるようになっていて、そのシートに金属製の製品を載せたり、水をこぼしたりしても何も起こらないのです。

15:00
時間通りに講演会が終了。

無線関連の場所で行われていたクイズとは別に、会場全体が対象となっていたクイズラリー(スタンプラリー)の景品として粗品を受け取り、帰路に就きました。

帰路は来たときの道順を全く逆にたどるだけ。
陽差しが暑いというより痛い!

15:15
上新地バス停に到着。

15:19
ほぼ定刻に12系統のバスが上新地バス停に到着。これに乗って大久保駅へ戻りました。

15:36
加古川行の快速電車で大久保駅を出発。

15:50
加古川駅に到着。
反対側のホームで姫路行の新快速電車を待ちます。

15:52
新快速電車が加古川駅を出発。

16:02
姫路駅に到着。