播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

イスにもなるキャリーバッグ:ZUCAプロ・トラベル

数日間の出張に行く機会があるのですが、その際、仕事用の機材を持ち運ぶ必要があります。
 
その機材を入れる容器が人間工学を無視した形状で、角張っていて固くて重く、しかも取っ手が貧相な上に、手に持つ以外の運搬方法が全く考慮されていません。
 
あるとき雑誌の広告で、この不便な箱を楽に持ち運べそうな商品をたまたま見つけました。

調べてみると、現物が大阪のヨドバシカメラにあるとのこと。
早速梅田に出かけて現物を確認。
 
カタログに書かれていた4.2kgの重量が心配でしたが、実物を持ってみると、さほど重さは感じませんでした。サイズも思っていたより小さく、これなら楽に電車に積めそうという印象。
 
その場で買おうと思いましたが、欲しい色の製品が無かったため、その製品を作っているメーカーの日本代理店が運営するオンラインストアから、後日購入しました。
 
 
▲写真1:ZUCA プロ・トラベル ブラック(ハンドルを縮めた状態)
 
 
▲写真2:ZUCA プロ・トラベル ブラック(ハンドルを伸ばした状態)
 
製品名: ZUCA(ズーカ)プロ・トラベル ブラック
メーカー: ZUCA, Inc.(アメリカ)
材質: バッグ本体はバリスティックナイロン、フレームはアルミ、ホイールは直径100mmポリウレタン製
サイズ: 幅 250 mm × 奥行 360 mm × 高さ 510 mm(カタログ値)
容量: 約30リットル
重量: 4,200g(カタログ値)
製造: 中国
定価: ¥36,720(税込み)
購入価格: ¥36,720(税込み)
購入先: ズーカ プロ ショップ トウキョウ(オンラインストア)(東京都)
 
 
▲ZUCA プロ・トラベル ブラックの360度ビュー。左右にドラッグしてみてください。
 
ZUCAの表記は、正しくはUにウムラウトが付加されたものですが、正しく表示されない可能性(文字化けの可能性)があるので、この記事ではウムラウト無しで表記します。
 
人によって受ける印象は様々だと思いますが、私にとっては「格好いい」の一言。
 
冒頭に書いた、運びづらい荷物の運搬ができると感じたのは、頑丈なアルミフレームを装備していて、しかもその天板が真っ平らだからです。
 
 
▲写真3:ZUCA プロ・トラベル ブラックの天面
 
ここにやっかいな箱を置けば楽に運べるだろう、と考えて実際に出張で使ってみましたが、目論見通り機能してくれました。
 
ただ、アルミの天板に直接荷物を載せると塗装がはげたり荷物が滑ったりしそうだったので、オプションの「ZUCA シートクッション(リバーシブル)ブラック×レッド(税込み¥2,160)」を使いました。
 
 
▲写真4:別売のシートクッションを、黒い面を外にして取り付けた様子
 
 
▲写真5:別売のシートクッションを、赤い面を外にして取り付けた様子
 
私の出張用鞄の決定版になってくれたZUCA プロ・トラベルですが、天面は荷物を載せるというよりも、イスとして使えるように設計されたものです。

そのため、出張の移動時、駅などでの待ち時間にベンチが空いていなくても、座って待てます。
 
夏場はアルミの天板むき出しで座れば良いですが、冬場は天板が冷たいので、上で紹介したオプションのカバーが必須です(写真4、5)。
 
座れるという点以外にも、この鞄には魅力が2つあります。
 
一つは、荷物の収納方法。
 
通常、大きな旅行鞄は中身を取り出す際にガバっと大きく開き、中をゴソゴソいじる必要がありますが、ZUCA プロ・トラベルの場合は、まるで引き出しのように収まるポーチのおかげで、荷物の整理と出し入れが非常に楽なのです。
 
 
▲写真6:ZUCA プロ・トラベルの開口部はここ(中に収納用ポーチが積まれている。最上段は後述するトラベルカバー。)
 
写真6では、ポーチが空なのでつぶれ、上に空間が空いていますが、実際に各ポーチに荷物を入れると、上の空間は小さくなります。
 
付属するポーチは大小合わせて6個。
 
 
▲写真7:付属するポーチ一式
 
ポーチは手前端の取っ手付近に色つきのタグがあるため、ZUCA プロ・トラベル本体内に収納されている時でも色でポーチの識別ができますし、上面の半分がメッシュになっているため、少し引き出して上から見れば、中身が一目瞭然。
 
荷物を種類毎にポーチに分け、重さや利用頻度に応じてZUCA プロ・トラベル本体内に積み重ねて収納すれば、荷物を広げずに必要なものが比較的簡単に取り出せます。
 
見た目は引き出し状に見えますが、ポーチを積み重ねているだけなので、いったん引っ張り出したポーチを元の位置に戻すのはなかなか難しい。
引き出したポーチは、最上段に戻す事になると思います。
 
写真7で左手前に写っている緑色のタグが付いたポーチは、他よりも奥行きが短くなっています。
これは最下段に入れるためのポーチで、車輪のハウジングが内側に飛び出し、狭くなっているZUCA プロ・トラベル本体底部に収まるように他とサイズが異なっているのです。
 
最下段のこのポーチは、取り出すと元の位置に戻すのが大変なので、下着など外で取り出すことがないものを入れるのに使わないといけません。
 
必ずしもポーチを使う必要は無く、大きな空間にそのまま荷物を詰め込んでも使えます。
 
 
▲写真8:ポーチをすべて抜き出したところ
 
収納スペースは本体内部の主気室だけでなく、あちこちについています。
 
例えば、写真6、写真8にも写っていますが、主気室の蓋の裏側。
メッシュポケットが合計3つ(1つはジッパーで口が閉じる)と、メッシュポケットの裏側に透明な隔壁があり、その透明な部分の中もポケットになっています。
 
収納部は、側面と背面にもあります。まずは背面にあたる部分から紹介しましょう。
 
ここには、名刺がちょうど入るサイズの透明窓のポケット(カバー付き)と、その下に切符などを入れておける小さなポケットと大きめのポケットがあります。
 
 
▲写真9:ZUCA プロ・トラベル背面の透明窓(カバーで隠れている)と大小のポケット
 
側面は左右対称で、それぞれジッパーで口が閉じる小さなポケットが1つ、ジッパーで閉じる大きなポケットが1つ、口が閉じない大きなポケットが1つあります。
 
背面のポケットも切符を入れるのに便利ですが、網棚にZUCA プロ・トラベルを上げる場合など、中の切符が落ちてしまうような状況であれば、側面のジッパー付きポケットに入れておく方が安心です。
 
 
▲写真10:側面の収納スペース(左右対称)
 
側面のジッパー無しポケットですが、すぐに喉が渇く私の場合は、500mlサイズのペットボトルを入れるのに使っています。
 
ジッパー無しポケットとジッパー付ポケット(大)はほぼ同じ容量があり、タブレットが入ります。
 
ただし、ペットボトル等厚みのある物を入れた面のポケットは大きく変形するので、他の荷物は入れられなくなります(ジッパー付ポケット(小)の方は、底に近い部分以外は影響を受けません)。
 
私の場合は、片面のジッパー無しポケットにペットボトル、反対側のジッパー付ポケット(大)にタブレット(Microsoft Surfaceと専用キーボード)を入れて使っています。
 
しかし、側面のポケットは緩衝材も何もないため、精密機器を入れるのには本来は不向きです。取り扱いを慎重にする必要があるので、暇つぶし用の雑誌など、壊れる心配の無いものを入れる方が良いでしょう。
 
ペットボトルを入れると、その面のポケットは使えなくなると書きましたが、主気室内に荷物をパンパンに詰め込んだ場合も同様です。
荷物によって内側から膨らんでいるような状況では、側面のポケットは非常に使いづらくなります。
 
私の場合は、換えのスーツ一式と靴1足、換えのワイシャツと下着2日分、ネクタイ2本を入れてもまだ余裕がある状態だったので、主気室の容量は十分だと思います。
 
続いて紹介するZUCA プロ・トラベルの魅力は、走行音の静かさです。
 
ZUCA プロ・トラベルには直径100mmのポリウレタン製タイヤが2つ装備されています。
 
 
▲写真11:直径が大きくて柔らかいタイヤ
 
直径が大きいため多少の段差や凹凸は難なく乗り越えますし、素材が柔らかいため非常に静かです。
特に、駅のコンコースやホテル内等ではほとんど無音。
アスファルト路面でも極めて静か。

摩耗しても、車輪だけの販売があるので、交換可能です。
 
引き続き、ZUCA プロ・トラベルの詳細を紹介します。
 
製品には標準でトラベルカバーと呼ばれる、ZUCA プロ・トラベル全体(底部を除く)を覆えるカバーが付属しています。
 
 
▲写真12:トラベルカバーをかぶせたようす
 
 
▲写真13:トラベルカバーは本体底部にストラップとゴムバンドで固定する
 
 
▲写真14:トラベルカバーのハンドル部分(閉じた状態)
 
 
▲写真15:トラベルカバーのハンドル部分(開いた状態)
 
このトラベルカバー、私は雨天時に荷物が濡れるのを防ぐ物かと思っていましたが、防水性はありません。
 
むき出しのアルミフレームが他の荷物を傷つけたり、あるいは傷つけられたり、ナイロン生地でできた鞄本体が汚れるのを防ぎたいときに使うのでしょうか。
 
折りたたんでも結構体積があるので、よほど必要性がある場合を除き、持っていくことは無いと思います。
 
新幹線に乗るときは、ZUCA プロ・トラベルは足下に置いておけます(ただし、通路側の席であれば、奥の人が出入りする際にどけないといけないので不便)。
 
新幹線以外の列車の場合、座席間隔が狭くて足下に置けないことがあります。
そのような場合は網棚に乗せるわけですが、その際は天面の取っ手と、車輪の間にある細長い穴に手をかけてZUCA プロ・トラベルを持ち上げることになります。
 
この取っ手も穴も、周囲がプラスチックで縁取りされているので、手に食い込んで痛いということがありません。
 
さて、ZUCA プロ・トラベルは、使い勝手や機能をよく考えて作られた素晴らしい製品ですが、やはり欠点もあります。
 
一つは安定性の低さ。
 
ハンドルを伸ばしてゴロゴロと引っ張っているとき、車道と歩道の段差や工事現場の凹凸などを斜めに越えようとすると、ZUCA プロ・トラベルがバランスを崩して横へ倒れそうになります。

見ての通り横幅が狭いため、走行安定性が低いのです。
 
ZUCA プロ・トラベルを使い始めた初日は、何度も倒しそうになりました。
これをもし買われる方は、実際に使う前に練習することをお勧めします。
 
荷物を入れていなければ、倒れそうになったときの復旧は楽ですが、荷物を満載していると、手首をひねりそうになります。
 
ZUCA フライヤーであれば横幅が広いので、安定性は高いかも知れません(私は持っていないので分かりませんが)。
 
二つ目は、重量です。
 
カタログスペックでZUCA プロ・トラベルは4.2kgの重量があり、そこへ数日分の荷物を入れると、総重量はかなりのものになってしまいます。
 
アルミフレームには合計3箇所の「取っ手」が付いていますが、天板と車輪近くの取っ手を持ってZUCA プロ・トラベルを網棚へ上げようとすると、ZUCA プロ・トラベルを寝かせた状態では保持しづらいというのも、実際に使ってみて判明しました。
 
荷物が軽ければさほど気にならないと思いますが、私のように色んな物を詰め込んで重くなった状態では要注意です。
 
三つ目は、ハンドル。
 
ZUCA プロ・トラベルのハンドルは、長さの調節が出来ません。
一応、半分程度伸ばした状態でも固定できているのですが、本来は伸ばしきった状態でないと使えないことになっています。
 
人が多い状況では、ハンドルを短めにして体の近くに鞄を寄せておきたくなりますが、それが出来ないのです。
 
アメリカのメーカーなので、伸ばしきった時の長さがアメリカ人の身長に合わせてあるのか、かなり長いです(写真2参照。ZUCA プロ・トラベルを垂直に立てた時、地面からハンドル頂部まで約104cm)。
 

以前紹介したNeon Gear Trolley(https://dfm92431.hatenablog.jp/entry/2013/08/15/091312)は、キャリーバッグなのに背負える構造だったため、背負って自転車に乗るという芸当が可能でしたが、ZUCA プロ・トラベルではそれが出来ません。
 
自宅から駅まではバスやタクシーを使う必要がありますが、Neon Gear Trolleyが特別なのであって、これはZUCA プロ・トラベルの欠点にはなりません。
 
雨に弱いという欠点もありますが、こういったナイロン生地のキャリーバッグ全般に共通する問題なので、これもZUCA プロ・トラベルの欠点とは言えません。
 
欠点をいくつか上げましたが、ハンドルが長すぎる点以外は、「無理矢理挙げた」レベルで、全体的に見て非常に良く出来た製品です。
 
イスとして使うだけで無く、ベンチに座って前にZUCA プロ・トラベルを置き、机代わりに使うことも出来ますよ。
 
高かったですが、機能性の高さと見た目の良さ、何より、他に似たような鞄を持っている人がいないという点で、思い切り満足しています。