播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

兵庫県揖保郡太子町の檀特山(檀特山:165.1m)

ここ何日かは風邪気味で体調が優れず、外を見ても空気がかすんでいて山へ行く気になりませんでした。
 
ところが、今日は典型的な冬型の気圧配置で気温が低く、風も強く、空気が綺麗になる条件が揃っていますし、雨雲レーダーを見ても雨や雪を降らせる雲は近くにありません。
実際ベランダから外を見ても、姫路の平野部に島のように点在する山々がすごく近くに見えました。
 
ということで山歩きに出かけようと思い立ちましたが、体調が万全ではないですし、北の方は荒れています。
姫路市南部の暖かい低山で景色を楽しみながら昼食を食べようと考え、久しぶりに網干の檀特山(だんとくさん)に行くことにしました。
 
檀特山の近くには、檀特山にまつわる伝説の登場人物、徳道上人の生誕地があると紹介されているサイトがあったことを思い出し、出発前に検索してイラストマップをダウンロード。
 
参考にしたのは、以下のサイトです。
「古の伝説が息づく檀特山トレッキングコース」
http://www.hyogo-tourism.jp/harima-fudoki/maps/taishi/
 
このイラストマップのルートでは、JR網干駅から歩き始めてまたJR網干駅へ戻るというルート設定になっています。
 
駅と登山口・下山口の間の往復だけで4~5kmもあるので、ちょっと歩く距離を節約しようと考え、檀特山の北を走る国道179号線の「東南口」バス停まで神姫バスで移動し、檀特山に登った後はイラストマップに紹介されている2つのポイントを経由してJR網干駅へ行くことにしました。
 
▲対応する地図は、国土地理院発行の2万5千分の1地形図「網干」
 
バスの本数は極端に少なく(そのため、帰りにバスを使うルートはお勧めできません)、お昼ご飯を檀特山の山頂で食べるのに適した時間の便は、12:05姫路駅発の39系統 龍野行のバスです。
 
12:05
定刻に姫路駅北の5番乗り場を39系統のバスが出発。(2015年1月7日以降は、バスの乗り場が変更されます。)
 
12:37
定刻より3分遅れで「東南口」バス停に到着(地図中「東南口バス停」)。
運賃は大人ひとり¥510ですが、私は神姫バスの通勤定期を持っているので、「環境(エコ)定期券制度」(※)を利用して¥100だけ支払い、下車しました。
※休日(土日祝祭日・お盆・年末年始)は1回の乗降が¥100になる制度。通勤定期でしか使えません。通学定期では不可。また、神姫バス株式会社の路線バスのみが対象で、神姫バスのグループ会社のバス路線では使えません。
 
 
▲東南口バス停(東から撮影)
 
前述のサイトにあるイラストマップでは、時計回りに檀特山を歩くことになっていましたが、播州野歩記さんのサイトによると、新幹線の高架南にある矢田部登山口には檀特山にまつわる伝説が書かれた看板があるとのことだったので、それを見てから登ることにしました。
 
つまり、イラストマップとは逆に反時計回りに歩くことになります(地図の矢印参照)。
 
東南口バス停からはバス道を東へ進み、最初の信号を右に曲がります。
新幹線の高架をくぐってまもなく、パチンコターザンというお店が左に現れますが、その建物を通り過ぎた所にある標識に、登山口(檀特山ふるさとの森)への道標がありました。
 
 
▲パチンコターザン前の道標
 
この道標に従って、駐車場の間を東へ延びる道へ入ります。
 
 
▲駐車場の間を通る道へ入る
 
駐車場の先で道は未舗装になります。
 
12:54
左手側に墓地や神社を見ながら未舗装道路を進んでいくと、矢田部登山口に到着(地図中「矢田部登山口」)。
 
 
▲矢田部登山口
 
お腹が空いていたのでここで行動食を食べ、バックパックから飲み物を出して腰に下げて、山歩きの準備を整えてから出発。
 
ここには3つの方向を指し示す道標がありました。
・東を指して「山頂 0.5km」
・北を指して「東南入口」
・南を指して「トロッコ道」
 
登山口には「檀特山の名跡と伝説」と書かれた看板があり、言い伝えの他に簡単な地図も描かれていました。
やはり、山に登る前にこういった情報を得ておく方が山歩きを楽しめます。
 
 
▲檀特山の名跡と伝説
 
この地図に書かれている名跡の内「鴻之巣」と「籠り塚」以外は、本日の山歩きですべて見ることが出来ました(写真には撮っていないものもあります)。
 
ちなみに、この地図に載っている名跡は、以下の通りです。
(説明文の方には、他にも書かれています)
・感動岩
・狐塚
・鴻之巣
・籠り塚
・六地蔵
・天神さん
・荒神さん
・トロッコ道
 
六地蔵と天神さんは、パチンコターザンの駐車場を通り抜けて登山口にたどり着くまでに見ています。
 
感動岩は、この看板のすぐ脇にありました。
特に表示はありませんが、たぶんこれでしょう。
 
 
▲感動岩(?)
 
 
▲登山道の様子
 
13:06
横に通り道が出来てしまった丸太階段道を上っていると、また3方向を指す道標に出会いました。
 
山頂方面は「ゆったりコース」と「健脚コース」の2つに道が分かれていて、もう一つの方向板は「狐塚 0.2km」となっていました。
 
お腹が空いているので、最短距離で山頂に立てそうな「健脚コース」へ進むことにします。
 
13:11
丁字路に突き当たりました。
 
ここにも道標があり、来た方向を指して「矢田部入口(健脚コース)」、突き当たりに向かって左が「矢田部入口(ゆったりコース)」、右が「山頂 0.3km」となっています。
 
当然ですが、この突き当たりは右へ。
 
13:12
またまた丁字路に突き当たりました。
 
ここにも道標があり、来た方向は「矢田部入口」、左は「山頂 0.2km」右は「狐塚 0.2km」です。
 
登山口の「檀特山の名跡と伝説」で狐塚が気になっていましたが、お腹が空いていたので山頂を一直線に目指していました。
しかし、ここから0.2kmなら見に行っても良いかなと考えを改め、道標に従って右へ進んでみました。
 
 
▲狐塚へ下る道の様子
 
13:15
狐塚に到着(地図中「狐塚」)。
 
狐塚
千年坊という古狐が、村人に害を加えていた。徳道上人の徳力で感動岩の下敷きとなり死んでいたのを村人が哀れみ葬った。
(出典:矢田部登山口の「檀特山の名跡と伝説」看板 矢田部自治会)
 
 
▲狐塚(高さ2mほどの巨岩)
 
先ほどの丁字路に戻り、山頂を目指します。

山頂までは、延々と続く丸太階段道です。
 
13:23
檀特山の山頂に到着。
 
 
▲檀特山山頂(展望台とベンチ等)
 
 
▲檀特山山頂(巨岩とベンチ等)
 
展望台と巨岩、テーブル、ベンチ、四等三角点(点名:檀特山)がある山頂で、周囲はほぼ360度の大展望です。
期待通りに空気は澄み渡り、小豆島や明石海峡大橋も肉眼で問題なく見えました。(小豆島は、パノラマ写真でもかろうじて輪郭が分かりますが、明石海峡大橋はパノラマでは見えません。)
 
どれほど展望が良いかは、下のパノラマで是非ご覧下さい。
檀特山山頂の岩の上で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2015年1月1日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/dantokusan20150101/virtualtour.html
展望台がありますが、すぐ脇に木が立っているため、展望台よりも岩の上の方が展望を楽しめます。
 
展望より何より、まずはお昼ご飯です。
今日の昼食は、コンビニおにぎり×2個。
 
この寒さで冷え切ったおにぎりですが、大展望というおかずがあるので美味しく食べられました。
 
その後はパノラマを撮影したり、双眼鏡で景色を楽しんだりして、1時間近くくつろぎました。
 
ただ、気温が低い上に風が強いため体感温度は氷点下。
ニット帽をかぶり、マスクをして手袋をはめていないと耐えられません。
 
14:15
昼食休憩を終えて下山開始。
 
東南(山の東南ではなく、檀特山の北西にある「東南」という地区)へ降りるため、「古の伝説が息づく檀特山トレッキングコース」のイラストマップを頼りに北東へ下ります。
 
 
▲北東へ延びる道は驚くほどきれい
 
14:17
よく踏み固められた平坦な道を進んでいると、丁字路に突き当たりました。
 
道標は、突き当たりの右方向を指して「川島入口」と書いてあるだけで、山頂方面と左側の道の行き先は書かれていません。
 
「東南」地区へ降りるには、この丁字路を左へ進みます。
 
丁字路の先で道は下り坂になりますが、急な斜面には送電線巡視路名物「プラ階段」が設置されています。
地形図を見ても送電線は書かれていませんが、何故ここにプラ階段があるのでしょう。
 
疑問はすぐに解決しました。
 
14:19
送電線鉄塔のコンクリート基礎だけが登山道脇にありました。
過去にはこの山に送電線が通っていて、その巡視のためにプラ階段が設置されていたのでした。
 
 
▲送電線鉄塔跡
 
登山道は、等高線間隔の広い北向きの尾根上でUターンしますが、Uターンの直前には「檀特山登山口」と刻まれた立派な標柱が立っていました(地図中「登山口標柱」)。
 
 
▲道がUターンする付近にある標柱
 
 この標柱付近から先は道幅が広くなっていたので、かつてはこのなだらかな尾根(今は藪ですが)の上に駐車場があり、そこへ車を置いた人向けの登山口標柱だったのかも知れません。
 
 
▲登山口が見えてきた
 
14:30
東南地区の登山口へ降りてきました(地図中「東南登山口」)。
 
 
▲東南入口(左から下ってきた)
 
ここには登山者用の駐車場がありました。
 
交通法規やマナーを無視した方法(違法駐車や大型店舗の駐車場に車を置く)をとらないと車を置けない山だと思っていましたが、こんなところに登山者用の駐車場があったとは。
 
実は、矢田部の登山口がある未舗装道路上にも、車が止まっていました。
あそこも登山者用の駐車場代わりになると言えばなりそうですが、この東南の登山口のように駐車場と明記されているわけでは無いので、本来は止めるべきではないでしょう。
 
 
▲東南入口の登山者向け駐車場(左側のみ。右は月極駐車場)
 
これで檀特山の山歩きは終了です。
引き続き、徳道上人の誕生地と、糸井という地名の由来であろう「糸の井」を見に行きましょう。
 
駐車場から北へ出たらすぐ左に曲がり、新幹線沿いに西へ向かいます。
 
 
▲新幹線沿いに西進する
 
墓地や檀特山ゴルフセンター、荒神さんの前を通り過ぎ、パチンコターザンのある通りに戻ってきました。
 
この通りを北へ進み、すぐ左へ折れて西へ向かいます。
そして、最初の交差点(信号はない)で左へ折れ、新幹線の高架をくぐったらすぐに右折。
 
しばらく西へ進むと、「徳道上人堂」と書かれたひまわり(?)の標識があるので、それに従って左折。
 
 
▲新幹線の高架下にあるこの標識が目印
 
14:52
すると、すぐ目の前に徳道上人堂の屋根が見えました(地図中「徳道上人誕生地」)。
 
このお堂の右側へ行き、用水路を小さな橋で渡ると、「古の伝説が息づく檀特山トレッキングコース」で紹介されている「清光寺 産湯の井戸」があります。
 
 
▲清光寺 産湯の井戸(?)
 
徳道上人出生の地
上人は斉明天皇656年この地(矢田部)に出生。父は辛矢田部の造、蘇我の諸人である。幼名武若丸、年若くして父母にわかれ、出家入道して徳道上人となる。
各地を巡錫して多くの寺院を建立されたが、中でも大和国長谷寺は有名である。又上人は揖保川の堰を作って水利をよくし、農業をすゝめ、畦焼をはじめて虫害を少なくする等、その功績はまことに大きい。後神亀年中(724~728)この地に住む。
今に、このところを徳道屋敷という。
徳道上人堂保存会
(出典:現地の看板)
 
徳道上人堂から西へ進み、県道27号線に出たら、これをひたすら南下します。
そして、「糸井」交差点を左折して住宅街に入ると、正面に「糸の井」と書かれたひまわりの標識があります。
 
 
▲糸の井を示す標識
 
15:14
この標識の数メートル先にそれはありました(地図中「糸の井」)。
 
 
▲糸の井
 
糸の井
糸の井は、太子町糸井にあり、鎌倉時代中頃にこのあたりに浄土宗をひろめた、朝日山の顕実上人の硯水と伝えられている。
いろいろの木の葉流るる糸の井は
ゆききの人のしるしとぞきく
顕実上人
(出典:現地の看板)
 
ここから南へ進み、JR網干駅には15:20頃に到着。
15:28発の姫路行の電車で帰りました。