播磨の山々

兵庫県姫路市周辺の山歩きと山道具の紹介をしています。2019年5月、Yahoo!ブログから引っ越してきました。

六甲枝垂れと六甲オルゴールミュージアム

今日は平日ですが仕事は休み。
週末なら人が多い観光地でも、平日なら気楽に見物出来るだろうと期待し、六甲山へ行ってきました。
 
JRで六甲道駅まで行き、神戸市バス16系統で六甲ケーブル下バス停へ。
六甲ケーブルで山の上まで上がり、六甲山上バスで六甲枝垂れ(展望台)を見て、後はその時の気分で適当にウロウロするというおおざっぱなプランです。
 
10:27
新快速(近江塩津行)でJR姫路駅を出発。
 
11:06
JR三ノ宮駅に到着。
向かい側のホームに止まっている普通電車(長尾行)に乗り換えます。
 
11:07
普通電車が三ノ宮駅を発車。
 
11:11
JR六甲道駅に到着。
 
六甲道駅からは16系統の神戸市バスに乗りますが、バス停は駅の北側のロータリーにあります。
ロータリーの外周に沿って複数のバス停がありますが、駅を出た右前にバス停の案内図があるので、16系統の乗り場を探していけば問題ありません。
 
11:13
まさに発車しようとしている16系統のバス(六甲ケーブル下行き)に急いで乗り込むと、定刻にバスは発車しました。
 
バスはラッシュアワーのような混雑でしたが、それもそのはず。
途中に神大のキャンパスがあるため、学生がたくさん乗ってくるのです。
 
11:33
六甲ケーブル下バス停に到着。運賃は降車時に支払う方式で、大人一人¥210です。
 
 
 
▲六甲ケーブル下駅
 
 
▲六甲ケーブル下駅内部の様子
 
六甲ケーブルの往復切符を買おうと思いましたが、窓口の上にある看板を見ていると、「表六甲周遊乗車券」なるものが書かれており、それによると六甲ケーブル往復1回分の運賃と六甲山上バス乗り放題料金が込みになって大人一人¥1,350。
 
あらかじめ六甲ケーブルの運賃と山上バスの乗り放題チケットの料金は調べていました。
通常なら六甲ケーブルの往復運賃は大人一人¥1,000。
六甲山上バス1DAYチケットは大人一人¥450。
 
しかし、その時は「表六甲周遊乗車券」の存在に気づきませんでした。
これはお得ということで周遊乗車券を購入。
 
11:40
六甲ケーブルが定刻に発車。
 
下側の車両(展望車)に乗ったのですが、窓がないので走行音がそのまま耳に入ってきますし、レールのつなぎ目を通るときの音と振動が大きく、乗り物に乗っているという感覚が強くてなかなか楽しい。
 
 
▲六甲ケーブル展望車車内の様子
 
11:51
六甲ケーブル山上駅に到着。
 
山上駅はレトロな雰囲気が残る駅舎で、ツバメの巣からの落下物対策に傘がぶら下げられたりしているのを気にしなければ、なかなか良い雰囲気。
 
 
▲六甲ケーブル山上駅内部の様子
 
山上のレトロモダン 六甲ケーブル六甲山上駅
竣工:昭和7年(1932年)
構造:3階建地下2階鉄筋コンクリート造。
六甲ケーブル開通と同時に竣工した。同時期に完成した阪神三ノ宮駅コンコースと共通した構成主義の影響を受けたコンコースのインテリアや乗客出入り口の巨大な扇型のポーティコ、軒周りや壁面に取り付くアールデコ風デザインのテラコッタ(陶製装飾)がレトロ・モダンな雰囲気を醸し出している。
(出典:現地の「六甲山上近代化遺産」の看板)
 
さて、この六甲ケーブル山上駅の上には、昭和天皇がポートピア博覧会の時に景色をご覧になったという天覧台があります。
 
山の上からの景色は大好物なので、山上駅を出て右側の階段を上がって天覧台へ向かいました。
 
 
▲天覧台の様子
 
六甲山 天覧台
History
この展望台は、昭和天皇が1981年5月25日にポートピア博覧会の視察とともにお立ち寄りになられたため、「天覧台」と名付けられました。
天覧台からは、東に大阪市街から大阪平野が広く臨め、正面には阪神間の街並みと六甲アイランド、その向こうには関西国際空港や和歌山方面、空気のきれいな日には紀淡海峡や友ヶ島まではっきりと見ることができます。
また、西には神戸市街地やポートアイランドとその沖の神戸空港、さらに淡路島や明石海峡も見渡せます。
天覧台は、六甲ガーデンテラスや掬星台と並んで、六甲山上の3大夜景スポットとしても知られています。
(出典:現地の看板)
 
が、モヤで展望はほぼ皆無。
ポートアイランドどころか、眼下の市街地もろくに見えません。
 
 
▲天覧台からポートアイランド方面を見る(モヤでほとんど見えなかった)
 
12:00
ガッカリしていると、下からバスが走り去る音が聞こえました。
六甲枝垂れのある六甲ガーデンテラス方面への六甲山上バスが出発したようです。
 
次のバスに乗ろうと時刻表を見ると、発車時刻は毎時00分、20分、40分とのこと。
暑いし、暇だし、どうしようかと思っていると、別の六甲山上バスがバス停に来ました。

20分発のバスですが、もう乗れるようです。ありがたい。
 
 
▲六甲ケーブル山上駅と六甲山上バス(12:00ちょうどに発車したバス)
 
12:20
冷房の効いた車内で20分まで待ち、定刻に発車。
 
12:30
六甲ガーデンテラスバス停に到着。
「表六甲周遊乗車券」を運転手さんに見せて降車しました。
 
▲六甲ガーデンテラスの地図
 
北東に目的地である六甲枝垂れが見えていますが、先に腹ごしらえをすることにします。
ここには飲食店が複数あるようですが(北東に行くとジンギスカンパレスやフードテラスがある)、バス停から一番近いし、メニューが魅力的に見えたので、グラニットカフェに行くことにしました。
 
 
▲六甲ガーデンテラスにあるグラニットカフェ
 
グラニットカフェ前で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2014年7月15日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/rokko20140715-1/virtualtour.html
 
頂いたのは「英国風ランチ マグレガ―さんの野菜畑にて 2,160円」。
 
まずはサラダと野菜のスープが出てきて、続いてメインディッシュのローストビーフ(マンゴーソースがけ)とパン(ライスも選択可能)が登場。
最後はローズヒップと白桃のゼリーとアイスコーヒー(コーヒーと紅茶をそれぞれアイスかホットで選択可能)が出てきて終了。
 
▲本日の昼食
 
南向きの展望の良い席(ひどくかすんでいましたが)で豪勢なランチを食べ、幸せなひとときを過ごせました。
 
その後は、上のパノラマでグラニットカフェの左側に見えている「見晴らしの塔」に上がり、しばらく景色を楽しみました。(天覧台で見た時よりもモヤはうすくなっていました)
 
見晴らしの塔の最上部で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2014年7月15日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/rokko20140715-2/virtualtour.html
 
13:40
いよいよ当初の目的であった六甲枝垂れへ向かいます。
 
ガーデンテラスバス停から見える六甲枝垂れを目指し、徒歩で道路を北東へ。
すると、すぐ左手に六甲枝垂れへ行けそうな小道(※)に出会いました。しかし、案内板では六甲枝垂れは90m先となっているので、小道は無視して道路を進みます。
※六甲枝垂れからの出口だと後でわかりました。
 
道路は駐車場で行き止まりになっていて、左側に六甲枝垂れの入り口がありました。
右にはフードテラス、正面には天文通信館跡の電波塔が林立しています。
 
▲六甲枝垂れの入り口
 
六甲枝垂れ全体を覆う檜のフレームは、太陽の陽射しや雨があたるのを和らげ、冬には幻想的な樹氷の景色を見せます。
内部では、六甲の風や太陽の熱エネルギーを活用する自然循環機能を取り入れています。
まるで建物自体が呼吸しているような自然と一体となった展望台は、山の上に立つ一本の大きな木のようです。
(出典:六甲枝垂れのリーフレット)
 
施設名称: 自然体感展望台 六甲枝垂れ
営業時間: 〈4月~1月中旬〉 10:00~21:00(20:30受付終了)
        〈1月中旬~3月〉 10:00~17:00(16:30受付終了)
定休日: 無休
入館料: 大人(中学生以上)300円 、小人(4歳~小学生)200円
 
入口で入場料(大人一人¥300)を支払い、六甲枝垂れへ近づいていきます。
 
受け取ったリーフレットによると、入口から六甲枝垂れ本体までの通路は「山道(さんどう)と水面(みなも)の展望所」と名付けられているようです。
 
建物入口まで続く石畳の「山道」からの景色や、棚田のような「氷棚」の水面に映る景色に趣があります。
(出典:六甲枝垂れのリーフレット)
 
まずは外観を観察。
タジン鍋のような形をした木造の建築物の周囲を、いびつな半球形をしたフレームが覆っているという形状。
 
外側についている球形のフレームは、よく見るとメインの枠組みは金属製ですが、細かい部分は木の棒です。
 
木洩れ日の展望所
檜のフレーム(枝葉)越しに、360度パノラマの景色をご覧になれます。夏は木洩れ日の中で六甲の爽やかな風を感じてください。冬は枝葉に樹氷が着氷。幻想的な風景をお楽しみください。
(出典:六甲枝垂れのリーフレット)
 
六甲枝垂れの木洩れ日の展望所で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2014年7月15日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/rokko20140715-3/virtualtour.html
 
タジン鍋のような木造建築物はヒノキでできた風室と呼ばれる空間で、中に入るとヒノキの香りが漂っていてひんやり涼しく、天井から入ってくる日の光だけで照らされて過度に明るくもなく、非常に気持ち良い場所でした(私がいた時点の気温セ氏20度、湿度95%)。
 
六甲枝垂れの風室で撮影した全天球パノラマ(撮影日:2014年7月15日)

https://shimiken1206.sakura.ne.jp/panorama/rokko20140715-4/virtualtour.html
 
風と空の展望所「風室」
六甲山上に吹く風の速さや力を利用して空気を取り込み、幹上部から排出するという自然換気が行われています。夏には「氷室(ひむろ)」を通して冷却した風を、「風の椅子」に座って体感できる試み(冷風体験)がなされます。
「風室」中央部にある融氷水盤(ゆうひょうすいばん)には、雨水や「氷室」に貯蔵された氷が太陽エネルギーにより溶けた融氷水を湛え、風紋や水紋をご覧になれます。
夏至近くには太陽光が差し込み、光の模様も楽しめます。
(出典:六甲枝垂れのリーフレット)
 
外から風室へ入るための入口は陽室と呼ばれる展望所になっていたり、トーチカのような風穴と呼ばれる展望所もあります。
 
▲陽室(ここから風室へ入る)
 
陽だまりの展望所「陽室」
太陽光を遮断することのない山上の特徴を生かして、冬の太陽光を余すことなく吸収する設計になっている「陽室」では、檜の椅子に座って、自然のぬくもりを感じることができます。
(出典:六甲枝垂れのリーフレット)
 
平日の真昼間のためか他に見物客はほとんどおらず、一人でのんびり過ごすことが出来ました。
 
風室でひとり涼んでいると、ちょうどガイドツアーの時間帯と重なっていたようで、数名の観光客がガイドさんと一緒に入ってこられたため、私もガイドさんの説明を聞くことが出来ました。
 
なんでも、私が天窓だと思っていた風室の天井(上のパノラマをスクロールして天井を見上げて下さい)はガラスがはまっておらず、完全に外とつながっているとのことで、風室内部にたまっている水は雨水だそうです。
 
雨水がたまるのに、排水設備がない(芸術作品なので、現実的な設備を備えていない)ため、水がたまりすぎたときはスタッフさん達がバケツでくみ出すとのこと。
 
気持ちよい空間を維持するために、そんな苦労をされているのかと感心しながら六甲枝垂れを後にし、続いて案内図や山上バスのバス停の名前で気になっていた「六甲オルゴールミュージアム」へ行くことにします。
 
六甲枝垂れの出口は入口と正反対の位置にあり、カンツリーハウスへつながっているリフトの横を通って、ガーデンテラス近くに下りてくるようになっていました。
 
14:50
ガーデンテラスのバス停に戻ってきました。
 
14:55
六甲ケーブル山上駅方面のバスに乗り、オルゴールミュージアムへ。
 
15:00
オルゴールミュージアムに到着。運転手さんに周遊乗車券を見せて降車します。
 
▲六甲オルゴールミュージアム入口
 
▲六甲オルゴールミュージアム
 
施設名称: 六甲オルゴールミュージアム
営業時間: 10:00~17:00(16:20受付終了)
休館日: 木曜、年末年始(Webサイトを参照してください)
入館料: 大人(中学生以上)1,030円 、小人(4歳~小学生)510円
 
入ってすぐ右は売店で、その先は出口になっている様子。この売店はオルゴールミュージアムから出るときに通る場所のようです。
1階は他にトイレがあるだけなので、正面の階段を登って2階へ上がりました。
 
コンサートが15:00に始まったところということで、女性スタッフの方に声をかけていただいてコンサート会場である2階のホールへ。
 
中ではオルゴールの演奏展示(コンサート)の真っ最中。
 
ホールの周囲には所狭しとオルゴールが並んでいますが、私たちが想像する小さなものではなく、家具のような大型のオルゴールばかりで、すごい迫力と存在感です。
 
円筒を回して音を鳴らすオルゴールが今では一般的ですが、ここにあるのは巨大な円盤を使うディスクオルゴールや、穴のあいた厚紙を使ってオルガンやバイオリンを制御して音楽を鳴らす自動演奏装置。
 
▲自動演奏ヴァイオリン フォノリスト・ヴィオリーナ
 
▲バイオリンを演奏する機構(弓代わりのリングが回転し、下のバーが弦を押さえ、バイオリン本体が中から押し出されて弓に当たって音を鳴らす)
 
▲フォノリスト・ヴィオリーナが動作している様子。私が撮影した動画ではなく、Youtubeにあった動画を転載。
 
特に存在感を放っていたのはホール正面に鎮座するデカップ・ダンス・オルガン“ケンペナー”です。
 
▲デカップ・ダンス・オルガン“ケンペナー” 右端に写る女性と大きさを比較して下さい
 
デカップ・ダンス・オルガン “ケンペナー”
Decap Dance Organ “De Kempenaer”
制作年 1938年
制作国 ベルギー
制作会社 デカップ社
発音体 オルガン・パイプ(590本)
付属楽器 アコーディオン、鉄琴、マラカス、テンプルブロック、シンバル、大小太鼓
ソフト形式 ブック
動力 電気 モーター
 その名の通り、ダンスのために作られた自動演奏オルガンで、日本に来るまでは、移動式ダンステント、ダンスホール、カジノなどで楽団の代わりとして活躍していました。
 デカップ社の製品の中でも最大級のものです。種類ごとにいろいろな音色を奏でる合計590本の木製のパイプに、アコーディオンや打楽器が加わり、非常に厚みのある音での演奏を楽しむことができます。
(出典:現地のプレート)
 
オルゴールという呼び名が適切かどうかわかりませんが、オルガンやアコーディオン、ドラムまで鳴らす自動演奏装置です。
 
これが動作するときは、ケンペナーの背後から送風機の動作音が聞こえていました。
 
▲ケンペナーが動作している様子。私が撮影した動画ではなく、Youtubeにあった動画を転載。1台でこれだけの音を鳴らせる精緻で複雑な装置です。
 
 
15:00からのコンサートは15:20頃に終了し、15:30からは久石譲氏の音楽をオルゴールで演奏するコンサートがあるとのこと。
 
久石譲氏の音楽は大好きなので、15:30からのコンサートも楽しませて頂きました。
トリは前述のケンペナーを使った「風の谷のナウシカ」のエンディング曲。
 
ケンペナーは演奏中ど派手な照明が点灯し、アコーディオンが動き、ドラムの周辺で何やら機械が動いている様子が見え隠れするのも面白いのですが、基本的には巨大なパイプオルガンなので、かなりの音量ですごい迫力でした。
 
その後は2階のホール前の展示や3階の展示を眺め(何かの撮影中で入れない部屋もありました)、売店を通り抜けて外へ。
 
16:15
オルゴールミュージアムのバス停に到着。
 
16:18
山上バスがオルゴールミュージアムバス停を出発。
 
16:25
終点の六甲ケーブル山上駅に到着。
 
上りでは気づきませんでしたが、ケーブルカーにも鉄道と同様の勾配標がありました。
 
▲六甲ケーブル山上駅にある勾配標
 
「498」というのは、1,000m進むと498m上がるまたは下がることを意味する数字で、単位はパーミル。
パーセントのセントは100を意味しますが、ミルは1,000を意味します。つまり、1,000毎にという意味。
 
六甲ケーブルの勾配は途中で大きく変わるらしく、途中にも勾配標があって、その上が498パーミル、下は238パーミルになっていました。
 
16:40
下りのケーブルカーが山上駅を発車。
 
16:50
ケーブル下駅に到着。
 
16:56
六甲道駅行の16系統の神戸市バスが六甲ケーブル下バス停を発車。
 
17:25
JR六甲道駅に到着。
普通電車と新快速を乗り継ぎ、姫路へ帰りました。
 
六甲山上バスは20分に1本なので、無駄な待ち時間を減らすために、帰りに利用するバス停の時刻表を確認してから各施設に入ることをお勧めします。