播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

山へ持って行ける椅子:Helinox Ground Chair

私の場合、山歩きの楽しみは景色を見ながらの食事。
 
しかし、岩の上に座るのは夏場は冷たくて気持ちよいのですが、冬は辛いしそもそも痛い。
砂や土の上に直接座ると、服が汚れます。
というわけで、今まではクッションを敷いてその上に座り、食事を摂っていました。
 
あるとき、山で使える快適な椅子としてHelinoxというブランドの椅子が紹介されているのをネットで見かけました。

しかし、購入しようと思っても、どの店も売り切れ。
と思っていたら、Helinox製品は今年(2015年)からモンベルが扱うようになるとのこと。
代理店が変わるため、製品の流通が止まっていたのかな。
 
モンベルで扱っていることが分かったので、早速オンラインショップで注文し、我が家の最寄りのモンベルの店頭で受け取りました。
 
 
▲グラウンドチェア(正面から見た使用時の状態。サイズ比較のため500mlのペットボトルを並べています)
 
 
▲グラウンドチェア(左前から見た使用時の状態))
 
製品名: グラウンドチェア
メーカー: Helinox(韓国)
サイズ: 520 × 440 × 500 mm(カタログ値)、300 × 110 × 110 mm(収納時のカタログ値)
カラーバリエーション: ブラックのみ(フレームは青)
重量: 615g(カタログ値)、スタッフバッグ込みだと640g(カタログ値)
座面高: 22cm
耐荷重: 120kg
定価: ¥10,000(税別)
購入先: モンベル姫路フォーラス店
 
なんだか高さが低いように見えますが、実際に座ってみるとすこぶる快適です。
 
座面はナイロン生地1枚(脇腹部分はメッシュ生地)なので放熱性が高く、風が吹けば、以前紹介した「エアクールクッション」(https://dfm92431.hatenablog.jp/entry/2015/04/05/090531)のような涼しさが味わえます。

逆に、冬場は寒く感じることになると思います。
 
こんなに大きな椅子ですが、収納状態は比較的コンパクト。
 
 
▲付属する専用スタッフサックに収納した状態(サイズ比較のため500mlのペットボトルを並べています)
 
こんなにコンパクトな状態から、どうやって上の写真のような椅子の形にするのかを紹介します。
 
スタッフサックの中身は、下の写真のような状態。
アルミ製のフレームと、座面のナイロン生地が別々になっています。
 
 
▲収納状態のグラウンドチェア(撮影のため、フレームを輪ゴムで留めてまとめています。普段は輪ゴムで留める必要はありません)
 
アルミフレームの中にはゴム紐(ショックコード)が通っていて、ある程度は自動的に形が整いますが、椅子の形へ仕上げるためには、多少の作業が必要です。
 
その作業とは、プラスチックの部品にアルミフレームを差し込むというもの。
 
 
▲アルミフレーム内のゴム紐と、椅子の形を作るためのプラスチック部品
 
ややこしそうに見えますが、それぞれのフレームが差し込める穴は決まっている(無関係な穴には差し込めない)ようになっているため、組立は簡単。
 
フレームが組み上がると、下の写真のようになります。
 
 
▲組み上がったフレーム
 
このフレームにナイロン生地の座面をかぶせれば、組立は完了。
 
ナイロン生地は四隅にポケットがあり、フレームの先端をそれらのポケットに差し込むだけで、椅子の形になります。
フレーム先端を生地のポケットに差し込む際、最初の3本は楽に入りますが、最後の1本を入れるときは、座面を引っ張りつつ、フレームを曲げる必要があります。
 
 
▲ナイロン生地の隅にあるポケット(かなり頑丈な構造)
 
 
▲ナイロン生地の隅にあるポケットにフレームを差し込んだ様子
 
このナイロン生地の裏面には、簡単な組立・分解の手順がプリントされています。
 
 
▲ナイロン生地にプリントされた組立・分解手順(英文)
 
平らな地面でこの椅子を使う場合、地面と接するのはプラスチック部品のみですが、山で使う場合などは地面に凹凸があるため、路面の状況によっては美しく塗装されたアルミのフレームも地面に接することになり、傷がついてしまいます。
 
組立や分解の時にもフレームを地面や周辺の岩、木等にぶつけることがあるので、使っているうちにどんどんフレームの表面は傷んでいきます。
 
 
▲平らな場所の場合、地面に接するのはプラスチック部品のみ
 
山道具ですから、傷や汚れがあって当たり前という心構えで使わないといけません。
アルミフレームは綺麗に塗装されているので、なかなかそう思えないかもしれませんが。
 
組立にかかる時間は、1~2分。
 
完成した椅子に座り、そばに小型の折りたたみテーブルを置けば、恐ろしいほど快適な空間の出来上がり。
背もたれの高さが適度なので、ぐでーっとふんぞり返って座ることもできます。
 
山の上で座れる場所としては、これ以上ないほどの快適さですが、欠点もあります。
それは、立ち上がりにくさ。

グラウンドチェアに座っていると、さて立ち上がろうと思ったときに、(私の場合は)地面に手をつかないと立ち上がれません。
 
足腰が弱い方や、私のように体の横幅や厚みが大きな人は、立ち上がる度に苦労することになると思います。
ただ、一度座るとしばらくはそのまま過ごすことになり、頻繁に立ち上がったり座ったりすることはないので、あまり問題にはならないでしょう。
 
周りに手助けしてくれる人がおらず、どうしても立ち上がれなければ、思い切って横方向へ倒れ込めば良いだけの話です。
 
そもそも座面が高いと、セットで使うテーブルも高さのあるものが必要になり、山歩きでは実用的ではありませんから、グラウンドチェアの高さは、山歩きで使うにはベストかも知れません。
 
もっと座面が高いチェアワンという製品もありますが、そちらは細い脚が4本あるタイプなので、接地面が「点」になり、地面の状況によっては不安定になります(高さがある分もともと不安定な上に、脚が地面にめり込むそうです)。
 
グラウンドチェアは、地面が柔らかい場合フレームが「線」として地面に当たるので、安定度はこちらの方が高いと思います(チェアワンを持っていないので、単なる推測です)。
 
緩やかな斜面で、低い方に向けてこの椅子を設置(椅子はなるべく水平になるようにする)して座ると、水平面に設置したときよりも足と座面の高低差が大きくなるため、座り心地はさらに良くなります。
 
この場合は立ち上がるのも容易ですが、ゆるやかな斜面、あるいは適度な段差があって、椅子を設置するスペースはなるべく平ら(私の場合は、さらに景色の良い場所という条件も必須)という都合の良い環境が必要です。
 
荷物の軽量化にこだわる方から見れば無用の長物ですが、私のように山の上でのんびり過ごすことにこだわる方は、是非一度現物を見て、可能であれば店頭やすでにこれを持っている方に頼んで座り心地を味わってみて下さい。
 
周囲のハイカーから「あんな椅子担いできたんか、あの人」等とひそひそ声が聞こえてくることもありますが、気にせず使いましょう。
 
おまけ
フレームの中を通っているゴム紐(ショックコード)がへたったり切れたりしたらどうしようかと思っていましたが、以下のブログで詳細な修理手順が紹介されていました。
 
グラウンドチェアではなく、チェアワンの修理ですが、基本的に同じ要領で対応出来そうです。
 
何がなんでもキャンプだし
「ヘリノックスチェア:コード交換の難易度は高いかというと…」