播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

兵庫県姫路市の鶏足寺跡ととんがり山

新しくおもちゃ(山道具)を手に入れたので、それを使いたくて山へ出かけることにしました。
 
どこの山へ出かけようかな、と今朝いろいろなWebサイトを見ていたら、峯相(みねあい)の里のサイトに、3月7日に登山道の整備があると書かれていました。
 
峯相の里からは、峰相山やその南側斜面の鶏足寺(けいそくじ)跡、さらに尾根をたどって南へ進めば、国道29号線からよく見える「とんがり山」へ行くことが出来ます。

何年も前ですが、一度鶏足寺跡へ行ったときは藪で何も分かりませんでした。
今は鶏足寺跡地も綺麗に整備されているようです。

というわけで、綺麗になった登山道で鶏足寺跡地を見物し、とんがり山へ。
そして、その南にある展望の良い亀岩で、新しく買ったおもちゃを使って昼食を楽しむことにしました。
 
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「龍野」

10:05
姫路市街の自宅を車で出発。

県道5号線で長池へ向かい、長池交差点を直進して県道724号線へ入ります。
山陽自動車道の高架をくぐったすぐ先の「山陽姫路西IC東」交差点を直進すると、そこからは国道29号線。

なだらかな下り坂を下りきったところにある「石倉」交差点を右折したら、神社のある尾根の先端をかすめて集落の中を東へ進みます。
 
すると、峯相の里を示す公設の道路標識があるので、それに従って左折。
ため池の北西角の三差路を右折し、最初の曲がり角を左折。
そのまま北へまっすぐ走ると、峯相の里の駐車場に着きます(地図中「P」)。
 
ため池の横をまっすぐ北上しても、最終的に駐車場が右下に見える場所(峯相上池堰堤西端)で右折すれば、駐車場にたどり着けます。
 
姫路市街から駐車場までのルートを「ルートラボ」で作成しましたので、興味のある方はご覧下さい。
 
10:35
駐車場に到着。
 
▲峯相の里の駐車場

私の車が止まっている後ろに見えている切岸は、堰堤です。この上は、峯相上池と呼ばれるため池(地図中「峯相上池」)。

10:42
準備が整ったので、出発。
 
駐車場の北東隅には東遊歩道の入口がありますが、そちらへ行くと遠回り。
堰堤の西端から北上するのが正解です。
 
10:49
管理研修棟に到着(地図中「管理研修棟」)。
ここで「石倉峯相の里 詳細図」という地図がもらえます(受付前のラックに入っている)。
 
▲管理研修棟

管理研修棟におられた女性スタッフに見送っていただき、出発。
 
左側に倉庫、右側には茅葺きの建物(いろり庵)を見ながら、簡易舗装された1車線幅の車道を上ります。
 
▲管理研修棟から開山堂までの道の様子

10:55
開山堂に到着(地図中「開山堂」)。
 
▲開山堂
 
開山堂の前は転回場になっていて少し広いため、ここまで車で来ようと思えば来れそうですが、そうするとまたここへ下山する必要があるので不便。
そもそも、一般車両がここまで車で入ることが許可されているのかどうかも不明です。

開山堂から先は、行場や五大力明王、千僧塚を見ながら進むことになります。
五大力明王の先にある石段を登り切ると、そこにあるのは観音堂。
 
▲観音堂へ続く石段(途中の左側に千僧塚がある)
 
11:01
観音堂に向かって右上に防獣ゲートがあります(地図中「防獣ゲート」)。
掛けがねを外してゲートを開くと、そこから先は幅が広い急な上り坂。
 
▲観音堂近くの防獣ゲート
 
5分ほど登ると、植林の中に何段かの削平地が見えてきました。
山城跡とは異なり、削平地は整然と並んでいて、段差も小さく、棚田のような印象です。
 
さらに登ると、植物が完全に刈り払われた削平地群が姿を現しました。
 
峯相山鶏足寺
 
 鶏足寺は、峰相山(標高239.7m)の南腹に位置する山岳寺院跡で、峯相記に新羅の王子の創建と記載がある。峯相記は、同書の著者が貞和4年(1348)に当寺へ参詣し、老僧から聞いた話をまとめたという形式がとられている。峯相記には、金堂・講堂・法華堂・常行堂・五大尊堂・鐘楼・一切経蔵・勧請神(九所の社壇)・五重塔・三重塔・宝蔵・僧房が300余などの建物が往時にはあったと記されているが、天正6年(1578)に黒田勘兵衛に攻められ焼失し、現在は多数の削平地と石垣・石段・井戸跡・五輪塔・経塚などが残るのみである。本格的な発掘調査は行われていないが、8世紀第1四半期~16世紀前半の遺物(須恵器・土師器・灯明皿・瓦・備前焼・白磁・製塩土器・瓦質火鉢・砥石・茶臼・土器・瓦・経筒など)が採取されている。
 
(出典:たつの市立埋蔵文化財センター図録9 特別展「峯相記の考古学~西播磨の中世をさぐる~」平成24年10月20日 たつの市立埋蔵文化財センター)
 
▲鶏足寺跡の削平地群
 
こんな場所に建ち並んだ伽藍を麓や周辺の山から眺めたら、さぞかし荘厳で神秘的な光景になったでしょうね。
 
削平地の中には、石積みのようなものや、井戸跡と思われる丸いくぼみがいくつか見られました。
 
削平地群は、峰相山の南西にある南向きのなだらかな斜面に造られています(地図中「鶏足寺跡」)。
 
地形図で破線道の三差路がある地点には、小さな五輪塔と石を積み上げた塚がありました。
 
▲鶏足寺の五輪塔
 
11:27
削平地群をうろうろし、石積みや土塁、井戸跡、五輪塔などを見物し終えたので、とんがり山へ向かうことにします。
 
削平地群の中にいると、道がどこにあるのか分からなくなってしまいますが、稜線を目指して西へ進めば道に出会いますし、破線道の三差路の付近には道標もあります。
 
削平地群から西へ登って出会う道には、蛍光色のマーキングがありました。
 
▲鶏足寺跡近くの道の様子

とんがり山方面へ向けて稜線を歩くと、道の両側に岩がゴロゴロしているのですが、寺跡から離れると急に岩がなくなります。
 
▲鶏足寺跡を離れた後の道の様子
 
11:36
尾根が北へ飛び出している250+mの小ピークに到着。

ここは三差路になっていますが、道標には直進方向を指して「大黒岩」、私が歩いてきた方向を指して「峯相山」としか書かれていません。
南のとんがり山方面から歩いてきた人向けの案内のようです。
 
道標に何も記されていない南西方向へ進めばとんがり山ですが、国道29号線で山崎方面から姫路へ戻ってくる際、稜線上で目立っている「大黒岩」を見に行くことにします(地図中「大黒岩」)。
 
▲大黒岩
  
▲大黒岩から国道29号線を見る
 
大黒岩には左側を巻くように道が付けられており、大黒岩の先から国道29号線を見下ろすことができます。
 
しばらく景色を楽しんでから道標のある場所へ引き返し、トラロープが両側に張られた南西へ延びる道へ入りました。
 
ここからは、緩やかなアップダウンがある自然林の中の道が続きます。
そして、先ほどの分岐ととんがり山の間の区間の中程から、登山道の両側にシダが目立ってきます。
 
とんがり山の北にある小ピークから見ると、とんがり山が双耳峰であることがよく分かりました。
 
▲北からとんがり山を見る(木が邪魔ですが、ピークの中央がくぼんでいるのが分かります)
 
11:59
とんがり山の北峰に到着。ここには四等三角点標石(点名:下伊勢)があります。
 
▲とんがり山(北峰)の様子
 
少しだけ休憩してから、南峰へ。
 
12:03
とんがり山の南峰に到着。
 
ここには一見すると三角点に見える標石がありますが、これは公共測量用の図根点標石です。基本測量に使う三角点ではありません。
▲図根点(「図根」と「公共」の文字が読める)
 
北峰に比べるとずっと好展望です。
 
▲とんがり山(南峰)の様子
 
とんがり山(南峰)で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2015年3月8日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/tongariyama20150308/virtualtour.html
 
12:20
とんがり山の南峰で昼食を食べても良かったのですが、もっと開放感のある亀岩の上で食事を楽しみたかったので、亀岩へ向けて下山開始。

とんがり山から南への下り斜面は、それはそれは急な斜面です。
張られているトラロープに頼りながら、時間をかけて慎重に下りました。
 
▲下ってきた急斜面を見上げる

12:29
亀岩に到着(地図中「亀岩」)。
 
亀岩の伝説
 
 この先にある亀岩のくぼみには、年中枯れることなく小水がたまっています。崇神天皇の時代(前84年)にその亀岩に香稲(かしね)が4本生え、その稲の穂を天皇の命により諸国に耕作しました。以後、諸国に流布した香稲はこの岩に生えていた4本の香稲の種子であったといわれております。
平成20年7月 社団法人姫路青年会議所
 
(出典:亀岩の南にある看板 原文まま)

▲亀岩の上から南を見る
 
▲亀岩からとんがり山を振り返る
 
亀岩で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2015年3月8日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/kameiwa20150308/virtualtour.html

ちょうど良い具合にお腹が減っていたので、美味しく昼食を頂けました。
本日のメニューは、アルファ米のちらし寿司とインスタントのみそ汁。
 
冒頭に書いた山で使いたかった「おもちゃ」は、下の写真に写っている椅子(モンベルが販売)です。
とんがり山を背にして椅子に座り、横に置いたテーブルの上に食料を載せて、のんびり楽しみました。
▲本日の昼食環境
 
この椅子は本当に素晴らしい。
軽くてコンパクトなのに、座り心地は抜群。

いずれ山道具の記事で紹介します。

13:40
椅子に座って景色を眺めているのがあまりにも快適で、もっとボーッとしていたかったのですが、きりがないので下山開始。

亀岩への上り下りは、亀岩の北側が簡単です。
南側からでも上り下りは出来そうですが、安全のためにも北側へ戻り、亀岩の西側にある巻き道を通ることをお勧めします。
▲亀岩を南側から見上げる
 
亀岩から南へ下り、鞍部からわずかに登ったところに境界標石がありますが、そのすぐ先で道は左へ折れ曲がっていました。
 
直進する踏み跡もありますが、ほとんど歩かれていない様子。

張られているトラロープに従って左へ曲がると、やや急な斜面に付けられた、細かくつづら折れになった道になります。
 
▲東へ下る道の様子
 
14:04
林道へ下りてきました。
林道と登山道の間には小さな用水路があるのですが、コンクリートの板が橋の代わりに架かっています。
 
▲ここへ下りてきた
 
林道を東へ進むと、すぐに車道に出ました。
 
▲左の未舗装林道から出てきた(駐車場へは右の道を進む)

この車道を北上し、峯相上池手前で右へ曲がれば、駐車場です。
 
14:14
駐車場に到着。
 
本日のルートの高低差等は、以下のグラフをご覧下さい。(マウスポインタを合わせたとき右下に表示される虫眼鏡のアイコンをクリックすると拡大表示されます)
 
▲本日のルートの断面図(カシミール3Dで作成)