播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。原則として更新は週に1回です。広告は表示しません!

兵庫県姫路市の南山(166.4m)

暑がりの私にとっては山へ行くのがつらい気温になっていますが、今日は雲が多くて比較的涼しそうだったので、サイクリングがてら近場の低山を歩いてきました。
 
行き先に選んだのは、毎朝通勤時に新快速電車の窓から見ている御着(ごちゃく)の南山。
車窓からは、山の東側にある鉄塔だらけの尾根と、その巡視路と思われる道が見えるので気になっていたのです。
 
雨が降ることは天気予報で分かっていましたから、本日は山の上でのランチタイムは無し。
さっさと下山し、雨が降る前に帰宅するのが目標です。
 
 
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「姫路南部」

御着は小寺氏の居城があった場所で、大河ドラマ「軍師官兵衛」で有名になりました。
 
南山にはいくつかの呼び名があるようですが、山頂一帯が御着南山公園と名付けられているため、この記事では「南山」の表記を使用します。
 
なお、尾根上の展望広場の看板では「火山」の表記が採用されていて、次のように書かれています。

火山(ひのやま)
 神楽山・桶山・南山ともいう。標高166.8メートル。山名の由来は宝暦12年(1762)の『播磨鑑』には神功皇后が麻生山で天神地祇を祭った際、この山に神火をかかげたことから「火山」また「神楽山」と名付けられたという伝説を載せる。頂上尾根部には牛岩と呼ばれる岩があり、この山より牛堂山国分寺に黒牛が現れたという伝説も載せ、国分寺の山号の由来を伝える。火山と麻生山は国分寺の境内だったという。
 また火山の名称から天智3年(664)以後設置され、律令(軍防令)にも規定される「烽(ほう)」の置かれた山という説もある。
 天正7年(1579)に羽柴秀吉はこの山に布陣して西北にある御着城(城主は小寺政職)を攻めたが一旦敗北し、南東の引入谷(現的形町大鳥)に退いた後、総攻撃をかけて落城させたという。
 平成15年2月 姫路市教育委員会
(出典:展望広場の看板)

南山周辺には車を堂々と置ける場所がないので、自転車で出かけることにしました。
 
(注)JRひめじ別所駅から今回の登山口へ行き、下山後はJR御着駅へ行けば、公共交通機関利用でもこの山を歩くことが出来ます。
 
10:15
姫路市街の自宅を出発。
 
国道2号線を東進し、市川を渡ってすぐの一本松交差点を右折。
新幹線の高架下をくぐったらすぐ左折し、新幹線沿いに東へ進んでいきます。
 
JR在来線の線路をくぐるために国道312号線が地下へ潜っている上を通過したら、2つめの角を右折。
すると、目の前に巨大な「姫路工業団地」の看板が現れます。
 
 
▲姫路工業団地の看板
 
その看板を越えて尾根の先端に突き当たったところが、御着南山公園へ上がるための登山口。
 
10:39
尾根の先端に到着。
すぐ近くにある飲み物の自販機で喉を潤しました。
 
 
▲尾根の先端にある登山口(今回はここへ下山する)
 
ただ今回はピストンせず、毎朝列車から眺めている東側の鉄塔だらけの尾根から巡視路で登り、ここへ下山するつもりにしていたので、自転車を近くの墓地に止め、東側へ徒歩で移動しました。
 
自転車を止めた墓地は、冒頭の地図の中で「自転車」と書かれている場所。
巡視路入口(登山口)へ移動した経路は、緑色の線で表記しています。
 
地形図の国道312号線は播但連絡道路です。
姫路工業団地内を通る道の東端は、この播但道の真下で封鎖されていました。(歩行者や自転車が通れるだけのスペースはある)
 
 
▲姫路工業団地への道路は封鎖されていた(歩行者と自転車は通れる)
 
播但道沿いに南へ進むと、すぐに下の写真の場所に出会います。
ここにある未舗装の道が、巡視路入口(登山口)へ続く道路。
 
 
▲巡視路入口(登山口)へ続く未舗装道路
 
10:51
播但道の下をくぐったすぐ先に、プラスチックのバリケードが並んだ登山口がありました(地図中「登山口」)。
 
 
▲登山口
 
なんだか藪っぽいですが、意を決して突入。
 
粗大ゴミがちらほらする中を進むと、道はすぐ二股に分かれました。
方向から考えると、右が地形図の破線道のように思えたので、そちらへ進みました。
 
 
▲登山口のすぐ先にある分岐(藪っぽくて分岐に見えないかも知れませんが、右が正解)
 
藪っぽかったのは最初だけで、この分岐から間もなく道は綺麗になり、色あせた巡視路標識にも出会いました。
 
 
▲道はすぐに巡視路らしくなった
 
11:06
ステップが刻まれていたり、風化して自然に階段状になった岩を登って行くと、灰色一色の送電線鉄塔に出会いました(地図中「姫一火力線28番鉄塔」)。
 
 
▲最初に出会う送電線鉄塔(姫一火力線28番鉄塔)下の様子
 
11:07
なだらかに登って行くと、今度は紅白鉄塔に出会います。
これは姫二火力線26番鉄塔(地図中「姫二火力線26番鉄塔」)。
 
地形図で送電線が分岐している場所に立っているだけあって、見上げると複雑な形状をしています。なんだか格好いい。
 
 
▲姫二火力線26番鉄塔を見上げる
 
ここからは雑木林の中のなだらかな道、と思ったらそれはすぐに終わってプラ階段の急坂になります。
木陰の中だし天気が悪くて涼しいはずなのに汗だく。
 
▲プラ階段がある急斜面
 
11:16
急斜面が終わってなだらかになったと思ったら、紅白の鉄塔に出会いました(地図中「姫二火力線25番鉄塔」)。
展望は無いし、見上げても普通の鉄塔なので素通り。
 
11:17
道ばたにぽつんと埋まっている三等三角点標石(点名:南山)前を通過。
 
 
▲三等三角点標石(点名:南山)
 
三角点標石と次に出会う鉄塔までの間は、わずかな区間ですが展望の良い場所がありました。
 
 
▲姫路火力東線23番鉄塔手前は開けている
 
11:19
灰色の姫路火力東線23番鉄塔(地図中「姫路火力東線23番鉄塔」)を通過。
 
11:20
姫路火力東線23番鉄塔の先には、2種類の巡視路標識が立つ二股の分岐があります。
右はどこへ続いているのか分かりませんが、左側の道がよく踏まれていますし、方角的にも正しいので左へ。
 
 
▲姫路火力東線23番鉄塔先の分岐(左が正解)
 
11:21
紅白鉄塔(姫一火力線27番鉄塔)を通過(地図中「姫一火力線27番鉄塔」)。
 
11:24
また二股の分岐に出会いました。左はほぼ直進で、右はUターン気味に曲がる道です。
左に進むと南へ行ってしまうので、ここは右へ大きく曲がりました。
 
 
▲Uターン気味に曲がる分岐
 
その先にもまた二股の分岐がありますが、これはあずまやが見えている右側の道が正解。左へ進むと谷間を通って北西へ下山してしまいます。
 
11:25
雑木に囲まれたあずまやを通過(地図中「あずまや1」)。
傍に立っている案内図の色あせ具合を考えると、このあずまやもかなり古そう。しかし、かなり綺麗に維持されています。
 
 
▲展望の無いあずまや
 
このあずまやのある場所が御着南山公園の南端のようで、ここから北は急な坂道が擬木の階段になっています。
 
 
▲擬木階段
 
11:27
小さな送電線鉄塔に出会いました(地図中「姫路工業団地連絡線7番鉄塔」)。
 
JR関連かと思いましたが、貼られている注意書きのステッカーが関電のものだったので、銘板を探してみました。
道のちょうど正反対の角に銘板があり、姫路工業団地連絡線の鉄塔だと判明。
 
 
▲姫路工業団地連絡線7番鉄塔
 
擬木階段でぐんぐん下った後、なだらかに登り返します。
 
11:31
先ほどと同じタイプの小さな鉄塔(地図中「姫路工業団地連絡線8番鉄塔」)下を通過。
 
すると、鉄塔のすぐ先で踏み跡が東へ延びているのに気づきました。
踏み跡を覗くと大きな岩が(地図中「東向き展望岩」)。
 
この巨岩の上には、十字が刻まれた金属標が埋設されていました。
文字が刻印されていないため、何を表すものかは不明です。
 
 
▲上から東向きの展望を楽しめる巨岩
 
 
▲巨岩の上からの東側の展望
 
11:34
北へ進むと、わずかな距離で今度は西側に巨岩があるのに出会いました(地図中「西向き展望岩」)。
先ほどの岩もこの岩も、秀吉が陣を張っていたときは物見岩として活用されたんでしょうね。
 
ここを歩いている段階では、この記事冒頭で紹介した火山の解説文に登場する「牛岩」のことを知らなかったのですが、今思えば、これらの巨岩のどちらかが牛岩だったのかも知れません。
 
 
▲道から見た西向きの展望岩
 
西向きの展望岩で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2016年5月29日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/minamiyama20160529-1/virtualtour.html
 
11:53
パノラマ撮影と小休止で20分近くもこの岩の上で過ごしてしまいました。
縦走を再開。
 
この西向き展望岩のすぐ北には、ベンチのある広場(と思われる場所)がありますが、雑草に埋もれていました。
 
進路が西寄りになると、突然道が綺麗になり目の前に展望が広がります。
 
 
▲御着南山公園北側は好展望
 
二股の分岐に出会いましたが、左はすぐ先に見えているあずまやへの道。
右は鉄塔へ続く巡視路です。
 
まずは巡視路へ。

姫路工業団地連絡線の電線沿いに進んできたので、そこにある鉄塔の名前も分かるのですが、距離も近いしせっかくなので見に行きました。
 
11:58
そこに立っていたのは、予想通り姫路工業団地連絡線9番鉄塔(地図中「姫路工業団地連絡線9番鉄塔」)。
 
ここは、本日出会った鉄塔の中では最も展望の良い場所でした。
縦走路へ引き返し、見えていたあずまやへ向かいます。
 
12:00
あずまやに到着(地図中「あずまや2」)。
小雨がぱらついてきましたが、汗だくの私にはその雨が気持ちいい。
 
 
▲あずまやの様子
 
南側のあずまやに比べると周囲がすっきりしていますが、それでも展望がありません。
先ほどの姫路工業団地連絡線9番鉄塔下の方が気持ちいいです。
 
上の写真であずまやの向こうに立っている看板の内容が、この記事の冒頭で紹介した文章。
 
あずまやのある展望広場から北へ下る擬木階段道のすぐ上からは、多少の展望が楽しめます。
今は植物が生い茂っていますが、秀吉軍が御着城を攻めたときは植物を刈り払い、武将達はここから御着城を見下ろしていたんでしょうね。
 
展望広場で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2016年5月29日)
 

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/minamiyama20160529-2/virtualtour.html

 
なお、冒頭の地図で「あずまや2」がある平坦地を北端、西向き/東向き展望岩のあるあたりを南端とした範囲は、兵庫県立考古博物館のWebサイトにある「埋蔵文化財保護の手引き」で「桶山陣跡」と名付けられています。
 
12:13
しばらく休憩した後、下山開始。

ここから北へ下る道は、幅の広い擬木階段道です。
道が広いのは良いのですが、階段の段差が大きくて歩きづらい。
 
 
▲広い道で北へ下る
 
12:15
地形図通り、道が尾根の先で二股に分かれている場所に出ました。
自転車を止めている尾根の北端へ下りるため、ここは右へ。
 
所々にベンチやテーブルが設置された擬木階段を下ります。
平成26年に設置された新しい「御着南山公園【火山】」の案内図に出会うと、間もなく下山完了です。
 
12:22
自転車を止めた墓地に戻ってきました。
 
「ブーン」と大きなブザーのような音が辺り一面に鳴り響いていたのですが、発生源は地形図に描かれている変電所のようです。
 
墓地のすぐ横が変電所なので、様子を見に行ってみました。
 
山の中の送電線鉄塔でも時々このような音が鳴っていることがあるので、高圧電流が流れている変電所からそんな音が出ていても不思議ではなさそうです。
 
 
▲姫路工業団地連絡線の送電線がつながっている変電所
 
自転車で帰路に就きました。
 
市川を越える辺りから雨が強くなり、自宅に着く頃にはびしょ濡れ。
 
13:00
自宅に到着。